国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第54号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン 第54号(平成23年 9月号) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■目次 【1】お知らせ 【2】NISEトピックス 【3】研究紹介 【4】連載コーナー 【5】特別支援教育関連情報 【6】研修員だより 【7】アンケートのお願い 【8】編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【1】お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★NEWS★ ●研究所の最新状況 ◆平成23年度特別支援学校寄宿舎指導実践指導者研究協議会を開催 7月25日~7月26日、本研究所において、特別支援学校寄宿舎指導実践指導 者研究協議会を開催しました。これは、各都道府県等において、指導的立場 にある寄宿舎指導員等の専門性の向上並びに、寄宿舎における指導等の充実 を図ることを目的として毎年開催しているもので、本年は全国から寄宿舎指 導員等76名が参加しました。第一日目は、文部科学省特別支援教育課による 行政説明、本研究所職員による講義があり、二日目は、寄宿舎における指導 実践についての実践発表に続きレポート提出に基づく障害種別毎の部会別協 議が活発に行われました。 ◆平成23年度発達障害教育指導者研究協議会を開催 8月4日~8月5日、本研究所において、発達障害教育指導者研究協議会を開 催しました。これは、各都道府県等において、発達障害のある子どもに対す る支援・指導に関して指導的立場にある教職員の専門的知識並びに技能を高 め、各地方公共団体の支援・指導の充実に資することを目的として、平成2 0年度より開催しているものです。昨年度までは、横浜に会場を借りて開催 していましたが、本年度は研究所を会場として開催しました。 全国から幼稚園及び高等学校教員を含む発達障害のある幼児児童生徒に対 する支援・指導に関して指導的立場にある教職員144名が参加しました。第 一日目は、発達障害教育の現状と課題について、発達障害者の一貫した支援 の在り方についての行政説明と講演が行われました。二日目は、分科会(第 一分科会:早期からの支援と保護者との連携)(第二分科会:高校生活で育 てたいこと)ごとに分かれ、関係機関講師による講演に次いで、少人数のグ ループ協議が行われ、参加者一人一人からレポートに基づく報告や情報交流 が活発に行われました。 ◆特別支援学校進路指導・職業教育担当者研究協議会を開催 推進班(移行支援)における研究の一環として、去る8月11日(木)に、 本研究所において進路指導・職業教育の現状と課題について担当者間で情報 交換を行う研究協議会を開催しました。 本研究協議会は昨年度より実施し、今回が2回目となります。今年度は、 進路指導・職業教育を担当されている30名の先生方の参加をいただきました。 当日は、研究協力機関による進路指導・職業教育の実践についてのシンポ ジウムを行い、また、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の坂根 勇氏より「農業分野における障がい者の就労支援の取組」について情報提供 をいただきました。さらに、本研究のキーワードである校内連携、関係諸機 関連携、卒業後の支援、保護者(家族)支援のテーマごとにグループ協議を 行いました。本研究協議会にご参加いただいた先生方からは、障害種を超え て共通の課題について話し合うことができ、今後の取組の参考になったとの ご感想をいただきました。 なお、本研究協議会でもご報告させていただいた全国調査の結果を以下の Webサイトに掲載していますのでご覧ください。 https://www.nise.go.jp/cms/resources/content/408/ikousien_sokuhou.pdf ●研究職員の公募について 研究職員を下記のように募集しています。 ◆採用予定職種 主任研究員(研究職3級)又は研究員(研究職2級) ◆募集人員 1名 ◆担当職務 主として、下記の職務に従事する。 ◇主として知的障害分野における特別支援教育に関する研究 ◇本研究所が実施する研修等における講義・実習等及び本研究所が実施 する諸事業の担当 ◇所属部署における業務 ◆応募資格 ◇修士以上の学位を有する者 ◇知的障害分野における特別支援教育に関する研究業績のある者 ◇知的障害のある子どもの教育経験があることが望ましい ◆採用予定日 平成24年 4月 1日 ◆応募期限 平成23年10月14日(金)(必着) ○公募の詳細はこちら→ https://www.nise.go.jp/cms/news/detail.1.5020.