障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第14号

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      国立特別支援教育総合研究所メールマガジン
        第14号(平成20年 5月号)2008.5.1
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【目次】
■お知らせ
■NISEトピックス
 トピックス
 研究紹介
■特別支援教育関連情報
■研修員だより
■編集後記
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■お知らせ
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★NEWS★
●研究所の一般公開について

 来る 6月28日(土)に研究所の一般公開を実施いたします。また、同時に隣接
する筑波大学附属久里浜特別支援学校の授業も公開されます。
 なお、具体的な内容は次号でお知らせいたします。ご近所やお仲間と連れ立っ
てお気軽にお越しいただきますようお待ちしております。
 
 ◇場所:独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
       〒239-8585 神奈川県横須賀市野比5-1-1
 ◇費用:無料

 ◇研究所公開に関するお問合せ先
  国立特別支援教育総合研究所 総務部企画調整課 広報国際係
  TEL 046-839-6810(平日9:00~17:30)

 ◇筑波大学附属久里浜特別支援学校の授業公開への参加申し込み
   6月16日(月)までに氏名・住所・連絡先を明記し、郵送・メール・
 FAXのいずれかの方法で下記まで。
  筑波大学附属久里浜特別支援学校  担当:倉見(副校長)
  〒239-0841 神奈川県横須賀市野比5-1-2
  TEL 046-848-3444 FAX 046-848-3740    
  E-mail wschool@kurihama.tsukuba.ac.jp

●4.1付け研究所の組織改編による部署名の変更等について

 平成20年 4月 1日付けで、発達障害教育情報センターを設置、教育支援研
究部を教育支援部に名称変更しましたのでお知らせします。

 ○組織図はこちら→http://www.nise.go.jp/blog/2008/04/post_742.html
 
★研究所Webサイト更新情報★

 前教育支援研究部生涯学習担当が行った次の調査研究のページを更新しま
した。

●調査研究
「海外の大学における障害のある学生の支援に関する調査」

          研究代表者 原田 公人(教育支援部・総括研究員)

 海外の大学における障害のある学生の支援について、出版物、並びにWeb
掲載資料から情報を収集し、整理を行いました。平成19年度の成果として、
米国、英国、オーストラリアにおける障害学生の在籍数と、障害種別の内訳、
支援内容・体制などを紹介しております。

 ○こちら→http://www.nise.go.jp/blog/2007/04/post_707.html

★NISE新刊情報★
☆新刊☆
財団法人 電気通信普及財団 平成19年度 研究調査助成報告書
「視覚障害者のパソコン・インターネット・携帯電話利用状況調査2007」
 渡辺 哲也(教育研修情報部・主任研究員)
 刊行年月 2008年 3月 

 ○こちら→
  http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_d/d-267.html

 ○研究所刊行物は各関係機関に送付する他、研究所Webに掲載しています。

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■NISEトピックス
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 このコーナーは、研究所の事業について情報を提供する「トピックス」と、
研究所で行っている研究の成果を紹介する「研究紹介」で構成されています。
 
★トピックス★ 
●研修事業の見直しと充実

            中村 均(教育研修情報部長・上席総括研究員)

