障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

平成17年度第一期短期研修 言語障害教育コース講義等内容

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講義題目等 講師氏名(所属・職名) 講義内容
専門講義・演習
子どものニーズと保護者のおもいに応じた指導の展開 小林倫代
(教育相談センター・総括主任研究官)
 子どもと出会ってから、指導計画を作成するまでに、どのような視点で子どもを見て、目標や課題を立てていくのでしょうか。全国調査の結果を紹介したり、先生方実践例を聞かせていただきながら考えていきたい。
言語障害教育におけるコミュニケーション障害への援助 松村勘由
(教育研修情報部・総括主任研究官)
 言語障害をコミュニケーションの障害と考えることで、子どもへの支援の幅が大きく広がっていく。子どもを学校や家庭・地域等周囲環境の中で生活する主体として見つめること、子どもを暮らしの中で繰り広げられる周囲との関わり合いの中で捉えることを通して、子どものコミュニケーション上に生じる様々な躓きに対して支援していく。という関係への支援のあり方について考えていく。
言語・コミュニケーションを拡げる指導・援助 牧野泰美
(企画部・主任研究官)
 この講義では「ことばとその獲得「ことばの獲得への援助」「コミュニーションの成立や深まり」といったことについて前半では基礎的な知見を、後半では、子どもとの関わりを中心に考えてみたいと思います。
言語障害教育の教育課程 藤本裕人
(企画部・総括主任研究官)
 言語障害特殊学級や言語障害通級指導教室における「特別の教育課程」編成の根拠、その意義などについて検討するとともに、望ましい教育課程 の編成の在り方を展望する。
ことばの遅れをめぐって 久保山茂樹
(教育支援研究部・主任研究官)
 子育て支援が求められている現在、乳幼児の保護者たちは、何に悩み、どう解決しようとしているのでしょうか。ことばに遅れがある子どもの場 合はどうでしょうか。そして私たちに何ができる でしょうか。
大脳生理・病理 長谷川恒雄
(伊豆韮山温泉病院・名誉院長)
 脳の構造と機能。運動、感覚、知覚の生理。自律神経、内分泌の機能。高次脳機能(記憶、情報、認知、行為、意識、睡眠、言語など)脳疾患(能血管障害、脳変性疾患、遺伝子異常疾患その他)。障害児の脳病変、脳画像、機能などについて解説する。(聴覚コースと共通)
構音表記法 牧野泰美
(企画部・主任研究官)
 この、講義では表記法も含めて日本語の構音に関する基礎的事項を取り上げます 。①発音?発声?構音?、②構音器官、③国際音声記号、④日本語 の語音、⑤日本語標準音表の作成
構音障害児の評価と指導 長澤泰子
(日本橋学館大学・教授)
1.構音障害児と構音の障害を持つ子ども
2.構音発達の条件
3.構音評価と子どもの評価
4.指導の原則および指導者の条件
5.指導の実際
発達の理論 浜田寿美男
(奈良女子大学・教授)
 ことばは人と人とをつなぐ。しかしことばによってはじめて、人と人とがつながるのではない。それどころかむしろ逆に、人と人がつな-がるところにことばは生まれる。本講ではこのことばの発生の問題を考える。
言語発達の基礎条件 岡本夏木
(元京都女子大学・教授)
 はじめに、言語のもつ基本的性質と、その獲得・発達過程をとらえる時の視点についてのべる。つづいて段階的にその発達において不可欠と思われる諸条件をあげ、具体的な例を示す。最後にことばの使用が、子どもの発達全体にとってもつ意 味を考える。(聴覚コースと共通)
言語障害と言語心理学 林部英雄
(横浜国立大学・教授)
 障害の有無に関わらず、ことばの発達を考える上での最も基本的な枠組みとして重要な、臨界期等の概念を含んだ生物学的基礎について述べると同時に、ことばの機能の観点についてもおわかりいただけるよう講義する。
言語障害教育の歴史と制度 宍戸和成
