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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第146号

メールマガジン

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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第146号(令和元年5月号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━
■目次
【お知らせ】
・2019年度発達障害教育実践セミナーのご案内
・世界自閉症啓発デー2019について(終了報告)
【NISEトピックス】
・NISE各部・センターの活動紹介(1) 研究企画部の活動について
【特総研ジャーナルの紹介】
・研究報告及び国際会議・外国調査等報告について
【NISEダイアリー】
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】

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【1】お知らせ
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●2019年度発達障害教育実践セミナーのご案内
 7月17 日(水)、 18日(木)に本研究所において「2019年度発達障害教
育実践セミナー」を開催します。今年度は、家庭と教育と福祉の連携を推進
する「トライアングル」プロジェクト報告
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1404500.htm
 を踏まえ、「発達障害者支援における家庭と教育と福祉の連携を推進するた
めの教員研修の在り方」をメインテーマとしました。主な内容として、
(1)行政説明、(2)基調講演、(3)パネルディスカッション、
(4)実践紹介を計画しています。
 本セミナーでは、各自治体における研修の充実をねらいとし、参加対象を
「都道府県・指定都市・中核市の教育委員会及び教育センターの研修担当の
指導主事」としています。研修担当の指導主事の皆様の積極的な参加をお待
ちしています。
 実施要項につきましては本研究所HPに掲載しております。

○2019年度発達障害教育実践セミナー実施要項等はこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/news/page_20190416005200
 

●世界自閉症啓発デー2019シンポジウムについて(終了報告)
 自閉症啓発デー2019・シンポジウムが、4月6日(土)に全社協・灘尾ホ
ール(東京)で開催されました。今回のテーマは『 輝く人・照らす人 』で、
シンポジウムには327人の参加がありました。今年度は3つのテーマが企画
されました。「地域を照らす人」では、各市の支援体制や事業者の積極的な
取組について意見交換が行われました。「TVの中で輝く人・照らす人」で
は、テレビというマスメディアを使った自閉症への理解啓発の可能性につい
て意見交換が行われました。「暮らしの中で輝く人・照らす人」では、自閉
症のある方が家族と共に成長を喜び合う取組の様子が紹介されました。
 会場には自閉症のある方の作品や応援メッセージが展示され、昼食休憩中
には東京タワー啓発イベントのビデオ上映もありました。今年はセサミスト
リートのキャラクターも参加し、青いハートの点灯に参加する様子が映し出
されました。シンポジウムの最後は全国からの当事者メッセージが流れ、温
かい雰囲気の中で閉会しました。
 世界自閉症啓発デー日本実行委員会公式サイトには、年間を通じて、会場
で展示された自閉症のある方の絵画等の作品や本シンポジウムへの応援メッ
セージが掲載されています。ぜひご覧ください。

○世界自閉症啓発デー日本実行委員会公式サイトはこちら→
 http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/index.php?action
=pages_view_main&page_id=13


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【2】NISEトピックス
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●NISE各部・センターの活動紹介(1) 2019年度の研究企画部の活動につい

              棟方 哲弥(研究企画部長/上席総括研究員)

 本研究所は、事業部門として総務部を含めて4部、2センターが設置され
ています。研究企画部は、研究所で行われる調査及び研究に関する企画立案、
さらに評価などの研究支援活動全般を担う重要な役割を果たしています。研
究所の研究課題は、内部評価、外部評価を経て、公表されます。その後は、
研究成果の普及を図り、実際の活用度を調査するなど、研究所で実施された
研究の成果が、国の政策立案や教育現場の喫緊の課題の解決のために真に活
用されることを目指して活動を行っています。
 これらは本研究所のミッションを達成するための4つのビジョン(方向性)
の一つである「国の特別支援教育政策立案及び施策の推進等に寄与する研究
及びその成果の普及」事業であり、我が国唯一の特別支援教育のナショナル
センターとして(1)国として特別支援教育政策上重要性の高い課題に関す
る研究、(2)教育現場等の喫緊の課題に対応した実際的研究を組織的かつ
戦略的に実施するための重要な業務となっています。
 2019年度は、基幹研究(横断的研究)2課題、基幹研究(障害種別研究)
5課題(このうち新規研究課題が3課題)、地域実践研究4課題を主に実施
していきます。新年度は、重点事項として、これらの研究の推進のみならず、
教育委員会、特別支援学校、小学校・中学校、高等学校等への研究成果の普
及にも配慮することとしています。このためには、文部科学省、地方自治体、
全国の学校長会等との研究リソースの共有、都道府県等の教育センター等と
の連携などが重要となります。このほか、研究活動において大学等との連携
協力を一層推進するための新たな仕組みを検討しおり、所内においては、研
究職員の研究力向上や研究設備備品の整備などの支援を推進することにして
います。
 2019年度の研究企画部は、新メンバーを含む6名体制で、実際的な研究の
成果が教育現場でより活用してもらえるよう、文部科学省はもとより、教育
現場、教育委員会・教育センターとの積極的な連携をモットーに活動して参
ります。

