障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第38号

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      国立特別支援教育総合研究所メールマガジン
        第38号(平成22年 5月号)2010.5.1
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【目次】
■お知らせ
■NISEトピックス
 トピックス
 研究紹介
■特別支援教育関連情報
■研修員だより
■編集後記
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■お知らせ
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★NEWS★
●研究所の最新状況
◇研修現況報告 特別支援教育研究研修開講
 専門研究等に参画する研究研修(平成22年 4月14日~平成23年 3月18日)
が開講し、現在、各県等から派遣された5名の研究研修員が研究・研修に励
んでいます。
 なお、参画している研究課題は以下のとおりです。
【重点推進研究】
・特別支援学校(知的障害)高等部における軽度知的障害のある生徒に対す
る教育課程に関する研究(平成22年度~23年度)
・特別支援学級における自閉症のある児童生徒の「カリキュラムアセスメン
ト」(仮称)に基づいた教育課程編成に関する実証的研究(平成22年度~23年
度)
・発達障害のある子どもへの学校教育における支援の在り方に関する実際的
研究-幼児教育から後期中等教育への支援の連続性-(平成22年度~23年度)
【専門研究A】
・特別支援教育におけるICF-CYの活用に関する研究-活用のための方法試案
の実証と普及を中心に-(平成22年度~23年度)

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■NISEトピックス
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★トピックス★
●平成22年 4月 2日の自閉症啓発デーの報告

 世界自閉症啓発デーは今年で3年目を迎え、着実に啓発活動の輪を広げて
います。東京の国連大学で行われた日本実行委員会による今年のシンポジウ
ムは、総参加者は昨年を上回る361名となりました。このシンポジウムにつ
いては、全て日本実行委員会の公式サイトで動画として見ることができます。
 また、全国各地における啓発活動も広がりをみせており、昨年は29のイベ
ントだったものが、本年は92と大幅に増加しました。地域に密着して一般市
民の方々に自閉症について知っていただき理解を深める活動が今後一層広が
ることが期待されます。ただ、このような自閉症の啓発活動において、昨年
に続き今年も教育関係機関が主催もしくは後援で加わっているものが少ない
ことが残念に思われます。
 地域における啓発の推進として、筑波大学附属久里浜特別支援学校と国立
特別支援教育総合研究所が行った「世界自閉症啓発デー2010 in横須賀~自
閉症の世界を知ろうよ~」は、総参加者193名となりました。当日は子ども
連れ等の家族での参加者も多く、一般市民への自閉症の啓発という目的につ
いて、まずまずの成果をあげることができました。この様子の動画、及びア
ンケートの結果は本研究所の特設Webサイトで見ることができます。
  4月 2日に限らず、自閉症について多くの人たちに知ってもらい理解を深
めていく活動を行い、自閉症のある人とない人が、相互に認め合い尊重し合
って生きていける共生社会の実現を目指していきましょう。

 ○世界自閉症啓発デー日本実行委員会公式Webサイトはこちら→
  http://www.worldautismawarenessday.jp/

 ○本研究所の世界自閉症啓発デー特設Webサイトはこちら→
  http://www.nise.go.jp/waad/index.html

★研究紹介★
●専門研究B「特別支援学校及び通常の学校に在籍する視覚障害のある児童
生徒の教科指導の質の向上に関する研究」(平成20~21年度)

          研究代表者 田中 良広(教育相談部・総括研究員)
                                                                    
 特別支援教育制度への移行に伴い、児童生徒一人一人の特性等に応じた指
導を適切に行うことが一層求められています。
 本研究ではこれを踏まえ、視覚障害のある児童生徒の教科指導の充実に資
するという視点から、算数・数学の指導(研究A)と拡大教科書に関わる諸
問題の検討(研究B)の2つの柱を立てて2年間の研究を実施しました。
 研究Aでは新学習指導要領に準拠した形で、「数と計算」、「量と測定」、
「図形」、「数量関係」の4つのカテゴリーごとに指導上の配慮点等を整理
し、算数・数学のガイドブックとして研究成果を取りまとめています。
 研究Bでは、昨今の拡大教科書をめぐる諸問題を踏まえ、1.拡大教科書
の書式検討、2.原典教科書の色彩評価、3.拡大写本作成支援ソフトウェ
アの試作、4.拡大教科書に関わる海外情報の収集の4つの研究課題につい
て、実証的研究に取り組みました。
 本研究の成果が視覚障害教育に関わる教育施策に資するとともに、ガイド
ブックが実際の指導に携わっている方々に活用していただけることを期待し
ています。

