障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第23号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
      国立特別支援教育総合研究所メールマガジン
        第23号(平成21年 2月号)2009.2.2
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE ━━
【目次】
■お知らせ
■NISEトピックス
 トピックス
 研究紹介
■特別支援教育関連情報
■研修員だより
■特別寄稿
■編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■お知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★NEWS★
●平成20年度 国立特別支援教育総合研究所セミナーII参加のご案内

 標記セミナーについては、まだ募集しております。ただし、午前中は小ホ
ールでの映像視聴になります。午後は、第2分科会のみ募集をしております。
 テーマなど詳細については、下記ホームページをご覧ください。

 ○セミナーIIの詳細および参加申し込みはこちら→
  http://www.nise.go.jp/blog/2008/06/post_865.html

●「発達障害教育情報センター」Webサイトの最新情報!

 「更新情報」「トピックス」欄には学習指導要領改訂に関する情報や、3
月に開催される各県の研修会等の情報を掲載しました。国の情勢についての
情報や、身近な研修の情報が掲載されていますので、ぜひご活用ください。
 また、配信講義では「先生と保護者の関係づくり」が追加されます。保護
者の気持ちを理解し、その思いに寄り添いながらどのように関係をつくって
いくかについて分かりやすくまとめられています。 ぜひご覧いただき、ご
意見、ご感想をお寄せください。

 ★2月Webサイト更新情報
 ・「教材・機器」コーナー(「運動の協調性を高めるゲーム」などの掲載)
 ・「研修講義」コーナー(「先生と保護者の関係づくり」の配信講義)

 Webサイトへの新規アクセス数が2万7千件を超え、海外からのアクセス
も41か国から400件を超えました。これからも、ますます皆様のお役に立て
るようがんばってまいります。
 これからも新しい情報を全国に向けて発信するとともに、多くのユーザー
の声をいただきながら、充実したWebサイトにしていきたいと考えておりま
す。皆様のご意見、ご感想をお寄せください。
 
 ○本センターWebサイトはこちら→http://icedd.nise.go.jp
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■NISEトピックス
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★トピックス★ 
●教育支援部「学校教育支援担当」の業務について

              千田 耕基(教育支援部・上席総括研究員)

 本研究所の学校教育支援担当は、上席総括研究員のもと3名の特別支援学
校担当と、2名の小・中学校など担当の計6名で運用しています。主な担当
業務として、(1)地方自治体などの特別支援教育推進および教職員の資質向
上事業を支援するための研究所内の調整、(2)関係校長会や関係団体との連
携および連絡調整、所内研究班と関係する学校および団体などとの連絡調整
などがあります。これらを通して、特別支援教育の理解・啓発・普及推進に
関して外部と所内との連携や連絡調整に努めることとしています。
 私たちが取り組んだことは、特別支援教育のネットワークの推進を図るた
め、これまで研究などとのかかわりで個々ばらばらに対応してきた関係校長
会や関係団体などとの連携、および連絡調整の窓口としての役割化でした。
 まず、全国特別支援学級設置学校長協会(全特協)との連携です。全特協
は、各都道府県市町村に設置されている特別支援学級の設置校の校長が、連
携・協力を進めるために設立した協会で、全国の特別支援学級設置校の中か
ら約14,000校が協会に加盟しています。次に、全国特別支援学校長会(全特
長)との連携および情報交換です。全特長は、これまで盲・聾学校および知
的・肢体・病弱の各養護学校の校長で組織する各校長会の集まりでしたが、
組織も新たに特別支援学校長の連携体制としてスタートしています。
 これまでも、各総会および個々の障害種別協議などに本研究所からも職員
が参加・協力してきた経緯がありますが、今年度からは、研究所組織として
相互協力体制を図ることになりました。

●平成20年度国立特別支援教育総合研究所特別支援教育セミナーIの報告

         西牧 謙吾(セミナーI 実施ワーキンググループ長)

