平成16年度第一期短期研修 知的障害教育コース講義等内容
平成16年度第一期短期研修講義等内容(知的障害教育コース)
講義題目等 | 講師氏名(所属・職名) | 講義内容 | |
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1. 発達障害の診断と療育 | 渥美 義賢 (教育支援研究部・総合研究官) |
「発達障害」という用語は近年しばしば用いられている。その用語の持つ意味や概念を理解すると共に,一般的に発達障害と考えられていく障害についての診断について基本的な知識を得る。また,いわゆる軽度発達障害の子供を中心に,どのように理解しどのように支援することが望ましいかについての基礎的な知識を得る。 | |
2. 自閉症の教育と医療との連携 | 佐々木 正美 (川崎医療福祉大学・教授) |
自閉症児への総合的な支援の在り方について,TEACCH の実践例を参考に論ずる。 | |
3. 脳のはたらきと障害 | 岩﨑 信明 (筑波大学・講師) |
肢体不自由児と関連する「運動,精神発達遅」滞と関係する「言語」や「記憶」について,脳機能の局在的な考え方を背景に概説する。さらに,最新の脳の形態・機能検査法を提示し, 脳の機能障害の発生機序解明に対する試みについて紹介する。 | |
4. 高等部教育の現状と課題 | 大南 英明 (帝京大学・教授) |
職業教育を中心とした高等部の教育課程の編成,個別移行支援計画づくり, 進路支援のための教育,福祉,医療,労働のネットワークづくり等について,その基本的な考え方,取り組みの現状と今後の課題について論述する。 | |
5. 行動障害への医療的対応 | 末光 茂 (川崎医療福祉大学・教授) |
行動障害の定義, 診断,原因等,医学的な問題について概説し, 療育方針の立て方等, 医療的対応について論ずる。 | |
6. 自閉症教育の実際 | 喜馬 久典 (徳島県立国府養護学校・教諭 ) 安藤 壽子 (横浜市立東品濃小学校・副校長) 西川 公司 (筑波大学附属久里浜養護学校・校長 ) 沼澤 聡子 (筑波大学附属久里浜養護学校・教諭) 齊藤 宇開 (教育支援研究部・研究員) |
自閉症のある児童生徒に対する教育内容, 指導方法, 教育環境等の確立が重要な課題となっている。平成16 年度より自閉症に特化した筑波大学附属久里浜養護学校をはじめ, 養護学校,,特殊学級における自閉症教育の実際をとおして自閉症教育の現状と課題について考える。 | |
7. ニーズのとらえと対応-障害観の変遷- | 渡部 匡隆 (横浜国立大学・助教授) |
ニーズのとらえ方について,教育的支援における障害の概念や能力観, 支援のとらえ方や年齢相応の生活の質といったニーズが生じる環境や次元「personcentered approach 」の手法,, の3側面から論述し,知的障害のある児童・生徒の行動の選択性の拡大に向けて課題を検討する。 | |
8. 諸外国における知的障害教育の現状 | 徳永 豊 (企画部・総括主任研究官) |
諸外国(主としてOECD 等の国際機関やイギリス) の特殊教育のシステムや現状について論述し,教育実践を見直しながら,今後の方向性を考える。 | |
9. 交流による教育 | 高木 龍治 (静岡県立浜松養護学校・教諭) 佐藤 克敏 (教育支援研究部・主任研究官) |
交流教育の意義と教育課程上の位置づけについて概説し, 交流教育を展開するうえで重要となる事項について実例を基に論述し,今後の交流教育の課題について考える。 | |
10. 就労をめぐる課題と対応 | 小塩 允護 (教育支援研究部・総合研究官) |
知的障害のある人の社会参加の実態を「働くこと」に焦点を当てて概観し, 就労を支える個, , ,人的条件制度的条件学校教育の役割を論じ知的障害教育における当面の課題とその対応策について移行教育という視点から考える。 | |
11. 知的障害教育における教育課程と個別の指導計画 | 石塚 謙二 (文部科学省初等中等教育局特別支援教育課・特殊教育調査官) |
学習指導要領について解説するとともに,知的障害養護学校と知的障害特殊学級における教育課程編成や領域・教科を合わせた指導,領域別・教科別の指導,及び個別の指導計画のあり方について述べる。 | |
12. 授業研究の理論 | 竹林 地毅 ( 教育支援研究部・総括主任研究官) |
知的障害児教育における授業研究の歴史と方法論について概観し, 授業研究の理論的な整理を行うと共に授業研究と授業づくりのあり方について論述する。 | |
13. 選択 | A 養護学校における授業研究の実際 | 小倉 京子 (千葉大学教育学部附属養護学校・教諭) |
