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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第84号(平成26年3月号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━
■目次
【1】お知らせ
・平成26年度研究課題にかかる研究協力機関の公募について
・世界自閉症啓発デー2014について
・NISE市販書籍情報
【2】NISEトピックス
・平成25年度国立特別支援教育総合研究所セミナーの報告
・インクルーシブ教育システム構築に向けて(全6回連載)
 第1回 障害者権利条約の概要と批准までの経緯
【3】NISEダイアリー
【4】研修員だより
【5】アンケートのお願い
【6】編集後記

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【1】お知らせ
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●平成26年度研究課題にかかる研究協力機関の公募について
 前々号でお知らせしたように、平成26年度に実施する研究活動について、
意見募集を行い、教育関係者をはじめ広く国民の皆様のご意見をお寄せくだ
さいましてありがとうございました。
 本研究所では、広く関係機関等と連携し、より良い研究活動を推進するた
め、研究協力機関等の公募制度を平成24年度実施研究から開始しており、現
在、平成26年度実施の専門研究A・Bのうち新規研究課題を中心に、研究協
力機関の公募について、各都道府県教育委員会等に照会を開始しています。
 詳細は、Webサイトにも掲載しています。

●世界自閉症啓発デー2014について
 毎年4月2日は、国連総会で定められた世界自閉症啓発デー(World Autism
 Awareness Day)です。
 我が国では世界自閉症啓発デー・日本実行委員会が組織され、本研究所は
共催機関としてこれに参加して、自閉症の啓発活動を行っています。
 世界自閉症啓発デー2014では、「共に支え合う-みんなで作ろう、やさし
い街を」をテーマとするシンポジウムを、 3月29日(土)に、全社協・灘尾
ホール(新霞が関ビル:東京都千代田区霞が関)で開催します。また、4月
2日(水)の夕方には、東京タワーブルーライトアップ企画を行います。
 詳しい内容につきましては、世界自閉症啓発デー・日本実行委員会のWeb
サイトをご覧ください。

○世界自閉症啓発デー・日本実行委員会のWebサイトはこちら→
 http://www.worldautismawarenessday.jp/

●NISE市販書籍情報
 本研究所が実施した二つの専門研究の研究成果報告書が、市販書籍として
出版されました。

○すべての教員のためのインクルーシブ教育システム構築研修ガイド

 専門研究A「インクルーシブ教育システムにおける教育の専門性と研修カ
リキュラムの開発の関する研究」(平成23年度~24年度)研究成果報告書を
市販書籍として出版したものです。すべての教員に求められる資質・能力と
は何かについて、それらを習得するための研修ガイド(試案)とともに紹介
しています。
 B5判/本文196ページ
 ISBN: 978-4-86371-249-2
 発行日: 平成26年1月
 出版社: ジアース教育新社
 定価: 1,890円(本体1,800円+税)

○共に学び合う インクルーシブ教育システム構築に向けた児童生徒への配
 慮・指導事例-小・中学校で学習している障害のある児童生徒の12事例-

 専門研究A「インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別な支援を必
要とする児童生徒への配慮や特別な指導に関する研究-具体的な配慮と運用
に関する参考事例-」(平成23年度~24年度)研究成果報告書を市販書籍と
して出版したものです。現在の基礎的環境整備の中でどのような合理的配慮
ができるかという視点で、具体的な12事例を紹介しています。
 B5判/本文136ページ
 ISBN: 978-4-86371-250-8
 発行日: 平成26年1月
 出版社: ジアース教育新社
 定価: 1,785円(本体1,700円+税)

○NISE市販書籍一覧はこちら→
 http://www.nise.go.jp/cms/7,0,32,139.html

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【2】NISEトピックス 
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●平成25年度国立特別支援教育総合研究所セミナーの報告
             牧野 泰美(教育研修・事業部 総括研究員)

