「個別の教育支援計画」の策定に関する実際的研究
平成16年度~17年度 プロジェクト研究
「個別の教育支援計画」の策定に関する実際的研究
(平成16、17年度)
西牧謙吾(教育支援研究部総合研究官 研究代表者)、當島茂登(教育支援研究部総括主任研究官 サブ代表)、石川政孝(教育支援研究部総括主任研究官 サブ代表)、笹本健(企画部総合研究官)、大内進(企画部総括主任研究官)、小田侯朗(教育支援研究部総括主任研究官)、滝坂信一(教育相談センター総括主任研究官)、牧野泰美(企画部主任研究官)、亀野節子(教育相談センター)
1.はじめに
この研究は、文部科学省特別支援教育課、全国特殊学校長会と連携を取りながら、小中学校に在籍するLD、ADHD、高機能自閉症等を含む障害のある児童生徒に「個別の教育支援計画」を策定するための在り方に関する、2年間のプロジェクト研究として企画された。中央教育審議会「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(最終報告、平成17年12月?)の内容を考慮して、報告書作成に向けて、研究のまとめを進めているところである。今までの研究の概略と報告書のプロットを説明する。
2.研究の目的
平成17年度中に盲・聾・養護学校に在籍する児童生徒に個別の教育支援計画を策定することとされているが、今後小中学校に在籍するLD、ADHD、高機能自閉症障害等を含む障害のある児童生徒においても「個別の教育支援計画」を策定することになる。
本研究では、主に小中学校における障害のある児童生徒の「個別の教育支援計画」の策定とその実施の在り方について、具体的で実効性に富むモデルの提示を行い、併せて、計画策定に関連して、学校現場や市町村教育委員会、都道府県教育委員会に参考になる情報提供も行うことを目的とした。
3.本研究の前提となる研究
研究所では、平成16年度の機構改革で、新たに教育支援研究部医療福祉連携部門を創設した。この部門がカバーする領域や、地域支援をテーマにした共同研究との関連で、下記の研究を行った。
- 個別の教育支援計画が構想された背景の分析
障害者施策の沿革
障害児教育の沿革
義務教育改革の沿革 - 医療・福祉との連携を進める上での研究
社会福祉基礎構造改革
それに連動した地域の動きの分析
4.研究報告書の内容
以下に、現在構想されている報告書の概略を説明する。
第一章 「個別の教育支援計画」の背景にあるもの
特別支援教育を推進する上で、研究所としてまとめておくべきものを整理する
1.個別の教育支援計画の背景を巡って(国際的視点)
福祉国家が、どのような成立過程をへて、現在どのような方向に向かっているかを整理する
障害者施策(特に支援計画関連で)の中でノーマライゼーション概念の変遷を述べる
個別の支援計画との関連で、米国(IEP)、ドイツ、イギリス(SEN)と比較研究を行う
日本の障害者施策の沿革を整理する(地方分権や社会福祉基礎構造改革)
理念の側面(人権・エンパワメント、地域に根ざした障害者支援)からの整理を行う
公教育の目標と特別支援教育の関連で、教育の目指す方向性を整理する
2.特別支援教育を進めるツール
個別の教育支援計画の目指すものの整理
障害児・者個々人の生活の質を高める
教育提供側の意識改革へのツール(教師の資質の向上)
柔軟な展開が必要・・・・指導要録やIEPとは異なる性質を持つ
3.個別の教育支援計画の法的な側面の分析
利用契約制度と障害者ケア・マネージメント
第二章 個別の教育支援計画の実際
- 策定のポイント(西牧)
1)よくある個別の教育支援計画の例
2)ケースマネージメントの意義
3)連携のポイント
4)具体例
5)個人情報保護について - 小中学校における「個別の教育支援計画」に向けて地域事例を中心に
- 障害に配慮した個別の教育支援計画策定のポイント
視覚、聴覚、言語、知的、自閉、肢体、重複、病弱、情緒、LD、ADHD、高機能自閉、気になる子ども
第三章 地域事例編
(地域ベースで行政に役立つような内容で、各地域の特徴を示す「テーマ」でまとめる)
北海道、秋田県、東京都、神奈川県、福井県、鹿児島県、京都市、姫路市
資料編
- 全国養護学校長意識調査結果(平成16年度実施)
- 全特長個別調査のまとめ
- 文部科学省特別支援教育体制整備の実施状況調査のまとめ