障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第35号

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      国立特別支援教育総合研究所メールマガジン
        第35号(平成22年 2月号)2010.2.1
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【目次】
■お知らせ
■NISEトピックス
 トピックス
 研究紹介
■特別支援教育関連情報
■研修員だより
■編集後記
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■お知らせ
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★NEWS★
●研究所の最新状況
◆研修現況報告
◇第三期特別支援教育専門研修開講

 本研究所では、第三期特別支援教育専門研修情緒障害・言語障害・発達障
害教育コースが 1月 6日に開講し、全国から70名の研修員が日々研鑽に励ま
れています。
 この「特別支援教育専門研修」(研修期間は約2ヶ月、年三期開講)は、
各都道府県における障害のある幼児児童生徒の教育を担当する教職員の指導
力の一層の向上を図ることを目的としています。
 各研修の内容に応じて、特別支援学校の教員や小・中学校の教員等の方々
に参加いただいています。今後、この研修の受講により各都道府県等におけ
る特別支援教育が一層充実されることを願っています。

 ○特別支援教育専門研修の概要はこちら→
  http://www.nise.go.jp/blog/senmonkenshu.html

●脳科学セミナーのご案内

 脳科学の研究の成果を教育に活かすことと、教育に活かせる脳科学研究を
進めることが、我が国の政策として示されています。
 その一方で、十分な科学的根拠を持たない情報や、真偽の十分な検証がな
されていない情報の流布も少なくない現況があります。
 この状況を踏まえ、国立特別支援教育総合研究所では特別支援教育と脳科
学に関する最新の正確な情報を分かりやすく提供するとともに、特別支援教
育と関連した脳科学の発展を推進していく活動の一環として本セミナーを企
画しました。
 今回のセミナーは、近年その理解・啓発が重視されている自閉症に関する
最新の脳科学の研究成果を紹介します。さらに、現在の脳科学の研究成果が
どのように活用でき、将来どのように役立つのかといった日頃の疑問点を専
門家の方に直接に聞いていくシンポジウムも開催します。
 多くの方々のご参加をお待ち申し上げております。

 ◇日時 平成22年 3月13日(土)10:00~16:30
 ◇会場 国立オリンピック記念青少年総合センター国際交流棟 国際会議室	
         (東京都渋谷区代々木神園町3-1)
 ◇定員 200名(定員になり次第締め切ります) 
 ◆参加費 無料
 ◆参加申込方法 申込書に必要事項を記入し、FAXにてお送りいただくか、
または同様の内容を記入したe-mailで下記の送付先にお申し込みください。
  申込期限は平成22年 3月 5日(金)
  問い合わせ
  申込書送付先:独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所
                発達障害教育情報センター  大城政之
                          E-mail nokagaku@nise.go.jp
                          FAX 046-839-6938

 ○セミナーの詳細や参加の方法はこちら→
  http://www.nise.go.jp/blog/2010/02/nokagaku21.html


●皆様からのご意見をお待ちしています

 当研究所では、教育現場等のニーズを把握し、それに応えるため、平成21
年 3月より、広く国民の皆様からの意見募集を行っています。
 現在、研究活動については、平成22年度に実施する研究の概要、研修事業
については、平成22年度の研修計画等を掲載していますので、当研究所の研
究活動や研修事業に対するご意見をお寄せ下さい。

意見募集期間:平成22年 1月 8日(金)~平成22年 2月18日(木)
意見募集案件:
       1.平成22年度研究計画について
       2.平成21年度実施中の研修について
       3.平成22年度研修計画について
提出方法:研究所Webサイトの「意見募集」メニューから、アンケートサー
バーもしくは電子メールにより提出して下さい。こちら→
 http://www.nise.go.jp/blog/2009/02/ikenbosyu_top.html

●「発達障害教育情報センター」Webサイトの最新情報

Webサイト更新情報: 
・教材・機器2点追加
 数について考える力を養う教材1
 数について考える力を養う教材2
・研修講義の活用について
・研修講義の活用事例

