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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第163号

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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第163号(令和2年10月号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━
■目次
【お知らせ】
・難聴児の切れ目ない支援体制構築と更なる支援の推進に向けた全国研修会
の開催のご案内
・インクルーシブ教育システム普及セミナー開催のご案内
【連載コーナー】
・「地域実践研究員」だより[第1回]
【NISEダイアリー】
【研修員だより】
【高齢・障害・求職者雇用支援機構からのお知らせ】
【アンケートのお願い】

【編集後記】
 
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【1】お知らせ
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●難聴児の切れ目ない支援体制構築と更なる支援の推進に向けた全国研修会
の開催のご案内
 11月13日(金)~12月11日(金)に、「難聴児の切れ目ない支援体制構
築と更なる支援の推進に向けた全国研修会」を研究所Webサイトからの講義
動画視聴と、双方向会議システムを使用した講義動画視聴で開催します。
 本全国研修会は、難聴児の早期支援に携わる保健・医療・福祉・教育関係
者の難聴児理解、早期発見と早期支援の重要性の理解、地域資源の理解を促
し、専門性向上と連携を促進することを目的としています。
 主な内容として、(1)行政説明、(2)基調講演、(3)調査報告、
(4)講義、(5)実践報告、(6)交流の広場【特別支援学校(聴覚障害)
乳幼児教育相談担当の先生方の実践報告あり】を計画しています。
 難聴児の早期支援に携わる保健・医療・福祉・教育関係者の方の参加をお
待ちしています。
 実施要項につきましてはWebサイトに掲載しております。
 
○難聴児の切れ目ない支援体制構築と更なる支援の推進に向けた 全国研修
会実施要項・参加申込書はこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/news/2020/page_20200901025126
 
●インクルーシブ教育システム普及セミナー開催のご案内
 以下のとおり、オンラインで開催いたします。詳細や参加申込み等につい
ては、次号のメルマガ、研究所HP等でご案内いたします。
 
日 時:令和2年11月28日(土)13:00~16:00
テーマ:国内外の取組から今後を展望する
内 容:インクルーシブ教育システムの充実に向けた地域や学校の取組を報
    告するとともに、諸外国の特別支援教育に関する動向、オーストラ
    リアの教育課程、韓国の遠隔授業の取組等について紹介する予定で
    す。
 
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【2】連載コーナー
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●「地域実践研究員」だより[第1回]
 
                              横尾 俊
       (インクルーシブ教育システム推進センター 総括研究員)
 
 インクルーシブ教育システム推進センターでは、平成28年度から令和2年
度までの5年間を通じ、インクルーシブ教育システムの構築に向けて、地域
や学校が抱える課題解決にむけて、本研究所と都道府県・指定都市教育委員
会が協働して取り組む「地域実践研究事業」を実施しています。
 本年度は、インクルーシブ教育システム構築のための包括的な研究課題
(メインテーマ)の下に、以下の2課題をサブテーマとして設定しています。
・インクルーシブ教育システムの理解啓発の推進に関する研究
・交流及び共同学習の充実に関する研究
 地域実践研究事業に参画していただく都道府県・指定都市教育委員会には、
サブテーマから1つを選択し申請していただき、地域実践研究員を派遣して
いただいています。地域実践研究員の派遣形態については、長期派遣型(1
年間の派遣)と短期派遣型(年3回、1回につき2日間の派遣)があります。
 本年度は、3地域から4名の長期型の先生、8地域から9名の短期型の先
生が研究に参画されています。本年度の研究テーマや地域実践研究推進プロ
グラム等の研究活動についての詳しい情報はWebサイトをご参照ください。
 10月号と11月号に分けて、長期型の先生より、地域実践研究への取組や活
動状況等について報告をする予定です。

○本年度の研究テーマの詳細についてはこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/about_nise/inclusive_center
 
「インクルーシブ教育システムの理解啓発の推進に関する研究」
              地域実践研究員(長期派遣型) 橋本 政孝
                      (青森県立むつ養護学校)
 