知的障害養護学校と知的障害特殊学級における授業研究の実践例を紹介する。授業づくりを深めるための校内の研究組織作り, 授業研究会の運営,授業構成の基本的な考え方等について論述する。 |
B 特殊学級における授業研究の実際 | 小杉 真一郎 (福井市木田小学校・教諭) |
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14. 研究・研修の組織づくりと運営(ワークショップ形式) | 西 直人 (ワークショップコーディネーター ) 竹林 地毅 (教育支援研究部・総括主任研究官) 大崎 博史 (企画部・研究員) |
学校における研究・研修の組織づくりの在り方について,研修員の現状と課題を整理し, 企画づくりや組織づくりのノウハウを演習によって学ぶ。研究協議班の運営や研究協議のまとめとして。予定しているミニ研修会の企画・運営に生かす | |
15. 障害児の性教育 | 蓮香美園 ( 東京学芸大学附属養護学校・ 教諭) |
性教育に関する内外の動向を踏まえ,学校教育のなかで性教育を進めていく上での諸課題や指導法,評価のあり方について論述し,性教育プログラムについて紹介・検討する。 | |
16. 発達障害のアセスメントの理論と実際1.2 | 佐藤 克敏 (教育支援研究部・主任研究官) 齊藤 宇開 (教育支援研究部・研究員) 大崎 博史 (企画部・研究員) |
発達障害のある児童生徒に対するアセスメントについて概観し, 心理検査法, 観察法, インタビュー法等の各手法について少人数のグループ毎に実習をする。 | |
17. 言語の発達と障害 | 松村 勘由 (教育研修情報部・総括主任研究官) |
言語発達の基本的な考え方や言語発達に関わる諸要因について整理し, 言語発達の道すじや特徴,言語の機能,評価等を概観し, 言語に障害のある子どもの指導の要点について解説する。 | |
18. 認知の発達と障害 | 宇佐川 浩 (淑徳大学・教授) |
知的障害のある子どもへの認知発達臨床アプローチの意義とその果たす役割について概観し,知的障害のある子どもの認知発達過程とその子どもの認知発達に応じて必要とされる臨床アプローチについて論述する。 | |
19. 社会性の発達と障害 | 小塩 允護 (教育支援研究部・総合研究官) |
社会性の発達を概観すると共に, 知的障害のある子どもの社会性の発達の支援を進めるために,社会的スキルの評価,具体的指導・支援方法などについて論述する。 | |
20. 日常生活の指導 | 竹林 地毅 (教育支援研究部・総括主任研究官) |
日常生活の指導の歴史的経緯や実践・指導の基本的な考え方について述べ, 実践例から, 学校生活を豊かにしていくための日常生活の指導のあり方を検討する。 | |
21.生活単元学習の指導 | 太田 俊己 (千葉大学・教授) |
生活単元学習の歴史的な経緯や実践・指導の基本的な考え方について述べ,具体的な実践例から,子ども一人一人の主体的な学校生活を創造し,生きる力を育むための生活単元学習のあり方について解説する。 | |
22.遊びの指導 | 井上 正人 (山形大学教育学部附属養護学校・教諭) |
遊びの指導の歴史的な経緯や基本的な考え方について概説し,実践例から,主体的な活動を促し育むための遊びの指導のあり方を論述する。 | |
23.作業学習の指導 | 尾崎 祐三 (東京都教職員研修センター・現職研修課長) |
領域・教科を合わせた指導の形態である作業学習の基本的な考え方について概説し,実践事例から,卒業後の移行支援につながる作業学習のあり方を論述する。 | |
24.生活に生きる国語の指導の実際 | 横山 孝子 (静岡県教育委員会養護教育課・指導主事) |
国語科の指導内容のとらえ方や指導の基本的な考え方を論述し,生活のなかで生きる力となるための国語の指導の実践例を紹介する。 | |
25.生活に生きる算数・数学の指導の実際 | 髙橋 玲 (群馬大学教育学部附属養護学校・教諭(中学部主事)) |
算数・数学科の指導内容のとらえ方や指導の基本的な考え方を論述し,生活のなかで生きる力となるための算数・数学の指導の実践例を紹介する。 | |
26.演習:楽しい体育の指導 | 佐藤 賢 (愛知県立港養護学校・教頭) |
体育科の指導の基本的な考え方,児童生徒の体力特性のとらえ方,体育指導の実際,生涯にわたるスポーツライフにつながる指導のあり方について論述する。また,いくつかの運動やゲームなどの実習も行う予定である。 | |
27.演習:楽しい図工・美術の指導 | はた よしこ (絵本作家) |
