障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

言語に障害のある子どもへの教育的支援に関する研究
-吃音のある子どもの自己肯定感形成を中心に-

研究の実施計画

  1. 趣旨及び目的
  2.  言語に障害のある子どもの教育において、吃音については未だその原因が解明されていないこともあり、効果的な治療法・指導法は確立されていない。 治癒する場合も治癒しない場合もあり、またその予測も困難である。従って、当事者及び保護者においては、吃症状の治癒、軽減、受容、その他、障害に立ち向かう態度が決まりにくく、 精神的な揺れが生じやすい。また、発話への不安、人や社会に対する恐怖、自己否定等々、吃症状はもとより、吃音をもつことによって生じる様々な問題を抱える場合も多く、吃音のある子どもへの対応は担当する教師にとっても大きな課題となっている。

     現在、吃音のある子どもへの指導・支援は、ことばの教室等において多種多様な取り組みが模索、試行されているが、上述の点からすれば、吃症状を改善ないし軽減する、 あるいは楽に話す等、言語症状への支援という側面のみならず、吃音のある子どもが自身の吃音と上手く向き合い、現在そして将来において自己を肯定的に捉えていくための支援が重要となる。

     本研究では吃音のある子どもの自己感に焦点を当て、肯定的な自己感を形成していくために教育の場ではどのような支援が可能なのか、その内容・方法を具体的に明らかにすることを目的とする。

  3. 研究の概要
  4.  本研究では吃音のある子どもが自身の吃音と上手く向き合い、肯定的な自己感を形成するために、ことばの教室等で可能な具体的教育内容・方法の構築を目指す。

    1. 吃音児・者の自己感に焦点を当てた研究の収集・整理・検討
    2. 吃音児・者の肯定的自己感を支えること、吃音と上手く向き合うことを目標にした実践の収集・整理・検討及び実践者(教師)への調査
    3. 吃音者への調査
    4. セルフヘルプグループ等、学校・教室以外の活動の場への調査
    5. 学校・教室における実践内容の検討
    6. 研究協力者・協力機関との協働による実践研究(本研究では、研究協力者として大学所属の研究者及びことばの教室担当者(計5名)、研究協力機関として吃音に関する臨床・教育研究団体(2機関)に委嘱している。研究協力者には吃音者が含まれている。)

     以上を総合的に検討し、吃音と上手く向き合い、つきあい、肯定的自己感を支えていくための支援のあり方を考察するとともに、 特に学校・教室において可能な具体的内容・方法を提示する。

  5. 期待する成果
    1. ことばの教室等における吃音のある子どもへの支援に関する視点の提供。特に、吃音と上手く向き合いつきあうこと、自己肯定感の形成を目指した具体的教育内容・方法の提供。
    2. 学校・教室において可能な支援、団体・サークル等学校以外の場において可能な支援の明確化、及びそれによる吃音のある子どもへの支援をめぐる関係者・機関の連携に関する知見の提供。
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