 Webサイトへのアクセス数は開設以来延べ16万4千件を超え、海外からも
1,300件(56か国)を超えるアクセスがありました。
 この度、研修講義の活用についてというコーナーを新設し、従来から提供
させていただいている研修プラン(サンプル)一覧に加えて、研修講義の活
用事例を紹介させていただくことにいたしました。今回は小学校での校内研
修での活用事例と、地域の校長会での活用事例を紹介させていただきました。
皆様の学校や地域等で研修を計画される際の参考にしていただければと思い
ます。また、研修講義の活用の予定がある場合は、メール等でご連絡いただ
けると幸いです。
 今後も新しい情報を全国に向けて発信するとともに、多くのユーザーの
声をいただきながら、充実したWebサイトにしていきたいと考えております。
 皆様のご意見、ご感想をお寄せください。

 ○本センターWebサイトはこちら→
  http://icedd.nise.go.jp

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■NISEトピックス
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★トピックス★ 
●平成21年度国立特別支援教育総合研究所セミナーIの報告

   千田 耕基(教育支援部長・セミナーI 実施ワーキンググループ長)

 本研究所では、平成21年度国立特別支援教育総合研究所セミナーIを 1月
25日(月)~26日(火)の2日間にわたり、国立オリンピック記念青少年総
合センターにおいて開催いたしました。本年度は、「特別支援教育の充実に
向けた教育課程の編成の工夫―学習指導要領改訂にあわせて―」というテー
マを掲げました。
 平成20年 3月に幼稚園教育要領、小学校学習指導要領及び中学校学習指導
要領が告示され、新たに特別支援教育の推進が盛り込まれ、そして、平成21
年 3月には高等学校学習指導要領及び特別支援学校学習指導要領が告示され
ました。
 そこで、これら学習指導要領等の改訂の趣旨を活かして、各学校種等にお
いて、いかに教育課程編成の工夫をしていくべきかを考えるために以下のよ
うなプログラムを企画しました。

 1日目は、「特別支援教育行政の現状と課題」について文部科学省斎藤尚
樹特別支援教育課長から行政説明をいただき、その後、基調講演として「学
校段階の連続した学びを求めて―教育課程編成の工夫―」と題して、工藤文
三先生(国立教育政策研究所初等中等教育研究部部長)にご講演いただきま
した。工藤先生には、日本の教育課程の特色、学校間の円滑な接続を目指し
た教育課程の編成と実施、取り組みの評価と改善について、お話いただきま
した。
 その後、「特別支援教育の推進―各学校種等における現状と課題から―」
と題してシンポジウムを開催いたしました。シンポジストとして、全国連合
小学校長会特別支援教育委員会委員長の田中誠先生、全国特別支援学級設置
学校長協会会長瀧島順一先生、全国特別支援学校長会会長岩井雄一先生をお
迎えし、各立場からご提言をいただきました。

 2日目は、午前中には、文部科学省の宍戸和成視学官より「特別支援教育
をいかに教育課程に位置付けるか」と題したご講演を頂き、その後本研究所
の西牧謙吾上席総括研究員と、前日の基調講演やシンポジウムでの議論、午
後の分科会のテーマとも絡めながら特別支援教育の今後の展望について対談
を行いました。
 午後の3つの分科会では、自閉症、キャリア教育、複数の障害種への対応
をそれぞれキーワードに、教育課程の工夫の具体について、活発な協議が行
われ、参加者の皆様とさまざまな課題を共有できたのではないかと思います。
 また、2日目の昼休みには、20年度に終了した本研究所の研究についてポ
スター展示を行いました。

 本セミナーには、定員の700名を超える方々が参加されました。
 このセミナーを機会にみなさまの学校等での特別支援教育がさらに推進し
ていくことを願っております。
 2日間にわたるセミナーの記録及び工藤文三先生の基調講演のビデオ映像
については、後日、本研究所Webサイトに掲載しますので、是非ご覧下さい。