知的障害のある人の芸術活動の多様さをいかに輝かせるかが問われている。実習を通じて一人一人の発想の豊かさを楽しみながら,学校における図工・美術の指導の在り方を考える。 | |
28.演習:楽しい音楽の指導 | 木村 敦子 (広島文教女子大学・助教授) |
音楽科の指導の意義,音楽の指導をするうえで配慮すること等,指導のあり方について論述し,音楽的な表現を育て,情緒の安定や豊かな,情操を養うための実践例を紹介し実習を行う。 | |
29. 演習:ノンバーバル・コミュニケーション | 緒方 登士雄 (東洋大学・教授) |
ノンバーバル・コミュニケーションに焦点をあて, 研修員相互によるレッスンプログラムを実習する。その体験を通し,子どもたちとかかわる私たちの行動を振り返り,コミュニケーションを深めるためのかかわりについて探る。 | |
30. 演習:個別の指導計画の作成と協力関係の推進 | 干川 隆 (熊本大学・助教授) |
授業に生かすための個別の指導計画の作成システム等を紹介し,担任教師と関係者との協力関係を推進する個別の指導計画の作成方法(PATH) を実習する。 | |
31. 教材・教具の工夫 | 近藤 貴好 (石川県教育センター・指導主事) |
教育的ニーズに応じた教材・教具の工夫とその実際について紹介し, その意義, 基本的な考え方,授業等で効果的に活用するための視点を紹介する。学校・学級で組織的に教材・教具を開発,管理するための運営の在り方について述べる。 | |
32. ダウン症の特性と対応 | 玉井 邦夫 ( 山梨大学・助教授) |
ダウン症の原因や諸特徴, 合併症等に代表される医学的特性とコミュニケーションや問題となる行動等の心理特性への対応方法を論述する。また,思春期・成人期に生じる問題を取り上げ検討する。 | |
33. 自閉症児の特性と対応 | 園山 繁樹 (筑波大学・助教授) |
自閉症の障害特性と学習特性を概観し,コミュニケーション行動の形成,生活スキルの形,成自己管理行動の形成,挑戦的行動の改善等について,高機能の児童生徒を含め,行動論的立場からの援助方法を論ずる。 | |
34. 行動障害の分析と対応 | 肥後 祥治 ( 熊本大学・助教授) |
行動障害をどのように捉え,どのように取り組むかに関するテーマは,臨床心理学の中心的な課題である。応用行動分析の立場から行動障害のとらえ方,行動障害の分析とそれに基づく対応について論述する。 | |
35. 自閉症の病理 | 中根 晃 (東京都精神医学研究所・客員研究員) |
自閉症の概念と診断, 情報処理過程の障害や行動障害への対処等について,発達援助の方法を含めて解説する。 | |
36. 選択 | A 楽しい授業づくりにつながる養護学校の個別の指導計画 | 岡田 義則 ( 新潟大学教育人間科学部附属養護学校・教諭) |
知的障害養護学校と知的障害特殊学級において実際に作成している個別の指導計画を紹介する。個別の指導計画を作成し実践する上で留意する事項や授業に生かすための諸課題へのアプローチの実際等について述べる。 |
B 楽しい授業づくりにつながる特殊学級の個別の指導計画 | 森永 恵 (岐阜県揖斐郡大野町立北小学校・教諭) |
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37. 選択 | A 知的障害養護学校の自立活動の実際 | 小田 浩伸 (大阪府教育センター・指導主事) |
知的障害養護学校における自立活動の指導体制,指導の実際について実践を紹介する。 |
B この学級で学んでよかったといわれる特殊学級の学級経営 | 中込 香代子 ( 山梨県市教育委員会・指導主事) |
特殊学級から通常学級への支援と特殊学級への支援体制づくりのそれぞれの充実が課題となっている現状をふまえ, 特殊学級の経営の実際を紹介する。 | |
38. 選択 | A 養護学校の総合的な学習の時間の指導 | 川村 泰弘 (青森県教育庁県立学校課・指導主事) |
知的障害養護学校における総合的な学習の時間の実践例を紹介し, 養護学校におけるねらいのとらえ方等,今後の実践のあり方を協議する 。 |
B 特殊学級における授業研究の実際 | 田口 めぐみ (岐阜県下呂市立萩原小学校・教諭) |
通常の学級と連携した学習の展開等,特殊学級における総合的な学習の時間の実践例を紹介し,今後の実践のあり方を協議する。 | |
39. 選択 | A 選択教科の指導:外国語の指導 | 高畠 佳江 (富山大学教育学部附属養護学校・教諭) |
いわゆる選択教科として新設された外国語と情報に関する指導の基本的な考え方を整理し,実践例を紹介して,今後の実践のあり方を協議する。 |
B 選択教科の指導:情報の指導 | 大杉 成喜 (教育研修情報部・主任研究官) |