 研修事業は研究所が発足した翌年の昭和47年に開始し、今日までその都度
見直しを行いながら実施してきました。とりわけここ数年間はかなり大きな
見直しを行いました。まず、独立行政法人としての第2期中期計画期間2年
目を迎えた平成19年度は、従来からの1年間の長期研修に替えて特別支援教
育研究研修員制度をスタートさせ、これまで短期研修と呼んでいた2ヶ月余
の研修は特別支援教育専門研修(以下、専門研修と呼ぶ)と名称を改めまし
た。平成20年度は、専門研修と短期間の諸研修・講習会を全面的に再編成し
た研修事業計画を実施に移すことになっています。その概略は以下の通りで
す。
1.視覚、聴覚、言語、自閉・情緒、知的、肢体・病弱と障害別に6コース
 設定していた専門研修を、小・中学校等での障害のある子どもの教育を主
 内容とするコースと特別支援学校での教育を主内容とするコースに大別し
 たこと。ただし、特別支援学校の教育を主内容とするコースは参加人員が
 受け入れ可能人数を超えることが予測されるため、2期に分けて実施する
 ことにしました。
2.従来実施してきたLD・ADHD・高機能自閉症指導者研修は、小・中
 学校等の教育を主内容とする専門研修の専修プログラムとして設定したこ
 と。この結果、この研修は独立したコースとしてはなくなりますが、専修
 プログラムの中での充実を図ります。
3.従来の自閉症教育推進指導者研修と情報手段活用による教育的支援指導
 者研修は、特別支援学校の教育を主内容とする専門研修の中の選択プログ
 ラムとして設定したこと。その結果、これらの2つの研修も独立したコー
 スとしてはなくなります。
4.発達障害教育指導者研究協議会(2日間)を新たに開設したこと。幼稚
 園段階から高等学校段階までの発達障害への対応をテーマとして取り上げ
 ます。
5.研究研修員制度と上記以外の短期間の研修は平成19年度と同じです。

 ○詳細はこちら→ http://www.nise.go.jp/blog/kensyu.html

●第8回韓日特殊教育セミナー(日韓特別支援教育セミナー)の報告

                原田 公人(教育支援部・総括研究員)

 2008年 2月25日、韓国国立特殊教育院において第8回韓日特殊教育セミナー
が開催されました。本究所からは小田豊理事長、滝川国芳総括研究員、私、
原田の3名が参加しました。
 本セミナーは、1995年11月に本研究所(NISE)と韓国国立特殊教育院
(KISE)が研究協力協定を結んだことに基づき、2001年より年1回、互いの
国を訪れてセミナーを開催しています。
 今回のメインテーマは、「韓・日の障害者の全生涯における段階別の教育
支援の現況」でした。このテーマに基づき、病弱教育、幼児教育、発達障害
学生支援をサブテーマとして、日本と韓国からの発表と協議が行われました。
セミナーには、韓国国立特殊教育院の職員のほか、ソウル近郊の特殊学校に
勤務する教員など、約60名の参加がありました。
 セミナーは、まず韓国国立特殊教育院の李孝子院長の心温まる歓迎のこと
ばと趣旨説明から始まりました。この後、「病弱教育の現状と課題」につい
て、本研究所の滝川総括研究員と韓国教育人的資源部特殊教育政策課の金恩
珠教育研究官より発表がありました。続いて、「特別支援教育における幼児
教育」について、本研究所の小田理事長と壇國大学校特殊教育科の李炳仁教
授の発表。最後のセッションとして、発達障害のある学生の支援について、
本研究所の原田とカトリック大学校特殊教育科朴熙贊教授から発表がありま
した。
 韓国では、2007年に「障害者などに関する特殊教育法」を制定し、特別支
援教育に関して大きな法整備が進められました。内容としては、3歳未満の
障害のある幼児の教育の無償化、3歳から17歳までの特殊教育対象者の義務
教育の権利、特殊教育支援センターの設置、統合教育の支援、IEPの策定、
特殊学級設置基準の見直しなどです。法的基準を整えて日が浅いため、教育
現場に十分浸透していないという課題があり、今後、実態調査をしつつ実現
を図っていくという説明がありました。
 各発表に対する協議では、インクルージョンに関する取組の状況などの基
本情報の交換だけではなく、障害種別や各発達段階に応じた支援の内容など
について深めることができました。また、本セミナーを通して、個のニーズ
に対応した特別支援教育の展開、教員の専門性や生涯学習の重要性などにつ
いて、日韓両国が共通の課題認識をもっていることが確認できました。今後
は、日韓それぞれのナショナルセンターとして共同研究の設立など、組織的
な連携に努めていくことが期待されています。

 ○詳細はこちら→http://www.nise.go.jp/blog/2008/04/post_755.html

☆研究紹介☆
●プロジェクト研究
「特別支援学校における自閉症の特性に応じた指導パッケージの開発研究 
-総合的アセスメント方法及びキーポイントとなる指導内容の特定を中心に-」
(平成18~19年度)

