障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

平成17年度第二期短期研修講義等内容

共通講義

  1. 共通講義(肢体不自由・病弱教育コース共通)
講義題目等 講師氏名(所属・職名) 講義内容
理事長講話 小田豊
(国立特殊教育総合研究所・理事長)
学校教育の課題について
学校における安全管理 湯川秀樹
(聖徳大学短期大学部・助教授)
学校における健康と安全について講義する。
特別支援教育の現状と課題 石塚等
(文部科学省初等中等教育局特別支援教育課・課長補佐)
今後の特別支援教育の在り方について解説し、施策的側面について理解と促進を図る。
図書室利用案内 総務部研修情報課情報サービス係 研究所図書室の利用方法について、実際に閲覧室、書庫を案内しつつ、説明を行う。
コンピューター端末利用実習 総務部研修情報課情報管理係 研究所固有のコンピュータ端末の利用について説明会を行い、実際に操作することにより、スムーズな端末利用を行えるよう実習する。
重度・重複障害教育の現状と課題 後上鐵夫
(企画部・総合研究官)
重複障害教育とは何かを、ヘレン・ケラーとサリバン先生との教育の営みを概括しながら考える。また、特別支援教育の流れの中で、取り組むべきこととこれまで果たしてきた役割を整理して、今後の課題について考える。
教育と福祉・医療・労働との連携 西牧謙吾
(教育支援研究部・総合研究官)
障害のある子どもの教育は、対象とする障害の種類や程度を拡大しながら充実発展してきた。現在進行中の特殊教育から特別支援教育への転換は、マクロの視点から見れば、教育改革の流れとノーマライゼーションの理念に基づく障害福祉の進展の上にある。福祉・医療・労働など、広く社会保障制度の構造改革を理解することで、改めて「外」からみた21世紀の特別支援教育の在り方を考えてみたい。
学校における医療的ケア 下山直人
(文部科学省初等中等教育局特別支援教育課・特殊教育調査官)
養護学校における医療的ケアに関するこれまでの取組について概観し、「盲・聾・養護学校におけるたんの吸引等の医学的・法律学的整理」後の実施体制整備について講義する。
また、教諭と看護師の連携の在り方、学校における危機管理等についても言及する。
特別な教育ニーズと情報機器活用 田村順一
(神奈川県立武山養護学校・校長)
特別支援教育における、情報教育の方向と位置づけ、また実践上の課題について論じる。
(1)情報教育についての動向と学習指導要領
(2)アシスティブテクノロジーによってもたらされるもの
(3)実践上の課題
LD、ADHD、高機能自閉症の教育 廣瀬由美子
(教育支援研究部・総括主任研究官)
LD等の軽度発達障害のある子どもへの理解と対応として、LD等の障害特性に簡単にふれた後、小中学校で対応可能な指導や支援の実際について、通常の学級担任、特殊学級等担任、校内委員会から実践例を紹介する。
重度・重複障害のある子どもの教育課程 西川公司
(筑波大学附属久里浜養護学校・校長)
これまでの学習指導要領を概観して、重度・重複障害児に係る特例規定等について解説するとともに、重度・重複障害教育における教育課程編成に関する基本的な考え方と留意点について述べる。
また、現行の学習指導要領に基づいた自立活動の指導の実態を見ていきながら、重度・重複障害児に対する教育課程の編成と実施の在り方について考える。
障害のある子どもの余暇活動とスポーツ 金田安正
びわこ成蹊スポーツ大学・教授)
長野冬季オリンピック以来、障害者のスポーツに関する関心が高まって来ているが、障害のある子どもが余暇活動やスポーツを楽しめる環境は十分ではない状況にある。障害者のスポーツの日本の現状を概観しつつ、障害のある子どもが余暇活動やスポーツを楽しむための条件や指導者としての配慮事項等について講義する。特にアイマスク卓球の体験をとおして考える。
障害のある子どもと人権 野沢和弘
(全日本手をつなぐ育成会・人権擁護委員会)
知的障害のある人の権利擁護に関する基本的な考え方を論述するとともに、各地で取り組まれている権利擁護システムづくり等、知的障害のある人の人権をめぐる動きを紹介し、その在り方を考える。
  1. 専門講義・演習(肢体不自由・病弱教育コース共通)
講義題目等 講師氏名(所属・職名) 講義内容
障害のある子どもの保護者支援の在り方 小林倫代
(教育相談センター・総括主任研究官)
子どもの障害をいつ、誰が、どこで、どのように伝えていくのかという課題と、子どもの障害を聞いた保護者をどのように支え、子どもの教育について手を携えていくことができるのかという課題について考えたい。
子どもの心の発達と課題 篁倫子
(教育支援研究部・総括主任研究官)
人間の発達を個人とその環境との相互関係だけでなく、社会文化的、歴史的な文脈との相互関係の中で捉え、発達課題、発達的危機、そしてアイデンティの概念を展開したE.H.エリクソンの発達理論を解説する。
子どもの体の発達と課題 西牧謙吾
(教育支援研究部・総合研究官)
“人は生まれながら幸せになる権利がある”人は、幸せになる為に様々な技術(医学)、制度(保健・福祉・教育・医療)を発達させてきた。
日々の仕事の意味をもう一度問い直すことで、どうすれば明日へのモチベーションを高めることができるか、一緒に考えてみたい。
医学的理解-行動障害・てんかん- 原仁
(横浜市中部地域療育センター・所長)
てんかんは小児期に多い脳の慢性疾患である。まず、てんかんに関する理解を深めることを目指す。
そして、てんかんに合併しやすい行動障害という視点から発達障害を再整理していく。
障害のある人と福祉 日浦美智江
(社会福祉法人訪問の家・理事長)
