障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

ICF児童青年期バージョンの教育施策への活用に関する開発的研究


冊子「ICF及びICF-CY活用:試みから実践へ―特別支援教育を中心に―」(ジアース教育新社 1,785円 B5版 約240頁)を発刊しました。
 
 本書は、これまでのICFの活用動向を総括すると共に、ICF-CYの概要をまとめたもので、本研究所及びWHOの編著「ICF活用の試み―障害のある子どもの支援を中心に―」(2005年発刊、ジアース教育新社、http://www.kyoikushinsha.co.jp/books/37.html )の続編です。
 本書は以下のような構成になっています。
  • 第1章 あらためてICFとは何か、そしてその活用とは
  • 第2章 特別支援教育におけるICF活用の実際
  • 第3章 ICFを活用していくための様々な取り組み
  • 第4章 ICF活用のための研修と理解啓発
  • 第5章 特別支援教育関連分野等でのICFの活用
  • 第6章 ICF及びICF-CYを巡る様々な動き
  • 総括
詳細・お問い合わせ等は、以下のジアース教育新社のwebページからお願いします。
http://www.kyoikushinsha.co.jp/
ぜひ多くの方にご覧頂き、忌憚のないご意見をいただければ幸いです。
日本特殊教育学会第45回大会で自主シンポジウム・発表を行いました。
  • 「ICF(国際生活機能分類)の学校現場への適用Ⅳ―小・中学校等での活用の可能性を探る―」のテーマのもと、約100名(※企画者によるカウントと配付資料の頒布状況から判断)のフロア参加者を得て、シンポジウムを開催しました。
    • (企画者・司会者)
      徳永 亜希雄(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所)
    • (話題提供者)
      伊藤 尚志氏(長野県飯島町立飯島小学校)
      下島 かほる氏(東京都墨田区立向島中学校)
      齊藤 博之氏(山形県立上山高等養護学校)
      高山 恵子氏(NPO法人えじそんくらぶ)
    • (指定討論者)
      下尾 直子氏(日本女子大学大学院)

     この中では、同テーマで3年間取り組んできたこれまでの経緯及び今回の趣旨について企画者から説明が行われた後、①小学校教諭の立場から、②中学校教諭の立場から、③センター的機能を担う特別支援学校の立場から、③当事者及び家族への支援団体の立場から、それぞれ話題提供が行われました。それらを受け、保護者の立場から指定討論者の意見が述べられ、各話題提供者に対して、質問が投げかけられ、議論が展開されました。
     その後、フロアから、ICF及びICF-CYを簡便・効果的に活用していくために開発している電子化ツールの紹介や、ICF-CYと学習指導要領に示された内容の適合性についての報告、ICFに含まれていない主観的側面についての議論等が行われました。最後に、企画者から本日のシンポジウム及び今後に向けた総括が行われました。
     事前の準備段階・シンポジウムの中・事後の反省会等での議論から総合的に判断すると、小・中学校等に在籍する、障害のある子どもや、特に診断名はないが特別な教育的ニーズがあると思われる子どもの理解と支援等において、ICF及びICF-CYが持つ幅広い視点が活用できる可能性が示唆されたといえると思います。
     なお、本シンポジウムで使用された主な資料については、以下をご覧下さい。
  • 研究代表者、研究協力者、研究協力を得ているICF-CY Japan Networkメンバーによる関連ポスター発表が行われ、フロアと活発な議論が行われました。
    • (研究代表者)
      徳永 亜希雄:ICF-CY(児童青年期版)の策定動向と特別支援教育における活用Ⅱ
    • (研究協力者)
      齊藤 博之氏:特別支援学校のセンター的機能におけるICF活用ー子どもをどのように理解し、どのように支援につなげるかー
      下尾 直子氏:「連絡帳」記述文のICFによる分類―ICFを活用した連携の可能性を探る―
      (ICF-CY Japan Networkのメンバー)
      逵 直美氏(三重県立草の実特別支援学校):民間企業でのICFを活用した研修企画の取り 組みー子どもたちの卒業後をより豊かにするためにー
    ポスター発表で使用された主な資料については、以下をご覧下さい。
日本教育情報学会に参加、発表を行いました。
日本教育情報学会第23回年会 8月20日(月)~21日(火)@常磐大学
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsei/ 
発表題目「教育用ICF データベースe-ANGEL のICF-CY への対応とインターネットでの公開について」
  • 渡邉正裕(国立特別支援教育総合研究所)
  • 富山比呂志(茨城県立つくば養護学校)
  • 齊藤博之(山形県立上山高等養護学校)
  • 大久保直子( 筑波大学附属久里浜特別支援学校)、
  • 下尾直子(日本女子大学大学院)
  • 徳永亜希雄(国立特別支援教育総合研究所)
研究協議会を実施しました。
 2007年8月6日、所内分担者・所外研究協力者・研究パートナー・オブザーバー(ICF-CY Japan Network メンバー)が本研究所に参集し、以下のような議事について議論を交わし、今後の方向性等について検討を行いました。
  • 研究概要、全体の方向性の確認
  • 各論(ICF北米協力センター会議、北海道特別支援教育学会、特殊教育学会計画、寄宿舎での活用、電子化による活用、学習指導要領の内容との適合性や記述、協議)
  • 小グループでの議論(小・中学校グループ、特別支援学校グループ、学習指導要領・電子化グループ)
  • 各グループ報告及び全体協議
 協議会の様子は以下のとおりです。
20070806課題研ICF協議会
ICF北米協力センター会議に参加、発表を行いました。
 2007年6月、アメリカ合衆国NY州Niagara Fallsで行われた13th Annual North American Collaborating Center Conference on ICFに参加し、日本の取り組みについて以下のように発表すると共に、WHOを始め、世界各地から集まった参加者と情報交換を行いました。

