軽度知的障害学生に対する高等教育機関等における支援体制に関する研究
平成14年度研究経過(本年度の研究実施状況)
軽度知的障害のある学生等の状況については、文献研究とともに、大学や短期大学等を対象に情報収集を行った。
6月には、日本障害者高等教育支援センター主催の第2回障害者高等教育支援交流・研究・研修会において、シンポジストとして、研究の主旨とその課題について話題提供し、関連する研究者との情報交換を行った。9月にカナダへ、11月にはオーストラリアへ出張する機会があり大学における障害学生の支援について情報収集した。また、12月には、研究協力機関である日本福祉大学を訪問調査し、大学での課題について協議した。
これらの情報をもとに、3月に研究協議会を開催し、知的障害学生の支援の現状と今後の研究の課題について検討した。これらの情報をもとに、ハンドブック「高等教育における軽度発達障害学生の支援」の叩き台を作成した。
- (本年度の研究成果)
-
大学や短大等の高等教育における障害学生の支援は、緊急の課題となっていて、近年その取組が拡大してきていることが分かった。しかしながら、知的障害又は学習障害等の障害学生の支援については、検討している研究者、研究グループはなかった。カナダやオーストラリアの大学においては、学習障害等の学生の支援については取組があるものの、国内での取組については今後の課題である。
知的障害又は学習障害等は、身体障害とは異なり、その障害が本人や周囲の関係者に理解されにくいことが取組の展開しない大きな要因と考えられた。しかしながら、日本福祉大学を訪問した際に、障害者サポートセンターではなく、学生相談センターに、これらの学生のカウンセリングを実施している取組があった。現状として、これらの学生が大学生活を送る中で支援を必要としていて、何らかの支援を得ている事例があり、今後は事例を中心に研究をすすめ、本人、家族、大学関係者が基本的な理解を高める「ハンドブック」が必要になると考えられた。
- (研究発表等)
-
- いつでも、誰でも学べる大学の機能を-特別な教育的ニーズに応じた支援を- 第2回障害者高等教育支援交流・研究・研修会報告レポート 8-10 日本障害者高等教育支援センター平成14年10月
- オーストラリアにおける障害のある人の生涯学習 平成14年度生涯学習施策に関する調査研究報告書「障害のある人の生涯学習に関する調査研究」平成15年3月
- カナダにおける障害のある人の生涯学習 平成14年度生涯学習施策に関する調査研究報告書「障害のある人の生涯学習に関する調査研究」平成15年3月
- (本年度の自己評価・課題)
-
3年計画の初年度であり、基本的な情報を収集し、関係研究者との意見交換も実施できた。ハンドブック案を作成したので、内容を充実させることが課題である。そのためにも、大学における障害学生の支援の実態について、事例的な研究が必要である。