○研究成果物のリストはこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/report_material/research_results_publicat
ions/result_list

○研究企画部の掲載された組織体制はこちら→
  https://www.nise.go.jp/nc/about_nise/organization

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【3】特総研ジャーナルの紹介
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●研究報告及び国際会議・外国調査等報告について
 本研究所では、本研究所の研究所をはじめとする様々な活動内容を紹介す
る「特総研ジャーナル」を毎年作成し、Webサイトに掲載しています。その
特総研ジャーナルの内容を今号から数回に分けて紹介します。
 まず、研究報告及び国際会議・外国調査等報告に関しては、下記のような
内容を掲載しています。
-研究報告-
 ・特別支援教育の対象となる(通常の学級を除く特別支援学校,特別支援
学級に在籍する)病気のある児童生徒の病類に関する疫学的検討~全国病弱
虚弱教育研究連盟の病類調査報告~
 ・精神疾患及び心身症のある児童生徒への教育的支援・配慮に関する研究
-多層的多階層支援(Co-MaMe)の提案-
 ・困難さに着目した支援機器等教材活用実践事例フォーマットの改訂
-国際会議・海外調査等報告-
 ・医学物理学及び医用生体工学に関する国際会議への参加及び視覚障害者
支援に関する情報収集を目的とした大学訪問
 
○国立特別支援教育総合研究所ジャーナル第8号はこちら→
 http://www.nise.go.jp/nc/report_material/research_results
_publications/seminar_materials


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【4】NISEダイアリー
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            「子どもは変わる」
            宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)

 「子どもは変わる」という題にしたが、その末尾には、「?」と「!」の
両方が付けられる。果たして、読者は、いずれをお考えだろうか?私は、「
!」を付けたいと思う。しかし、希望や思い込みではいけないのではないか。
実践や研究を通して、実感したいものだと思う。
 3月の中頃、隣の学校で卒業証書授与式が行われた。毎回、参加させてい
ただき、お祝いの言葉を述べさせて貰う。今回は、私が久里浜特別支援学校
に赴任した時から数えて、9年目になった。9年と言うと、久里浜で幼稚部
の年少組に入学した子どもが、幼稚部3年間、そして、小学部に進んでから
6年間の、併せて9年間を過ごし、久里浜を卒業していく歳になる。そんな
訳で、私の印象に残った「ある男の子」について、その9年間を振り返り、
「お話」として、短くまとめ、出席された方々にお伝えしてみたいと思った。
 その男の子を通して、「どんな子どもでも変わる(成長する)!」という
思いを改めて強くした。いや、「そのような可能性を子どもから教えていた
だいた」という方が、正しいかもしれない。
 その子は、幼稚部入学時、玄関から入っても、そこに置いてある長椅子に
掛け、なかなか教室に行こうとしなかった。給食の際も、食べられない物が
多かった。3年目も終わる頃、幼稚部の修了式の練習では、なかなか式場に
入ることができなかった。本番では、どうにか参加してくれたが…。
 その後、小学部に入学した。お母さんの車で登校していたが、なかなか車
から出て来られない日々が続いた。運動会では、競技に参加せず、グランド
の片隅で、受け持ちの先生から参加を促されたり、日常の会話を交わしたり
していた場面が目に浮かぶ。
 そんな男の子だったが、高学年になり、時々、授業参観にお邪魔すると、
クラスで机に向かっている場面が増えてきた。そして、6年生になった頃に
は、筑波大学の他の附属の子ども達との交流会にも参加し、海でカヌー体験
もするようになった。修学旅行にも参加し、ロープウェーに乗ったことが楽
しかったのか、その思い出を絵に描いていた。
 さらに、私の印象に残った出来事がある。卒業を控えた2月、小学部の子
ども達全員での集会で、司会を務めていた4年生の女の子が、6年生に団扇
を渡す場面があった。女の子は、6年生の居場所が分からず、団扇を渡すの
に戸惑っていた。すると、その男の子は、自分の席からスーッと女の子の近
くまで出て行き、手を出して団扇を受け取ってあげた。とっさの行動に驚い
たが、私は、男の子が場面を理解し、女の子の気持ちを推察したと感じた。
 これらの出来事をもとに、「子どもは変わる(成長する)」ということを
伝えたくて、絵や写真などを入れたスライドを使いながら、卒業式で「ある
男の子のお話」をさせていただいた。勿論、その男の子が特定されないよう
に工夫して。すると、男の子は、私の話やスライドを眺めていて、自分のこ
とだと気付いたようだ。卒業式で設けられた「自分の思い出を話すコーナー
」で、みんなと一緒に活動できなかった自分について触れていた。
 どんな子どもでも変わる(成長する)ことを私は信じたいと思う。それは、
学校現場の子どもの姿や私の体験から導き出した思いそのものである。

