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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第159号

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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第159号(令和2年6月号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━
■目次
【NISEトピックス】
・NISE各部・センターの活動紹介(2)令和2年度の研修事業部の活動につい
て 
【海外情報の紹介】
・フランス国立特別支援教育高等研究所(INS-HEA)への訪問について
【特総研ジャーナルの紹介】
・学会等参加報告及び事業報告について
【NISEダイアリー】
【研修員だより】
【高齢・障害・求職者雇用支援機構からのお知らせ】
【アンケートのお願い】
【編集後記】

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【1】NISEトピックス
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●NISE各部・センターの活動紹介(2)令和2年度の研修事業部の活動につい

              澤田 真弓(研修事業部長/上席総括研究員)

 研究所は、我が国唯一のナショナルセンターとして、各都道府県等におけ
る特別支援教育政策や教育実践等の推進に寄与する研修事業を展開していま
す。
 具体的には、二つの事業があります。
 一つ目は、「国の政策課題や教育現場のニーズ等に対応できる指導者の専
門性の向上」、二つ目は、「各都道府県等が実施する教員の資質向上に関わ
る支援」です。
 一つ目の「指導者の専門性の向上」は、来所による研修です。各障害種別
のコース・プログラムで行う約2か月の宿泊型の専門研修で3コース7プロ
グラムを開設しています。また、特別支援教育施策上や教育現場の喫緊の課
題に対応した指導者研究協議会、「高等学校における通級による指導に関わ
る指導者研究協議会」は2泊3日、「特別支援教育におけるICT活用に関わ
る指導者研究協議会」や「交流及び共同学習推進指導者研究協議会」は、1
泊2日の研修です。
 そして、全国特別支援学校長会との連携研修として、「特別支援学校寄宿
舎指導実践協議会」、「特別支援学校「体育・スポーツ」実践指導者協議会」
があります。
 その他、発達障害教育の実践的な指導力の向上を図るための「発達障害教
育実践セミナー」があります。
 次に二つ目の事業、「教員の資質向上に関わる支援」の研修です。これは、
インターネットを活用した研修です(パソコンやタブレット、スマートフォ
ンから視聴可能)。令和2年度より、「NISE学びラボ~特別支援教育eラー
ニング~」として、リニューアルし、「特別支援教育全般」、「障害種別の
専門性」、「通常の学級における学びの困難さに応じた指導」に分類し、コ
ンテンツを活用しやすくしました。また、免許法認定通信教育として、視覚
障害教育及び聴覚障害教育領域の第2欄の講義、「教育課程・指導法」、
「心理・生理及び病理」を配信し、特別支援教育の免許保有率の向上に寄与
しています。
 さて、これまでのメールマガジンにおいてもお知らせしてきましたが、新
型コロナウイルス感染拡大防止に対応して、本研究所の研修事業も今年度は
大きく変更せざるを得なくなりました。一つ目の事業である宿泊を伴う来所
型の研修については、中止あるいは、実施方法の変更等の対応をとっていま
す。中止となった研修については、単に中止ではなく、関係情報の紹介や、
質問事項等への対応などがホームページ上で可能になるよう準備を整えてい
るところです。
 また、このような状況下、自宅や職場等で、ぜひ活用いただきたいのが、
先に紹介しましたインターネットを活用した研修、「NISE学びラボ」です。
コンテンツや研修プログラムの充実を図っていきますので、より一層の活用
をお願いいたします。

○研修事業計画はこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/training_seminar/training_main/training_p
roject_plan

○インターネットによる講義配信 NISE学びラボはこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/training_seminar/online

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【2】海外情報の紹介
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●フランス国立特別支援教育高等研究所(INS-HEA)への訪問について
               北川 貴章(情報・支援部 主任研究員)