 本研究所では、平成25年度国立特別支援教育総合研究所セミナーを、平成
26年1月30日(木)~1月31日(金)の二日間にわたり、「インクルーシブ教
育システム構築に向けた特別支援教育の推進-学校・地域の取組に視点を当
てて-」をテーマに開催しました。会場の国立オリンピック記念青少年総合
センター(東京都渋谷区代々木)には、例年より多い1,000人近い参加者を
お迎えすることができ、インクルーシブ教育システムへの関心の高さと熱気
を感じました。
 1日目は、文部科学省の行政説明に引き続き、セッション1として「イン
クルーシブ教育システム構築に向けた学校・地域の取組」をテーマに基調講
演及びシンポジウムを行いました。石隈利紀氏(筑波大学副学長/附属学校
教育局教育長)による基調講演では、「みんなが資源、みんなで支援」の理
念のもと、学校心理学の立場から、心理教育的援助サービス、学校・家庭・
地域の連携等について具体的に論説され、シンポジウムでは、中学校、特別
支援学校、教育委員会、保護者(親の会)のそれぞれの立場からシンポジス
トをお迎えし、学校・地域における実践や、現状における課題を出し合いま
した。その後、石隈氏による指定討論や参加者を交えた意見交換を行い、今
後の展開を議論しました。参加者各々が、それぞれの立場で、学校・地域に
おける今後の取組を考える時間となりました。
 2日目午前のセッション2では、前半に、本研究所が取り組んでいる特別
支援教育におけるICTの活用に関する三つの研究(「デジタル教科書・教材
の試作を通じたガイドラインの検証」、「特別支援学校(視覚障害)におけ
る教材・教具の活用及び情報の共有化に関する研究」、「特別支援学校(肢
体不自由)のAT・ICT活用の促進に関する研究」)についての経過を報告し
ました。後半には、今年度の本研究所の事業及び調査に関するトピックとし
て、インクルーシブ教育システム構築支援データベース作成の経過と現状、
文部科学省が平成24年12月に公表した「通常の学級に在籍する発達障害の可
能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果につい
て」のフォローアップ調査の経緯を紹介しました。前半、後半とも、参加者
から有益な質問や意見が出されました。
 昼食休憩時には、本研究所が昨年度まで取り組んだ研究課題のポスター発
表と、病弱・身体虚弱教育、言語障害教育、重複障害教育の各分野の基本情
報や最近のトピックについての展示及び説明を行い、参加者との意見交換を
行いました。
 2日目午後のセッション3では、三つの研究課題の成果発表を分科会形式
で行いました。第1分科会では「特別支援学校及び特別支援学級の教育課程
の現状と課題」、第2分科会では「自閉症のある児童生徒の算数科・数学科
の指導」、第3分科会では「高等学校における特別支援教育の今、これから
を語る」をテーマに、それぞれの研究成果を報告するとともに、参加者との
質疑応答、意見交換などを通して協議を深めました。
 二日間のセミナーの要点の記録は、本研究所のWebサイトに掲載する予定
です。

○この記事に関する詳しい内容はこちら→
 http://www.nise.go.jp/cms/9,8799,22,119.html

●インクルーシブ教育システム構築に向けて(全6回連載)

 第1回 障害者権利条約の概要と批准までの経緯
            新谷 喜之(国立特別支援教育総合研究所理事)

  平成18年12月の第61回国際連合総会において、「障害者の権利に関する条
約」が採択されました。この条約は、障害者の人権及び基本的自由の享有を
確保し、障害者の固有の尊厳を促進することを目的として、障害者の権利の
実現のための措置等について規定するものです。
 この中で、教育については第24条に規定されており、同条約が求めるイン
クルーシブ教育システム(inclusive education system)について、障害の
ある者が一般的な教育制度(general education system)から排除されない
こと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、
個人に必要な「合理的配慮」(reasonable accomodation)が提供されるこ
と等が必要とされています。
 この条約の批准に向けた検討を進めるため、我が国では平成21年12月に、
障害者施策の推進に関する事項について意見を求めるため、障害者、学識経
験者から構成される「障がい者制度改革推進会議」を設置、翌年7月には文
部科学省からの審議要請を受けて、中央教育審議会初等中等教育分科会(以
下、初中分科会という。)に「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」
を設置し、様々な議論を重ねてきました。
 そして、平成23年8月、障害者基本法の一部を改正する法律が公布・施行
され、教育について、国及び地方公共団体は、障害者が十分な教育が受けら
れるようにするため、可能な限り障害者である子どもが障害者でない子ども
と共に教育を受けられるよう配慮しなければならない等の規定が定められま
した。
 また、平成24年7月には、「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育
システム構築のための特別支援教育の推進」という初中分科会報告が、取り
まとめられました。
 その後、平成25年6月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法
律」の制定(施行は一部の附則を除き平成28年4月)や就学手続の見直しの
ための学校教育法施行令の改正(平成25年9月施行)など必要な国内法令の
整備等を進め、同年12月に国会で承認され、平成26年1月20日に批准されま
した。なお、本条約は平成26年2月19日に我が国について効力を生ずること
となりました。
 先に述べました初中分科会報告の要点については、次号で説明します。

○この記事に関する詳しい内容はこちら→
 インクルーシブ教育システム構築支援データベース「基礎的情報」
 http://inclusive.nise.go.jp/

○次回以降の内容(予定)
 第2回 中央教育審議会初等中等教育分科会報告「共生社会の形成に向け
    たインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」
    の要点
 第3回 インクルーシブ教育システム構築支援データベース
 第4回 本研究所におけるインクルーシブ教育システム構築に関する研究
 第5回 本研究所におけるインクルーシブ教育システム構築に関する研修
 第6回 合理的配慮の実践事例の公表

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【3】NISEダイアリー
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         「私 水仙。ここに います。」