(文部科学省初等中等教育局・視学官(兼)特別支援教育課・特殊教育調査官)
 言語障害教育の始まり、特殊学級における指導から通級指導教室での指導への移行などの歴史的な推移を踏まえ、「通級による指導」の意義と今日的な課題について、共に考えたい。
特殊教育諸学校・特殊学校等の挙育課程 宍戸和成
(文部科学省初等中等教育局・視学官(兼)特別支援教育課・特殊教育調査官)
 教育課程の基準である学習指導要領に基づいた聾学校の教育課程編成及び難聴・言語障害特殊学級や通級による指導の教育課程編成について説明する。(聴覚コースと共通)
言語障害教育担当者のネットワークの構築 阿部厚仁
( 東京都世田谷区立駒沢小学校・教諭)
子どもも保護者も担任も、そして担当者も一人にしないために
○二次障害と自己評価・安心と仲間作り・情報連携から行動連携へ
○チームの一員・協働し合う関係作り
吃音児の指導(1) 早坂菊子
(広島大学・教授 )
吃音とは何かはまだわかっていない。しかし、予方的手段や遺伝などの研究が進み、治療に貢献している。
吃音の概要を話し、主にU仮設について、その理論と治療法について話すことにする。VTRを使用して、吃音の理解を深めるよう努力するつもりである。
口蓋裂の医療 大久保文雄
(昭和大学・助教授)
 口蓋裂は先天性の比較的頻度の多い疾患でありその治療には多数の構成メンバーによるチーム医療が必要とされている。その理解のために口蓋の解剖、生理、発生および、口蓋裂の病理、外科的治療について解説する。
テキスト;岡崎恵子、加藤正子編:口蓋裂の言語臨床(医学書院)
音楽活動による障害児の言語行動形成の理論と実際 菅井邦明
(東北大学・理事)
1.コミュニケーション関係の成立から言語獲得のプロセス-各種事例の歌遊びから-
2.言語発達のつまずき,滞りを分析する視点
3.げんこつ山のたぬきさんで言語発達評価ができる?
4.音楽活動と言語と認知発達
関係論的発達論 鯨岡峻
(京都大学大学院・教授)
1.なぜ関係論視点に立つのか
2.発達概念を再考する
3.両義性という概念がなぜ必要か
4 「関係障碍」という概念を巡って
5.障碍のある子どもの自己性の発達を考える
(聴覚コースと共通)
)聴覚機能とその障害 菅原廣一
(国立特殊教育総合研究所・名誉所員)
1.ヒトの聴覚機能について、生理学的並びに心理学的に概説する。
2.聴覚に障害が起こった場合の医学的ケア及び教育的ケアについて、概説する。
3.講義は、言語障害を中心として上記二項に関して実践事例を重視しながら進める。
口蓋裂児の指導 岡崎恵子
(元昭和大学形成外科・講師)
 口蓋裂及びその類似疾患をとり上げ、鼻咽腔閉鎖機能ならびに構音の評価について述べる。構音障害の訓練法について具体的に説明する。事例があれば報告して欲しい。
テキスト;岡崎恵子、加藤正子編:口蓋裂の言語臨床(医学書院)参考文献;阿部稚子:構音障害の臨床(金原出版)
吃音児の指導(2) 伊藤伸二
(日本吃音臨床研究会・会長)
 吃音児への真の支援とは何か。吃音症状の軽減や消失を目標とする従来の指導から脱却し、新しい吃音観に立った実践を、ことばの教室でどのように展開できるかを、吃音親子サマーキャンプの実践などを通して掲示する。
障害児の身体活動とコミュニケーション活動の展開 木舩憲幸
(福岡教育大学・教授)
言語の基礎には認知がある。認知発達の基礎である感覚運動発達過程について講義する。さらに、言語における感覚間統合の重要性について述べる全体を通して、基礎と指導の実際を融合させて述べる。
地域・学校における言語障害教育担当者の役割 八木玲子
(茨城県行方郡北浦町立津澄小学校・教諭)
 ことばの教室は、言語を入口として、様々な悩みの相談所の役割を果たすことが多い。
 学校内においては、支援体制に関与し、地域においては、諸機関との連携のコーディネーター的役割を担うことも多い。就学時、就学中、進学時の諸問題を例に上げて報告する。
言語障害児教育の課題と展望 川野通夫