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40. 重複障害のある児童生徒の指導-視覚障害・聴覚障害- | 中澤 恵江 (教育支援研究部・総括主任研究官) |
視覚障害は「情報障害」をもたらし,聴覚障害は「コミュニケーション障害」を顕著にもたらす。知的障害や運動障害に感覚障害を併せ有した子どもたちに係わるとき,他の子どもたちには届いている情報およびコミュニケーションを保障することが不可欠である。盲学校・聾学校との連携を含め,その配慮について紹介する。 | |
41. 重複障害のある児童生徒の指導-肢体不自由- | 徳永 豊 (企画部・総括主任研究官) |
実態把握,目標設定,指導内容・方法,評価において,動きに不自由がある場合の課題や工夫について考える。特に,コミュニケーション行動の基礎となる社会性の発達を促すために取り組んだ,「身体の動き」を題材とした指導について紹介する。 | |
42. 選択 | A 養護学校の地域支援機能 | 浜田 敏子 (岡山県立岡山東養護学校・教諭) 齊藤 宇開 (教育支援研究部・研究員) |
養護学校では地域のセンター的機能を担うために,地域の特殊学級等へ直接出向いて,指導に関する支援をするなど,様々な地域支援の取り組みを行っている。養護学校が担うべき地域支援機能の在り方について,実践例を紹介し,今後の実践の在り方を協議する。 |
B 小・中学校の校内支援体制づくりと学習の支援 | 佐々木 廣子 (土浦市立都和南小学校・教諭) 佐藤 克敏 ( 教育支援研究部・主任研究官 ) |
小・中学校の支援体制の整備状況について,全国的な動向と実践例を概説した後,小学校での実践例を紹介し,今後の小・中学校の支援体制のあり方について協議する。 |
題目等 | 研修先 | 研修内容 |
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1. 自閉症指導の実際 | 筑波大学附属久里浜養護学校 | 自閉症に特化した養護学校として実践研究に 取り組んでいる学校である。知的障害を併せ有する自閉症の教育の実際を実地研修し,その教育のあり方について考える機会とする。
〒238-0841 神奈川県横須賀市野比5-1-2 |
2. 高等部教育及び福祉施設と連携した教育の実際 |
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普通科と都市園芸科が設置されている青鳥養護学校,園芸技術科,工業技術科,生活技術科の3つの職業学科が設置されている流山高等学園において,社会的自立を目指す高等部教育の実際を実地研修し,その教育のあり方について考える機会とする。 また,弘済学園では,学校と福祉施設とが連携した教育の実際を実地研修し,その教育のあり方について考える機会とする。 A班:A B班:B C班:C
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3. 就学前・卒業後の生活の実際 |
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人口約38.5万人の町田市内の卒業後の施設(花の家,人口約360万人の横浜市内の就学前療育)施設(総合リハビリテーションセンター,中部地域療育センター,南部地域療育センター)及び卒業後の施設(電機神奈川福祉センター,ぽこ・あ・ぽこ,南部就労援助センター,川崎市にあ)る特例子会社(富士電機フロンティア)で就学前の地域療育の実際と卒業後の生活の実際を実地研修し,その在り方について考える機会とする。
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講義題目等 | 内容等 |
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研究協議 | 各研修員の「協議したいテーマ」に基づき班を編成する。各班員の話題提供の仕方やまとめの仕方(報告書,報告会を兼ねたミニ研修会の企画・運営など,司)会や記録の順番等の協議の進め方は,各班で決める。自主的,積極的に協議を重ね,自己啓発されることを期待する。研究協議⑪⑫⑬⑭は,報告会を兼ねたミニ研修会として,各班が企画・運営をする予定である。当研修コース実行委員(研究所スタッフ)から1名ずつ各班の相談に応じる担当者を決めて,協議の進行の支援や情報提供をするのでご活用願いたい。 |
自己研修 | 講義等による研修だけではなく,自らの課題解決に向けて,図書室での資料収集,他機関の見学などの研修ができる時間である10コマ設けてある。 |