独立行政法人国立特殊教育総合研究所
特殊研D−190 視覚障害者のWindowsパソコン及びインターネット利用・学習状況

第3節 自宅におけるWindowsパソコン利用状況

1.回答者
 自宅のパソコン環境について回答した76人の内訳を図3-3-1から図3-3-4に記す。76人のうち45人が職場でのパソコン環境の回答者と重なっていることもあり,回答者のプロファイルはいずれも職場と似たものとなっている。


図3-3-1 年齢(n=76)
年齢:10代(2)20代(9)30代(19)40代(21)50代(14)60代(9)70代(2)平均年齢43.5歳


図3-3-2 障害等級(n=76)
障害等級:1級(61)2級(11)3級(1)4級(0)5級(1)6級(0)なし(2)


図3-3-3 使用文字種(n=76)
使用文字:点字(47)墨字(15)点字と墨字両方(13)不明(1)


図3-3-4 パソコン利用年数(n=76)
パソコン使用歴:2年未満(8)2年以上4年未満(8)4年以上6年未満(5)6年以上8年未満(11)8年以上10年未満(7)10年以上15年未満(18)15年以上20年未満(10)20年以上(9)平均使用歴10.1年



2.パソコン利用状況
2.1 使用時間  パソコン使用時間は,2時間以上4時間未満が最も多く33人,2時間未満が22人,4時間以上6時間未満が14人。平均使用時間2.8時間であった(図3-3-5)


図3-3-5 パソコン使用時間 (n=76。3人は不詳)
2時間未満(22)2時間以上4時間未満(33)4時間以上6時間未満(14)6時間以上(4)不明(3)平均使用時間2.8時間


2.2 基本ソフト  使用しているパソコンの基本ソフトは,Windows 98が47人,Windows Meが21人,Windows 2000が5人,Windows XP Home Editionが3人であった(図3-3-6)。


図3-3-6 基本ソフト (n=76)
Windows 98(47),Windows Me(21),Windows 2000(5),Windows XP Home Edition(3)


2.3 ネットワーク環境
 自宅では,ダイアルアップ(24人),ADSL/xDSL(20人),ISDN(16人),CATV(12人),無線インターネット(2人)を経由してインターネットに接続していた。ネットワークに接続していない回答者は2人いた。


図3-3-7 ネットワーク環境 (n=76) ダイアルアップを経由してインターネットに接続(24),ISDNを経由してインターネットに接続 (16),ADSL/xDSLを経由してインターネットに接続(20),CATVを経由してインターネットに接続(12),光ファイバ回線を経由してインターネットに接続(0),無線インターネットを経由してインターネットに接続(2),ネットワークには接続していない(2)


2.4 スクリーンリーダ
 Windowsスクリーンリーダとして,95Readerを51人,PC-Talkerを33人,VDM100W-PC-Talkerを17人,JAWSを8人,outSPOKENを7人が使っていた(複数回答)。2種類以上のスクリーンリーダを使っていた回答者は32人であった。


表3-3-1 各Windowsスクリーンリーダを利用している回答者数(n=76。複数回答)。最上段の数字(1,2,3,4)は,複数のスクリーンリーダを使っている場合の使用頻度の順を表す。

 1234合計
95Reader35141151
PC-Talker2381133
VDM100W-PC-Talker1241017
JAWS22408
outSPOKEN14207
合計733292 


表3-3-2 95Readerのバージョン別分類

製品回答数
2000Reader32
98Reader18
XP Reader1
合計51


表3-3-3 PC-Talkerのバージョン別分類

製品回答数
PC-Talker ver. 5.*15
PC-Talker ver. 4.*8
PC-Talker 20002
PC-Talker XP2
PC-Talker ver. 1.11
PC-Talker ver. 3.01
バージョン不詳4
合計33


表3-3-4 VDM100W-PC-Talkerのバージョン別分類

製品回答数
VDM100W ver. 5.*9
VDM100W ver. 4.*2
VDM100F1
VDMW3001
合計17

 JAWSの内訳はver. 3.7*が7人,バージョン不詳が1人,合計8人。outSPOKENの内訳は,ver. 2.5が4人,ver. 2.01が1人,バージョン不詳が2人,合計7人。