重度知的障害と肢体不自由を併せ持つ人たちへの地域ケアの実態を通して、重度・重複障害のある人たちの地域生活や仕事、QOL、自己決定など現在の障害福祉の課題となっている事柄をどのように考えるか、また、彼らの社会への完全参加と平等を実現するための支援はどうあればいいのか、支援者の姿勢はどうあればいいのかを共に考える。さらに、そうした社会参加を目指して学校教育は何を、どのように提供すべきかについても触れる。
脳のはたらきとその障害 加藤俊徳
(福祉社会研究所医療・脳科学部門・主任研究員)
脳画像(MRI)の教育への導入によって、障害の特性を詳細に診断し、障害の程度を区別することができる。脳酸素交換機能マッピング(COE)は、個人個人の異なった教育経過を、科学的に捉えることができる。
今回の講義では、脳科学の基礎的な知識の上に、主に肢体不自由の子供の障害を脳画像診断をベースにして理解する手段と考え方を講義する。
緩和ケア 松島たつ子
(ピースハウス病院ホスピス教育研究所・所長)
死という最大の喪失、その悲しみを癒すことができるのか。講義ではホスピス緩和ケアの考え方と日本の現状を説明した後、ホスピスの入院相談から入院中の療養生活、死別後のケアまで、独立型ホスピスにおけるケアの実際を紹介し、終末期ケアについて考えてみたい。
教育課程の編成-特殊学級等を含む- 山本昌邦
(横浜国立大学・教授)
特殊教育諸学校における教育課程の基準である「盲学校、聾学校及び養護学校小学部・中学部学習指導要領」の規定のうち、総則及び自立活動を中心に取り上げ、教育課程の編成・実施の要点及び今後の課題等について概説する。
教育課程の実際 重光豊
(京都市立呉竹養護学校・校長)
久富正規
(北海道拓北養護学校・教諭)
深沢修
(山梨県立富士見養護学校旭分校・教諭)
當島茂登
(教育支援研究部・総括主任研究官)
武田鉄郎
(教育支援研究部・主任研究官)
重光豊:京都市では、平成15年度より17年度まで文部科学省教育研究開発学校として、総合制・地域制の下での養護後学校における教育課程はどうあるべきか~障害種別の枠を超えた教育課程の在り方に関する研究~を行ってきた。その概要を紹介するとともに、教育課程編成上の課題や指導上の工夫等について言及する。
久富正規:開校以来、一人一人に応じた個別の指導計画を作成し、それに基づいた授業作りを進めてきた。本講義では、本校における「個別の指導計画」の基本的な考え方、時間割作り、指導の内容・方法、評価等について述べる。
深沢修:精神科の病院に隣接した病弱養護学校における「個の思いや動きを核とした教育課程」 を紹介する。教育課程編成上の基本方針として、安心して自らが選択し、決定し、行動することを重視し、児童生徒が自立活動と教科の時数を自己選択、自己決定する柔軟な教育課程を編成している。その課題について検討する。
教科指導の実際
(教科全体、体育科、音楽科を中心に)
天海丈久
(青森県立八戸第一養護学校・教諭)
松原豊
(筑波大学特別支援教育センター・教諭)
宍戸秀明
(仙台市立第二中学校・教諭)
當島茂登
(教育支援研究部・総括主任研究官)
武田鉄郎
(教育支援研究部・主任研究官)
天海丈久:本校は、平成13・14年度文部科学省特殊教育研究協力として「教科の基礎・基本の定着を促す学習活動のあり方」を研究した。この研究をもとに、本講義では個別の指導計画の作成、評価基準の活用、自己評価活動の重視など教科の指導や評価について述べる。
松原豊:肢体不自由のある子どもの体育指導における課題を明らかにし、筑波大学附属桐ヶ丘養護学校における取組の実際について述べる。Adapted Physical Activityの理念に基づいた体育の目標、内容、方法、評価、安全に関する配慮、評価などについて検討したい。
宍戸秀明:文部科学省刊行の「病弱教育の手引-教科指導編-」を基に、病弱教育における実技を伴う教科指導について、指導上の課題を明らかにしながら指導上の留意事項について確認する。さらに、音楽科の指導の実際について教材を使って具体的に示す。
総合的な学習の時間 一木薫
(筑波大学附属桐が丘養護学校・教諭)
村田健二
(熊本県立黒石原養護学校・教諭)
川間健之介
(筑波大学・助教授)
當島茂登
(教育支援研究部・総括主任研究官)
武田鉄郎
(教育支援研究部・主任研究官)
一木薫:総合的な学習の時間について様々な実践が報告されてきている。ここでは筑波大学附属桐が丘養護学校(特に中学部を中心に)における取組の実際について述べながら、総合的な学習の時間のねらい、内容、方法、評価等について検討をしたい。
村田健二:総合的な学習時間では、進路体験学習であるチャレンジシップや、ボランティア体験学習であるハートフルシップをとおして自分の課題を見つめ、将来への展望を切り開くことを目指している。その事例を中心に総合的な学習の時間の取組と課題について述べる。
川間健之介:各学校で取り組まれている「総合的な学習の時間」の実践に関して、様々な課題が指摘されている。ここでは、肢体不自由養護学校における取組を中心に、学習のねらい、方法、内容、評価について検討すると同時に教科や自立活動との関連について講義する。
移行・進路支援 小塩允護
(教育支援研究部・総合研究官)
佐藤正一
(東京都立府中養護学校・校長)
高見沢智子
(千葉県立四街道養護学校・教諭)
ワークショップ「まごころ」とテレビ会議
卒業生 代表:青木聡洋
副代表:岡本大志
岡本学志
中嶋好夫
當島茂登
(教育支援研究部・総括主任研究官)
武田鉄郎
(教育支援研究部・主任研究官)
小塩允護:中学校特殊学級及び盲・聾・養護学校中学部・高等部卒業生の過去25年間の進路動向を概観し、学ぶことを中心とした生活から働くことを中心とした生活への移行をめぐる課題、円滑な移行を目指すための支援の在り方等について論じる。