◆ちょっと一息 季節のたより

 暖かくなってきたかと思うと、翌日には急に気温がさがったたり「今年は
異常気象」ということばを耳にしますが、毎年、同じような報道がされ、一
体正常な気象というのがいつのことだったかを思い出すことが難しい気がし
ます。 また、先日は、アイスランドの火山のためヨーロッパ中の空の便が
大打撃を受けるなど、人間は自然の前には無力であると改めて思い知らされ
ます。一方、オバマ大統領が、火星に人間を送る計画を発表するなど、新た
な挑戦が報じられました。
 挑戦と言えば、「教育は可能性の挑戦」ということばがあります。近年は、
子どもに無理を強いないという考えの影響なのか、「可能性の追求」とか
「挑戦」ということばが積極的に受け入れられていないようにも感じます。
 無力な自分が、自身の仕事を振り返り「もっと子どものことを考え、可能
性の追求をしなければ・・」と思う自分との距離をどうしたらよいか、ちょ
っと一息ついて、考えてみたくなりました。
                   (教育支援部 原田 公人 記)

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■特別支援教育関連情報
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●障がい者制度改革推進会議について

 我が国の障害者に係る制度の集中的な改革等を行うため、平成21年12月 8
日、閣議決定により「障がい者制度改革推進本部」が設置されました。
 この本部の下、障がい者制度改革推進会議が開催されており、第5回
(3/19)では教育等についての議論、第9回(4/26)では文部科学省、教育関係
団体等からのヒアリングが行われました。
 詳しくは、内閣府「障がい者制度改革推進会議」のホームページをご覧く
ださい。

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■研修員だより
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 今号は、平成21年度第二期特別支援教育専門研修修了の水本剛志先生から
お寄せいただきました。

「温故知新」
                    水本 剛志(福島県立盲学校)

 理療科の教員となって9年目、転勤もなく繰り返される毎日。良くも悪く
もマンネリ化しそうになっている自分を変えたい、そんな気持ちで研修に参
加しました。地元を離れ、慣れない場所での生活は不安でしたが、「みんな
特別支援学校の先生なんだから」という嫁の言葉を信じ、久里浜に向かいま
した。おかげさまで、良い方々に助けられ、何不自由のない70日を過ごすこ
とができました。
 盲学校しか知らない私には、他の学校の様子を聞き、熱く語り合う毎日は
新鮮で刺激的でした。全盲の私と全聾の研修員とで必死に携帯メールを使っ
て会話をしたり、釣りやバルーンバレーで盛り上がったり・・・。一人の視
覚障害モデルとして、周囲の皆さんにも何か感じていただけたのであれば、
私も参加した意義があったと思っています。
 講義や演習を通じて、見聞を広め、多くの知識を詰め込み、全国のおいし
い水をいただき、若干の消化不良の部分もありますが、精神的にも肉体的に
も成長できたように感じています。
 あれから半年が過ぎ、盲学校に在籍する単一の視覚障害児童生徒が減少す
る中で、視覚障害教育の専門性をどう維持・継承していくか、講義等で伺っ
た多くの古き良き知見を現在の状況に合わせ対応させていく難しさを日々感
じているところです。新しきを知るまではまだまだ長い道のりが続きそうで
すが、研究所で出会った皆様とのネットワークを大切に、今後の教員生活に
役立てていきたいと思います。

 ○福島県立盲学校のWebサイトはこちら→
  http://www.fukushima-sb.fks.ed.jp/

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■編集後記

 国立特別支援教育総合研究所メールマガジン第38号をお届けいたします。
 皆さん、いかがお過ごしでしょうか。新年度がスタートして1ヶ月、早い
ものでもう5月に入りました。新緑の色が増す季節を迎えます。子供たちに
とっても皆さんにとっても過ごしやすいと感じられる季節ではないでしょう
か。
 この時期、季節の変わり目でもありますので、風邪などひかれませんよう、
どうぞご自愛いただければと存じます。
 今後ともご愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。
 
                   (第38号編集主幹 土井 幸輝)

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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第38号(平成22年 5月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
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