Akio TOKUNAGA, Ken SASAMOTO, Susumui OOUCHI, Ryouji HAGIMOTO, Kengo NISHIMAKI, MD, WATANABE Masaihiro (National Institute of Special Needs Education (NISE), Japan), Koji TANAKA,PhD (Noah Nursery School :Kyusyu University, Japan), Rune J. SIMEONSSON PhD (University of North Carolina at Chapel Hill):
Implementation of ICF and ICF-CY on Special Needs Education (SNE) in Japan
 会議での様子は以下のとおりです。
200706課題研ICF北米会議
研究協力者
さらに3名の方々にご参加頂くことになりました。
(新しく加わった方々 50音順、氏名及び所属)
  • 大久保 直子氏(筑波大学附属久里浜特別支援学校)
  • 堺 裕氏(帝京大学)
  • 富山 比呂志氏(茨城県立つくば養護学校)
(以下、継続中の方々 50音順、氏名及び所属)
  • 伊藤 尚志氏(長野県飯島町立飯島小学校)
  • 大関 毅氏(茨城県立伊奈養護学校)
  • 齊藤 博之氏(山形県立上山高等養護学校)
  • 佐藤 久夫氏(日本社会事業大学)
  • 佐藤 満雄氏(北翔大学)
  • 島 治伸氏(徳島文理大学)
  • 下尾 直子氏(日本女子大学大学院)
  • 下島 かほる氏(東京都墨田区立向島中学校)
  • 高山 恵子氏(NPO法人えじそんくらぶ)
  • 田中 浩二氏(私立のあ保育園、九州大学大学院)
研究パートナー(50音順、主担当者氏名)
  • 秋田県立勝平養護学校(高田屋 陽子氏)
  • 神奈川県立座間養護学校(吉田 豊氏)
  • 静岡県立中央養護学校(川口 ときわ氏)
  • 広島県立広島北特別支援学校(戸田 定孝氏)
日本特殊教育学会 第45回大会(神戸大会)での自主シンポジウム
 2007年9月22日(土)~9月24日(月) に神戸国際会議場/神戸商工会議所で開催される日本特殊教育学会 第45回大会(神戸大会)において、 ICF-CY Japan Network http://www.icfcy-jpn.org/wp/ との共同企画で、以下のような自主シンポジウムを開催します。
  • 「ICF(国際生活機能分類)の学校現場への適用Ⅳ―小・中学校等での活用の可能性を探る―」
ICF-CYについて
 18歳未満を対象としたICF(国際生活機能分類)の派生分類。2001年から、WHOのICF-CY Work Group(Chair: Dr. Rune J. Simeonsson, アメリカ合衆国North Carolina University at Chapel Hill 教授) を中心に策定作業を行い、2006年10月31日、チュニジアで行われたWHO-FIC(Family of International Classification, 国際分類ファミリー)会議において承認された。

 WHOは、次のような認識のもとで、ICF-CY策定を開始した。
 第1に、生まれてから20歳になるまでの間(以下、児童青年期)は、身体的にも心理的にも、また社会とのかかわりにおいても、急激に成長・変化する存在である、ということ。 第2に、障害の発現や慢性的な状態は、児童青年期にとって、成人以上に大きな影響を及ぼすものであるということ。
 このような成人とは異なる特徴を持つ児童青年期のために、従来のICFとは異なるバージョンが必要である。


 ICFをベースとして、次のような視点から、ICF-CYの策定作業は行われた。

  • 児童青年期固有の内容を新しいコード番号を付けて追加する。例)口を使った遊び
  • 児童青年期にとって適切でない内容は除く。例)閉経
  • 児童青年期にかかわる人たちにとって、わかりやすく、使いやすいような定義にする。
  • 児童や青年期にふさわしいもの例示を採用する。
  • 含まれるもの、除かれるものの定義や基準を工夫し、保護者や保健専門職、教師、その他の子どもにかかわる専門職に使いやすいようにする。
本研究の実施状況と今後の計画等
 本研究の大まかな方向性はつぎのとおりである。
  1. ICF-CYの概要を整理し、教育施策への活用の方法論について検討する。
  2. 特別支援教育における、これまでのICFの活用動向を総括する。
  3. 現在改訂が行われている学習指導要領へ貢献すると共に、将来的な貢献に向けた基礎資料を蓄積する。
  4. ICF-CYの学校現場で活用の方法論について検討する。
  5. 多職種間連携のツールとしてのICF-CYの活用法について検討する。
  6. ICF及びICF-CYに関連した諸課題、歴史的経緯、関連分野の動向、諸外国の動向等、を整理し、教育施策への活用のための資料を得る。


これらの方向性で得られた研究成果について以下のような方法で国民に還元する。

  • 各種学会、雑誌等において、成果を公表する
  • webページにおいて、常時発信する。
  • 19年6月を目処に、①特別支援教育におけるこれまでのICFの活用動向を概括し、②ICFを改めて概説すると共に、③ICF-CYの概要や関連情報を整理する冊子を発行する。
  • 20年度初めを目処に、本研究全体を総括し、各方面に提言するための研究成果報告書を発行する。

なお、本研究の成果は国内のみならず、海外にも発信していく予定である。

本課題研究に関連した本研究所の取り組み
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