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平成20年度第三期特別支援教育専門研修 視覚障害教育専修プログラム 講義等内容

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視覚障害教育専修プログラム講義等

※ 日程・内容については、都合により一部変更する場合がある。

講義等題目等 講師氏名(所属・職名) 講義等内容
自立活動の理念と展開 香川 邦生
 (健康科学大学・教授)
  1. 自立活動領域の基本的な捉え方
  2. 教科と自立活動との関連
  3. 個別の指導計画の作成と評価
  4. 視覚障害領域における幾つかの中心的指導内容とその展開
      (1)手による探索操作活動と空間のイメージ作り
      (2)歩行地図の基礎指導
      (3)視覚認知の基礎指導
視覚障害教育の今日的課題と教育課程
池尻 和良
 (文部科学省初等中等教育局特別支援教育課・特別支援教育調査官)
 最近の教育改革の動向、視覚障害教育の現状と課題、特別支援教育における教育課程の編成、新しい学習指導要領や学力についての基本的な考え方、評価の在り方などについて説明するとともに、特別支援教育と今後の視覚障害教育の在り方について考える。
視覚障害児教育論(1)
 -視覚障害児の認知と指導-
大内 進
 (企画部・上席総括研究員)
 視覚障害教育の基本として、視覚及び視覚以外の感覚情報の特性に応じた活用及び空間概念の形成と活用等について講義する。
  • 感覚情報の特性
  • 視覚情報の特性と活用
  • 聴覚情報の特性と活用
  • 触覚情報の特性と活用
  • 筋感覚による運動のコントロール
  • 嗅覚・味覚の活用
  • 空間概念の形成と活用
  • 観察のストラテジー
  • モデルによる図形・立体概念の形成
  • 具体物の観察と地理的空間概念の形成
視覚障害児教育論(2)
 -乳幼児期の発達と指導-
猪平 眞理
 (宮城教育大学・教授)
 視覚障害のある乳幼児の発達支援は、親を励まし育児力を高める援助を基本とし、子どもが視覚情報の不足を他の感覚で補いながら環境とかかわる方法を学ばせて育つ力を養うことである。その具体的な方法を講述する。
視覚障害児教育論(3)
 -進路と職業教育-
皆川 春雄
 (前 筑波大学附属視覚特別支援学校長)
  1. 視覚障害児の進路を、全国視覚障害特別支援学校の動向調査から考える。
  2. 視覚障害特別支援学校の在り方について、保護者の意見等も考慮して考える。
視覚の病理 仲泊 聡
 (国立障害者リハビリテーションセンター・第三機能回復訓練部長)
 視覚の基礎的理解として、①目の構造と機能について、②視覚障害をきたす代表的な眼疾患、③眼疾患に伴う視覚障害の特徴などについて、病理及び医療的リハビリテーションの面から解説する。
視覚生理学概論 柿澤 敏文
 (筑波大学大学院・准教授)
 眼の構造と生理機能の基礎について、視覚障害の原因となる主な眼疾患と関連付けながら学習する。加えて、視機能の基礎をロービジョンの視知覚・認知とその支援方法と関連付けて講義する。
視機能評価法 千田 耕基
 (教育支援部・部長)
 視機能評価の目的、方法及びその実際について、特に教育的観点から講義する。
乳児と幼児期のロービジョンケア 川瀬 芳克
 (愛知淑徳大学・教授)
 乳幼児期は視覚発達の大切な時期であり、疾病の管理とともに、適切な屈折矯正やまぶしさの軽減などが必要である。講義ではロービジョン児の長期経過を示し視覚管理の効果を掲示するとともに、屈折異常の体験的解説や遮光眼鏡の機能の視覚的掲示を行う。
乳幼児期の触覚の活用 金子 健
 (企画部・主任研究員)
 視覚障害児の乳幼児期における触覚の活用について、まず、触覚の特性について他の感覚との比較を交えて論ずる。その上で、環境の把握、物の操作、絵・図形・文字(点字)情報の入手などのそれぞれにおけ る触覚の活用についての考え方と具体的対処方法について述べる。