佐藤 正一:肢体不自由養護学校における進路指導及び移行支援は、障害の重度・重複化、多様化により課題が山積している。本講義では、進路指導及び移行支援に関する東京都における取り組みを紹介し、校内支援体制の在り方、地域との連携、多職種との協働、保護者への支援などについて述べる。
高見沢 智子:文部科学省研究開発学校の指定を受け開発された教科「ビジネス」は、学校設定教科として教育課程の中に組み込まれている。また、学校内に工房「まごこころ」を設置し、卒業生の就労の場を作った。現在、「ビジネス」と「まごこころ」は連携を取って活動している。研究開発に至までの経過とその成果について講義を行うと共に、「まごころ」のメンバーとテレビ会議システムを通じて協議を行う予定である。
障害の理解Ⅰ・Ⅱ 中澤惠江
(教育支援研究部・総括主任研究官)
藤鹿一之
(東京盲ろう者友の会・理事)
中山喜崇
(長野県花田養護学校・教諭)
新井千賀子
(企画部・研究員)
盲ろうの代表的な困難は「外部からの情報摂取」「コミュニケーション」「移動・方向定位」にある。ここでは、全盲ろうの疑似体験によって、コミュニケーション能力や情報収集能力を著しく低下させ、その低下が自分の行動や思考や感情に何をもたらすかを体験し、共感・理解を試みることで、盲ろうという重複障害の理解とともに、自らの児童・生徒とのかかわり合いについて見つめ直すきっかけを提供することを目的としている。
訪問教育における指導の実際と課題
(訪問教育研究協議会)
川住隆一
(東北大学大学院・教授)
本講義ではまず、訪問教育の意義と歴史的経過を踏まえて現状の一端を紹介し、課題を明らかにする。ついで、訪問教育の場を念頭におきながら障害の重い子どもらへの指導の実際を紹介し、教育的かかわりのあり方を考える。保護者との相互協力についても考えたい。
学ぶということの意味 佐伯胖
(青山学院大学・教授)
過去の学習論の変遷を、行動主義から、認知心理学を経て、状況的学習論へという3つのパラダイム転換として捉える。
とくに、最近の正統的周辺参加論を中心に、学習・発達観の転換、それに伴う個体能力還元主義からの脱皮を説く。
障害の理解Ⅲ-私からのメッセージ- 當島茂登
(教育支援研究部・総括主任研究官)
中田正敏
(神奈川県立平塚盲学校・校長)
磯田真一
(日本IBM大和営業所NLS技術翻訳部)
渡邉正裕
(教育研修情報部・研究員)
「『共に生きること』とは」(中田氏)をテーマに関係性の視点からの講義と、「米国の教育方法とバリアフリー」(○磯田氏、渡邉氏)について、体験をもとにした講義をとおして、障害のある方への対応の在り方について振り返る。
障害の理解Ⅳ-動きをとおして考える- 當島茂登
(教育支援研究部・総括主任研究官)
林菊盛
(千葉県立盲学校・教頭)
武田鉄郎
(教育支援研究部・主任研究官)
小野龍智
(教育研修情報部・主任研究官)
「ボッチャー」「車いす」「トランポリン」「運動障害の疑似体験」の体験をとおして、障害のある子どもの視点から、適切な指導や必要な支援の方法について検討する機会とする。
  1. 肢体不自由教育専門講義・演習
講義題目等 講師氏名(所属・職名) 講義内容
重度・重複障害のある子どものライフサイクルと教育 本間紀夫
(障害者グループホーム「あ さがお」・運営委員長)
障害のある子どもの教育を考える場合、障害の特性、発達の状態や生活の実態に即して、ひとりひとりのライフステージを視野に入れた対応が求められる。重度・重複障害児の教育についても、各ライフステージごとに、生活の質を高める視点から、援助を検討することが必要である。と同時に、家族や地域支援も必要課題となる。
肢体不自由教育の現状と課題 下山直人
(文部科学省特別支援教育課・特殊教育調査官)
肢体不自由教育の現状を考察するとともに、肢体不自由養護学校の特色ある教育活動を紹介しながら、特別支援教育における肢体不自由教育の在り方や課題について言及する。
肢体不自由のある子どもの社会性の発達と支援 滝坂信一
(教育相談センター・総括主任研究官)
人は皆社会的存在であり、人との関係や集団のなかで意欲を培い生きる力が育っていく。しかし、「肢体不自由」のある子どもの指導については、運動・動作、意思表出やコミュニケーション手段に関する内容が教育課題として取り上げられることが多い。ここでは、「肢体不自由」のある子どもたちの社会性の育ちをどこに見、どのように支援していったらよいのかについて考える。
聴知覚・認知の評価とその指導 鷲尾純一
(元筑波大学・助教授)
1.聴覚障害とはどんな障害か。
2.聴覚障害を有する子どもの聴覚活用とその原理
3.重複障害児の聞こえの状態を把握すること
-見過ごされやすい難聴、適切な聴力検査の実施-
4.聴覚障害を有する重複障害児への教育的係わり
医療的ケアを必要とする子どもへの医学的対応 山田美智子
(神奈川県立子ども医療センター重症心身児障害施設・施設長)
当センターには、重症心身障害児施設が併設されている。機能として、在宅児への医療的ケアのバックアップ、有目的・有期限で施設入所を進め、家族の急用やレスパイトを目的にした短期入所を推進した在宅支援を行ってきた。施設を利用した肢体不自由養護学校の教員研修を28年間行っている。横浜市の医療的ケアの取り組みを紹介し、、「在宅及び養護学校における日常的な医療の医学的・法律的整理に関する研究」報告書を受け、文部科学省から出された「盲・聾・養護学校におけるたんの吸引等の取り扱いについて(通知)」について横浜市の立場から意見を述べる。
重度・重複障害のある子どもへのAAC活用 石川政孝
(教育支援研究部・総括主任研究官)