 研究所のある横須賀市野比は、東京湾の一部である「金田湾」に面してい
ます。左手の奥には房総半島の鋸山が見渡せ、右手の三浦半島の先には伊豆
大島の三原山が望まれます。天気がよいときには、右手の中程、ちょうど三
浦海岸のマンションなどの建物の奥に伊豆半島の天城山などが眺められ、季
節によっては、そこに夕陽が沈む景色を望むこともできます。
 そんな自然に恵まれた環境の中で、金田湾に面した海沿いの道の土手に、
地元の人たちの世話で水仙が植えられています。その中に、白くて小さな看
板が立てられており、そこに上記の言葉が記されています。
 2月半ば、水仙が群生する中にぽつんと立っているので、見つけるのが大
変ですが、小柄な水仙の花と同じように、ひっそりと何かを訴えています。
 私は、聾学校の教員でしたので、「耳の不自由な子供だったらどんなふう
にこの言葉を読み取るのかな?」と興味が湧いてきます。
 擬人法で表現されている短い文の内容の読解ということになりますが、花
が咲いているときは、想像しやすいものの、球根を植えたばかりのときや、
葉が少し伸び始めたときなどは、この立て看板の役割が重要になります。ま
た、「ここ」という指示代名詞の解釈についても、子供に考えさせたいもの
だと、いろいろと想像が膨らみます。
 実は、私は久里浜特別支援学校にもいました。そこで、知的障害を併せた
自閉症の子供と関わりました。看板にある「『私』とは、だれのこと?」、
「人でもないのに、『私』と言うの?」などのやりとりが、頭に浮かんでき
ます。
 そして、看板の主題である、「ここに私がいるから、気を付けてね。」と
いう植えた人の気持ちを想像させたいと思います。身近なものを用いて一緒
に考えること、これは、障害の違いに関わらず、大切なことのように思えま
す。
           宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)

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【4】研修員だより
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 今号は、平成16年度第三期短期研修(特殊教育中堅教員養成研修)を修了
された逵直美先生からお寄せいただきました。

過去を振り返り、未来を見据え、今を大切にする!
            逵 直美(三重大学教育学部附属特別支援学校)

 いつの日も久里浜の海は、美しく凜としています。

 特総研で行われる研究会に参加するたび、宿泊棟の自室からみた久里浜の
海が目に浮かびます。
 私が参加した平成16年度第三期短期研修は、特別支援学校になる前の過渡
期で、一人一人のニーズに応じた適切な指導及び必要な支援を行う「特別支
援教育」に転換することが求められる中、「ニーズ」や「連携」がキーワー
ドであったと思います。
 日々の研修は、専門性が高く、最新の情報を特総研の先生方や様々な分野
の講師の方々から学ぶことができました。「これからの特別支援学校はどの
ようになっていくのだろう」と期待をもちながら、仲間と共に語りあい、充
実した時間を過ごすことができました。
 また、短期研修での大きな出会いであるICFの視点は、研修終了後も進路
指導からキャリア発達、そしてICT教育等の実践を通して、今現在も多くの
人との出会いに繋がっています。そして、障害者権利条約が批准され、今後
の特別支援教育とICFの視点との関連は更に深まるのではないかと新たな出
会いに期待しているところです。
 このように短期研修の学びを通して得られた出会いは、形を変えながらも
今現在に繋がっていると実感しています。
 今後も子どもたちの将来がより豊かになるように、今、何ができるのかを
考えながら、ぶれずに凜として過ごしいきたいと思います。

 久里浜の海を思い出しながら…。

○三重大学教育学部附属特別支援学校のWebサイトはこちら→
 http://www.fuzoku.edu.mie-u.ac.jp/tokushi/

※「短期研修」は、平成19年度以降、「特別支援教育専門研修」と名称及び
内容を変えて実施しています。

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【5】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

○アンケートはこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=74941&lang=ja
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【6】編集後記
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 3月は卒業の季節です。仲間との別れ、そして新しい旅立ちと出会いに備
えるこの時期に、「人生の節目」を感じた方も多いのではないでしょうか。
 さて、今号から新しい連載が二つ始まりました。研究所の身近な話題をお
届けする「NISEダイアリー」とインクルーシブ教育システム構築関連の情報
をお知らせする新企画です。新しい連載は本メルマガにとっての一つの節目
と言えますが、「インクルーシブ教育システムに向けて」の第1回目で取り
上げた障害者権利条約の批准は、我が国にとっての歴史的な節目の一つであ
り、特別支援教育においても大きな節目となる出来事だと思います。インク
ルーシブ教育システム構築関連の情報入手の一つとして、新連載の今後の内
容にぜひご期待ください。
 研修員だよりでは、研修の学びを節目として現在に繋げているという元気
いっぱいの便りを、逵先生よりお寄せいただきました。ありがとうございま
した。
 本研究所メールマガジンでは、今後も特別支援教育関連の情報を発信して
まいります。引き続きご愛読の程どうぞよろしくお願いいたします。
                    (第84号編集主幹 松見和樹)

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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第84号(平成26年3月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp
          ([アットマーク]を@にして送信してください。)

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てはこちら→
     http://www.nise.go.jp/cms/6,3646,13.html

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