弱視児の視知覚 千田 耕基
 (教育支援部・部長)
 弱視児の視知覚や視覚的認知について、弱視児の行動や弱視シミュレーションメガネを通して考えてみる。そして、その指導上の配慮事項について検討する。
(演習)
視覚障害教育に関わる検査法①②
大内 進
 (企画部・上席総括研究員)
金子 健
 (企画部・主任研究員)
横尾 俊
 (教育相談部・主任研究員)
 視覚障害児の実態把握のために用いることができる検査について、心理検査、聴覚検査など、現在、利用可能なものを中心に概説する。これらの検査のうちの幾つかについては、実習を行いながらそれらの検査の実施方法、評価方法、利用上の留意点などについて具体的に考察する。
視覚障害児者のリハビリテーションと教育・医療・福祉の連携 渡辺 文治
 (神奈川県総合リハビリテーションセンター七沢ライトホーム・副技幹)
 視覚障害者のニーズは、年齢や障害の状況により大きく異なる。この多様なニーズに応えるため、教育・医療・福祉・職業の各分野の専門家は、個々の分野内で努力するだけでなく、分野の枠を超えて連携した対応が求められる。連携の現状について神奈川県を例に説明する。
バリアフリー時代のモノ・サービス・生活環境そして遊び
 -視覚障害を中心に-
星川 安之
 (財団法人共用品推進機構・専務理事)
森川 美和
 (財団法人共用品推進機構・総務部総務課長)
 1981年の国際障害者年のテーマ「完全参加と平等」以来、国内外、公的・民間機関を問わず「障害の有無に係わらず共に使いやすい製品・サービス・生活環境」に関しての普及が進んできている。今回は、視覚障害を軸に「共用品・UD・アクセシブルデザイン」を紹介する。
 また、1990年から日本玩具協会を中心に行われている「共遊玩具」に関しても、その始まりからの経過について紹介する。
視覚障害教育における個別の教育支援計画 大内 進
 (企画部・上席総括研究員)
 視覚障害教育の現状や課題を踏まえて、視覚に障害がある児童生徒のための個別の教育支援計画策定の基本的な考え方、発達の各段階で想定される支援と地域の関係機関との連携の観点などについて、実践例等を紹介しながら概説する。
教科別指導法(1)
 -点字・国語教育を中心に-
澤田 真弓
 (教育支援部・総括研究員)
 視覚障害教育における国語指導について、特にコミュニケーション力の育成のための具体的な指導法について、発達段階を踏まえながら概説する。また、点字使用児童への漢字指導に関する調査結果をもとに、点 字教科書を使用するにあたっての配慮事項についても述べていく。
教科別指導法(2)
 -算数・数学科を中心に-
大内 進
 (企画部・上席総括研究員)
 視覚障害教育における算数・数学科の内容の取扱いと留意点について全体的に整理した上で、基本的な留意事項、教材・教具とその活用法、自作教材作成上の配慮点などについて各領域毎に概説する。また、計算や図形などの重要な教具についての実習を行うとともに、新教科書の編集方針についても解説する。
教科別指導法(3)
 -観察と実験の指導-
鳥山 由子
 (筑波大学・特任教授)
 観察と実験の意義と、基礎的な内容の指導法について、講義と実習を行う。特に、感覚の活用、観察内容の言語化、見通しを持って主体的に学習するための全体像の把握の重要性、時間配分、安全対策などについて、具体的な理解を図る。
教科別指導法(4)
 -図工・美術科の指導-
佐藤 直子
 (筑波大学附属視覚特別支援学校・教諭)
 視覚障害教育における図工・美術教育の概要ならびに指導の実際について解説する。特に小学部段階における造形活動に焦点をあて、保有する感覚にもとづく指導のあり方、指導上の配慮点、教材・教具の工夫についての紹介や実習を行う。
教科別指導法(5)
 -体育・レクリエーションの指導-
原田 清生
 (筑波大学附属視覚特別支援学校・教諭)
 視覚障害特別支援学校における体育の現状・課題等について概説し、視覚障害児の体育指導に関する指導のポイント・指導上の留意点・配慮事項や工夫の観点等について実践的に解説し、実技講習を通して理解を深める。
