障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

「吃音教育セミナー」のご報告

 吃音教育セミナーは、「開催のご案内」に掲載のとおり、去る平成17年11月5日に岡山市において開催、無事終了いたしました。以下、概略を報告します。

企画趣旨
「開催のご案内」参照
期  日
平成17年11月5日(土) 10:00-16:30
会  場
岡山県総合福祉会館 大研修室
参 加 者
80名
教員(ことばの教室担当者、通常学級担任、等)、医療・福祉関係者、吃音当事者、保護者、学生 等
内  容
  1. 吃音教育基礎講座
    • 吃音についてわかっていること
      廣嶌 忍(岐阜大学,本研究研究協力機関「岐阜吃音臨床研究会」代表)
    • 吃音教育臨床を考える
      小林宏明(金沢大学,本研究研究協力者)
  2. 研究経緯と課題
    牧野泰美(国立特殊教育総合研究所,本研究研究代表者)
  3. 自己肯定感支援に関するシンポジウム
    • 司  会   松村 勘由(国立特殊教育総合研究所,本研究研究分担者)
    • 話題提供  篠塚喜美恵(東京都在住,当事者)
              菊地 利江(群馬県在住,保護者)
              青山 新吾(岡山市立石井小学校ことばの教室,本研究研究協力者)
    • ま と め   後上 鐵夫(国立特殊教育総合研究所,本研究研究分担者)
概  略
 午前中に、セミナーの企画趣旨説明を研究代表者の牧野が行った後、参加者と現時点での吃音研究及び吃音への指導・支援の現状を共通認識・整理するための基礎講座を行いました。前半は廣嶌忍氏に、現時点で吃音についてわかっていることを、何が未解明であるのかも含めて、原因論、発生率、男女比、発吃、自然治癒、吃音の特徴、幼児期の特徴、吃音の変化、吃音問題の捉え方、吃音のある子どもの自己意識、等について概説していただきました。後半は小林宏明氏に、吃音教育臨床を考えると題して、成人吃音者に実施した、ことばの教室で受けた指導・支援についての調査結果にも触れながら、吃音を話しことばの問題だけではなく、心理的、社会的な問題として捉えた上で、どのような指導・支援ができるか、何が必要かといった観点から概説していただきました。
 午後は、この研究の経緯と課題について牧野が概説した後(研究の実施計画、研究の進捗状況のページをご参照ください)、自己肯定感支援に関するシンポジウムを、吃音当事者、保護者、ことばの教室担当者の各々の立場からの話題提供をもとに実施しました。
 篠塚喜美恵氏は、吃音の当事者として小学生時代からの様々なエピソードや就職面接での体験談などを交えながら、その時々に、自分の吃音を、吃音のある自分をどう考えてきたかを語られました。また、ことばの教室の先生には一緒になっていろいろと考えたり工夫してもらえたら、という思いも添えられました。
 菊地利江氏は、中学生の娘さんとのこれまでを振り返りながら、家族のこと、学校のこと、ことばの教室のこと、吃音者の集まりのことなどを語られました。嫌なこともたくさん経験したけれど、現時点で娘さんが自分の吃音をあまりマイナスには捉えていないこと、それは教室の先生や、吃音のある仲間との関わりが大きかったとの印象を述べられました。  青山新吾氏は、ことばの教室担当者として吃音のあるお子さんとの関わりの経験をもとに、自己肯定感を支える上で、自己肯定ができていない状況を想定してみることを提案され、そのような状況になることを避けるためには何をすべきかという発想からの取り組みを語られました。
 その後、参加者を交えての活発な議論が行われました。
 以上、概略を簡単に報告しましたが、詳細は平成18年度末に発行予定の研究報告書に掲載する予定です。
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