2.5 画面拡大
 スクリーンリーダとあわせて画面拡大ソフトを使っている者が5人いた。そのうち3人がZoomText Xtraを,2人がMicrosoft 拡大鏡を使っていた。


2.6 ハードウェア
 視覚障害者用のハードウェアとして,点字ディスプレイ,点字電子手帳,点字プリンタをそれぞれ11人,8人,6人が使っていた。職場と比べると,点字プリンタを使っている回答者の割合が低い。職場同様スキャナの利用率は高く,46名(61%)であった。
 表3-3-5から表3-3-8に,利用されている機種を記す。点字ディスプレイ,点字電子手帳,点字プリンタの欄では,1名だけが回答した機種も記載した。


図3-3-8 ハードウェアの利用状況(n=76。複数回答)

スキャナ46
点字ディスプレイ11
点字電子手帳8
点字プリンタ6


表3-3-5 スキャナ(n=76。複数回答)

製品回答数
エプソン製品全体33
 内訳GT-7000 (6)
  GT-7600 (3)
  GT-5500 (2)
  GT-7000S (2)
  GT-8200U (2)
  GT-8500 (2)
  GT-9500 (2)
  その他 (14)
キャノン製品全体7
その他5


表3-3-6 点字ディスプレイ(n=76。複数回答)

製品回答数
BrailleNote8
 内訳46D (5)
  40A (3)
PowerBraille 402
ALVA2
 内訳544 Satellite (1)
  544 Satellite (1)


表3-3-7 点字電子手帳(n=76。複数回答)

製品回答数
ブレイルメモBM167
BrailleLite1


表3-3-8 点字プリンタ(n=76。複数回答)

製品回答数
ESA7211
Everest D1
Basic1
TZ1001
ランテック TEN-101
ツバサの点字プリンタ1
不詳1



2.7 ソフトウェア
 自宅で利用しているWindowsアプリケーションの回答状況を図3-3-9に示す。職場における利用状況とほぼ同様だが,ワープロ・エディタ,表計算ソフトの利用率が若干低い。種類別のアプリケーション製品の利用人数を表3-3-9から表3-3-18に示す。

図3-3-9 Windowsアプリケーションの利用状況(n=76。複数回答)

電子メールソフト72
ワープロ及びエディタ64
OCRソフト48
表計算ソフト46
CD-ROM辞書検索ソフト43
点字編集ソフト38
音声化対応の辞典・辞書23
データベース・住所管理ソフト21
自動点訳ソフト20
DAISY録音図書閲覧ソフト15
プレゼンテーションソフト7
グループウェアソフト1


  電子メールソフト 電子メールソフトについては72人から回答を得た。自宅のパソコン利用環境のみに回答した回答者で,電子メールについて記載がなかった1人については,メールのヘッダ情報より電子メールソフトを特定した。13人が複数の電子メールソフトを使っていた(表3-3-9)。
 ワープロおよびエディタ ワープロおよびエディタに対する回答数は64人,そのうち30人が複数の製品名を挙げた。各製品の利用順位は職場とほぼ同じであった(表3-3-10)。
 OCRソフト OCRソフトの回答者数は48人で,そのうち複数回答が9人であった(表3-3-11)。
 表計算ソフト 表計算ソフトを利用している回答者は46人。利用ソフトはExcelがほとんどを占めた(表3-3-12)。
 ほかのアプリケーション利用者数は,点字編集ソフト(38人),CD-ROM辞書検索(43人),音声化対応の辞典・事典(23人),データベース・住所管理ソフト(21人),自動点訳ソフト(20人),DAISY録音図書閲覧ソフト(15人),プレゼンテーションソフト(7人),グループウェア(1人)である。
 その他 その他に利用しているアプリケーションは15人からのべ39件挙げられた(不詳のデータは除く)。2件以上挙げられたアプリケーションの種類は,CD/DVDライティングソフト,点字関係,管理ソフト,通信ソフト,レコーディングソフト,開発ソフト,ブラウザ,音楽/DVD再生ソフト,ゲームソフトであり,職場のデータとは若干異なる(表3-3-19)。