重度の表出障害のある人の双方向のコミュニケーションを確保する拡大・代替コミュニケーション(AAC)の考え方を述べ、様々な支援技術の利用なども含めた事例にもとづいて実際の生活や学習の場での具体的な活用方法を紹介する。
知的障害を伴う子どもの指導 木村宣孝
(教育支援研究部・総括主任研究官)
知的障害教育における教育課程編成の在り方を整理し、個に応じた指導内容の選択・組織及び授業づくりの工夫について、各校の現状を踏まえながら、実践的に検討する。
認知発達と肢体不自由のある子どもの指導の実際 宇佐川浩
(淑徳大学・教授)
肢体不自由のある子どもへの認知発達臨床アプローチの意義とその果たす役割について概観し、肢体不自由の子どもの認知発達過程とその子どもの認知発達に応じて必要とされる臨床アプローチについて論述する。
肢体不自由のある子どものコンピュータの活用 小野龍智
(教育研修情報部・主任研究官)
肢体不自由教育においてどのようなコンピュータの利用法があるか概観し、機器を利用する際に必要な配慮点について述べる。
また、コンピュータを操作する際に必要な支援機器の操作を体験する。
肢体不自由のある子どもの教育環境とバリアフリー 飯野雄彦
(社会福祉法人みなと舎「ゆう」・施設長)
肢体不自由の障害は、ご本人にとってのハンディであるばかりでなく、そのご家族にとっても大きなハンディとなっている。そのハンディを埋める手段こそ障害に対する精神的・肉体的・社会的バリアフリーを生むもととなるのだが、埋める手段とは何か考えていきたい。
言語発達の評価と指導の実際 坂口しおり
(東京都立八王子東養護学校・教諭)
本講義では、ことばの発達やその障害について概説しつつ、ことばに障害のある子どもへのアセスメント法について講義する。また、指導の実際を紹介しながら 肢体不自由のある子どものコミュニケーションに関する支援のあり方について考える。特に、最近の脳科学の研究領域についても言及する。
重度の肢体不自由のある子どもの身体運動の捉え方 笹本健
(企画部・総合研究官)
重度の肢体不自由がある子どもに対し、彼らの「身体運動・身体の動き」を教育的な課題とするとき、どのようにそれらを捉えたらよいのか、どのように実践の展開を行ったらよいのか、について日本における昨今の教育施策の動向に照らし合わせながら述べるとともに、実践事例を紹介する。
障害のある子どもの思春期の課題と性教育 飯田雅子
(社会福祉法人悠々倶楽部ライフステージ・悠トピア・園長)
障害のある子どもたちの思春期の発達について概観し、思春期の課題、特に性をめぐる考え方と指導のあり方を述べる。とりわけ、性教育については、実際の指導事例や教材例を示し、指導目標や指導方法・内容、指導上の留意点などについても述べる。
自立活動における評価と指導 早坂方志
(青山学院大学・助教授)
自立活動における評価と指導に関し、1)教育課程と自立活動、2)自立活動の概要、3)自立活動における指導計画と評価について、演習を交えて論ずる。
視知覚・認知の評価とその指導 佐島毅
(筑波大学・助教授)
 肢体不自由児や障害が重度の子どもの中には、視覚に何らかの障害や問題を持っている子どもが少なくない。しかし、私たちは、見えにくいために分からなかったり不安であったりする子どものことを見過ごしてはいないだろうか。ここでは、様々な視覚の問題と、見えにくさのある子どもの認知状態への理解を深めたい。また「視る」という視点から、子どもの実態を正しく評価・把握し、アプローチする方法について具体的に考えたい。
重度・重複障害のある子どもの行動理解 土谷良巳
(上越教育大学・教授)
ヒトやモノとかかわり合うなかに子どもの行動の意味を探ることについて、実践的資料(ビデオ資料)に照らしつつ検討する。行動理解の視点として、1)「子どもの障害の状態」と「子どもが取り組む活動とその状況」の交互作用から捉えること、及び2)子どもの表す行動の躍進、停滞、混乱を調整度の軸から捉えることを取り上げ検討する。
コミュニケーションに視点を置いた指導の実際 菅井裕行
(宮城教育大学・助教授)
障害の重い子ども達との係わり合いをコミュニケーションの視点から取り上げ、音声言語に偏重しない多様なコミュニケーションの在り方と、交渉を主題とするコミュニケーションについて、実践例をもとに考察する。生活環境を「交信圏」という視点から検討することにも触れたい。
肢体不自由のある子どもの感覚運動指導の実際 當島茂登
(教育支援研究部・総括主任研究官)
肢体不自由養護学校には教科前学習の段階の子どもが多く在籍している。このような子ども達に対する指導の一つとして感覚運動指導がある。本講義の前半は、発達の初期段階における感覚運動指導の重要性について述べる。特に、指導内容・方法を検討する手がかりになる学習の系列、アセスメント法などについても言及する。講義の後半は実技をとおして考える。
身体の動きの評価と指導の実際 徳永豊
(企画部・総括主任研究官)
身体の動きや姿勢について指導する場合の基本的な考え方や困難さの把握(評価)、指導内容・方法について紹介する。
受講者自身が身体を動かす体験をもとに、①身体を動かす中での困難さ、②一緒に「身体の動き」の指導に取組む構造、③必要となる力の要素(子ども側と教師側)を考え、実施の指導への展開やその評価について検討する。
日常生活動作の評価と指導の実際 杉本由美子
(神奈川県立総合教育センター・課長)
評価に役立つ動作分析について実践的に学び、評価結果を反映した教育活動、及び指導計画について考える。
肢体不自由のある子どものポジショニング 花井丈夫
(横浜療育医療センター・リハビリテーション科・科長)