● 各地で開催されるNISE職員の参加する研究会等の紹介
1.「第11回自立活動フォーラムin長崎」の開催
 長崎自立活動研究会主催により標記の会が開催され、本研究所の徳永亜希
雄主任研究員が講演を行います。
  公開講演会
   「一人一人のニーズに応じた自立活動の指導」
  開 催 日  平成22年 2月20日(土)10:00~16:30
  場   所  東彼杵町総合会館(教育センター2階大会議室)

 ○詳細はWebサイトをご覧ください。こちら→
  http://www6.ocn.ne.jp/~najis/page008.html

★研究紹介★
●重点推進研究
「特別支援教育における教育課程の在り方に関する研究-複数の障害種への
対応及び幼・小学部から高等部までの一貫した教育課程の工夫-」(平成20
~21年度)

       研究代表者 千田 耕基(教育支援部長・上席総括研究員)

 平成19年度の特別支援教育への移行により、特別支援学校では、複数の障
害種への対応や一貫した指導体制を踏まえた教育課程編成の工夫等の課題が
あります。そこで、教育課程班では、特に複数の障害種に対応した教育課程
編成の工夫を中心とした実際的研究に着手しました。
 平成20年度は、複数の障害種に対応した教育課程を編成している特別支援
学校に対する実地調査を中心に、実際に取り組んでいる教育委員会及び特別
支援学校の参加による研究協議会を開催し、工夫や課題を検討し、これらを
平成21年 7月に中間報告書として刊行しました。
 平成21年度は、研究協力機関(6校)との協働により、複数の障害種に対
応した教育課程編成の工夫に関する実践内容を集約しました。また、研究協
議会では河合康氏(上越教育大学)に特別支援教育をめぐる教育課程の諸課
題について講演を依頼し、さらに、特別支援教育について先進的な取組をし
ているイギリスの動向を把握するため、DCSF(子ども・学校・家庭省)を中
心とした海外調査を実施しました。これらに、学習指導要領や関連法規等、
教育課程編成する上での基本的事項を整理し、本研究の成果報告書としてま
とめていきます。

◆ちょっと一息 季節のたより -節分の思い出-

 読者の皆さんは、2月といえばどんなことが思い浮かびますか?
 私は、2月といえば、節分が思い浮かびます。そして、節分といえば、京
都にある吉田神社の節分祭の追儺式(ついなしき)がイメージされます。
 その吉田神社の節分祭の追儺式(俗に「鬼やらい」)とは、不幸(鬼)を
追い払い幸福と平和な生活を願うために、平安朝の初期より毎年宮中にて執
行されていたものが、古式に則って厳修に伝承・継承されている神事なのだ
そうです。
 また節分は、各季節の始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日のこ
とで、「季節を分ける」ことも意味しているようですが、江戸時代以降は、
立春(毎年2月3日ごろ、閏年は2月4日ごろ)の前日を指すことが多いようで
す。
 でも幼い頃の私にとっての節分とは、歴史的なことや立春などの季節的な
ことよりも、吉田神社の節分祭の追儺式で出てくる赤鬼や青鬼などの鬼が怖
かったことや豆まきをしたら鬼が逃げていったこと、そして何よりも多くの
露店が並んでいたという楽しい思い出の一つです。
 メルマガ読者皆さんの地域ではどんな節分の行事が行われ、どんな思い出
があるのでしょうか?

            (発達障害教育情報センター 太田 容次 記)

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■特別支援教育関連情報
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●高等学校段階の弱視生徒のニーズに応えられるよう、教科用拡大図書の標
準的な規格を改正しました。

