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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第106号(平成28年1月号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━
■目次
【新年のご挨拶】
【お知らせ】
・インターネット講義配信の個人登録について
・世界自閉症啓発デー2015 in横須賀の開催(終了報告)
【海外情報の紹介】
・北米・欧州地区日本人学校協議会参加とフランス国立特別支援教育高等研
究所(INS-HEA)訪問
【連載コーナー】
・諸外国におけるインクルーシブ教育システム構築の状況
 第5回 韓国における障害のある子どもの教育について
【NISEダイアリー】
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】

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【1】新年のご挨拶
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 皆様、明けましておめでとうございます。本メールマガジンをいつもご愛
読いただき、誠にありがとうございます。
 今年の四月には、いよいよ障害者差別解消法が施行されます。それに関し
て、例えば、学校等においても、合理的配慮の提供などが話題になるかと思
われます。本研究所では、インクルーシブ教育システム構築支援データベー
ス(インクルDB)を開設したり、昨年からは、特別支援教育教材ポータル
サイト(支援教材ポータル)を開設したりするなどして、一人一人の子ども
の教育の充実にお役に立てるよう努めています。
 この四月からは、第四期の中期計画期間が始まります。インクルーシブ教
育システム推進センター(仮称)を設置したり、免許法認定通信教育を始め
たりする予定としています。地域におけるインクルーシブ教育システムの構
築に貢献したり、教員の専門性の向上に寄与したりできるよう、我が国の特
別支援教育に関わるナショナルセンターとしての役割を果たしていきたいと
考えています。
 今年も、メールマガジン等を通して、特別支援教育に関する最新の情報や
研究所の動向をお伝えしていけるよう、研究所の職員が一つになって努力し、
更なる内容の充実を図っていく所存です。忌憚のないご意見やご感想をお寄
せいただければ幸いです。
 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

              独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
                       理事長  宍戸 和成

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【2】お知らせ
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●インターネット講義配信の個人登録について
 本研究所では、インターネット講義配信(基礎編・専門編)105コンテン
ツをより多くの方々に活用していただくために、平成28年度から新システム
で運用することになりました。
新システムでは、
・多様な学びの場や障害種別での検索が可能になります。
・多様なデバイス(パソコン・タブレット・スマートフォン)から視聴でき
ます。
 また、現在の機関登録から個人登録に変わります。
現在、機関の代表として登録されている方も、個人としての登録が必要とな
ります。
 事前登録は、平成28年1月7日(木)から受付をはじめます。

○詳しい内容はこちら→
 https://www.nise.go.jp/cms/resources/content/11078/20151203-154933.pdf

●世界自閉症啓発デー2015 in横須賀の開催(終了報告)
 横須賀市では12月3日から9日まで、障害者福祉への関心や理解を深め、
誰もが参加できる社会をめざすことを目的として、「障害者週間キャンペー
ンYOKOSUKA」を行っています。この一環として12月5日(土)に横須賀市及
び横須賀市教育委員会の後援により筑波大学附属久里浜特別支援学校との共
催で「世界自閉症啓発デー2015 in 横須賀」を開催しました。
 6回目の開催になる今年度は昨年度に引き続き、「自閉症の世界を知ろう
よ~ちいさな つながりを ひろげよう~」をテーマとして、(1)自閉症の青
年が主人公の映画「シンプル・シモン」の上映、(2)映画に見られる自閉症
の特徴の理解と支援の方法についてのミニ講義、(3)特別支援学校高等部に
在学中の当事者の方からのメッセージというプログラムで行いました。
 当日は、小学生からご年配の方まで、スタッフを含め190余名の方々にご
参加いただきました。毎年お手伝いをいただいている横須賀総合高等学校の
生徒さん達もボランティアとして活躍してくれました。今回初めて参加され
たという方も多く、こうした機会を通して、自閉症をはじめとする発達障害
について知っていただくこと、理解をしていただくことが、発達障害のある
人だけでなく、誰もが幸せに暮らすことができる社会の実現につながるもの
と考えています。

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【3】海外情報の紹介
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●北米・欧州地区日本人学校協議会参加とフランス国立特別支援教育高等研
究所(INS-HEA)訪問
                 棟方 哲弥(企画部上席総括研究員)