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】NISEトピックス ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★トピックス★ ●教育情報部の組織と業務活動 柘植 雅義(教育情報部 上席総括研究員/部長) 教育情報部は、平成23年4月の組織改編で新たに発足しました。今日の、 特別支援教育に係る教育情報の収集・管理・発信の重要性に鑑み、それらを 総合的に行います。大きくは、特別支援教育情報と発達障害教育情報(発達 障害教育情報センター)に業務分担され、それぞれがさらに2つに分かれ、 全部で4つの業務担当となっています。以下にそれらを紹介します。 [特別支援教育情報] ◆特別支援教育情報担当:研究所Webサイトの運営を含め、研究所が行う 情報収集・発信及び広報事業等に関する基本方針や事業計画の検討、事業の 進捗状況の把握と改善に関する作業を行います。 ◆教育支援機器担当:障害のある子どもの教育における情報手段活用につ いての情報把握・提供を行います。支援機器等の展示室「iライブラリー」 を運営しています。 [発達障害教育情報(発達障害教育情報センター)] ◆発達障害教育情報担当:指導法などの関連情報や、教材教具や支援機器 などを含む発達障害教育に関する情報の収集・管理・発信を、発達障害教育 情報センターWebサイトにより行っています。 ◆発達障害情報ネットワーク担当: 発達障害のある子どもの教育に関わ る、学校、団体、親の会などとのネットワークの構築を進めると共に、自閉 症啓発デーin横須賀などを関係団体と共同開催しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】研究紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●専門研究B 小・中学校等に在籍している視覚障害のある児童生徒等に対 する指導・支援に関する研究(平成22年度) 研究代表者 田中 良広(教育相談部 総括研究員) 我が国において障害者の権利に関する条約が批准されインクルーシブ教育 が進展すると、これまで以上に地域の小・中学校等で学ぶ視覚障害のある児 童生徒等の数が増えることが考えられます。 そのような状況においては、視覚障害者を教育する特別支援学校(盲学校) が、そのセンター的機能を効果的に発揮して、視覚障害教育の指導の専門性 に基づく適切な支援を行うことが必要となります。 本研究では、小・中学校等に在籍している視覚障害のある児童生徒等の指 導・支援の実際について、児童・生徒自身の現状と、その指導・支援者、支 援機関等の現状の双方について、実地調査とアンケート調査によってその詳 細を把握することを目的として実施しました。 具体的には、①視覚障害者を教育する特別支援学校(盲学校)におけるセ ンター的機能ついて、全70校(2分校を含む)を対象にアンケート調査を実 施するとともに、②視覚障害のある児童生徒が在籍している小学校(2校) における学習状況について実地調査を実施し、それぞれの現状と課題を明ら かにしました。 本研究の成果報告書は後日Webサイトからも閲覧できる予定です。 なお、平成23年度は本研究の継続研究として、各視覚障害者を教育する特 別支援学校(盲学校)におけるセンター的機能に関する取り組みのグッドプ ラクティスをまとめ上げるとともに、小・中学校等に在籍している視覚障害 のある児童生徒等に対する具体的支援の在り方に関する「小・中学校等に在 籍している視覚障害のある児童生徒等に対する指導・支援に関する実際的研 究」に取り組んでいます。 ○専門研究B「小・中学校等に在籍している視覚障害のある児童生徒等に 対する指導・支援に関する実際的研究」(平成23年度)に関する情報はこち ら→ https://www.nise.go.jp/cms/8,3746,18,106.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】連載コーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●知れば得する???脳科学-自閉症- 渥美 義賢(国立特別支援教育総合研究所客員研究員) 第5回 自閉症の遺伝子治療は可能か? -自閉症の多様性- この連載(全5回)では、自閉症に関する知って得する情報を脳科学の知 見からお届けします。 自閉症は、症状として示される状態像から診断されます。その症状には、 様相や程度等に多様性があることが明らかになっており、次期(2012年頃が 予定されている)のDSM等の診断基準にも多様性について反映されることに なっています。 また、自閉症の発症には遺伝的な要因が強く影響することが知られており、 自閉症に関連する遺伝子の研究も進んでいます。その結果として、現在では 自閉症と関連する可能性のある遺伝子として100を越えるものが上げられて います。すなわち、自閉症の発症には、多くの場合、多数の遺伝子が関与し ている可能性が高いと推測されています。多数の遺伝子が関与している疾患 の遺伝子治療には困難が多く、不可能ではないかもしれませんが、実用化は かなり遠い未来のことになりそうです。 