表3-3-9 電子メールソフト(n=76。複数回答)

製品回答数
MM-Mail42
 内訳ver. 1.4* (9)
  ver. 1.5* (4)
  その他・不詳 (29)
MYMAIL11
  ver. 1.2* (3)
  その他・不詳 (8)
Winbiff10
 内訳ver.2.* (4)
  その他・不詳 (6)
Outlook Express10
ユニメール4
電信八号3
Eudora2
その他5


表3-3-10 ワープロ・エディタ(n=76。複数回答)

製品回答数
Word46
 内訳Word 2000 (37)
  Word 2002 (2)
  Word 98 (2)
  その他・不詳 (5)
MYEDIT14
 内訳MYEDIT II (4)
  その他・不詳 (10)
MYWORD12
 内訳MYWORD III (11)
  不詳 (1)
WZ Editor10
 内訳ver. 4.00E (7)
  不詳 (3)
ワードパッド9
MM Editor7
 内訳ver.7.* (2)
  不詳 (5)
メモ帳7
一太郎(9,11,12)4
その他2


表3-3-11 OCRソフト(n=76。複数回答)

製品回答数
e.Typist15
 内訳ver. 7.0 (5)
  その他・不詳 (10)
よみとも14
 内訳ver. 5.0 (4)
  よみとも2000 (2)
  不詳 (8)
MYREAD12
ヨメール9
 内訳ver. 4.0 (3)
  ver. 3.0 (2)
  その他・不詳 (4)
読んde!!ココ4
らくらくリーダ3
その他4

 その他は,読取革命 2001,読取物語 ver.3,WinReader 4.0,OpenBook各回答数1であった。


表3-3-12 表計算ソフト(n=76。複数回答)

製品回答数
Excel45
 内訳Excel 2000 (36)
  Excel 97 (4)
  Excel 2002 (2)
  不詳 (3)
LOTUS 1231
不詳1


表3-3-13 CD-ROM辞書検索ソフト(n=76。複数回答)

製品回答数
ViewIng for 95Reader34
こととい4
 内訳こととい (2)
  ことといLight (2)
Jamming3
グランド辞スパ1
不詳2


表3-3-14 点字編集ソフト(n=76。複数回答)

製品回答数
Win-BES30
 内訳Win-BES 99 (29)
  不詳 (1)
ブレイルスター for Windows6
ブレイルスター*3
T・エディタ1
不詳1
*Windows版/MS-DOS版のいずれかは不詳


表3-3-15 音声化対応辞書・辞典(n=76。複数回答)

製品回答数
世界大百科事典8
広辞苑4
プロメディカ3
医学大辞典2
その他・不詳18


表3-3-16 データベース・住所管理ソフト(n=76。複数回答)

製品回答数
Access 20008
宛名職人6
 内訳宛名職人2002 (2)
  その他 (4)
アドボイスII3
VDJW2
アルボ1
ケータイエディ2
知子の情報Pro1


表3-3-17 自動点訳ソフト(n=76。複数回答)

製品回答数
EXTRA for Windows14
 内訳ver.2.* (11)
  その他・不詳 (3)
IbukiTen6
不詳1


表3-3-18 DAISY録音図書閲覧ソフト(n=76。複数回答)

製品回答数
LpPlayer11
PLAYBACK20003
PLAYBACK983

 プレゼンテーションソフトの利用者数は7人,そのうちPowerPointが4人,Freelance 2000が1人,製品名不詳が2人であった。グループウェアは1人が利用しているとしたが,製品名は不詳だった。