 平成27年10月26日(月)から3日間の日程で北米・欧州地区日本人学校協
議会が開催されました。そこでは参加者による事例発表、研究協議に合わせ
て外務省、文部科学省、本研究所、公益財団法人海外子女教育振興財団、全
国海外子女教育国際理解教育研究協議会より情報提供等が行われました。本
研究所からは「特別支援教育を推進するために」と題して、日本人学校にお
ける特別支援教育調査結果、障害者差別解消法関連情報、並びに本研究所の
新しい事業や情報リソース等を紹介させて頂きました。全体会テーマは「魅
力ある在外教育施設の在り方」と「児童生徒の安全を確保する危機管理の在
り方」でした。特に、危機管理では学校のホームページでの情報発信(住所、
行事)の制限、外部から見える場所における学校名の看板の撤去、校門やス
クールバスへの警備員の配置などが報告され、外務省からは最終日の挨拶で
も学校での危機管理について具体的な場面を想定した注意喚起がありました。
パリの同時多発テロ(11月13日)は、この協議会の2週間後の出来事であり、
日本人学校が直面する厳しい現実を見る思いでした。この期間を通じて海外
の日本人学校における特別支援教育の状況について情報を得ることができま
した。例えば、日本人学校の校長先生には、日本で特別支援学級設置校校長、
行政で特別支援教育担当経験のある方も少なくないこと、特別支援教育の重
要性の認識が高い一方で、教員配置の難しさ、支援員の予算などから、十分
に対応する余裕がないという現実です。海外には国内のように地域に特別支
援学校がないことなどから、センター的機能の提供や巡回相談を受けること
ができません。海外日本人学校の特性、現状を踏まえた、国内とは別の形の
有効な特別支援教育推進体制モデルの創設が求められること、本研究所が担
う日本人学校支援機能充実の必要性などを強く感じました。
 続いて10月29日と30日にはパリ郊外にあるフランス国立特別支援教育高等
研究所(INS-HEA)を訪問し、同研究所のPuig所長、Mauguin教務部長からフ
ランスにおけるインクルーシブ教育システム構築に向けた教員養成・研修等
の改革の動向について最新の情報を伺うことができました。その改革の具体
的内容は、例えば、初等教育段階の特別な学級をより開放的な「ユニット」
とすることや、障害種別の特別支援教育教員免許の体系や内容を見直すこと
などでした。これらのフランスの特別支援教育のシステム改革については、
来年1月21日(木)に開催されるNISE特別支援教育国際シンポジウムで同研
究所の教務部長であるMauguin先生に紹介をして頂く予定になっています。

○パリ日本人学校のホームページはこちら→
 http://www.parinichi.com/

○NISE特別支援教育国際シンポジウムの情報はこちら→
 https://www.nise.go.jp/cms/9,10642,22,295.html

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【4】連載コーナー
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●諸外国におけるインクルーシブ教育システム構築の状況
 第5回 韓国における障害のある子どもの教育について
                  齊藤 由美子(企画部総括研究員)

 本研究所では、平成28年1月21日(木)にインクルーシブ教育システムの
構築に関する国際シンポジウムを開催します。このシンポジウムでは、基調
講演に続いて、本研究所と協定を締結しているフランス国立特別支援教育高
等研究所(INS-HEA)及び韓国国立特殊教育院(KNISE)の専門家からの報告
により、初等中等教育におけるインクルーシブ教育システム構築に向けた現
状、課題を検討し、今後の展望を明らかにしていく予定です。本連載は、こ
のシンポジウムの開催に向けたカウントダウン連載の形で、フランスと韓国
の特別支援教育の状況や両国の特別支援教育のナショナルセンターについて、
企画部の調査・国際担当職員が全7回で紹介していきます。第5回は、韓国
における障害のある子どもの教育について紹介します。

・・・続きはこちら→
https://www.nise.go.jp/cms/6,11119,13,257.html

・・・全7回の連載内容はこちらのリンクへ→
https://www.nise.go.jp/cms/6,10765,13,257.html

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【5】NISEダイアリー
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         「散歩の途中で気付いたこと」
           宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)