弱視学級における指導と学習支援 田中 良広
 (企画部・総括研究員)
 実態調査の結果をもとに、弱視学級及び通級指導教室の現状と課題について概観するとともに、弱視学級等における教育課程、指導内容・方法、施設・設備、教材・教具等について講述する。
 また、特別支援教育への転換に伴う弱視学級等が担うべき役割について受講者との協議をとおして考えて いきたい。
弱視用補助具概論 田中 良広
 (企画部・総括研究員)
 本講義では、弱視の児童生徒のための拡大システムについて、それぞれの長所・短所を整理した後、それらの中で最も手軽で活用範囲の広い弱視レンズについて、種類と特徴、選定の手順と方法、指導のプロセスについて理解を深める。
拡大教科書の作成とその活用
 -拡大教科書作成マニュアルを中心に-
遠藤 赫子
 (赤十字奉仕団拡大写本部会)
金子 健
 (企画部・主任研究員)
 「拡大教科書」について、拡大写本ボランティアによる作成の実際や、当研究所によるDTPを用いたカラー版の作成などに関して、その作成方針及び活用方法も含めて、デモンストレーションを交えて講義する。
(演習)
点字の表記・指導(1)
 -導入期の指導-
大内 進
 (企画部・上席総括研究員)
 点字以前の文字・ブライユ点字・日本点字の翻案など盲人の文字の歴史について概観した上で、「点字の表記」入門編として日本点字の基本的かなづかい、数学やアルファベットを用いた語の書き表し方などにつ いて実習を通して解説する。点字の初期指導法や点字触読の研究成果についても紹介する。
(演習)
点字の表記・指導(2)
 -学校教育における指導-
澤田 真弓
 (教育支援部・総括研究員)
 「点字の表記・指導(1)」を受け、「日本点字表記法2001 年度版」をもとに、「点字の分かち書き」「書き方の形式」「点字の読み書きの指導」について実習を交えながら話を進めていく。
点字の表記・指導(3)
 -専門点字入門-
加藤 俊和
 (京都ライトハウス情報ステーション・所長)
  1. 点配列と点字配列の科学性
  2. 自動点訳の限界と変換率向上の方法
  3. 数学・理科の2次元的拡がりの点字表現
  4. 世界共通の点字楽譜と変換ソフトウェア
  5. 触図は1文字の電光掲示板
(演習)
点字学習とコンピュータ①②
大内 進
 (企画部・上席総括研究員)
田中 良広
 (企画部・総括研究員)
澤田 真弓
 (教育支援部・総括研究員)
金子 健
 (企画部・主任研究員)
渡辺 哲也
 (教育研修情報部・主任研究員)
 コンピュータ上で点字を扱うために機器類としては点字プリンタ、ピンディスプレイ、点字電子手帳など、ソフトとしては点字エディタ、自動点訳ソフト、点字OCR など様々なものがある。ここでは、これらの活用法をデモンストレーション及び実習を交えて解説する。視覚障害教育情報ネットワークについても紹介する。
歩行指導の理論(1)~(3)
(演習)
歩行指導演習(1)~(3)
左振 恵子
 (筑波大学附属視覚特別支援学校・教諭)
明比 庄一郎[1-2 日目担当]
 (筑波大学附属視覚特別支援学校・教諭)
雷坂 浩之[3 日目担当]
 (筑波大学附属視覚特別支援学校・教諭)
 視覚障害児(者)の歩行のメカニズムや歩行指導の内容等について、次のような講義と演習を行う。
 (1)では、歩行に必要な基礎的能力と、視覚障害児の歩行指導の方法について
 (2)では、歩行指導における白杖の基本的な使用法に関する講義と白杖歩行の演習
 (3)では、歩行指導における指導計画作成と、それによる歩行指導について
 受講者は、演習において指導者及び生徒の両者をそれぞれ体験する。
視覚障害教育における情報処理とアクセシビリティ①② 渡辺 哲也
 (教育研修情報部・主任研究員)