PTの立場から、肢体不自由のある子どもたちへのかかわり方について、ポジショニングを中心に述べたい。学校や家庭等での生活をできるだけ快適に過ごし、ひいては機能向上にもつながるような子どもたちへの介助の仕方について、介助する側の姿勢や身体の使い方等に重点を置きながら、実技を交えて取り組む。
摂食困難への対応 向井美惠
(昭和大学・教授)
肢体不自由のある児童生徒の中には、食物摂取機能に障害がある場合も多い。生活機能の基本である摂食・嚥下機能の発達過程、機能不全の内容を理解し、教育の場で実践できる知識を身に付ける。
原初的コミュニケーション論 鯨岡峻
(京都大学大学院・教授)
以下の視点から障碍の重い子どもとのコミュニケーションを考える。(1)人はなぜコミュニケーションに向かうのか、(2)感性的に通じ合う経験、(3)感性的コミュニケーションの身体的基盤、(4)障碍の重い子どもとのコミュニケーション、(5)コミュニケーションにおける教師の役割
肢体不自由教育における交流及び共同学習の実際 滝坂信一
(教育相談センター・総括主任研究官)
1971年に特殊教育諸学校小学部、中学部学習指導要領<特別活動>に位置づけられて始まった「交流」は、その考え方、実態を幾度か変えてきた。なかでも、1997年「特殊教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」が「盲・聾・養護学校の幼児児童生徒は、ともすれば地域の同年齢の幼児児童生徒とのつながりが希薄になりがちであるところから、特に十分な配慮と対応が必要と考える。」としたこと、2004年に改正された「障害者基本法」に「国及び地方公共団体は、障害のある児童及び生徒と障害のない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによつて、その相互理解を促進しなければならない。」と位置づけたことは大きな意義がある。これらの経緯を辿りながら、実際上の工夫や課題を取り上げる。
肢体不自由養護学校における新しい学校経営 伊東光雄
(東京都立光明養護学校・校長)
特別支援教育への変革期の中で、国の主な動向と、肢体不自由養護学校のこれまでの実績を継承し、これからの特別支援教育に関する諸施策と関連させ、新しい学校経営について講義する。また全国の肢体不自由養護学校の動向や東京都の取組の実際について述べる。
  1. 病弱教育専門講義・演習
講義題目等 講師氏名(所属・職名) 講義内容
病弱教育の現状と課題 島治伸
(文部科学省初等中等教育局特別支援教育課・特殊教育調査官)
我が国の病弱教育の現状について、①20世紀の病弱教育 ②病気の種類の変遷 ③病弱教育の意義 ④これからの病弱教育について分析し、21世紀の病弱教育の在り方について考察する。
併せて病弱教育の充実のための課題と具体的展開の方策について考える。
病弱教育の歴史と学校衛生 横田雅史
(愛知みずほ大学・教授)
我国の病弱教育対象児童生徒の病気の種類の変遷について社会的背景及び学校衛生と併せて概観し、特別支援教育における病弱の子どもの教育の在り方を考える基盤を培う。
(1)病弱虚弱教育の萌芽期(2)休暇集落全盛期(3)戦後の教育制度における病弱教育の位置づけ(4)対象児童生徒の病気の種類の変遷
病気のある子どもへの自己管理支援Ⅰ・Ⅱ 武田鉄郎
(教育支援研究部・主任研究官)
病弱のある子どもの自己管理を支援していくために、健康の概念、セルフケアについての概念を明確にし、自己管理能力を高めるための支援の仕方を探る。
その中で、ストレス対処過程でのソーシャルサポートや対処行動、又は自己効力感の効用について述べる。
腎疾患の医療と学校保健 金子一成
(関西医科大学小児科・教授)
昭和48年度の学校保健法改正で小・中学生の健康診断に尿検査が加えられて約30年が経過した。この学校検尿によって、無症状に経過している肝臓病が早期発見・早期治療されるようになり予後は改善している。本講義では学校検尿の成果、現状や検尿異常者のフォローアップ体制について述べる。
自己への気づき 百武正嗣
(NPOゲシュタルトネット ワークジャパン・理事)
社会的な状況が厳しい中で働く職場がだんだんと余裕がなくなってきている。教育現場では様々な問題が山積みとなり、教師自身も追い込まれているであろう。このような時代だからこそ教師自身が自分を大切にし、自分らしく生きていくことが必要になっている。子どもたちも教師の生き生きとした姿に接することで学んでいくであろう。
この講座は、心理療法の技法を学びながら自分をより自由にするためのワークショップである。
ゲシュタルト療法とは、
気づき
内部領域の気づき
中間領域の気づき
外部領域の気づき
医学の進歩と遺伝病 大橋博文
(埼玉県立小児医療センター遺伝科・科長)
医学の分野としてますますその重要性が注目されている臨床遺伝学の基礎を説明する。
先天異常と遺伝病、遺伝病の分類と概説、主な染色体異常症、遺伝相談と出生前診断などに関連して医療倫理についても触れる予定である。
慢性疾患は障害としての性格をもち、病弱児には特別な援助が必要である。教育は、病状変動の認知、変動の原因の認識、生活水準での対処、そしてそれらを支える受容にとって、重要な役割を担う。ここでは、子どもの行動と援助に関して具体例をあげて検討する。
児童虐待 小林秀次
(横須賀児童相談所・所長)
児童相談所での経緯を踏まえ、児童虐待の現状と課題について述べる。特に、日本児童虐待の背後に潜む問題点を明らかにし、今まで実施されてきた対応方法について具体的症例を例示し概説する。教育機関に所属する専門家の役割についても言及する。
神経・筋疾患の医療と学校保健 斎藤加代子
(東京女子医科大学・教授)
神経筋疾患とはなにかを述べる。
運動の単位としての、ニューロン、神経筋接合部、骨格筋の働きを解説する。