2.8 職場で使えなくて困っているアプリケーション
 現在,自宅で使えなくて困っているアプリケーションは32人からのべ40件挙げられた。そのうち複数回答されたものは,一太郎(回答数7人),Word(3人),WinCDR(2人),ホームページ・リーダー(2人),Internet Explorer(2人)であった。
 回答数各1件のものを列記すると,Excel,HAMLOG for Windows(アマチュア無線用ログ管理ソフト),IME2002,PhotoEditor,Microsoft OfficeのVBAエディタや関数の入力,MM-Mail,nero(CDライティングソフト),Netscape Communicator 4.75(編集画面しか読み上げない),OpenOffice ver.1.0,Singer Song Wrighter ver.5.0,うれしレシピ,オセロや将棋などのマウスでのみ動作するもの,カード型データベースソフト(音声化要望),シーケンスソフト(MIDI音楽作製ソフト),スキャナ(e-typistを使うと音声化するが,扱いにくい),ドラえもんメール,ドラネットジュニア国語(子供用学習教材),医学辞書,花子 ver.10,会計ソフト,ハイパーダイヤ(音声対応とされているが,使いにくい)電子ブックビューア(XPに未対応),筆グルメ,筆自慢となる。
 今回の質問の枠組みからは外れるが,Macintoshが使えないとする回答もあった。


表3-3-19 その他利用しているソフト(n=76のうち回答者数15人。複数回答)
製品名の後に(件)と書かれているもの以外はすべて回答数1件である。

種類製品
CD/DVDライティングソフト    WinCDR(3件)
     B's Clip
     B's Recorder Gold
     EG CDクリエーター
点字関係    B'Score(点字楽譜作製ソフト)
     HLB(点字ファイル変換ソフト)
     ブレイルスキャン(点字OCRソフト)
管理ソフト    まめfile2(ファイラー)
     びーねっと アルボ製品版(スケジュール管理)
     紙2001(メモ管理ソフト)
通信ソフト    IPMsg(IP Messenger)
     FFFTP ver.1.82
レコーディングソフト    RecPlay ver.2.04.0020(録音/編集ソフト)
     午後のこ〜だ ver.3(MP3関連)
開発ソフト    Fscript ver.3.55
     f-basic ver.6.0
ブラウザ    ネット辞書リーダ
     ないーぶリーダー
音楽/DVD再生ソフト    Winamp ver.2.78
     power-dvd vrx
ゲームソフト    Microsoft pinball arcade
     Microsoft return of arcade
ユーティリティ    Hotclip(クリップボード拡張ソフト)(2件)
     CD革命バーチャル(仮想CD−ROMサーバー)
     テキストポーター ver.2.0
     traypse(タスクトレイ操作ソフト)
     リコクロック(時刻通知ソフト)
メンテナンスユーティリティ    ウイルスバスター2002(2件)
     DiskX Tools ver.7
     ディスクツールズ
     ノートンユーティリティ
     CareTake(メモリ管理ソフト)
     ファイルコンパクト ver.4
上記分類以外    ハイパーダイヤ(経路探索ソフト)
     家庭の医学 HTML版(時事通信社)
     SuperTag 32pro 1.63(HTML作成支援ソフト)



2.9 MS-DOSの利用
 自宅でMS-DOSを利用している人は31人であり,MS-DOSを利用していない回答者数44人より少なかった(図3-3-10)。MS-DOSの利用形態では,MS-DOS専用パソコンの使用が20人で最も多く,次にWindowsパソコンのMS-DOSプロンプトで使用している人が12人,Windowsと同じパソコンでパーティションを分けてMS-DOSを使用している人が11人であった(図3-3-11)。MS-DOS利用の用途は,文書作成,ファイル管理,点訳・点字編集・点字印刷,パソコン通信,CD-ROM辞書・辞典の閲覧が主なものであった(表3-3-20)。

図3-3-10 MS-DOSの利用率(n=76)

MS-DOSを利用していない44
MS-DOSを利用している31
不明1


図3-3-11 MS-DOSの利用形態(n=31。複数回答)

MS-DOS専用パソコン20
MS-DOSプロンプト12
パーティションの切り分け11


表3-3-20 MS-DOSで行っている作業(n=31。複数回答)

作業の種類回答数
文書作成26
ファイル管理23
点訳・点字編集・点字印刷17
パソコン通信10
CD-ROM辞書・辞典10
データベース・カルテ等管理9
電子メール7
プログラミング6
音楽2
インターネット2
その他6


 その他の内訳は,ケアプラン作成,テキストファイル整形,作表,外字検索,Fax送信,ワープロ文書変換の各1件ずつである。



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