 令和2年2月末に、本研究所の横断的研究教育課程チームの研究活動の一
環で、本研究所と交流協定を結んでいる、フランス国立特別支援教育高等研
究所(INS-HEA)並びに現地の学校を訪問してきました。今回は、我が国の
インクルーシブ教育システムにおける特別支援教育の教育課程の充実・発展
につながる方策を考究するために、ナショナルカリキュラムに基づく指導が
行われるフランスの学校教育において、障害のある子供たちの指導・支援の
現状を把握することが目的でした。本稿では、フランスの学校教育体系の一
部をご紹介しながら、今回の訪問で得た情報の一部をご紹介します。
 フランスでは、我が国と同じようにナショナルカリキュラムに基づいて指
導が展開されていますが、我が国の文部科学省にあたる国民教育・青少年省
が所管する学校教育の他に、IME(Instituts medico-educatif)という厚労
省所管の特別教育機関があります。フランスでは、2007年に障害者の権利条
約に署名し、インクルーシブ教育を展開しています。フランスの教育法典で
は、「障害のある子供や青年が、居住地に最も近い通常学校に学籍を登録さ
れる」ことを規定しています。 しかし、このことは、一律に通常学校に学
籍登録がなされますが、そのまま、その子供が通常学校で学ぶということを
意味しているわけではありません。障害のある子供の中には、先にご紹介し
たIMEのみに通っている子供がいたり、IMEと通常学校の両方に通っている子
供がいたりと様々です。また小・中学校段階では、Ulis (unites
localisees pour l’inclusion scolaire)という障害のある子供の校内学
習ユニットが設けられ、個に応じた指導が展開されるとともに、支援を受け
ながら通常の学級でも授業を受けています。我が国の通級による指導に似た
制度ではありますが、展開される指導はあくまでも教科指導という位置付け
であり、我が国の「自立活動」のように特別な指導領域が設けられていない
等、制度を理解する際には留意する必要があります。
 フランスの学校教育においても、障害のある子供たちの個々の実態に応じ
た指導を行うために、PPS(Projet personnalise de scolarisation:個別
就学計画)といった名称の計画を作成し、個に応じた指導の実現を担保して
います。しかし、当初は、PPSが形骸化した状況が見受けられたことから、
 現在ではPPSを作成する前段階に、GEVA-SCO(Guide d'evaluation des
besoins de compensation en matiere de scolarisation)というガイドを
活用して、個々の子供の実態や教育的ニーズを把握し、保護者や関係する他
職種・機関との連携を図りながら、学校教育で必要な支援や指導を検討する
システムが構築されました。
 我が国でも個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成し、障害のある子
供たちの指導の充実を図ることが求められています。今、その精度や活用を
どのように高めていくかが課題となっており、同様の課題が両国にあること
を実感しながら、帰国の途につきました。
 なお、今回の訪問についての報告は、今年度末に作成される研究報告書に
掲載します。興味・関心のある方は是非、そちらもご覧ください。

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【3】特総研ジャーナルの紹介
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●学会等参加報告及び事業報告について
 本研究所では、本研究所の研究をはじめとする様々な活動内容を紹介する
「特総研ジャーナル」を毎年作成し、Webサイトに掲載しています。前号に
引き続き、この3月に発行した特総研ジャーナルの内容を紹介します。
 今月は学会等参加報告及び事業報告に関してご紹介します。
-学会等参加報告-
 ・日本LD学会第28回大会参加報告
 ・日本特殊教育学会第57回大会参加報告
-事業報告-
 ・国立特別支援教育総合研究所の研究成果の活用に関する調査
 ・特総研が実施する指導者研究協議会の取組報告
 ・特別支援教育教材ポータルサイトの活用
 ・発達障害教育推進センターにおける取組の報告
 ・インクルーシブ教育システム推進センターの事業報告
 
○国立特別支援教育総合研究所ジャーナル第9号はこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/report_material/research_results_publicati
ons/kiyou_jarnal_bulletin/#!#jor

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【4】NISEダイアリー
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          「今頃、どうしているかな?」
           宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)