 久里浜に来て、早半年が過ぎようとしています。新型コロナウイルス感染
症の感染拡大による困難な状況が続く中、地域実践研究員としての生活も、
テレワークというこれまでに経験のない形でスタートすることとなりました。
先生方と直接お会いできないこと、外出自粛による活動の制限、感染を防ぐ
ための生活、いくつもの不安を抱えていたのが率直な気持ちです。しかし、
このような状況においても、リモート会議をはじめとした様々な環境作りに
努めてくださった研究所の先生方のおかげで、研究生活はとても充実したも
のとなっています。
 研究所では、「インクルーシブ教育システムの理解啓発の推進に関する研
究チーム」の一員として、青森県教育委員会と情報や課題を共有しながら、
日々研究に取り組んでいます。ある日のチーム会議では、「共生社会」をテ
ーマに、様々な角度や視点から意見交換が行われました。特別支援学校の教
員を目指そうと決めた中学生の頃、「障害の有無に関係なく、みんながお互
いを認め合ったり支え合ったりできる、そんな世の中になるといいなあ。」
と考えていたことを思い出し、まさにその理念や方法を追求する先生方の言
葉の一つ一つに、感銘を受けます。
 地域実践研究では、インクルーシブ教育システム及び教育相談に関する先
生方の専門性向上を目指し、青森県内特別支援学校の全教諭及び臨時講師の
先生方を対象に、意識調査を行わせていただきました。調査を通して、本テ
ーマに関する先生方の課題意識や地域の現状を明らかにし、今後に向けた具
体的な取組の方向性を示していけるよう取り組んでいます。本研究が、地域
の小・中・高等学校等を含めた様々な環境における特別支援教育の推進と、
地域連携の体制強化に繋がることを目指し、引き続き進めて参りたいと思い
ます。
 一年という限られた時間ではありますが、このような恵まれた環境で研究
に取り組めることに感謝し、青森県の特別支援教育の更なる発展に寄与でき
るよう、一日一日を大切に頑張っていきたいと決意を新たにしています。
 
 
「インクルーシブ教育システムの理解啓発の推進に関する研究」
              地域実践研究員(長期派遣型) 阿部 央憲
                (埼玉県立草加かがやき特別支援学校)
 
 「またあの場所で学ぶことができる!」・・・昨年度末に研究所派遣の知
らせを受け、5年前の専門研修の思い出が今も輝き続けている私は大きく心
を躍らせました。しかしながら、コロナ禍の影響で実際に研究所を訪れたの
は6月8日。それまでお世話になる研究所の先生方にも直接お会いすること
のないまま、自宅でテレワーク生活を送ることになりました。残念な気持ち
も大きかったのですが、分からないことがあっても研究所の先生方がすぐに
メールやWeb会議で対応してくださったので、不安になることはありません
でした。そして満を持して6月に皆さんにお会いできた時、これまで画面で
しか見たことがなかった芸能人と出会えたような気持ちになりました。
 私は現在「埼玉県内の小・中学校等における特別支援教育に関する持続可
能な研修パッケージの提案」という研究テーマに取り組んでいます。昨年度
までの研究において小・中学校の先生方が実際に授業で行っている指導の工
夫をまとめた“みんなが分かる授業づくりアイデアシート”を中核に据えた、
どの学校でも取り組むことができるような研修パッケージを目指しています。
“どの学校でも取り組めて、効果を感じられる研修とは何か”ということを常
に考え、埼玉県内の市町村教育委員会の指導主事の皆様から質問紙でご意見
をいただいたり、小学校・中学校で研究授業や協議を実践していただいたり
しながら、研修パッケージの作成および改善を図っています。
 今回の研究を進めるに当たり、研究所の先生方や地域実践研究員の仲間を
はじめ、派遣元の埼玉県教育委員会、このような時勢にもかかわらず研究へ
の協力を引き受けてくださる市教育委員会、研修パッケージを実践してくだ
さる小学校・中学校の皆様からのご支援のありがたさを日々実感しています。
派遣期間も残り半年となりましたが、研究成果を地域に還元できるように努
めて参ります。 
 