 本研究所では、平成20年度国立特別支援教育総合研究所セミナーIを 1月
21日(水)~22日(木)の2日間にわたり、国立オリンピック記念青少年総
合センターにおいて開催いたしました。本年度は、平成20年 3月28日に幼稚
園教育要領、小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領が告示され、あら
たに通常の学校等における特別支援教育の推進が盛り込まれたことにより、
「小学校及び中学校における特別支援教育の展開―学習指導要領改訂にあわ
せて―」というテーマを掲げました。
 1日目は、「小・中学校学習指導要領における特別支援教育」と題した文
部科学省からの行政説明の後、基調講演として「通常の学校における特別支
援教育―学習指導要領改訂の意図するもの―」と題して、大南英明先生にご
講演いただきました。大南先生には、特別支援教育を通常の学校に定着させ
るためには何が重要なのか、学習指導要領改訂に至った経緯やその意味する
ところを分かりやすくお話いただきました。その後、「通常の学校での特別
支援教育の展開、それを支えるもの」と題してシンポジウムを開催いたしま
した。シンポジストとして、小学校校長、特別支援学校校長、行政関係者を
お迎えし、各立場からご提言をいただきました。
 2日目午前中は、通常の学校等に特別支援教育を推進していくためのキー
ワードとなる「個別の指導計画」、「自立活動」、「特別支援学校のセンタ
ー的機能」を取り上げた事例を紹介し、これら3つのキーワードに分かれた
午後の分科会に繋げていきました。今回のセミナーでは、1日目から2日目
にかけて、「大枠からより具体へ」話題が流れていくように企画しましたの
で、各分科会では、活発な協議も行われ、参加者の皆様とさまざまな課題を
共有できたのではないかと思います。
 また、2日目の昼休みには、本研究所19年度終了研究のポスター展示を行
いました。
 本セミナーには、714名(内1日目のみの参加者94名)の方々が参加され
ました。今回の特徴としては、テーマにもあるように小学校、中学校の先生
方のご参加が多くなっておりました。このセミナーを機会に通常の学校等で
の特別支援教育がさらに推進していくことを願っております。
 2日間にわたるセミナーの記録につては、後日本研究所ホームページに掲
載いたします。

★研究紹介★
●課題別研究「通常の学級で学習する障害のある子どもの日本語の音韻・音
節の認識に関する研究-書き言葉において間違えやすい日本語の特殊音節の
特性の分析-」(平成18~19年度)

            研究代表者 藤本 裕人(企画部・総括研究員)

 三文字で表記する「きって(切手)」の「っ」だけを単独で発音できるで
しょうか。五文字で表す「おとうさん」の中の三番目の文字は、一息に「お
とうさん」と発音したとき、「う」に聞こえますか。それとも「お」に聞こ
えますか。あるいは「おー」と聞こえるでしょうか。小学校の低学年の頃は、
特殊音節と言われる促音や拗長音など、文字で表記するときに、省略が起き
たり、書き間違えたりするお子さんがいらっしゃいます。その間違いを直そ
うとして指導するときに、学校の先生として、知っておいて欲しいことがい
くつかあります。そのうちの一つとして、日本語の表記は、必ずしも音とし
て聞こえた通りに表記する場合ばかりではないということです。
 研究報告書では、日本語の表記の際の特性や、小学校一年生の話し言葉か
ら書き言葉へと移行していく時期に、考慮すべきことを整理しました。
 
 ○本研究の研究報告書はこちら→ 
  http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_b/b-229_all.pdf

●専門研究A「障害のある子どものための情報関連支援機器等の活用を促進
するための教員用映像マニュアル作成に関する研究」(平成19~20年度)

       研究代表者 中村 均(教育研修情報部・上席総括研究員)

 特別支援学校では障害のある教育に様々な道具、すなわち支援機器を使っ
ています。支援機器の利用が効果的を発揮することがあるということを認識
されているからだと思われます。しかし、活用状況の実態を広く調査してみ
ますと、次のような課題があることも分かりました。つまり、支援機器等の
活用が盛んに行われている学校と余り利用されていない学校が併存するので
す。もちろん、障害種別によって違いはあります。視覚障害や聴覚障害を教
育する特別支援学校では概ね支援機器等が活用されています。ところが、知
的障害や肢体不自由を教育する学校では、学校間のばらつきが大きいのです。
学校を訪問して聞き取り調査を実施してみますと、障害に応じた機器にはど
のようなものがあり、どのような使い方をするか分からないという反応が返
ってきました。支援機器等に関しては、紹介するWebサイトがありますし、
研究所もガイドブックを刊行していますが、それだけでは十分ではないよう
です。そこで、インターネットを通して、どのような支援機器をどのように
使ったらよいか、情報を分かりやすく提供する仕組みを考えることにしまし
た。絵や写真と文字だけでなく、映像と音声までも組み合わせることで使い
方が一層理解しやすくなるだろうと期待しました。絵・写真・文字と映像・
音声を組み合わせた機器利用の説明資料を「映像マニュアル」と呼ぶことに
し、この制作・提供を目指すことにしたわけです。
 研究は、まず特別支援学校でどのような支援機器がどの程度使われている
か、実態を把握する調査から開始しました。この調査結果と、現場で支援機
器を活用した実践を続けてきた先生方の意見から、優先的に映像マニュアル
を作成すべき機器を選定し、これらについて映像マニュアルの製作を行って
きました。研究期間終了後も継続し、充実させていく予定となっています。