 新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、新年度早々の4月7日に
政府から全都道府県に対して、緊急事態宣言が発令された。各地の状況等に
鑑み、連休明けには、外出自粛等の措置を延長することが決められ、5月末
まで、学校の臨時休業が続くことになった。
 その後、ようやく、5月14日に緊急事態宣言が一部解除となり、13府県に
おいては、学校再開を前倒しするとの報道がなされた。
 6月の声を聞いた今頃は、各学校において、手洗いや三密防止などの配慮
を駆使しながら、教育活動が再開されていると思う。
 昨年度末から、今年度の始めにかけて、およそ3か月間、学校が臨時休業
になるという突然のハプニングに遭遇して、子供たちも保護者も、そして教
員も、様々な経験をしたことと思う。その折々に、先生方が思い浮かべたこ
と、それが「今頃、子供たちは、どうしているかな?」、「元気でいるかな
?」、「宿題をやっているかな?」などではないか。
 これは、学校種別に関わらず、共通している事柄であろう。そして、小・
中学校や高等学校においては、課題も出し易い。それは、教科書があるとい
うことからも想像できる。ところが、特別支援学校の場合は、なかなか難し
い。小学校等に準じた教育課程を編成し、学習活動を行っている子供は、小
学校等と同様に家庭学習も行い易いだろうが、特別支援学校においては、個
々の子供の実態に応じた教育課程を編成している場合がある。この場合は、
一人一人に応じた課題が必要になる。つまり、単純にプリント教材を提供し
ても、子供が一人で自学自習することが難しいこともある。
 障害のある子供、一人一人に即した家庭学習の課題を考えること、これは、
まさしく特別支援学校の教員の専門性の一つでもあると思う。
 子供によっては、家にじっとしていられない者もいよう。放課後等デイサ
ービスなどの福祉施設で、支援を受けていた子供もいたことであろう。こう
したことを考えると、教育として、学校が行うべきことは何かという、根源
的な課題も気になるところである。
 さて、特別支援学校が、自宅で過ごす子供たちにどんなふうに関わってい
たかについて、幾つかの学校のHPを眺めながら、考えてみた。
 ある学校は、HPに子供や保護者がアクセスするコーナーを設け、学校や学
級の様子、子供が興味をもちそうな話題を取り上げていた。例えば、子供の
日に、紙で兜を折る写真を順番に見せて、家族と一緒に折って楽しめるよう
にしたり、クイズ形式で考えさせ、答えを求めたりしていた。
 また、別の学校は、同様のコーナーを設け、鉄道模型が独りで動く映像な
どを提示していた。数百枚の写真を撮り、それを合成して動画を作成したの
だろう。いずれも、子供の興味・関心を知らないと作れない教材である。
 様々に工夫した教材を活用した指導が、学校再開後も継続して実践される
ことを期待したい。障害のある子供にとっても、家庭で過ごす時間は貴重で
ある。やはり、「今頃、どうしているかな?」と気に掛けることが基本だ。

参考にした特別支援学校の情報はこちらとなります。
○岡崎聾学校公式ブログのWebサイトはこちら→
 http://okazakirou.blog.jp/

○筑波大学附属久里浜特別支援学校のびのびチャンネルのWebサイトはこち
ら→
 http://www.kurihama.tsukuba.ac.jp/nobinobich/wakuwaku1.html

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【5】研修員だより
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 今号は、平成25年度第一期特別支援教育専門研修を修了された木暮斗希子
先生からお寄せいただきました。

            「研修を振り返って」
              木暮 斗希子(群馬県立赤城特別支援学校)

 私は、平成25年度に病弱教育コース専門研修に参加させていただきました。
 それぞれの分野のスペシャリストである先生方の講義には、日々の業務の
中でたまっていった疑問や解決していなかったことへの答えがあり、無意識
に頷きながら真剣に聞いていたことを覚えています。深く印象に残っている
のは「子供の可能性を伸ばすことが教員の役目」という先生方の言葉です。
病気だからできないだろうとか、病気だからこれくらいで、といった考え方
はやめようと改めて強く思いました。その頃、作成や活用に悩んでいた個別
の教育支援計画・指導計画や、取り組み方が明確でなかったキャリア教育も、
子供の可能性を伸ばすためと考えるとすっきりしました。
 新型コロナウイルス感染症予防のため、子供たちに会えない日々が続いて
います。もどかしいと思うことも多いですが、目的や目標がはっきりしてい
れば支援も指導もできると、ICT機器をあれこれ工夫しながら学習支援に取
り組んでいます。目の前の子供と真摯に向き合いその可能性を伸ばせるよう、
これからも努めていきたいと思います。