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【3】NISEダイアリー
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         「個々の特性や違いに応じること」
           宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)
 
 毎週、土曜日に東京の自宅に帰る。そして、日曜日に、また久里浜に戻っ
て来る。そんな生活を続けて何年になるだろう。今年の3月からは、新型コ
ロナウイルス感染症拡大防止のため、しばらく久里浜に留まる日も続いた。
ゴールデンウィークが過ぎ、いつの間にか夏休みも終え、空はもう秋の気配
だ。しかし、今年はなかなか気温が下がらず、残暑が続いている。
 9月に入り、東京への行き帰り、ようやく街をぶらぶらできるようになっ
た。本屋を覘くのが、息抜きの一つである。最近は本を直に眺めず、インタ
ーネットで購入する方法が一般的になりつつある。コロナ禍の中で、それが
一層加速したようだ。確かに手間も省け便利である。でも一方では、古本屋
を覘いたり、本屋で新刊書を手にしたりする「面倒」も、必要な気がする。
 先日、本屋で時間をつぶしていたら、面白い本に出くわした。ある落語家
が、自分の体験をまとめたもので、立ち読みでは物足りなくなり、購入して
帰ることにした。
 有名な落語家のお孫さんで、そのおじいさんの下に弟子入りし、自分も落
語家になった。子供の頃、文字や文章を読むのが苦手で、様々な失敗を繰り
返したとのこと。でも、落語は耳で聞いて覚えたそうだ。苦手なこともある
が得意なこともある。人それぞれだと思う。そういえば、最近テレビでもよ
く見掛ける。大人になってから、医師の診断を受け、自分の障害が分かり、
それで精神的に楽になったそうだ。今では、真打ちとして、お弟子さんも抱
えるようになった。すると、その中には自分と同じような傾向のお弟子さん
がいるという。しかし、その状態は自分と同じではなく、違いがあるそうだ。
この本を読みながら、教育に思いを馳せた。
 「一人一人の個性を知ろう」、「多面的な見方をしよう」、「一人一人の
違いに着目をした指導を考えよう」などと、今、個に応じた指導の大切さが
指摘される。しかし、これは今に始まったことではない。特別支援教育の前
身である特殊教育の時代から引き継がれてきた子供の見方・考え方である。
 最近は、発達障害が話題になることが多い。しかし、個に応じた指導は、
発達障害に留まらず、視覚障害や聴覚障害等他の障害においても指導実践さ
れてきたことである。そう考えると、歴史の長い盲教育や聾教育等の「経験
知」や「実践知」を活用することが必要ではないか。
 勿論、同じことを同じように実践すればよいという訳ではない。何より、
子供が異なる。時代の進展により教材・教具も進歩している。だから、子供
に応じて、今風に創意工夫や改良を加えて指導に取り組みたい。 
 “diversity”という言葉が多用される今日、個々の子供の多様性に着目した
指導が求められる。特別支援教育においては、従前から個々の子供の特性や
違いに応じた指導が追求されてきた。具体的な方法は、個々の子供をよく知
っている一人一人の先生に委ねるとしても、その精神は、先人からのレガシ
ーとして、引き継いでいきたいものである。
 
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【4】研修員だより
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 今号は、平成28年度第二期特別支援教育専門研修を修了された宮本朋子先
生からお寄せいただきました。
 
         「重度・重複障害児の教育を学んで」
               宮本 朋子(京都府立向日が丘支援学校)
 