各々の疾患の特徴を解説して、学校保健の立場からの配慮事項に触れる予定である。
LD・ADHD・高機能自閉症等の子どもの適応障害の理解と支援 篁倫子
(教育支援研究部・総括主任研究官)
LD・ADHD・高機能自閉症は障害として気づかれにくいところがあり、従って適切な対応も遅れがちになる。また、これらの子どもは周囲の人や環境との適応過程にストレスを受け易く、心理面、身体面、行動面の症状・問題を呈することも少なくない。心身症や習癖も含めた適応障害の理解と心理教育的対応を論じる。
スクールカウンセリングの実際 山口豊一
(跡見学園女子大学・教授)
学校において児童生徒は苦戦している。また、児童生徒をサポートする教師や親も苦戦している。例えば、不登校、いじめ、暴力行為、軽度発達障害等である。ここでは、学校心理学の視点からこれらの問題状況を捉え、チームによる援助(チーム援助)を考えることを通して、スクールカウンセリングの実際の理解を深めたい。
アレルギー疾患の医療と学校保健 大矢幸弘
(国立成育医療センターアレルギー科・医長)
小児のアレルギー疾患は有病率の高い慢性疾患であるが、さまざまな誤解が敷衍しており、不適切な対応や情報に振り回されて苦しむ患者・家族が絶えない。
高い水準の根拠に基づく対応によって、学校保健現場で解決できることは何か、という視点を軸に授業を進めていきたい。
重度・重複障害のある子どもの医療と学校保健 井合瑞江
(神奈川県立こども医療センター重症心身障害児施設・医務課長)
重度・重複障害児の成長は遅々としたものだが、確実に認めることができる。子どもたちの可能性を引き出す環境つくりが大切である。そのような立場で、健康管理、合併症、医療と教育の連携について述べたい。
心疾患の医療と学校保健 瀧聞浄宏
(横浜市立大学医学部小児科・助手)
心臓の機能の基本を理解していただきたい。ついで代表的な先天性心疾患の説明をする。学校保健としては、心臓性突然死に関する理解を深めることが重要である。心臓検診のシステムと心疾患の管理についても触れる予定である。
病気と共に生きること 岡茂
(東海大学・教授)
疾病や内部障害をもつ人々の行動・生き方・価値観について論述する。様々な疾病や虚弱さを担いながら、よりよい人生を生きるとはどういうことか、何が必要かという問題を、現在の行動を横軸に、ライフ・スパンを縦軸にとり、事例を交え考察する。
そもそも自己とは何か、人生を生きることは自己を生きることであり、どのような要素から成り立っているのか、さらに自己認知の変革について考える。
小児がんの医療と学校保健 小原明
(東邦大学小児科・教授)
小児期に発症する、血液疾患(貧血・出血性疾患)・白血病・小児がん各々について、発症時の症状、頻度、治療方法を概説する。特に、長期入院・療養が必要になる疾患の養育上の問題点、院内学級における対応について。また治療後の晩期障害と、予後不良疾患の終末期医療にも触れる。講義は、受講者が実際に養護学級で経験した事例や、各自の疑問について問答しながら進めたい。
不登校の心理 石川瞭子
(川崎医療福祉大学・助教授)
近年、不登校の状態像は多様化の傾向にあり、現代型ないし新しいタイプの不登校が報告されて10年以上が経過する。
現代型の不登校は多様なタイプがあるため、解決の決め手や有効策がないとされている。
講義では、これらの中でも特に対応が困難とされる、校内型不登校の現状と対応策の提案を行う。
トータルケアの在り方 細谷亮太
(聖路加国際病院・副医院長)
小児がんの中でもっとも高頻度に発生する白血病の子どもたちのトータルケアとはなにかをまず説明する。
続いて、病気の説明の仕方(病名告知)、子どもたちのQOL、ターミナルケア、そして亡くなった子どもの家族へのケアなどについて考えを述べる。
病気のある子どもへの心理的支援 篁倫子
(教育支援研究部・総括主任研究官)
病気に罹り、病気と共に生き、あるいは死に直面する時、子どもはどのような心理的過程をとおるのか。
それに対してトータルケアにおける教育の役割とは、教師がなす心理的援助とは何かを考える。
病気のある子どもの自立活動の実際Ⅰ・Ⅱ 武田鉄郎
(教育支援研究部・主任研究官)
黒木あらた
(宮崎県立都城養護学校・教諭)
伏木泰子
(千葉県立四街道養護学校・教諭)
障害観の変化、自立観の変化について述べると共に、養護・訓練から自立活動に学習指導要領が改訂された経緯、ポイントを述べ、病気の多様化・重症化に対応していくための自立活動の授業や評価について概説する。
また、自立活動の授業を進めていく際に、行き詰まりという観点から自立活動に関して課題整理・解決方法を提案する。指導の実際として、慢性疾患の自立活動の実際、心身症等の自立活動の実際について講義し、よりよい自立活動の在り方について協議を行う。
病気のある子どもへの心理的支援Ⅱ 矢吹和美
(東洋英和女学院大学・教授)
病気の状態は、心理的な喪失体験としての意味があるという視点から、病弱児への心理的援助のありようについて述べる。それは、喪失によって生じたつながりを再びもしくは新たな形で発見していかれるような形で援助していくことになるであろう。
病気のある子どもの見方 村上由則
(宮城教育大学・助教授)
慢性疾患は障害としての性格をもち、病弱児には特別な援助が必要である。
教育は、病状変動の認知、変動の原因の認識、生活水準での対処、そしてそれらを支える受容にとって、重要な役割を担う。
ここでは、子どもの行動と援助に関して具体例をあげて検討する。
難病の子どもと福祉 小林信秋
(難病の子ども支援全国ネットワーク・事務局長)
子どもの難病は指定されているだけで500種類を越え、全国で20万人以上の子ども達が難病と闘っている。