                  文部科学省初等中等教育局教科書課

 文部科学省では、障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普
及の促進等に関する法律(平成20年法律第81号。以下「教科用特定図書等普
及促進法」という。)第6条第1項により、教科用拡大図書等について標準
規格を定めることが規定されているため、「拡大教科書普及推進会議」を設
けて検討を行い、平成20年12月に小中学校段階の教科用拡大図書の標準的な
規格を策定し公表しました。
 一方で、高等学校段階については、「拡大教科書普及推進会議」の第二次
報告の中で、どのように拡大したらよいのかの条件や有効性の分析・検証等
は十分に行われていない状況にあるため、より望ましい拡大教科書のあり方
について、実証的な調査研究を行い、その成果を踏まえ標準規格を策定する
必要があるとの指摘がされていました。
 このため、高等学校段階における拡大教科書のあり方について、平成21年
度に文部科学省の委託研究により得られた実証データ等を元に「高等学校段
階における拡大教科書標準規格等検討会」において検討を行い、「高等学校
段階における拡大教科書の標準規格策定についての提言」が取りまとめられ
ました。
 文部科学省では、本提言を受け、教科用特定図書等普及促進法第6条第1
項の規定に基づき定める教科用拡大図書の標準的な規格の改正を行いました。
 改正した標準規格はWebサイトをご覧ください。こちら→
 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/kakudai.htm
(こちらのWebサイトには、教科書発行者が発行する教科書、都道府県教育
委員会の教科書関係事務主管課や特別支援教育主管課に設置されている「拡
大教科書相談窓口」などの情報を掲載しておりますので、ご参照ください。)

 高等学校段階における教科用拡大図書の標準的な規格の概要は以下のとお
りです。
◆全般的事項、各教科共通事項等については、小中学校段階の標準規格に準
ずること。
◆教科・科目の多様化や一層多様化する生徒のニーズ等にも応えられるよう、
各教科書発行者が作成・発行している原本教科書を単純拡大した拡大教科書
(「単純拡大教科書」)を規格の一つとする。
◆単純拡大教科書については、A4判を基本とする。また、原本教科書のレイ
アウトに準拠しつつ、必要に応じて文字の字体など小中学校段階の拡大教科
書と同様の体様及び仕様になるよう努めるものとする。

 今後、この標準規格により、各教科書発行者による拡大教科書の発行が促
進されることを願っています。

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■研修員だより
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 今号は、平成20年度特別支援教育研究研修修了の金澤聡先生からお寄せい
ただきました。

「タカラハタカラ」
 
             金澤 聡(青森県立八戸第一養護学校・教諭)

 特別支援教育研究研修員として参加することが決まったとき、私の尊敬す
る先輩教諭から頂いた言葉です。なにやら困ったときの呪文かと思いきや、
漢字に直してみると意味がわかります。
「宝は他から」
 コンピュータが発達し、欲しい情報が簡単に手に入る世の中にはなりまし
たが、宝と言えるほどのものはなかなか得難いものがあります。「人とふれ
あい、議論を交わし、ともに苦労を重ねた末に宝の交流が生まれる。本当の
宝とは人から得られるものである」という有り難いお言葉でした。
 白熱した研究協議や和気あいあいの宴を共にした研究所の先生方からは、
本やインターネットでは得られない(公私にわたる)お宝を惜しみなく提供
して頂きました。1年の研究研修を終え現場に戻った今、今度は私がそのお
宝を、青森県の教諭一人一人に草の根で広めていきます。
「宝は他から、他は宝」・・・かけがえのない1年を有難うございました。 

 ○青森県立八戸第一養護学校Webサイトはこちら→
  http://www.sanpachi-s.asn.ed.jp/~sh1/

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■編集後記

 寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。温暖な久里浜では実感
できませんが、天気予報で各地の雪マークをみては、学校訪問などで交流さ
せていただいた子どもたちや先生方の顔を思い浮かべております。多大な影
響を与えたインフルエンザの大流行も小康状態のようで、1月以降は休校の
数が激減しているようですが、今後とも注意は必要でしょう。また、一年間
の学習成果のまとめの時期を迎え、学校は一層活気づき、忙しい毎日のこと
と拝察いたします。体調管理等には十分に気をつけていきたいものです。
 多忙な中でご愛読いただく方々にとって価値ある情報提供ができるよう、
メールマガジンの充実に努めます。要望、ご意見などもお寄せいただけると
幸いです。
 今後とも、よろしくお願い申し上げます。

                  (第35号編集主幹 長沼 俊夫)

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    4月 2日は、国連で制定された「世界自閉症啓発デー」です
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第35号(平成22年 2月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
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