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【5】研修員だより
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 今号は、平成29年度第一期特別支援教育専門研修を修了された松本笑先生
からお寄せいただきました。

          「学び続ける教師を目指して」
                 松本 笑(静岡県立天竜特別支援学校)

 2か月間の研修は大変貴重なものとなり、様々な角度から特別支援教育の
知識を学ぶことができました。特に、昨年度は校内の自立活動課長という立
場で、学んだことを伝達したり実践したりすることができました。
 私にとって、専門研修での講義、演習、グループワークなど全てが新鮮で、
学ぶことはこんなに楽しいことだということを実感することができました。
どんな子どもでも、「やってみたい」「知りたい」「学びたい」と思ってい
るはずです。生涯にわたって学び続ける喜びを子どもたちに伝えていくため
にも、私自身がいつまでも学び続け、新しい知見やより広い視野を持つ教師
像を目指し、人間的に魅力ある存在になりたいと思っています。
 専門的な知識や理論を御教授いただいた研究所の先生方、講師の先生方、
研修で出会った全国の研修員の先生方とのつながりに、感謝しています。
 4月より静岡県立天竜特別支援学校(病弱教育)に勤務しています。これ
からもいつも支えてくださる方々に感謝の気持ちをもちながら、子どもたち
を真ん中にして、最後までやり遂げる意志をもって学校運営に参画していき
たいと思います。

○静岡県立天竜特別支援学校のWebサイトはこちら→
 http://www.edu.pref.shizuoka.jp/tenryu-sh/home.nsf/IndexFormView
?OpenView


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【6】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

○アンケートはこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=97698&lang=ja

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【7】編集後記
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 メールマガジン第146号をお読みいただきありがとうございました。
 時代は平成から令和へと移りました。そんな折に、我々の日常生活を振り
返りながら、昭和から平成へと引き継がれ、そして令和の時代にも引き継が
れる生活に身近な物に何があるか、考えてみました。その一つとして、即席
麺を思いつきました。
 即席麺は、戦後の混乱の中、「食」の重要さから手軽に食べられる食品と
して開発されました。我が国で誕生した即席麺は、他国の多様な文化でも受
け入れられるよう改良され、世界中で食されるようになり、今や宇宙食へと
発展を遂げています。その開発の道のりは険しく、苦労に苦労を重ね、やっ
との思いで開発をしたことかと思います。しかし即席麺を開発した安藤百福
氏は、「野中の一本杉としてではなく、森として、産業として発展させたい
」と協会を設立し、よく似た粗悪品によるクレームが入るなどの経験を踏ま
え、自社の特許技術を公開し、ライセンス契約によって品質向上と業界発展
に寄与しました(広報誌「とっきょ」2018年12月・2019年1月号より)。苦
労を重ねてやっとの思いで開発した技術を独占するのではなく、消費者のこ
とを考え関係者に情報を提供することで、全体の底上げを図った安藤氏には
敬服するとともに、特別支援教育においても、学ぶべき点があるとふと思い
ました。
 平成19年からはじまった特別支援教育は、インクルーシブ教育システムの
構築の中で、対象とする障害種や障害のある子どもたちの学ぶ場が拡充しま
した。そして平成29・30年に学習指導要領の改訂が行われ、その理念に基づ
く特別支援教育の実践は平成から令和へと引き継がれました。特別支援学校
が特殊教育時代から培ってきた指導に関する様々なノウハウを、どのように
国内外の保育園・幼稚園、小・中学校、高等学校等に提供・還元し、障害の
ある子どもたちに対する指導を充実させるか、我が国の特別支援教育の真価
が問われる時代とも言えるのではないかと感じています。研究者として、特
別支援教育の充実と発展に向けて不退転の覚悟をもって、この先10年・20年
先を展望しながら現場を支える研究をしっかり行っていきます。
                  (第146号編集主幹 北川 貴章)

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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第146号(令和元年5月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
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> 発達障害の情報を知りたいとき
 【発達障害教育推進センターweb】
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