 現代では視覚障害児にとってパソコンの活用能力は不可欠であり、これを習得することで、情報取得と発信を通じた社会参加が可能になる。視覚障害児のパソコン利用のためには、弱視児は画面拡大ソフトを、盲 児は画面音声化ソフトを用いる。これらの利用法について実習を交えて説明する。
(演習)
視覚障害関連教材の作成と活用①②③
大内 進
 (企画部・上席総括研究員)
田中 良広
 (企画部・総括研究員)
澤田 真弓
 (教育支援部・総括研究員)
金子 健
 (企画部・主任研究員)
渡辺 哲也
 (教育研修情報部・主任研究員)
 視覚障害教育における、点字教材や触図教材などの盲児用教材、拡大教材などの弱視児用教材について、各種の作成方法、作成用の機器、作成上の留意点、活用方法などについて講義する。講義は、これらの教材を実際に作成する実習を含む。
重複障害児の指導(1)
 -係わり合いの基礎-
佐島 毅
 (筑波大学大学院・准教授)
 視覚障害を伴う重複障害児の指導における基礎的な事項として、視機能評価の方法、視覚活用、教材活用等について講義する。
重複障害児の指導(2)
 -視覚障害特別支援学校における重複障害児の指導-
神尾 裕治
 (長野大学・教授)
 視覚障害を伴う重複障害児の指導について、視覚障害特別支援学校での実践例を踏まえて、そこでの指導の基本的な考え方、具体的な指導方法等に関して、講義する。
(講義・演習)
盲ろうの理解と教育(1)
 -全盲ろう-
中澤 惠江
 (企画部・上席総括研究員)
星 祐子
 (筑波大学特別支援教育研究センター・教諭)
 「盲ろう」とは、視覚と聴覚の両方に障害を有する状態である。特別支援教育資料によると、視覚と聴覚の両方に障害を有する児童生徒は、全国の特別支援学校の重複学級の中で573名特定されている。ここでは、そのニーズと配慮が分かりづらい「盲ろう」という状態を、共感的に理解するために、疑似体験とそれに基づく協議と講義を行う。盲ろうの理解と教育(1)では、視覚と聴覚障害の程度がもっとも重度である「全盲ろう」の状態を取り上げる。
 *視覚障害・聴覚障害教育専修プログラム合同
(講義・演習)
盲ろうの理解と教育(2)
 -弱視難聴-
中澤 惠江
 (企画部・上席総括研究員)
星 祐子
 (筑波大学特別支援教育研究センター・教諭)
長尾 公美子
 (徳島県立総合教育センター・指導主事)
 盲ろうの理解と教育(2)では、盲ろうの中でもっとも多いと考えられている「弱視難聴」の状態を取り上げ、講義、疑似体験そして協議を行う。二日間の演習と協議を踏まえ、盲ろう教育において必要な基本的な配慮、教育計画について講義する。また、日本における優れた盲ろう教育の実践例および海外での取り組みについて紹介する。
 *視覚障害・聴覚障害教育専修プログラム合同

〇実地研修

題目等 研修先 研修内容
視覚障害特別支援学校における指導の実際 横浜市立盲特別支援学校  横浜市立盲特別支援学校は、早期教育相談から幼稚部・小学部・中学部・高等部普通科・専攻科理療科・専攻科保健理療科の各課程を設置している。施設設備も充実しており、情報教育や図書室の運営等においても特徴のある実践を行っている。授業場面を実際に見学し、視覚障害特別支援学校における指導の実際につ いて研修を深めていく。

 横浜市立盲特別支援学校
 〒221-0005 神奈川県横浜市神奈川区松見町1-26

視覚障害情報提供施設における活動の実際 神奈川県ライトセンター  神奈川県ライトセンターでは、点字・録音図書などの情報提供や各種の相談・指導、またボランティアの育成等も行っている。実際にそれらの活動と施設設備を見学しながら研修を深めていく。

 神奈川県ライトセンター
 〒241-8585 神奈川県横浜市旭区二俣川1-80-2

〇課題研究

題目等 内容等
課 題 研 究  研修員それぞれの課題の解決に向け、図書館での資料収集等、研修員が主体的に計 画を立てて取り組む研修の時間である。
 全体で8コマを設定している。
 所外での研修を行う場合は、所定の手続きによる。
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