 ○詳細はこちら→http://www.nise.go.jp/blog/2008/05/post_648.html

◆ちょっと一息 季節のたより -春はそこまで-

 もうすぐ立春を迎え、暦の上ではもう春ですが、まだまだ寒い日が続いて
います。それでも研究所前の野比海岸の道路沿いには、水仙の花がぼちぼち
と咲き始めてきました。もうしばらくすると、梅の花の便りも聞こえてきそ
うです。研究所がある三浦半島でも春の訪れの風物詩のひとつであるいちご
狩りは盛んですが、東京湾を挟んで位置する南房総でもとても盛んです。南
端の館山は、この時季多くの観光客でにぎわっています。ビニールハウスの
中に入ると、甘い香りがいっぱい!練乳をつけて食べる摘みたてのいちごの
味は最高ですよ。さらに太平洋側にまわると、ポピーやストック、矢車草、
キンセンカ、金魚草、そして菜の花などが咲き乱れる花畑が広がります。も
ちろん、花摘みも楽しめ、一足早い春を堪能できます。
 研究所の周りは一歩一歩春が近づいているようです。メルマガ読者の皆様
の地域の春の訪れはいかがですか?
                   (教育支援部 井上 昌士 記)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■特別支援教育関連情報
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●平成21年度「特別支援教育支援員」の地方財政措置が公立幼稚園まで拡充!

             (文部科学省初等中等教育局特別支援教育課)

 平成19年度より地方財政措置されている「公立小・中学校における特別支
援教育支援員配置に必要な経費」について、平成21年度には公立小・中学校
に加え、新たに公立幼稚園まで拡充され、総額約387億円が措置される予定
です。

平成20年度 → 公立小・中学校   支援員30,000人相当 約360億円 
平成21年度 → 公立小・中学校   支援員30,000人相当 約360億円
        公立幼稚園         支援員 3,800人相当 約 27億円

 特別支援教育支援員については、平成20年 5月 1日時点で全国の公立小・
中学校に26,092人、公立幼稚園に3,437人配置されており、その配置形態も
各幼稚園・学校において必要とされる支援内容等により多様ですが、この財
源措置等を有効に活用し、各幼稚園、学校の現場のニーズに応じた一層の支
援員配置充実が望まれるところです。
 特に、各市町村においては年度当初からの特別支援教育支援員配置に係る
予算措置について配慮をよろしくお願いします。

※補足
1 「特別支援教育支援員」
  小中学校に在籍している教育上特別の配慮が必要な障害のある児童生徒
 に対し、教員等の指示に基づいて日常生活動作の介助や学習活動上のサポ
 ートを行う人員のこと
2 「地方財政措置」
  ここでは地方の一般財源である地方交付税の積算に含まれること
3 特別支援教育支援員の配置状況等については近日中に文部科学省HPに掲
 載します

●特別支援学校学習指導要領及び高等学校学習指導要領等の改訂案の公表に
ついて
  (文部科学省初等中等教育局教育課程課・特別支援教育課・参事官付)

 文部科学省では、昨年 1月17日の中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、
中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」を受
け、高等学校学習指導要領並びに特別支援学校幼稚部教育要領、小学部・中
学部学習指導要領及び高等部学習指導要領(以下「特別支援学校学習指導要
領等」という。)の改訂案をとりまとめ、12月22日(月)に公表しました。
 また、本年 1月26、27日の両日、特別支援学校新教育課程説明会(中央説
明会)を開催し、都道府県教育委員会等の関係者への周知を図ったところで
す。
 2~3月にかけて、都道府県等で開催される地方説明会に文部科学省の職
員等を派遣し、学習指導要領の改訂の趣旨や理念などについて説明を行う予
定としております。
 改訂案の本文や、説明会資料等、関係資料は、文部科学省の「新しい学習
指導要領」ホームページに随時掲載してまいりますので御覧ください。