			研究代表者 徳永 豊(前企画部・総括研究員)

 自閉症の特性を踏まえて、学校での活動や授業が工夫されていますか。
 また、自閉症のある子どもたちと一緒に活動する際に、基本的なマナーや
エチケットと考えられるものがあります。学校では、これらのエチケットが
実行されていますか。
 さらに、学校において、自閉症のある子どもたちが最初に学ぶことが必要
な内容があります。学校では、その内容を重視して授業を行っていますか。
 これらのことがらは、自閉症教育の基本です。
 このプロジェクト研究の目的は、自閉症教育として、学校で実施して欲し
い内容や方法のまとまりを確立することです。自閉症の特性に応じた適切な
学校教育が、我が国のすべての学校で実施されることをめざしています。
 平成18年、19年の研究成果として、自閉症の特性に応じた教育、学校全体
で自閉症教育に取り組むためのチェックリスト、学びを促進するための特性
の理解と活用、自閉症教育のキーポイント、授業の評価・改善シート、自閉
症の特性に応じた教育課程と学校教育をまとめ、「自閉症教育実践マスター
ブック」を刊行しました。

 「自閉症教育実践マスターブック ~キーポイントが未来をひらく~」
    発売年月 2008年 2月 ジアース教育新社 定価 1,890円(税込)
 ○概要はこちら→http://www.kyoikushinsha.co.jp/books/87.html
 ○そのエッセンスをまとめたパンフレットはこちら→
  http://www.nise.go.jp/projects/jiheisho/pamphlet.pdf

 「マスターブック」は、自閉症のある子どもの教育に関して、比較的経験
がある方が、その授業をより確かなものとするためのものです。

 ○初心者の方には「自閉症教育実践ガイドブック」
  こちら→http://www.kyoikushinsha.co.jp/books/30.html
 ○学校での取組を中心に知りたい方には、「自閉症教育実践ケースブック」
  こちら→http://www.kyoikushinsha.co.jp/books/49.html
をお薦めしています。

 自閉症のある子どもたちの未来をひらくために、自閉症の特性に応じた指
導目標や内容の核であるキーポイントを活用して、授業を展開しましょう。

●課題別研究
「肢体不自由のある子どもの教育活動における『評価』及び『授業の改善・
充実』に関する研究」(平成18~19年度)

       研究代表者 當島 茂登(前教育支援研究部・総括研究員)

 特別支援学校(肢体不自由)においては、在籍者の障害の重度・重複化、
多様化が指摘されています。このような状況で、一人一人のニーズに応じた
教育を推進する特別支援教育が発展していくためには、評価の客観性や信頼
性を高める評価方法の工夫や改善が求められています。
 本研究では、まず、評価や授業に関する学校現場のニーズを把握するため
に、研究所がこれまでに実施した調査研究の中から、これらに関する課題の
整理を行いました。また各研究協力機関等を訪問し、学校における「評価」
や「授業の改善」の取組から出てきた課題を取り上げ検討を行いました。こ
れら2年間の研究のまとめとして研究報告書を作成しました。
 本研究報告書は、3章から構成されています。第I章は評価と授業改善の
ための概論編、第Ⅱ章は評価と授業改善のためのQ&A、第III章は特別支
援学校(肢体不自由)における評価・授業改善に向けた特徴ある取組といた
しました。
 この報告書が、肢体不自由のある子どもの教育活動における評価や授業改
善の一助となることはもとより、障害のある全ての子どもの指導の改善に資
することが出来れば幸いです。