○群馬県立赤城特別支援学校のWebサイトはこちら→
 http://www.nc.akagi-ses.gsn.ed.jp/

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【6】高齢・障害・求職者雇用支援機構からのお知らせ
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●高齢・障害・求職者雇用支援機構より「働く広場」6月号のご案内
 「働く広場」は、障害者雇用に取り組む企業事例を中心に、身近な障害者
雇用問題を取り上げた障害者雇用の月刊誌です。
 6月号(5月25日発行)では、従業員の「苦手」を補う工夫によって、職
場全体の業務効率化に取り組む企業等を取材しています。成人期の働き方の
情報として、また障害者雇用を取り巻く先進的な取組のヒントとして、ご覧
ください。

○最新号の詳しい内容はこちら→
 http://www.jeed.or.jp/disability/data/works/index.html
*このご案内は教育現場と就労をつなぐために掲載しております。

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【7】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。
 
○アンケートはこちら→
  https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=62822&lang=ja

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【8】編集後記
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 メールマガジン第159号をお読みいただき、ありがとうございました。
 日本全国に発令された緊急事態宣言も段階的に解除され、学校での教育活
動も少しずつ再開され始めましたが、これまでの生活に完全に戻るというの
ではなく、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」が提言されま
した。
 また、「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた学校教育活動等の実
施における「学びの保障」の方向性等について(通知)」(令和2年5月15
日)では、「社会全体が、長期間にわたり、この新型コロナウイルス感染症
とともに生きていかなければならないという認識に立ちつつ、子供たちの健
やかな学びを保障することとの両立を図っていくことが重要です。」とされ
ています。これからどのような実践をしていくのか、それぞれの学校等での
工夫が期待されています。
 今回のコロナ禍では、家電メーカーがマスクを製造したり、外食のデリバ
リーにタクシーや宅配牛乳業者が協力したりしました。今回のような事態に
おいて、それぞれの専門性を生かしつつ、新たなことに取り組んでいく大切
さを感じました。
 教育分野においても、これまでの専門性をベースに、他の障害種や他の学
校種から活用できる部分を取り入れて応用していくことが求められているの
ではないでしょうか。
 本研究所では、今後もメールマガジンをはじめ、学校現場のお役に立てる
よう、様々な情報発信をして参ります。引き続き、皆様の一層のご理解とご
支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。それぞれの学校に、子
供たちと先生方の笑顔が戻り、教育活動が展開されることを、心から願って
おります。
                   (第159号編集主幹 小西 孝政)

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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第159号(令和2年6月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp
          ([アットマーク]を@にして送信してください。)

○研究所メールマガジンの利用(登録、解除、バックナンバーを含む)につ
いてはこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/about_nise/mail_mag

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> NISEweb(研究所webサイト)
  https://www.nise.go.jp/nc/

> 発達障害の情報を知りたいとき
 【発達障害教育推進センターwebサイト】
  http://icedd_new.nise.go.jp/

>「合理的配慮」や「基礎的環境整備」の実践事例が知りたいとき
 【インクルDB】
  https://inclusive.nise.go.jp/

> インターネットで講義を聴講したいとき
  https://www.nise.go.jp/nc/training_seminar/online

> 免許法認定通信教育について
  http://forum.nise.go.jp/tsushin/

> 教育支援機器、教材について知りたいとき
  http://forum.nise.go.jp/ilibrary/

> 障害のある子供のためのインターネットギャラリー
  https://www.nise.go.jp/kenshuka/jokan/gallery/ichiran.html
 
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