○改訂案等はこちら→
 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm

 本稿では、改訂案の主なポイント、実施のスケジュール(案)等について
お知らせいたします。

■特別支援学校学習指導要領等改訂案の主なポイント

1.今回の改訂の基本的考え方 
 今回の特別支援学校学習指導要領等改訂案の基本的な考え方は、以下の3
点です。
○幼稚園、小学校、中学校及び高等学校の教育課程の改善に準じた改善
○障害の重度・重複化、多様化に対応し、一人一人に応じた指導を一層充実
○自立と社会参加を推進するため、職業教育等を充実

2.教育内容等の主な改善事項 
○一人一人に応じた指導の充実
・一人一人の実態に応じた指導を充実するため、すべての幼児児童生徒に
 「個別の指導計画」を作成することを義務付け
・学校、医療、福祉、労働等の関係機関が連携し、一人一人のニーズに応じ
 た支援を行うため、すべての幼児児童生徒に「個別の教育支援計画」を作
 成することを義務付け
○自立と社会参加に向けた職業教育の充実
・特別支援学校(知的障害)における職業教育を充実するため、高等部の専
 門教科として「福祉」を新設
・地域や産業界と連携し、職業教育や進路指導の充実を図ることを規定
○「交流及び共同学習」の推進
・障害のある子どもと障害のない子どもとの「交流及び共同学習」を計画的、
 組織的に行うことを規定
○障害の重度・重複化、多様化への対応
・障害の重度・重複化、発達障害を含む多様な障害に応じた指導を充実する
 ため、「自立活動」の指導内容として、「他の人とのかかわりに関するこ
 と」などを規定
・重複障害者の指導に当たっては、教師間の協力した指導や外部の専門家を
 活用するなどして、学習効果を高めるようにすることを規定

■高等学校学習指導要領改訂案の主なポイント

1.今回の改訂の基本的考え方 
 今回の高等学校学習指導要領改訂案の基本的な考え方は、以下の3点であ
り、幼稚園、小・中学校学習指導要領等の改訂と同様です。
○教育基本法改正等で明確となった教育の理念を踏まえ「生きる力」を育成
○知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視
○道徳教育や体育などの充実により、豊かな心や健やかな体を育成

2.卒業単位数等の教育課程の基本的な枠組み
・卒業までに修得させる単位数は、現行どおり74単位以上
・共通性と多様性のバランスを重視し、学習の基盤となる国語、数学、外国
 語に共通必履修科目を設定するとともに、理科の科目履修の柔軟性を向上
・週当たりの授業時数(全日制)は標準である30単位時間を超えて授業を行
 うことができることを明確化
・義務教育段階の学習内容の確実な定着を図るための学習機会を設けること
 を促進

3.教育内容の主な改善事項 
○言語活動の充実
・国語をはじめ各教科等で批評、論述、討論などの学習を充実
○理数教育の充実
・遺伝など、近年の新しい科学的知見等を踏まえ内容を充実、統計に関する
 内容を数学Iに導入
・日常生活や社会との関連を重視した改善
・数学Iに〔課題学習〕を導入したり、科目「理科課題研究」を新設したり
 するなど、知識・技能を活用する学習や探究する学習を重視
○伝統や文化に関する教育の充実
・歴史教育(世界史における日本史の扱い、文化の学習を充実)、宗教に関
 する学習を充実
・古典(国語)、武道(保健体育)、伝統音楽(芸術「音楽」)、美術文化
 (芸術「美術」)、衣食住の歴史や文化(家庭)に関する学習を充実
○道徳教育の充実
・学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育について、その全体計画を作成
 することを新たに規定
・現代社会や特別活動において人間としての在り方生き方に関する学習の充
 実
○体験活動の充実
・ボランティア活動などの社会奉仕、就業体験を充実するとともに、職業教
 育において、産業現場等における長期間の実習を取り入れることを明記
○外国語教育の充実
・指導する単語数を増加するとともに、授業を実際のコミュニケーションの
 場とするという観点から、授業は英語で指導することを基本とするなどの
 改善
○職業に関する教科・科目の改善
・職業人としての規範意識や倫理観、技術の進展や環境等への配慮、地域産
 業を担う人材の育成等、各種産業で求められる知識・技術等を身に付けさ
 せる観点から科目構成や内容を改善

