平成21年度第三期特別支援教育専門研修 発達障害教育専修プログラム講義等内容
発達障害教育専修プログラム講義等内容
※ 都合により一部変更する場合がある。
講義等題目等 | 講師氏名(所属・職名) | 講義等内容 |
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(講義・演習) カウンセリングの理論と演習①② |
植木田 潤 (教育相談部・研究員) 伊藤 由美 (発達障害教育情報センター・研究員) |
発達障害のある子どもたちは、集団生活の中で自己効力感や自己肯定感を維持することが困難であり、脆弱な対人関係を積み重ねてきた結果として、二次的障害を生じやすくなっている。こうした困難をケアしていく上で、カウンセリングの知見や実践が有効であることが多い。本講義では、愛着の形成や関係性といったカウンセリングの視点に基づく心理的な支援の在り方について検討する。
*情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
発達障害の思春期・青年期の課題 | 広沢 郁子 (メンタル神田クリニック・院長) |
発達障害のある子どもはその発達段階に応じて抱える課題が異なり、特に思春期・青年期の課題は大きい。本講義では、自閉症の子どもを含む発達障害の子どもの思春期・青年期の問題を整理したうえで、長期的な視野をもった指導の在り方について概説する。
*情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
発達障害に関わる福祉制度 | 日詰 正文 (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課・発達障害対策専門官) |
発達障害者支援法、障害者自立支援法をはじめとして、発達障害者に対する法整備や支援施策など少しずつサービスの充実化が進められているが、就労支援や手帳の問題など課題もある。今後の福祉・就労等制度の方向性について概説する。
*情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
発達障害のある子どもの二次的問題 | 上野 一彦 (東京学芸大学名誉教授) |
発達障害のある子どもは障害特性である一次障害に対する支援とともに、まわりの関わりやおかれた環境により不登校等の二次的問題につながる可能性があることに配慮していくことが必要である。本講義では、二次的問題の捉え方と未然に防ぐ支援の在り方について概説する。
*情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
早期発見と早期支援 |
本田 秀夫 (横浜市西部地域療育センター・センター長) |
発達障害のある子どもの早期発見・早期支援を具現化することは、発達障害者支援法にも規定されている国の重要課題である。本講義では、発達障害の早期発見と早期からの支援の在り方の重要なポイントについて特別支援教育と医療との連携を踏まえて解説する。 |
読み書き障害の指導 |
宇野 彰 (筑波大学・准教授) |
LDのある子どもの読み書きについてのつまずきを演習を通じて体験し、読み・書き障害の子どもの困難さを理解するとともに、つまずきの要因とそれに基づく具体的な指導の在り方について解説する。 |
通常の学級における支援の実際 | 永田文子 (川崎市立南原小学校・教頭) | 特別な配慮を要する子どもに対し適切な支援を行うためには、通常の学級においても子どもの特性を把握した上で個に応じた指導方法を検討することが重要である。本講義では、児童の認知処理様式を評価することにより、得意な認知スタイルを具体的な指導に活かす取組について紹介する。 *情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
発達障害への医学的対応 | 市川宏伸 (東京都立梅ヶ丘病院・院長) | 発達障害のある子どもは、行動面や精神面に問題が生じやすい。本講義では、その特性の捉え方や支援のあり方等も含め、医学的な対応について解説する。また、児童・小児神経科で対応を必要とする疾患や使用される薬物について臨床における実際とその理論的背景についてふれるとともに、医療と教育の連携の在り方について言及する。 *情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
幼児期における支援 | 岸和之 (横浜市中部地域療育センター・通園部主任) | 発達障害のある子どもの早期発見・早期支援は、発達障害者支援法においても規定されている重要課題である。本講義では、発達障害のある子どもの幼児期における具体的対応や支援の在り方について具体的な実践例を交えて解説する。 *情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
(講義・演習) アセスメントの解釈 | 篁倫子 (お茶の水女子大学大学院・教授) | 子どもの実態把握から状態像を総合的に捉えるためには、心理教育的アセスメントの活用がとても重要となる。本講義では、心理教育的アセスメントの目的を整理したうえで実施の方法、解釈の仕方、具体的な指導へのつなげ方等について学ぶ。 *情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
(講義・協議) ADHDの子どもの事例検討 | 杉山明 (横浜市立荏田東第一小学校・教諭) 笠原丈史 (横浜市立綱島東小学校・教諭) | 発達障害のある子どもについては、その特性について実態把握を行い指導計画を作成することが大切である。本講義では、主として行動面に困難のあるADHDの子どもの行動特性の捉え方と教育的支援について具体的な事例を通して個別の指導計画を作成し協議を行う。 |