 久里浜暮らしも長くなった。時々、散歩がてら、街の中をブラブラするこ
とがある。最近多い、テレビでの散歩番組ほどではないが、歩いてみて、初
めて気が付くことがある。
 京急久里浜の駅から東京湾フェリー乗り場までの広い通りには、両側に桜
の木が植えられている。三月から四月にかけて、通りは花見の客で賑わう。
その通りから横道に逸れる「花の国」という公園までの通りにも、桜の木が
植えられている。
 そして、花が散ると今度は新緑の季節だ。若葉が伸び始め、葉陰は夏の日
差しを避けるのにちょうどよい空間になる。
 さらに、落ち葉の季節になると、通りには紅葉した落ち葉が舞い散り、そ
れはそれで風情がある。桜の木に関しては、そんなところまでしか関心がな
かったが、先日、桜の木の新たな姿に気が付いた。
 それは、歳の暮れも迫ったある日、葉が落ちてすっかり丸裸になった桜の
木の小枝の姿である。葉が落ちた後の欅の木の枝振りもきれいであるが、桜
の木の枝振りも、それに負けず劣らずきれいなのである。しかも、幹から水
平に伸びた枝の先は、緩やかに空に向かって伸びている。その枝から出た小
枝も下には向かわず空に向かって伸びている。たまたま下の方に伸びた小枝
も、先は空に向かって方向転換している。いずれの小枝も、等間隔で歯の欠
けた櫛のように、皆、空に向かって伸びようとしている。自然の摂理とは言
え、不思議なものだ。
 そんなことにも思いを馳せつつ、次のことを考えた。
 桜は、花が咲いた姿や葉が茂った姿しか目に付かなかったが、冬の枝を伸
ばした姿もきれいなものだということ。そして、枝の伸び具合については、
花が散り、葉が落ちた時にしか気が付かないということも。隠れたところに
桜の木の人知れず"努力している姿"があるのかもしれないなどと思ってしま
う。
 今年は暖冬なのか、桜のつぼみが膨らむのが早いような気もする。

 特総研は、今年、第四期を迎える。中期目標に従い、5年間の中期計画を
策定して、ミッション、ビジョンに則った業務運営を行う。
 桜の木ではないが、前向きに進みたいと思う。しかも、職員が一致協力し
て。それぞれに得意不得意はあろうとも、職員全体の意識が揃って空(太陽
=目標)に向くようにしたいし、そうありたいと思う。障害のある子どもの
一人一人の可能性を追求するという目標に向かって。

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【6】研修員だより
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 今号は、平成25年度第二期特別支援教育専門研修を修了された佐川匠先生
からお寄せいただきました。

「久里浜での研修生活を振り返って」
                     佐川 匠(福島県立盲学校)

 これから始まる研修生活に多少の不安を抱きつつ久里浜に向かった日。研
究所から見える海の景色に圧倒されたことを今でも鮮明に覚えています。
研修生活では、講義や演習を通して多くの情報を頭で整理する毎日でした。
久々に学ぶ立場に立ち、日々、勉強することの大切さ、楽しさを感じました。
何より、研究所の先生方をはじめ、たくさんの人とのつながりがもてたこと
は大きな財産です。
 また、全国各地から集まった研修員の先生方と、現場で抱える悩みや研究
課題について時間を忘れてたくさん語り合ったこと、研究協議に加えて、休
日の過ごし方やレクリエーションに至るまで、様々なことを企画してやり遂
げたことを通してチームの大切さを学びました。一人で悩むのではなく、み
んなで課題をどう共有し意見を出し合うのか、チームの中で自分はどんな役
割を担うことができるか、研修生活を通して得られたものは大きかったです。
久里浜での生活から早いもので2年の月日が流れました。日々の教育実践の
中で悩むこともありますが、全国各地に、共に学んだ仲間がいると思うと大
変心強く感じます。これからも久里浜で学んだたくさんのことを、現場の子
どもたちに返していきたいです。

○福島県立盲学校のWebサイトはこちら→
 http://www.fukushima-sb.fks.ed.jp/

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【7】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

○アンケートはこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=39896&lang=ja

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【8】編集後記
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 旧年中は、このメールマガジンをとおして本研究所の様々な取り組みにつ
いてご理解とご協力をいただき、ありがとうございました。新年を迎え、気
持ちも新たにこの第106号(平成28年1月号)をお届けできることを、とて
も嬉しく思っています。本年もメールマガジンをとおして、取り組んでいる
研究やその成果についての情報をお知らせいたします。少しでも読者の皆様
が身近に感じていただけるような情報発信となるよう努めさせていただきま
す。どうぞ、皆様からのご意見をお寄せいただければ幸いです。
 皆様は、これから年度末に向けて、何かとお忙しい学期かと思います。本
研究所でも研究成果報告書の執筆・編集や、セミナーの開催等で慌ただしい
時期を迎えます。今月7日からは専門研修の視覚障害・聴覚障害教育コース
も始まります。今年も、特別支援教育の充実に向けた多くの施策や事業を実
施する予定です。社会の動向を捉えつつ、我が国唯一の特別支援教育のナシ
ョナルセンターとして、皆様からのご要望やご期待にお応えできるように様
々な研究活動を通じて特別支援教育の充実に一層努めて参りたいと思います。
本年も、どうぞよろしくお願いします。
                                    (第106号編集主幹 土井 幸輝)

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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第106号(平成28年1月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp
          ([アットマーク]を@にして送信してください。)

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