障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

拡大教科書作成システムの開発とその教育効果の実証的研究

研究の実施計画

  1. 研究の趣旨及び目的
  2.  視覚に障害のある児童生徒の教育に当たっては、児童生徒一人一人の見え方に適合した教材の提供や教具をどのように活用するかが重要です。これまでも当研究所において、一人一人の見え方の特性を踏まえた「拡大教科書」の提供とその支援に関して研究を行ってきました。

     今後は、この「拡大教科書」の作成を通じて、より多くの教育的ニーズに応えることができるように効率的な製作・編集方法を研究・開発する必要があると言えます。そこで、当研究所が蓄積してきた「拡大教科書」編集・作成のノウハウを生かして、以下の開発及び研究を行うことになりました。

    1. 検定教科書を、個々の児童生徒の見え方や教育的ニーズに対応して、分かりやすく拡大・編集できる編集製作方法を研究・開発します。
    2. この方法を活用し、弱視児童生徒用「拡大教科書」の編集・製作を効率的に行い、弱視児童生徒の多様な教育的ニーズに対応できるようにします。
    3. 当研究所で運営している「視覚障害教育情報ネットワーク」を活用し、効果的な活用や指導方法の実証的な研究を行うとともに、「拡大教科書」が他の障害のある児童生徒にも効果的に活用することができるかどうかについて実証研究を行います。
    4. 「拡大教科書」のカラー化に伴い、色覚障害のある児童生徒を含めた色の配慮が重要になってきていることから、これらの配色や色彩及びコントラスト等についての実証的研究も併せて行います。
  3. 研究全体の概要
  4.  研究は、平成16年度から平成18年度までの3か年で行い、各年度の主な研究活動は以下に示すとおりです。

    • 平成16年度は、主に小学校用の検定教科書をベースにした拡大教材編集のあり方について
    • 平成17年度は、主に中学校用の検定教科書の拡大と、前年度作成した拡大教科書のの教育効果等の実証的研究について
    • 平成18年度には、「拡大教科書」を活用した場合の教育効果と、他の障害のある子どもへの活用法について
  5. 期待される成果
    1. 昨年度作成した「拡大教科書作成マニュアル」に基づいて、簡便な編集ソフトを開発することにより、簡便に拡大教科書を作成することが可能となり、その普及が図られます。
    2. 弱視用拡大教科書の教育効果等の調査研究を通して、他の障害のある児童生徒への活が期待されるとともに、その普及が図られます。
    3. 色覚障害のある児童生徒に対して、配色や色彩を配慮することにより、見えやすい拡大教科書の作成が図られ、教育的効果が期待できます。
  6. 今年度の研究実施計画
  7.  平成16年度は、小学校用の社会・理科の検定教科書をベースとした拡大教科書の作成を中心として、以下のワーキングチームで開発・研究を行います。

    1. 「拡大教科書」編集レイアウト研究班
    2. 小学校用社会・理科の拡大教科書を作成します(社会班、理科班に分かれて年間8回程度の編集会議を開催し、平成17年2月迄に拡大教科書を作成します)。

    3. 色彩・配色、コントラスト条件検討研究班
    4. 弱視及び色覚障害のある児童生徒にとって見やすい色彩・配色やコントラストの条件について検討します。

    5. 「拡大教科書」評価基準検討班及び評価方法調査班
    6. 「拡大教科書」の教育効果についての調査のための評価基準等を検討します。

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