言語に障害のある子どもへの教育的支援に関する研究
-吃音のある子どもの自己肯定感形成を中心に-
研究の進捗状況
- 平成16年度の研究活動
- 吃音に関する実践・研究動向の整理(特に自己肯定感ないし吃音と向き合うことに焦点を当てた研究・実践報告の収集・整理)
- 自己肯定感支援に関連した実践を行っていることばの教室担当者、団体等に関する情報収集
- 各地のことばの教室、吃音関係団体における実践の収集
- 日本特殊教育学会第42回大会における研究発表及び議論
- 日本発達心理学会第16回大会ラウンドテーブルにおける指定討論(資料の活用)及び議論(通常学級に在籍する障害のある子どもの自己意識-高機能自閉症、難聴、吃音児について-)
- 研究協議会の開催(11月、3月の2回)(実践報告及び検討、実践活動の相互理解、主要な観点の抽出及び議論、等)
- 期日
- 平成16年11月1日 10:00-16:00
- 会場
- 独立行政法人国立特殊教育総合研究所 第二会議室
- 参加者
- 研究代表者及び研究分担者4名、研究協力者等7名
- 内容
-
- 研究組織について
- 研究の趣旨・目的・経緯・構想について
- 吃音研究動向について
- 各教室・団体における取り組みについて
- 今後の展開に向けて
- 期日
- 平成17年3月23日 10:00-16:00
- 会場
- 独立行政法人国立特殊教育総合研究所 第二会議室
- 参加者
- 研究代表者及び研究分担者4名、研究協力者等8名
- 内容:
-
- 研究の経緯・現状報告
- 吃音児の自己評価に関する研究紹介
- 各研究分担者、研究協力者における経過報告
- 議論の整理
- 平成17年度(第2年次)の研究計画について
- 平成17年度の研究活動
- 各地のことばの教室、研究会、吃音関係団体における実践の継続収集と議論
(ことばの教室における実践、キャンプ等集いの場での実践、理解啓発活動の実践) - 日本特殊教育学会第43回大会における研究発表及び議論
- 日本発達心理学会第17回大会ラウンドテーブルにおける議論
- 研究協議会の開催(6月、11月、3月)
- 吃音教育セミナーの開催(11月)
- 授業研究
- ことばの教室担当者、吃音当事者、保護者からの資料収集・調査(吃音教育セミナー開催時)
- 期日
- 平成17年6月22日 10:00-16:00
- 会場
- 独立行政法人国立特殊教育総合研究所 第二会議室
- 参加者
- 研究代表者及び研究分担者4名、研究協力者等7名
- 内容
-
- 各研究分担者、研究協力者における経過報告
- 公開討論(吃音教育セミナー)の企画について
- ことばの教室担当者からの資料収集について
- 期日
- 平成17年11月4日 10:00-17:30
- 会場
- 岡山市立石井小学校ことばの教室
- 参加者
- 研究代表者及び研究分担者4名、研究協力者等8名
- 内容:
-
- 研究の経緯・現状報告
- 各研究分担者、研究協力者における経過報告
- 吃音教育セミナー運営の最終確認
- 吃音教育臨床に関する理論の整理(石井小学校ことばの教室担当者も交えて)
- 石井小学校ことばの教室における実践参観
- 期日
- 平成17年11月5日 10:00-16:30
- 会場
- 岡山県総合福祉会館 大研修室
- 参加者
- 研究代表者及び研究分担者4名、研究協力者等10名、一般参加者80名
- 内容:
-
- 吃音教育基礎講座
- 吃音についてわかっていること
- 吃音教育臨床を考える
- 研究経緯と課題
- 自己肯定感支援に関するシンポジウム
- 吃音当事者、保護者、ことばの教室担当者の各立場からの話題提供と討論
- まとめ及び参加者からの資料収集(アンケート)
- 期日
- 平成18年3月15日 10:00-16:00
- 会場
- 独立行政法人国立特殊教育総合研究所 第二会議室
- 参加者
- 研究代表者及び研究分担者4名、研究協力者等8名
- 内容:
-
- 各研究分担者、研究協力者における経過報告
- 石井小学校ことばの教室における実践に関する事後協議
- 吃音教育セミナーに関する事後協議
(シンポジウムの討論、参加者へのアンケート等から得られた知見の整理) - 本研究におけるこれまでの議論の整理
- 平成18年度(第3年次)の研究計画について
- 平成18年度の研究活動
- 研究協力者、研究協力機関との連携による実践の継続と議論
(ことばの教室における実践及び授業研究、キャンプ等集いの場での実践) - 成人吃音者、ことばの教室担当者等からの聞き取り調査
- 日本特殊教育学会第44回大会における研究発表及び議論
- 研究の一部の誌上報告(発達,106号)
- 研究協議会の開催(11月、1月)
- 研究報告書の作成
- 期日
- 平成18年11月10日 10:00-16:00
- 会場
- 独立行政法人国立特殊教育総合研究所 第二会議室
- 参加者
- 研究代表者及び研究分担者4名、研究協力者等8名
- 内容:
-
- これまでの資料収集と議論のまとめ
- 各研究分担者、研究協力者における経過報告
- 研究全体のまとめの方向と、報告書作成に向けて
- 期日
- 平成19年1月26日 10:00-16:00
- 会場
- 岐阜大学教育学部特別支援教育講座
- 参加者
- 研究代表者及び研究分担者4名、研究協力者等7名、他
- 内容:
-
- 岐阜吃音臨床研究会の活動からの知見
- 他障害(高機能自閉症等)の自己意識、自己肯定感研究の知見について