自閉症の診断と評価 | 神尾陽子 (国立精神・神経センター精神保健研究所・児童・思春期精神保健部長) | 教育現場で自閉症の子どもを指導する際、最新の医学情報は子どもへの理解や指導プログラムの作成において重要な手がかりとなる。特に現場では自閉的傾向といった言葉や概念が使われている一方で、スペクトラムの考え方が入ってきており混乱している教員もいる。本講義では、児童精神医学の観点から、事例を取り上げ自閉症の子どもの診断と評価について解説する。 *情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
感覚・運動面の指導 | 是枝喜代治 (東京福祉大学・教授) | LD、ADHD、高機能自閉症等の子どもの中には感覚刺激への過敏性や協調運動の拙さ、不器用さ等により学習面や行動面に様々な困難を抱えている場合がある。本講義では、LD等に見られる感覚運動面の問題についての把握、分析の仕方、対応の基本を具体例を交えて解説する。 |
(講義・協議) LDの子どもの事例検討 | 伊藤逞子 (リソース・ルーム枝代表) | 発達障害のある子どもについては、その特性について実態把握を行い指導計画を作成することが大切である。本講義では、特に学習面に困難のあるLDのある子どもについて具体的な事例を通して個別の指導計画を作成し、学習面や行動面の見方と教育的支援について協議を行う。 |
(講義・演習) 特別支援学校におけるセンター的機能の実際 | 川上康則 (東京都立港特別支援学校・主任教諭) | 特別支援学校におけるセンター的な取り組みについて紹介するとともに、通常の学級に在籍する発達障害の児童あるいはその疑いがみられる児童についてその観察の視点を明確にしながら、特別支援学校の地域支援における具体的な取り組みの在り方について検討する。 *情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
学校におけるアンガーマネージメント・プログラム | 本田恵子 (早稲田大学・教授) | 発達障害のある子どもは、自分の気持ちをうまく伝えられず、感情や行動のコントロールできない子どもが多い。本講義では、子どもたちが自分の感情を理解し、伝えたいことを適切な表現で伝え、課題解決できる力を育てる、アンガーマネージメント・プログラムの活用の実際について学ぶ。 |
特別支援学級及び通級指導教室の役割 | 大城政之 (発達障害教育情報センター・主任研究員) | 特別支援学級や通級指導教室の担当教員は、その専門性から校内の特別支援教育推進のキーパーソンであり、また特別支援教室(仮称)の構想に向けて特別支援学級及び通級指導教室には弾力的な運用が求められている。本講義では、今後の特別支援学級及び通級指導教室の役割等について概説する。 *情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
通級による指導の実際 | 堀川淳子 (広島市立袋町小学校・教諭) | 平成18年の学校教育法施行規則の一部改正により通級による指導では情緒障害と自閉症が分類され、新たにLDとADHDが対象として加えられた。多様化、弾力化の図られた通級では、LD、ADHD、高機能自閉症等の指導がどのように行われているのか、指導の実例を通して解説する。 |
ADHD等の行動特性の捉え方と支援の在り方 | 高山恵子 (NPO法人えじそんくらぶ・代表) | ADHD等の発達障害の子ども達は、様々な行動上の課題を抱えている。支援の在り方としてセルフコントロールの力を高めるとともに、本人が適応しやすい環境の調整もとても重要である。本講義では、ADHD等の子どもの行動特性をどのように捉え、支援をどのように考えればよいのかについて解説する。 |
発達障害者における就労 | 関水実 (横浜市発達障害者支援センター・センター長) | 発達障害者支援法においては、発達障害者の就労支援の体制整備及び特性に応じた適切な就労支援の確保がうたわれている。また、LD等の発達障害者の進学等に関しても課題が山積みであることを踏まえたうえで、発達障害者の自立・社会参加について言及する。 *情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
(講義・協議) コミュニケーションの指導 | 竹田契一 (大阪医科大学LDセンター・顧問) | LD、ADHD、高機能自閉症等の子どもは、聞くこと、話すことに直接的な障害はないが周囲との関わりの中で相互性のあるコミュニケーションをとることに課題がある場合が多い。本講義では、人との関わりという視点からコミュニケーションのつまずきと支援の在り方について考える。 *情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
子どもの虐待の理解と対応 | 関口博久 (宮城教育大学・教授) | 子どもの虐待は近年増加の一途をたどっており、今日最も深刻な問題の一つである。本講義では、子どもの虐待の基本的な理解と対応の在り方や考え方のポイントについて具体的に解説する。 *情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
保護者、地域との連携の在り方 | 梅田真理 (発達障害教育情報センター・総括研究員) | 特別支援教育を進めるには保護者との共通理解の基に連携を図り、協働していくことがとても重要になる。本講義では、LD、ADHD、高機能自閉症等の発達障害のある子どもの保護者の悩みやニーズを概観し、教員、学校、専門機関、そして地域が支える連携の在り方について言及する。 |
算数障害の指導 | 熊谷恵子 (筑波大学・教授) | 算数障害のあるLDの子どもの困難を理解するとともに、算数(数学)の学習でつまずきやすい内容をLDのタイプと関連づけながら授業における指導の実際、生活における対応等について解説する。 |