※各教科等の改訂の要点については、ホームページから資料を御参照くださ
い。
──────────────────────────────────
■実施のスケジュール(案)

1.特別支援学校
(1)幼稚部
 平成21年度から実施
(2)小学部・中学部
 小学校又は中学校に準ずる各教科等については、小学校又は中学校の実施
スケジュールに準じて実施することを予定しています(平成21年度から移行
措置、平成23年度から小学部実施、平成24年度から中学部実施)。ただし、
次の教科等については先行して実施する予定です。
・総則及び自立活動:平成21年度から実施
・特別支援学校(知的障害)の各教科:平成21年度から新学習指導要領によ
 ることも可能
(3)高等部
 高等学校に準ずる各教科等については、高等学校の実施スケジュールに準
じて実施することを予定しています。ただし、次の教科等については先行し
て実施する予定です。
・総則、道徳、自立活動:平成22年度から実施
・専門教科(保健理療、理療、理学療法、印刷、理容・美容、クリーニング、
 歯科技工):平成22年度から新学習指導要領によることも可能
・特別支援学校(知的障害)の各教科:平成22年度から新学習指導要領によ
 ることも可能

2.高等学校
 平成25年度入学生から新学習指導要領を年次進行で実施することを予定し
ています。ただし、次の教科等については先行して実施したいと考えていま
す。
・総則、総合的な学習の時間及び特別活動:平成22年度から実施
・数学、理科及び専門教科(理数):平成24年度入学生から学年進行で実施
・専門教科(福祉):平成21年度から新学習指導要領によることも可能
・保健体育、芸術及び専門教科(体育、音楽、美術):平成22年度から新学
 習指導要領によることも可能

 数学、理科を1年早く新学習指導要領によることとしたのは、平成21年度
に中学校に入学した生徒が、中学3年間で新学習指導要領の内容を前倒しして
学習してきていることに配慮したものです。

■今後のスケジュール(予定)
 文部科学省では、改訂案及び実施のスケジュール(案)について本年 1月
21日まで意見公募手続(パブリックコメント)を実施したところです。

 現在、いただいた御意見を踏まえ、必要な検討を行っており、本年2月~
3月を目途に官報告示を行う予定です。

●「世界自閉症啓発デー」について 

              (文部科学省初等中等教育局特別支援教育課)

  平成19年12月、国連総会において、平成20年度以降、 毎年 4月 2日を「
世界自閉症啓発デー」とする決議が採択されました。
  これに基づき、今後は全ての加盟国において、社会全体が自閉症に対する
理解が進むような取組を積極的に行うよう求められています。
  文部科学省においても、学校や地域における支援体制の整備を早急に進め
ているところですが、そのためには保護者や障害のある子どもたちを取り巻
く地域の方々が、自閉症や発達障害について正しく理解することが必要不可
欠です。
  皆様におかれては、この「世界自閉症啓発デー」を契機に、自閉症等につ
いて正しく理解し、学校における指導や支援等に役立てていただきたいと思
います。
  なお、「世界自閉症啓発デー」を記念して、厚生労働省や関係団体による
シンポジウムが開催される予定ですので、お時間のある方は是非ご参加くだ
さい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 【世界自閉症啓発デー・シンポジウム】              
 日 時:平成21年 4月 2日(木)10:00~16:30               
 場 所:東京ウィメンズプラザ(東京都渋谷区神宮前5-53-67)       
 主 催:厚生労働省、(社)日本自閉症協会            
 共 催:                            
   (独)国立特別支援教育総合研究所、日本発達障害ネットワーク、
   アスペ・エルデの会、日本自閉症スペクトラム学会、      
   全国自閉症者施設協議会                   
 大会プログラム                         
  1.主催者挨拶、来賓祝辞                   
  2.鼎談 「自閉症の人たちの人生を考える」          
  3.シンポジウム 「自閉症の人たちとともにあゆむ」      
    (1) 自閉症について知ってもらいたいこと          
    (2) 自閉症の人たちの特性と困難さ             
    (3) 自閉症の人たちのすばらしい力と可能性         
    (4) 地域で自閉症の人たちを支える             
    (5) 皆で支える自閉症の人たちの課題と展望         
      討論                         
  4.宣言 「世界自閉症啓発デー・東京宣言」          
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■研修員だより
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 今号は、平成12年度第三期短期研修言語障害教育コース修了の茂垣篤徳先
生からお寄せいただきました。