◆ちょっと一息 季節のたより  -5月の三浦半島に残る習慣-  

 ここ三浦半島では、5月4日(宵節句)と5月5日子どもの日(端午の節
句)には、家の軒先や玄関に菖蒲とヨモギを飾り、悪鬼を払う習慣がありま
す。最近ではこのようなことをする家庭は少なくなりましたが、しきたりと
してまだ残っています。そして、菖蒲を風呂に入れた菖蒲湯に入る習慣があ
ります。この菖蒲湯に入ると丈夫な体になり、風邪などひかなくなると言わ
れています。
 また、男の子が生まれた家では、五月人形の内飾りと、鯉のぼりの外飾り
を飾ります。内飾りは男の子の健康を願い、外飾りは立身出世の例えにされ
る鯉があしらわれているように、立派な大人になるようにとの願いが込めら
れています。
 このお祝いに欠かせない食べ物が、柏餅や粽などです。飾られた人形や鯉
のぼりを見ながら食べるのも良いですね。(岩川 史子 記)
 
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■特別支援教育関連情報
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 このコーナーでは文科省や他省庁からの特別支援教育に関するお知らせ及
び財団の行事案内などの情報を中心に紹介しています。

●「教育振興基本計画について」中央教育審議会の答申が出されました。そ
の中に、特別支援教育関係も記述されています。

○詳細はこちら→
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/001/08041711.htm

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■研修員だより
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 このコーナーでは、研究所に研修に来られた方々からの寄稿やさまざまな
情報提供を行っていきます。今号は、平成15年度長期研修修了の堀川先生か
らお寄せいただきました。

●「子どもたち一人一人が、信頼できる私の先生です」

         堀川 順子(奈良県立奈良養護学校整肢園分校 教諭)

 平成15年度、研究所の先生方、22名の素敵な研修仲間をはじめ、たくさん
の出会いに恵まれ、長期研修員としてとても贅沢な時間を過ごさせていただ
きました。その中で、子どもへの思いだけではなく、子どもと通じ合うため
の具体的な手立てと技術を学ぶことの必要性を知りました。そこで、今まで
の子どもたちとのかかわりを振り返り、特に重度重複障害のある子どもの的
確な理解に向けて、視機能評価を中心にたくさんの学びがありました。
 病院併設の特別支援学校(肢体不自由)に戻って5年目を迎えます。研究
所での学びを生かし、子どもたちにとってわかりやすい環境づくりとコミュ
ニケーション支援を大切に、取り組んでいます。子どもたちが自分でする活
動を通して「わかった」と伝えてくれる表情がとても魅力的です。子どもた
ちの表情や身体の動きの全てにメッセージが詰まっていて、授業の改善、教
材・教具への工夫、支援の方法へのヒントを教えてくれています。子どもと
の「やりとり」はたがいに認め合い、ともに学び合うことにつながっている
と感じています。これからも子ども自らの「気づき」を大切に、少しでも学
びを支えることができるよう、一人一人の子どもとともにいい時間をつくっ
ていきたいと思います。そして、まっすぐに応え、協力してくれる子どもた
ちに毎日「ありがとう」を伝えていきたいです。

 ○奈良県立奈良養護学校整肢園分校
    Webサイトはこちら→http://web1.kcn.jp/narayogo-bun/

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■編集後記

 研究所が新体制で出発して早1ヶ月、新緑の季節を迎えようとしています。
 今月号のNISEトピックスでは、新たな研修事業についての記事を掲載しま
した。研究所では4月にお迎えした7名の研究研修員が1年間の研究活動を始
動しました。さらに今月は66名の第1期特別支援教育専門研修員(情緒障害・
言語障害・発達障害教育コース)が2ヶ月の研修に入り、賑やかになります。
研修員だよりで、研修員OB、OGの方が学校現場等で活躍していらっしゃる様
子を知るのは、私たちにとっても大きな喜びです。
 研究所の様々な活動をこれからもこのメールマガジンでお伝えしていきた
いと考えています。今後ともご愛読よろしくお願いします。
                  (第14号編集主幹 齊藤 由美子)

 ○「メールマガジン」へのご意見・ご感想は、こちら→
  a-koho @nise.go.jp
 ○研究所メールマガジンのバックナンバーは、こちら→
  http://www.nise.go.jp/magazine/back.html
 ○研究所メールマガジンの利用については、こちら→
  http://www.nise.go.jp/magazine/policy.html
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第14号(平成20年 5月号)
          発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
                メールアドレス:a-koho @nise.go.jp
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