(講義・協議) ペアレント・トレーニングの実際 | 岩坂英巳 (奈良教育大学・教授) | 早期から障害が認められにくいLD等の子ども達は、その特性について保護者と共通理解を図り、家庭と学校が協力して支援を行うことがとても重要になる。本講義では、子どもの行動変容を促進するために近年、多く用いられている親を補助治療者としてトレーニングするプログラムであるペアレント・トレーニングの基本的な考え方について学ぶ。 |
(講義・協議) 高機能自閉症の子どもの事例検討 | 渡部匡隆 (横浜国立大学・教授) | 発達障害のある子どもについては、その特性について実態把握を行い指導計画を作成することが大切である。本講義では、特に対人関係や社会性に困難のある高機能自閉症やアスペルガー症候群のある子どもの特性の捉え方と教育的支援について具体的な事例を通して個別の指導計画を作成し協議を行う。 |
(講義・演習) 発達検査(WISC-Ⅲ,K-ABC)の活用-理論編・実践編- | 海津亜希子 (発達障害教育情報センター・主任研究員) | LD、ADHD、高機能自閉症等の子どもの発達の状態や認知特性を評価するためには、WISC-ⅢやK-ABCのような標準化された知能検査を用いて専門的なアセスメントを行うことが重要である。本講義では、LD、ADHD、高機能自閉症等の子どものアセスメントによく使われる発達検査であるWISC-Ⅲ、K-ABCを中心に検査内容、検査方法、結果の解釈そして活用の仕方について解説し、実際について演習を通して学ぶ。 |
(講義・協議) ソーシャルスキルの指導 | 小貫悟 (明星大学・准教授) | 発達障害の子どもの中には場の雰囲気や暗黙のルールが読み取れない、人との関わりが一方的である等の社会性に困難さを抱えている子どもが多く見られる。本講義では、基本的な学習態勢、会話のルール、役割の遂行、仲間との協力等、発達障害のソーシャルスキル・トレーニングの指導について概説する。 |
高等学校における発達障害のある生徒の指導と支援 | 中田正敏 (神奈川県立田奈高等学校・校長) | 文部科学省では平成19年度より、「高等学校における発達障害支援モデル事業」を実施している。特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議においても高等学校WGの報告がまとめられたところである。高等学校の段階にある発達障害等の生徒の課題と支援の在り方について解説する。 *情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
(講義・演習) 教材・教具の作成と活用 | 棟方哲弥 (企画部・総括研究員) | 発達障害のある子どもの指導を行ううえでは、その特性に応じた子どもにわかりやすいそして扱いやすい教材・教具を工夫することはとても重要である。本講義では、LD、ADHD、高機能自閉症等の特性に応じた具体的な教材・教具を紹介するとともに簡単な教材作りの演習を行う。 |
(講義・演習) わかる授業と学級経営の工夫 | 笹森洋樹 (発達障害教育情報センター・総括研究員) | 通常の学級で配慮を要する子どもに個別的な支援を行うためには、学級全体が落ち着いて学ぶことのできる学習環境が基盤となる。本講義では、授業改善や学級経営の視点から、通常の学級におけるわかる授業づくりや集団づくりの工夫について、また、集団指導と個別指導の在り方について解説する。 *情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
学校コンサルテーションの実際 | 小澤至賢 (教育支援部・主任研究員) | 特別支援教育では教育的ニーズのある個々の事例に対して校内支援体制を構築し、学校全体で対応していくことが重要となる。本講義では、相談機関における学校コンサルテーションについて概説し、ケース発動及び学校発動による具体的な相談事例をもとに学校コンサルテーションの在り方やコーディネーターの役割について解説する。 *情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 |
発達障害教育の現状と課題 | 樋口一宗 (文部科学省初等中等教育局特別支援教育課・特別支援教育調査官) | LD、ADHD、高機能自閉症等への教育の現状と課題及び特別支援教育推進体制の設備の状況等の教育施策について行政の立場から概説する。 |
○実地研修
題 目 等 | 研 修 先 | 研修内容 |
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自閉症者の就労支援の実際 | 社会福祉法人 けやきの郷 | 実地研修は、充実した取り組みを行っている関連機関を訪問・視察することを通して、環境整備の工夫や授業及び指導・支援の在り方等に関する知見を得ることを目的とする。 今回は、社会福祉法人けやきの郷を訪問し、自閉症者の就労支援の実際について学ぶ機会とする。 *情緒障害・自閉症教育専修プログラムと共通 社会福祉法人 けやきの郷 〒350-0813 埼玉県川越市平塚新田高田町162 |
○課題研究
講義題目等 | 内容等 |
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課題研究 | 本研修では、個々の研修員が各自の問題意識に基づき、問題の解決や課題の実現に向けて計画を立て主体的に取り組む「課題研究」の時間を10コマ設定しています。 この時間は、現在、現場の課題となっている事柄について文献を調べたり、関連する講義の整理やまとめ等に充てる時間です。個人の関心事項や課題について学びを深めることのできる時間ですので、有意義なものにするためにあらかじめ研究課題を検討しておいてください。 また、「課題研究」の遂行上、特に所外の関係機関での情報収集が必要な方は、事前にその目的や訪問先等について十分に検討しておいてください。 (所外での研修を行う場合は、所定の手続きによる。) |