 「重度・重複障害のある子供たちの教育ってなんだろう?」これは授業を
しながら、いつも自分に問いかけていた言葉でした。気官切開をしており常
時医療的ケアを必要として、四肢を意図的に動かすことはあまり見られず、
瞬きや眼球の動きもわずかな子供や、1時間に何度も発作が起きる子供たち。
肢体不自由専門研修のお話をいただいた時には、答えを見つけたい気持ちで
いっぱいでした。
 そして、全国の仲間と一緒に学んだ2か月間を通して「安心・わかる」と
いうことが、主体性を引き出す土台となるように、教員には「信じる」とい
うことが、重度・重複障害児への教育に向かっていく原動力になるという答
えを、私の中で出すことができました。今では、本研修で学んだことは、教
育の原点だったと実感しています。
 勤務校へ戻ってからの業務の中では、考える暇もなく毎日が流れています
が、久里浜で学んだすべてのことは、私の根幹となり、しっかりと私の中に
根付いています。本研修で学んだことを、日々の指導場面で勤務校の先生方
へお伝えすることが、今、私の仕事だと思っています。
 
○京都府立向日が丘支援学校のWebサイトはこちら→
 http://www.kyoto-be.ne.jp/mukougaoka-s/cms/
 
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【5】高齢・障害・求職者雇用支援機構からのお知らせ
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●高齢・障害・求職者雇用支援機構より「働く広場」10月号のご案内
 「働く広場」は、障害者雇用に取り組む企業事例を中心に、身近な障害者
雇用問題を取り上げた障害者雇用の月刊誌です。成人期の働き方の情報とし
て、また障害者雇用を取り巻く先進的な取組のヒントとして、ご覧ください。
○10月号(9月25日発行)の掲載内容
 多面的な人材育成の取組みで主体的に働き続ける環境づくりを目指す企業
事例、特別支援教育の専門家のエッセイ記事 ほか
 
○最新号の詳しい内容はこちら→
 http://www.jeed.or.jp/disability/data/works/index.html
*このご案内は教育現場と就労をつなぐために掲載しております。
 
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【6】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。
 
○アンケートはこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=34729&lang=ja
 
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【7】編集後記
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 新型コロナウイルスの影響もあったのでしょうか、今年4月にリニューア
ルしたインターネットによる講義配信「NISE学びラボ」の個人登録者数は、
おかげさまで順調に伸びています。集合型の研修会に替わるものとして、団
体登録をご活用いただく教育委員会や教育センターも増えてきました。お知
らせでご紹介したように、研究所の様々な事業もオンラインで開催する準備
が進んでおり、「いつでも・どこからでも・誰とでも」繋がることができる
オンラインの可能性について、再認識しているところです。
 一方で、今月号から連載されている地域実践研究員(長期)の先生方や研
修員便りにお寄せいただいた専門研修OBの先生のコメントからは、人と人
とが同じ場所を共有して繋がることでしか伝わらないものもあるように感じ
ます。そして、特別支援教育の対象となっている子供たち、その中でも特に
手厚い支援を必要としている子供たちにとっては、そのような繋がりこそが
学びの基盤であることに、様々な学校現場を思い浮かべながら、思いを馳せ
ています。
 このコロナ禍において、子供たちの学びを保障するための教育関係者の皆
様の日々のご努力に敬意を表します。そして、今現在の私たちのこの模索が、
これからの新しい教育の在り方を考えるための貴重な糧となることを信じて
います。ピンチをチャンスに変えるために、皆で前に進んでいきましょう!
                   (第163号編集主幹 齊藤 由美子)
 
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次号も是非ご覧ください。
「メールマガジン」へのご意見・ご感想はこちら
 
国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第163号(令和2年10月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp
          ([アットマーク]を@にして送信してください。)
 
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  https://www.nise.go.jp/nc/
 
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> 発達障害の情報を知りたいとき
 【発達障害教育推進センターwebサイト】
 http://cpedd.nise.go.jp/
 
>「合理的配慮」や「基礎的環境整備」の実践事例が知りたいとき
 【インクルDB】
  https://inclusive.nise.go.jp/
 
> インターネットで講義を聴講したいとき
  https://www.nise.go.jp/nc/training_seminar/online
 
> 免許法認定通信教育について
  http://forum.nise.go.jp/tsushin/
 
> 教育支援機器、教材について知りたいとき
  http://forum.nise.go.jp/ilibrary/
 
> 障害のある子供のためのインターネットギャラリー
  https://www.nise.go.jp/kenshuka/jokan/gallery/ichiran.html
 
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