難病のこども支援全国ネットワークは、これらの子どもと家族のために情報提供と交流活動を進めている。その活動の一端を紹介しながら難病の子どもと福祉について講義を行う。
小児内分泌疾患の医療と学校保健 稲田浩
(大阪市立大学小児科・講師)
肥満、低身長、糖尿病などに代表される内分泌疾患を小児の慢性疾患のモデルとして捉え、患児に対する現実的対応のみならず、教育現場において生ずる様々な社会的、心理的問題などについて検討したい。
  1. 実地研修
  1. 肢体不自由・病弱教育コース共通
題目等 研修先 研修内容
筑波大学附属久里浜養護学校の指導の実際 筑波大学附属久里浜養護学校
副校長 馬場信明
小学部主事 浜津平一
幼稚部主事 吉川明守
平成16年度より国立大学法人筑波大学附属久里浜養護学校となる。知的障害を伴う自閉症の児童の教育についての研修を行い、自閉症教育のあり方について考える機会とする。
筑波大学附属久里浜養護学校
〒239-0841 神奈川県横須賀市野比5-1-2
  1. 肢体不自由教育コース
  2. 下記1、2は、各班よりいずれか1か所を選択し、受講する。

題目等 研修先 研修内容
卒業後の福祉施設等での取り組みの実際 1班 小さき花の園
園長 熊谷公明
看護部長 濱邉富美子
療育部長 長山孝夫
1.重症心身障害児・者を取り巻く諸問題について
特に卒業後の対応を中心に・・・園長
2.加齢に伴う重度・重複化の看護面での対応について
看護の立場から・・・看護部長
3.当園での具体的な取り組みについて
療育の立場から・・・療育部長
*当園の学校教育は神奈川県立鎌倉養護学校  の施設訪問教育で行われる。
(小学部・中学部・高等部に対応している。)
社会福祉法人聖テレジア会
重症心身障害児施設 小さき花の園
〒248-0033 神奈川県鎌倉市腰越1-2-1
2班 訪問の家「朋」
施設長 生田目昭彦
重度・重複障害のある人たちのための通所施設である。当日は、施設利用者の活動場面での実践体験や施設・設備等の見学、施設経営の理念や地域ケアの具体例等に関する質疑応答・協議等を実施し、あらためて学校教育のあり方を考える機会としたい。
訪問の家「朋」
〒247-0013 神奈川県横浜市栄区桂台中4-5
3班 横浜療育医療センター
通所主任 清水かや子
地域サービス課長 増渕晴美
当センターは、横浜市に在住する主に15歳以上の重症心身障害児・者(重度の知的障害と重度の肢体不自由を併せ持つ人)を対象に、個々の生活状況や家族・介護者の状況に応じた療育ニーズに対し、医療・看護・生活及びリハビリ訓練・相談等幅広い療育サービスが提供できるよう以下の4つの事業を行っている。入所事業(長期及び短期入所事業)・通所事業・外来診療事業・在宅訪問療育事業である。
横浜療育医療センター
〒241-0014 神奈川県横浜市旭区市沢町557-2
卒業後の福祉施設等での取り組みの実際 4班 みなと舎「ゆう」
課長 山本修子
主任 草間光崇
主任 但木小夜子
施設「ゆう」は、平成10年に重度・重複障害のある人を対象とした知的障害者通所更生施設として開所し、卒業後の日中活動の場として地域での生活を支えている。その後支援費制度に伴い、平成15年4月からヘルパーを派遣する居宅介護事業「支援センターゆう」を、10月からグループホーム「はなえみ」の地域生活援助事業をスタートし、地域生活の充実、本人支援と自立を目標に展開中である。非常勤職員を主体とした1対1対応のサービスは全国でも珍しく、「ゆう」の取り組みとメンバーの笑顔を肌で感じてほしい。
みなと舎「ゆう」
〒240-0104 神奈川県横須賀市芦名2-8-17
就学前の福祉施設等での取り組みの実際 1班 うめだ・あけぼの学園
指定日通園部長 高倉めぐみ
地域生活支援部長 市川奈緒子
地域生活支援部地域相談部門主任 岡本昭博
うめだ・あけぼの学園は、0~6歳の発達障害乳幼児の発達援助とその家族を支援する発達支援センター(障害児通園施設)。医療スタッフなど多様な職種によるチームで支援を提供している。保育所との日常的なインテグレーション活動やレスパイトサービスを行っている。また、相談支援事業や学齢児への支援も行っている。
実地研修では、0歳児からの発達支援の実際と支援システム、モンテッソーリ法を基本においた教室環境とクラス活動、個々に応じたコミュニケーション方法の準備などを見学し、情報交換をすることができる。
うめだ・あけぼの学園
〒123-0851 東京都足立区梅田7-12-15
2班 横浜市中部地域療育センター
通園部園長 秋永厚子
通園部主任 甲谷乃里子
横浜市は「障害児地域総合通園施設構想」に基づき、昭和60年、地域療育センター第1号施設を設置した。現在は6箇所の地域療育センターで市内18区をエリア分けし、乳幼児から学齢期の障害のある個どもと、その疑いのある子ども、および家族が種々のサービスが受けられる体制を整備している。
当センターは横浜市より社会福祉法人青い鳥が受託し、平成8年10月開所以来運営に当たっている。他の地域療育センター同様、外来療育、通園療育、巡回療育の機能を持ち、関係機関との連携をはかりつつ、利用者の地域での暮らしを支援している。
横浜市中部地域療育センター
〒232-0007 神奈川県横浜市南区清水ヶ丘49
3班 横浜市南部地域療育センター

通園部園長 守谷裕次
通園部親子主任 小幡保夫
通園部単独主任 三山匡
当センターは、1985年8月に横浜市の委託を受け開所し、20年が経過しました。これまで、心身の発達に遅れやつまずきのある子どもたちに対し、外来療育(診療部門)、通園療育(通園部門)、巡回療育(福祉相談室)の3つの機能で地域の療育拠点として役割を担ってきましたが最近では軽度発達障害児や医療ケア児への対応、学齢児や学校との連携など新たな課題があげられている。