「ことばの教室」開設50周年

              茂垣 篤徳(仙台市立木町通小学校・教諭)

 私が研修に参加できたのは、まったくの偶然でした。当初参加を予定して
いた「ことばの教室」担当者が諸事情から参加できなくなり、私が代打とし
て、久里浜にある研究所(当時、国立特殊教育総合研究所)にしぶしぶ出向
いたことを昨日のように思い出します。
 全国初の言語障害特殊学級、通称「ことばの教室」が仙台市立通町小学校
に認可・設置されてから51年目を迎えた今年度、私は、宮城県言語障害教育
研究会事務局長として、「ことばの教室開設50周年記念事業」に関わらせて
いただきました。歴代の担当者や国立特別支援教育総合研究所をはじめとす
る関係者に助けられながら、記念誌を発刊し、記念式典やパネルディスカッ
ション、祝賀会を盛況のうちに終えることができました。
 国立特別支援教育総合研究所や各地の大学に「言語障害教育」に関わる部
門、課程が設置されたのは「ことばの教室」が開設されてからということな
どを考えると感慨深いものがあります。
 ここまで長く深く私が「ことばの教室」に関わるようになったのは、短期
研修でともに学び現在も頑張っている仲間、この領域の人たちとのつながり
を広げてくれた研究所のみなさんのおかげと、私はしみじみ思っています。

 ○仙台市立木町通小学校のWebサイトはこちら→
  http://www.sendai-c.ed.jp/~kimachi/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■特別寄稿
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「就学指導をめぐって思うこと」

        緒方 明子(明治学院大学・教授)
             (元精神薄弱教育研究部(注)・主任研究官)

 研究所の研究員として行った研究の中で、今でも新鮮さを持ち続けている
と思われるのが、当時の精神薄弱教育研究部が中心となり、他の全ての研究
部からも協力を得て実施された「就学指導に関する調査研究」である。平成
5年度に行われたものであるが、そのまとめの中で、(1)就学指導後のフォ
ローアップの充実、(2)就学をめぐる教育相談活動の充実が挙げられている。
 地域によっては、ていねいな教育相談が行われているし、「就学指導委員
会」を「就学支援委員会」と名称を変え、その活動の内容を明確にしている
所もある。しかし、介助者がつかない、あるいは通級できないなど、フォロ
ーアップが十分に行われていない所もある。
 平成5年度に行われた研究成果が平成21年になっても「新鮮」であっては
ならないと思う。全ての親子が希望と意欲にあふれた4月を迎えることがで
きるようになってほしいものである。

(注)所属は当時の名称です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■編集後記

 本年、新たな気持ちで企画した第23号はいかがでしたでしょうか?お忙し
い中、快く執筆をお引き受けいただいた緒方先生、茂垣先生をはじめ執筆者
の皆様に、深く感謝申し上げます。
 本研究所では、1月に開催したセミナーIに続き、今月には「発達障害の
ある子どもの支援を考える」のセミナーIIを開催します。多くの方々と、今
後の特別支援教育について共に考える機会となることと期待しております。
ぜひご参加ください。
 今月より暦の上では春になりますが、まだまだ寒い日が続きます。また、
学校等では一年間のまとめや評価の時期に入ります。寒さや忙しさの中、体
調を崩すことなく年度末を迎えられるよう、体調管理等に気をつけていきた
いものです。
 今後もより充実した内容でお届けしてまいりますので、どうぞよろしくお
願いいたします。

                   (第23号編集主幹 梅田 真理)

 ○「メールマガジン」へのご意見・ご感想はこちら→
  a-koho@nise.go.jp(@を半角にして送信してください。)
 ○研究所メールマガジンの利用については、こちら→
  http://www.nise.go.jp/magazine/policy.html
 ○研究所メールマガジンPC版の登録は、こちら→
  http://www.nise.go.jp/blog/magazine.html
 ○研究所メールマガジン携帯版の登録は、こちら→
  http://www.nise.go.jp/magazine/keitai/index.html
 ○研究所メールマガジンのバックナンバーは、こちら→
  http://www.nise.go.jp/magazine/back.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第23号(平成21年 2月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail a-koho@nise.go.jp
           (@を半角にして送信してください。)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
サイトポリシー情報公開個人情報保護調達情報・契約監視委員会| Copyright © 独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所