聴覚障害乳幼児に対する早期からの教育的支援
研究の進捗状況
平成15年度においては、聴覚障害乳幼児における早期からの教育的支援の入り口である初回の相談について、 研究協力者の事例報告をもとに研究協議を行った。その結果、保護者への最初の対応、子どもの状況に関する説明及び教育相談担当者として 心掛けることについて次のような現状が出された。
- 平成15年度「初回の相談」
- 保護者への最初の対応
相談にくるまでの経緯について以下のような視点で聴取を保護者に対して行っている。- 病院での検査結果、診断についてどのような説明をうけたのか。
- 家庭での子どもの様子はどうか。
- 検査・診断後、子どもの様子を保護者がどのように感じているか。
- 今後における保護者の子育てへの思い、教育への期待。
- 子どもの状況に関する説明
担当者として子どもの状況について以下のような方法で保護者に対して説明を行っている。- 子どもとの担当者との遊びを通じて、聴覚面や発達面の状況を把握する。
- 子どもの状況(聴覚面・発達面等)を説明する。
- オーディオグラム及び検査音などを使ってきこえの状況を具体的に伝える。
- 教育相談担当者として心掛けること
- 保護者が話してくれたことを復唱しながら聴く。
- 来校してくれた全員(保護者のみならず、祖父母、きょうだいなど)から話を聴く。
- 家族が目標を持てるようにすること。
- 子どもの成長をいつも知らせること。
- 前向きな子育て、子どもとのかかわりが楽しいという雰囲気作りを心がける。
- 保護者への最初の対応
平成16年度においては、聴覚障害乳幼児に対する教育的支援に必要とされる多方面領域における連携について、 研究協力者の事例報告を基に現状について研究協議を行った。
- 平成16年度「多方面領域における連携」
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- 聴覚障害乳幼児に対する教育的支援において連携が必要とされる機関とは?
- 医療・保健機関
病院、各開業医(特に耳鼻咽喉科、小児科)
保健所・保健センターなど(保健士) - 福祉機関
福祉事務所
各自治体の障害福祉課 - 療育機関
難聴幼児通園施設(言語聴覚士)など - 補聴器会社(認定補聴器技能者)
- 医療・保健機関
- 聾学校乳幼児教育相談担当者が連携にあたって工夫していること。
- 多方面領域の機関に対して視察のための聾学校公開日を設け、聾学校そのものを知ってもらう。
- 事例となる対象児の全体像を共通理解するために、定期的に連携先の機関担当者とケース検討会議を行う。
- 重複障害の事例の場合には、聴覚障害以外の障害(重複している障害、例えば視覚障害・肢体不自由など)の担当者との連携、情報交換や対応の共通理解を行う。
- 聴覚障害乳幼児に対する教育的支援において連携が必要とされる機関とは?
- 平成16年度「家族支援」
- 家族支援で教育相談が目指すもの
- 「いつでもそばにいますよ」
- 母親や家族の不安をうけとめる。
- 家族が目標を持てるように導く。
- 子どもの成長を保護者・家族に知らせる。
- 一人ひとりの家族が満たされ、尊重されるような支援
- 家族のニーズが満たされるような支援
- 保護者のニーズに応じた基本的知識の情報を提供する
- 生活や遊びの中に価値を見いだせるような支援
- 育児や教育への期待、見通しを持たせる。
- 保護者同士の出会いを通しての仲間づくり。
- 実際の家族支援活動
- きょうだいに対する支援
- 祖父母に対する支援(むかしのあそび会・祖父母に対する学校公開)
- 父親に対する支援(パパの日の設定)
- 保護者教室での活動
- 連絡ノートの活用
- 家庭訪問
- 家族支援における課題
- 時間の確保(指導・保護者教室)
- 家族のニーズに応えるための情報収集
- 家庭訪問の在り方(相談のみの訪問か?実践的な訪問か?)
- 家族支援における担当者と家族との対等の立場
- 家族支援で教育相談が目指すもの