メルマガ連載記事 「特別支援教育に役立つアシスティブ・テクノロジー」
第6回


特別支援教育に役立つ支援機器の紹介-その3:読むこと、書くこと-
 

棟方 哲弥 (企画部 総括研究員)  
 

はじめに

 読むことと書くことは、学習に欠かせない活動であり、アシスティブ・テクノロジーの活用の中でも、特に特別支援教育らしい活用分野と言えます。
 今回も東京大学の『エイティースクウェアード』、国立特別支援教育総合研究所の『支援機器等映像マニュアル』、『iライブラリー』、保健福祉広報協会の『福祉機器製品検索』、テクノエイド協会の『福祉用具情報システム』などから紹介します。
 これらのデータベースについては、第4回目で紹介していますので、それぞれのサイトの説明をご覧になる方は下記(連載第4回目)をご参照下さい。
http://www.nise.go.jp/cms/6,6905,13,257.html
  

一覧表:特別支援教育に役立つ支援機器-読むこと、書くこと- [154KB pdfファイル]  

 一覧表は、上から順にローテクからハイテクへと支援機器が並ぶようにしています。それぞれの項目に該当すると思われた支援機器名称を挙げて、説明や詳細情報を紹介したリソースを記述しています。
 ところで、前回までに紹介してきた「コンピュータへのアクセス」、「コミュニケーション」に比べると上の4つのデータベースに掲載されている製品の数が少ないことに気づきます。これは、それぞれのデータベースの特徴によるものです。
 このため読み、書きなどの指導に関する情報のうち、とりわけローテクに属する支援の手立ては国立特別支援教育総合研究所の発達障害教育情報センターや特別支援教育教材の紹介や一般の文房具紹介のサイトを合わせて探索をしてみてください。

特別支援学校における最近の活用事例 
-国立特別支援教育総合研究所のアシスティブ・テクノロジーに関する研究報告書から-

 これらの機器やソフトウェアを活用した例をあげておきたいと思います。上記の報告書では研究協力機関から得られた“アシスティブ・テクノロジーを活用した実践や特定の機器を使った経験”のリストが掲載されています。その中から「読むこと、書くこと」に関連する活用の実践タイトルを紹介します。実際の活用事例の一部は巻末に上げたケースブックにも掲載されています。

  1. 全盲の生徒を対象に,スクリーンリーダを活用してコンピュータの操作(Windows基本操作,メールの送受信,ホームページの閲覧など)を行わせた事例(愛媛県立松山盲学校)
  2. ロービジョンの生徒を対象に,画面配色設定の変更,画面拡大ツール,マウスカーソルを見やすくするツールなどを活用してコンピュータの操作(Windows基本操作,メールの送受信,ホームページの閲覧など)を行わせた事例(愛媛県立松山盲学校)
  3. インテリキーを活用したグループウェア掲示板書き込み支援(滋賀大学教育学部附属特別支援学校)
  4. 簡単キーボード(デカ文字)を活用したグループウェア掲示板書き込み支援(滋賀大学教育学部附属特別支援学校)
  5. 上肢機能に不自由さがみられ作図が困難な生徒に,作図ソフトを利用して図形学習を行った事例(筑波大学附属桐が丘特別支援学校)
  6. トーキングエイドを使用して,語い学習の導入に取り組んでいる事例(筑波大学附属久里浜特別支援学校)
  7. パソコンでの文字入力の習得を目指した取組(筑波大学附属久里浜特別支援学校)
  8. パワーポイントを活用した音楽の授業楽譜の理解を促す取組(筑波大学附属久里浜特別支援学校)
  9. PICシンボルを用いたLLブック制作の試み(シンボルを利用し読みの支援,語彙の理解を図った実践)(大阪府立茨木支援学校)
  10. パワーポイントと改造マウス・スイッチを利用し,国語の授業で電子絵本活用した実践(大阪府立茨木支援学校)

(同報告書, pp.66-69より抜粋)

 終わりに

 読むこと、書くことを行うためには、それぞれに複合された能力を要求されます。例えば、読むことは、書かれた文字を認識し、それを単語や文章として構成し、それぞれの意味や、総合的な意味を理解することに分かれると思います。また、書くことは、伝えようとする内容を単語や文章で考えて、ひとつひとつの文字に置き換えて筆記することになります。
 読むこと、書くことのためのアシスティブ・テクノロジーを活用する際には、それぞれの活用目的を明確にしておくことが、その選択と評価をする上に大変に重要です。

注:本資料では、一部に具体的な支援機器の名称が紹介されていますが、このほかにも多くの製品があると思います。ここでは特別支援教育に役立つアシスティブ・テクノロジーについて実際的な知識を得ることが目的であり、特定の製品を推奨するものではありません。
 

文献・サイト(サイトは全て平成24年8月27日に確認済み)

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