横浜市南部地域療育センター
〒235-0033 神奈川県横浜市磯子区杉田5-32-20
4班 横浜市東部地域療育センター
通園部園長 中山修
通園部主任 中尾健太郎
通園部主任 湯本永美子
当センターは、社会福祉法人青い鳥が、横浜市からの委託を受けて運営しています。当センターでは、外来療育、巡回療育(福祉相談室)、通園療育の機能をもち、心身の発達に障害があったり、その心配のあるお子さんや家庭が必要とする療育と生活援助のためのサービスを提供しています。通園部では、心身の発達に遅れや障害のあるお子さんに対して、遊びや生活場面を通して、総合的な療育指導を行っています。

横浜市東部地域療育センター
〒221-0044 神奈川県横浜市神奈川区東神奈川1-29
  1. 病弱教育コース
題目等 研修先 研修内容
医療施設での取り組みの実際① 東京女子医科大学母子総合医療センター
助教授 三科潤
講師 河野由美
準講師 佐久間泉
新生児医療の目覚しい進歩により、低出生体重児、ことに出生体重1,500 g 未満の極低出生体重児の生存率は飛躍的に向上した。しかし、これらの児には発達上のリスクを持つ子どもたちが少なくない。新生児医療の現場を見学し、現代医療と子どもの生活の質を考える。
東京女子医科大学母子総合医療センター
〒162-8866 東京都新宿区河田町8-1
医療施設での取り組みの実際② 神奈川県立こども医療センター
施 設 長 山田美智子
指導課長 佐藤洋克
看護科長 飯島眞裕美
重症心身障害児の日常生活での健康管理、食事、経管栄養、排痰、吸引等の医療現場の現状や教育の実際について、こども医療センターの重症心身障害児施設において研修し、重度・重複障害教育の在り方を考える機会とする。
神奈川県立こども医療センター
〒232-8555 神奈川県横浜市南区六ツ川2-138-4
医療施設での取り組みの実際③ 聖路加国際病院
副院長 細谷亮太
医療社会事業科 西田知佳子
小児科師長 吉川久美子
白血病の子どもたちの医学、看護、心理、教育等からのトータルケアの実際を研修し、その実態を把握すると共に、白血病、腫瘍などの小児がんに羅患した子どものターミナルケア、トータルケアの在り方について考える機会とする。
聖路加国際病院
〒104-8560 東京都中央区明石町9-1
病弱養護学校での取り組みの実際 神奈川県立秦野養護学校
教諭 髙橋健一
教諭 足立靖子
病弱養護学校での「個別教育計画」や「個別の支援計画」について、実践例を基に研究協議を行う。
教育相談機能の強化、地域と共同で行う研究・研修事業、地域ネットワークづくり等のセンター的機能充実に向けた活動の実際について学校を訪問し研修を行う。
神奈川県立秦野養護学校
〒257-0025 神奈川県秦野市落合500
  1. 特別支援教育演習
  2. 下記3グループより、いずれかを選択し受講する。

コース全体が「盲・聾・養護学校のセンター的機能」、「個別の教育支援計画」、「LD・ADHD・高機能自閉症等の教育」の3つのグループに分かれ、各テーマ毎に演習を行う。
2日間連続で行い、合計4コマを設定している。
Aグループ:盲・聾・養護学校のセンター的機能
特別支援教育を具体化する内容のなかで、盲・聾・養護学校が地域においてセンター的機能をもつことは、従来とは異なる大きな意識及びシステムの転換が求められる。本演習では、その考え方、内容及び実施の方法、また課題について話題提供及び各参加者の学校の実態を元に考える。

(担当者:滝坂 信一・小澤 至賢)

Bグループ:個別の教育支援計画
平成14年に閣議決定された「障害者基本計画」の重点施策実施5か年計画で、「盲・聾・養護学校においては平成17年度までに策定する」と記されており、これまで様々な側面から検討がなされ、今年度から各学校で本格的に取り組まれている。個別の教育支援計画が一人一人の子どもを生涯にわたり総合的に支援していくためのツールとして機能していく必要がある。保護者の参画や各関係機関との連携の在り方について全国的な動向を踏まえ、受講者と共に検討したい。

(担当者:當島 茂登・石川 政孝)

Cグループ:LD・ADHD・高機能自閉症等の教育
盲・聾・養護学校は地域の特別支援教育推進の重要な役目を担う。その中でも、主に小・中学校に在籍するLD・ADHD・高機能自閉症の子どもへの指導・教育的対応は養護学校の専門性を広げる喫緊の課題である。また、病弱養護学校には身体疾患あるいは適応障害を呈する、これらの児童生徒の転入学も増加している。
限られた時間ではあるが、講義と演習を通して、LD・ADHD・高機能自閉症の障害理解と指導法のエッセンスを学ぶ。

(担当者:篁  倫子・武田 鉄郎)

研究協議等

講義題目等 内容等
研究協議 指導事例や学校事例など、自らかかわっている事例について小グループで協議を行う。
小グループは、コース全体が6班に分かれ、それぞれの班に研究所職員が入る。
全体で7コマを設定している。
総括協議 研修を通じて得られた成果と課題について、個人またはグループで整理したものをポスター形式で発表し、研修員同士や研究所職員との間での協議を通して、研修の総括を行う。
1コマ設定している。
課題研究 受講者それぞれの課題の解決に向け、図書館での資料収集、他機関への訪問等、受講者が主体的に計画を立てて取り組む研修の時間である。
肢体不自由教育コースで10コマ、病弱教育コースで9コマを設定している。
所外での研修を行う場合は、所定の手続きによる。(34ページ参照)
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