障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

軽度知的障害学生に対する高等教育機関等における支援体制に関する研究

平成15年度研究経過

(本年度の研究実施状況)

 平成15年度は、まず学生相談センター等を対象に調査を実施した。7月に、1次調査として、東京、神奈川、千葉、埼玉の全大学・短期大学301大学の学生相談室・センターに、調査用紙を送付し、回答を得た。132の大学・短期大学より回答があった。その結果、軽度発達障害学生の相談があったと回答した40大学で見ると、軽度発達障害学生が96名、肢体不自由学生、聴覚障害学生、視覚障害学生の相談者数は20名以下であった。

 10月に2次調査として、一次調査で軽度発達障害学生の相談があると回答した40大学に、調査した。22大学より回答があり、その結果、高機能自閉症等の学生の相談が13大学と最も多く、来談者数は30人であった。相談回数を見ると、高機能自閉症等や学習障害の学生は年間7回程度であり、大学・短期大学の長期休業を考えれば、およそ月1回程度の相談と考えられる。それに比べ、注意欠陥/多動性障害(ADHD)の学生や軽度知的障害の学生は相談回数が多いことが示された。

 2月に研究協議会を開催し調査の結果について報告するとともに今後の課題について協議した。また、ネットワークの協力者8名とともに「第1回の発達障害学生支援ネットワーク会議」を開催した。

 また、8月に東京などLD親の会を対象として、大学・短期大学に在籍する会員数及び2次調査として行う予定の本人・家族に対する質問紙調査もしくは面談調査の依頼を行った。親の会代表者4名から返答があり、4名の会員の協力が得られる旨の回答を得られることができたが、本人が障害を認識していないため、質問には配慮してほしいという回答であった。

(本年度の研究成果)
  • 日本特殊教育学会、障害学生の高等教育(その8)-支援センターの構築に向けて-(自主シンポ)
  • 日本LD学会、高等教育における軽度発達障害者支援について-大学におけるAD/HD支援を通して-(自主シンポ)
  • 中間報告「高等教育機関における軽度発達障害学生に対する支援に関する調査研究」資料
  • 速報「高等教育機関における軽度発達障害学生に対する支援に関する調査研究」資料
(本年度の自己評価・課題)

 1次調査及び2次調査により、大学・短期大学にも高い割合で、発達障害学生がいることが明らかとなった。また、大学生活でどのような困難さがあるかの実態が部分的に把握できた。発達障害学生支援ネットワーク会議を継続しながら、発達障害学生の学習上の困難や生活上の困難を明らかとし、具体的な支援についてまとめることが課題である。

 そのために「支援ハンドブック」の内容を充実させることが重要である。本人へのインタビュー調査等については、障害の認識がなされていないことから、慎重に進める必要がある。

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