- 研究報告書作成の中間的報告と検討
- 今後に向けて
- 資料収集と議論
- 吃音研究の収集
- ことばの教室の現状に関して
- 指導対象に占める割合は構音障害や言語発達遅滞に比べて低いが、原因も指導法も定まっていない吃音への対応は、多くの担当教師の課題・悩みとなっている(国立特殊教育総合研究所全国調査、各地難聴・言語障害研究会紀要、各ことばの教室紀要・要覧、他)。
- 自己肯定感に関して(自己意識、自己評価、その他関連する研究)
- 自己肯定と吃音肯定の関連性の示唆
- 他者による吃音肯定の重要性の示唆
- 否定的な自己評価と吃音懸念の関連性の示唆
- 話し方ではなく話の内容が評価されることの重要性の示唆
- コミュニケーションを楽しむ、味わうことの重要性 他
- 吃音研究の全体的動向に関して
- 吃音の本質に関する研究
- 原因論及びメカニズム研究
- 生理学的研究
- 心理学的研究
- 言語学的研究
- 遺伝学的研究
- 治療法、指導法に関する研究
- 二次的障害とその対応研究
- 当事者グループの意義、あり方研究
- その他
- 教室・団体における実践の収集
- ことばの教室における個別指導・支援の実際
- ことばの教室におけるグループ指導・支援の実際
- ことばの教室における指導終了者へのフォローの実際
- 学校・教室外での吃音児・者の集いの場(キャンプ、語り合い、等)における活動の実際
- 家族及び通常の学級へのアプローチの実際
- 教材開発とそれを用いた実践
- 「吃音」との直面とその実践
- 仲間・グループの意義と教室での実践
- 学校外の活動の意義・成果とそれによる教室での実践の補完(教室での実践への示唆)
- 周囲他者への啓発
- 吃音のある子ども(人)のニーズ
- 様々な吃音のある子ども(人)が困ること、抱える問題
- 吃音者の立場からの「児童期に必要な支援」
- ことばの教室への期待・要望
- 吃音と向き合うということ、吃音と向き合うために
- 自己肯定に向けて自身の吃音と上手く向き合うことの必要性
- 教師が子どもとともに吃音と向かい合う必要性
- 子どもと吃音を語る必要性
- 子どもと吃音の話をすること
- 吃音の話をすることの意味と実際
- 子どもと吃音の話をする実践場面の検討
- 吃音と向き合う、話題にするための題材・教材・きっかけ
- 教材作成とそれを用いた実践からの示唆
吃音について何を、どのように、話題にするのか質的検討の必要性
吃音に関する一般的な話題について語る(吃音について語る)/子どもの具体的生活場面での話題について語る(吃音のある暮らしについて語る)事実を語る/気持ちを語る
困りごと相談・具体的な場面の対策
(音読の時、九九の時、日直の時、委員会の時、等)絵本、ゲーム、交換ノート、等
- グループ指導・支援の重要性
- 教室におけるグループ指導の意義・成果
- 吃音のある子ども、保護者、指導者によるキャンプ等の試み
- 仲間と集うこと、語ること
- 子どもと周囲他者との関係の重要性
- 子どもと関わる他者が吃音を理解し肯定する必要性
- 通常の学級、家庭等へのアプローチ、理解啓発
- 指導者(ことばの教室担当者等)の姿勢の重要性
- 指導者の吃音観、教育観と子どもの吃音肯定、自己肯定
- 子どもと共に、取り組み、感じ、過ごすという姿勢
- 子どものよさの発見・気づき
- 学校・教室という場と、当事者等の集いの場
- 当事者等の集いの場が持つ機能の重要性
- ことばの教室において(だからこそ)可能なこと
- 他との連携により可能なこと
- 他障害領域における自己肯定感支援と「吃音」特有の事項
- 幼少期から仲間と出会うことの必要性
- 「治癒の可能性」や「波」の与える影響
- 心理臨床的視点からの考察
- 自慢探し
- 好きな遊び、取り組みを一緒にとことん行う 何かに夢中に取り組む
- 十分語り合う
- 好きな人、場所、物をつくる
- 苦手なことに一緒に取り組み自信につなげる
- 自分を見つめる 気づいていなかった自分に気づく 多様な見方を知る
- 親子の集い グループでの指導 仲間をつくること
- 通常の学級への理解授業
- 家族への正しい情報提供
<第1回研究協議会>
研究分担者、研究協力者等が参集し、研究経緯の報告、各教室・団体における取り組みに関する 話題提供・協議を行った。
<第2回研究協議会>
<第1回研究協議会>
<第2回研究協議会>
<吃音教育セミナー(第2回研究協議会・第2日)>
<第3回研究協議会>
<第1回研究協議会>
<第2回研究協議会>
<資料収集の状況>
ことばの教室においては、吃音症状を治す、軽減することに向かった取り組み、及びそれと吃音を上手く受容することに向けた取り組みの狭間で揺れている現状があるが、その中で、吃音の子どもの自己実現、自己肯定感、自尊感情等を支える、吃音と向き合う取り組みも模索されている。それらは、概ね、
<資料収集にもとづく議論>
ことばの教室等で指導・支援を受けなかった吃音者も多い。しかし指導・支援を希望する人は多く、また教室への期待・要望は個々かなり幅がある(小林,2004,等)。成人吃音者から見て、児童期におけることばの教室へのニーズは高いと考えられ、様々な成人吃音者からのニーズの収集及び整理を行う必要がある。
授業参観/学習会/来室保護者の落書き帳/教室便り/理解啓発授業/保護者会 他
<吃音教育セミナー参加者へのアンケートからの抜粋>
○自己肯定感を支えるという視点で取り組んでいること