(京都教育大学・名誉教授)
 言語障害の障害の除去や改善、両親の心理的問題に対するカウンセリングについては、口蓋裂術後の語いの発達や鼻咽喉閉鎖機能の評価とともに詳述したい。また、人工内耳装用児の構音発達にも触れる。
校内支援とことばの教室 戸田淑子
(神奈川県相模原市立橋本小学校・教諭)
 ことばの教室から提案し、4年間半すすめてきた校内支援の取り組み、支援した子どもたち、相模原市の地域条件などを話題として、校内支援に必要な源、通常の学級との連携、校内の体制作りなどについて話したい。
脳神経小児科における発達臨床 金野公一
(元横浜市南部地域療育センター・所長)
 発達外来には生まれた子どもたちの約5%が受診する。今までは受信児の殆どは幼児で学齢になってからの受診は比較的少なかった。しかし、数年ほど前からは知的な遅れはないが行動上様々な問題を示す学齢の子どもたちの存在がクローズアップされるようになった。今回はこの事に重点的に触れたい。
)ことばの相談とカウンセリング 後上鐵夫
(企画部・総合研究官)
 教育相談の意義とことばの相談を受ける際の留意事項を整理しながら、ことばの発達等に課題のある子どもの行動観察やアセスメント等の方法、保護者の思いに心を寄せ、支援していく方法やカウンセリング・マインドについて考える。
実践研究「構音障害」 西田立朗
(埼玉県上尾市立西小学校・教諭)
・構音指導の基本的事項
音作り
歪み音(側音化構音・口蓋化構音)の指導
・実際の構音指導を事例を通してお話しします。
実践研究「言葉発達遅滞」 草山ひろ子
(青森県むつ市立第二田名部小学校・教諭)
1.みんな遊んで大きくなった。
2.コミュニケーションの基礎を育てる。
◎幼児の教育相談事例を通して。
3.コミュニケーションをひろげる。
◎ことば、こころ、からだ。
実践研究「吃音」 杉原晃
(大阪府大阪市立大阪北小学校・教諭)
 吃音を再現することは、子どもの指導に役立つだけでなく,指導者自らの吃音に対する態度にふれることになるでしょう。積極的に吃音を持つ子どもを支援することについて,考えましょう。
言語障害教育と福祉との連携 清水英子
(横浜市南部地域療育センター・ソーシャルワーカー)
 横浜市南部地域療育センターにおける幼児期への対応と関わりについて、1.幼児期の福祉制度の利用について、2.初期相談、初期療育における親への対応、3.幼稚園、保育園への巡回相談(子どもの問題と対応)について、お話ししたいと思います。
ことばの遅れとその指導 長谷川茂
(宮城教育大学・名誉教授)
 ことばの発達に遅れや偏りがある子どもの理解の方法。特に母と子の絆について考察し、豊かな心を育てるコミュニケーションのあり方について講述する。
実地研修
題目等 研修先 研修内容
1.筑波大学附属久里浜養護学校の指導の実際 筑波大学附属久里浜養護学校
副校長 馬場信明
小学部主事 浜津平一
幼稚部主事 吉川明守
 平成16年度より国立大学法人筑波大学付属久里浜養護学校となる。知的障害を伴う自閉症の児童の教育についての研修を行い、自閉症教育のあり方について考える機会とする。
筑波大学附属久里浜養護学校
〒239-0841 神奈川県横須賀市野比5-1-2
2.言語障害児の指導の実際 東京都世田谷区立駒沢小学校
教論 出井幸代
教論 阿部厚仁
教論 岩﨑みちる
 言語障害学級において行われている教育の実践の見学と施設見学
東京都世田谷区立駒沢小学校
〒154-0012 東京都世田谷区駒沢2-10-6
研究協議・自己研修
講義題目等 内容等
研究協議  研修員が持ち寄った実践例等をもとに,共通な課題を設定し,協議を行う予 定である。
自己研修  自らの課題解決に向け、図書室等での資料収集や、他機関の見学など、主体的に研修できる時間である。全体で10コマ設定している。他機関の見学を希望する場合は所定の手続きによる。
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