知れば得する???自閉症の脳科学

国立特別支援教育総合研究所客員研究員 渥美 義賢
 

 近年、脳科学が著しい発展を遂げています。自閉症をはじめとする発達障害に関しても、脳科学的な研究が進展し、様々な知見が集積されつつあります。また、社会一般においても脳科学が関心を集め、脳科学に関連した本の出版や報道がたいへん多くなっています。
 一方で、十分に検証がなされていない事柄や科学的にほとんど否定されている事柄が、科学的な真実であるかのように流布されることも少なからずみられるようになっています。
 自閉症の子どもを持つ保護者や教育を担当する教師の多くは、子どもの成長のために少しでも役立つことがあれば活用したい、と考えています。脳科学はこのために役立つのではないか、と期待が大きくなっています。
 現在の脳科学は、このような期待にどの程度応えられるのでしょうか?
 過剰な期待は、強い失望を伴いがちです。確かな情報を冷静に蓄積していくことが大切だと思います。
 この連載では、自閉症についてしばしば耳にする疑問について、最新の腦科学的知見はどこまで明らかにしつつあるかをできるだけ分かりやすく伝えていきたい、と考えています。

 5回の連載記事で予定している内容は以下のとおりです。