しかし、現在の診断基準の広汎性発達障害の中にレット障害がありますが、 レット障害の大部分はMECP2という単一の遺伝子の異常によって起きるので、 レット障害の遺伝子治療はより早く実用化される可能性があります。 ・・・・・・続きはこちら→ https://www.nise.go.jp/cms/6,5077,13,257.html ・・・・・・全5回の連載内容はこちらのリンクへ→ https://www.nise.go.jp/cms/6,3764,13,257.html ●発達障害のある子どもも共に学び育つ通常の学級での授業・集団づくり ~協同学習(学び合い)の実践から~ 涌井 恵(教育情報部 主任研究員) 第2回 学び方は一人一人ちがっている! ~「学び方を学ぶ」授業と協 同学習でユニバーサルデザインな学びをめざす(1)~ 発達障害のある子どもが共に学ぶ通常の学級における学級経営や授業づく りは、学校現場の喫緊の課題の一つとなっています。 この連載(全6回)では、このような課題の解決の一つのヒントとして、 子どもたちの学力、社会性、仲間関係の改善や向上に効果があると指摘され ている「協同学習(cooperative learning)」による授業づくりや集団づく りの解説や実践例を紹介していきます。 前回は、協同学習の進め方の概略についてお話ししました。しかし、いく ら協同学習の手法を取り入れても、一斉指導と同様に読み書き偏重の授業で は、一人一人の学びの多様性に対応できるという良さを十分に活かしきれま せん。 そこで、現在文部科学省の科学研究費補助金により取り組んでいる研究( 注1)では、ハーバード大学の心理学者のガードナー(H. Gardner)の提唱 する8つのマルチ能力(multiple intelligences)と「やる気」、「注意」、 「記憶」の3つの計11の視点から、一人一人の学び方の違いに対応し、誰も が学びやすく、わかりやすいというユニバーサルデザインな授業の実践を試 みました。 できるだけ多様な学び方が許容できるような協同学習の課題設定を考える と共に、子どもたち自身に学び方の多様性への気づきを促し、自分にあった 学習方法を選べる力を育成することを目指した「学び方を学ぶ」授業を行い ました。 第2回目の連載では、後者の「学び方を学ぶ」授業について、その理論背 景やその実際を紹介したいと思います。 ※注1 発達障害児の在籍する通常学級における協同学習のユニバーサル デザイン化に関する研究(平成21~23年度文部科学省科学研究費補助金・若 手研究(B) 研究代表者 涌井 恵 課題番号21730730) ・・・・・・続きはこちら→ https://www.nise.go.jp/cms/6,5055,13,257.html ・・・・・・全6回の連載内容(予定)はこちらのリンクへ♪ https://www.nise.go.jp/cms/6,3601,13,257.html ●「発達障害教育情報センター」Webサイトをご存じですか??? 大城 政之(教育情報部 総括研究員) 第1回 発達障害教育情報に関するWebサイトについて 本連載(全7回)では、「発達障害教育情報センター」Webサイトについ てご紹介していきます。 当Webサイトは、平成20年8月に開設し、現在まで10万人を超える教員や保 護者の方々等にご覧いただいています。 当Webサイトでは、「支援・指導」「研修講義」「教材・支援機器」「研 究紹介」「施策法令」「教育相談」に関する情報を収集し、発信しています。 また、親しみやすい構成とデザインになるように努め、最大限のアクセシ ビリティを確保することを目指し、どなたにも使いやすいように配慮してい ます。 本連載をとおして、「発達障害教育情報センター」Webサイトの各コンテ ンツの魅力を皆様にご紹介します。お楽しみに! 第1回目は、「発達障害教育情報に関するWebサイト」についてご紹介し ます。 ・・・・・・続きはこちら→ https://www.nise.go.jp/cms/6,5082,13,257.html ・・・・・・全7回の連載内容(予定)はこちらのリンクへ→ https://www.nise.go.jp/cms/6,5080,13,257.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【5】特別支援教育関連情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●障害者基本法の改正について 8月5日、障害者基本法の一部を改正する法律が公布・施行されました。詳 しくは下記のWebサイトをご覧ください。 ○内閣府政策統括官(共生社会政策担当)障害者施策のページ→ http://www8.cao.go.jp/shougai/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【6】研修員だより ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今号は、平成22年度第二期特別支援教育専門研修修了の前田俊一先生から お寄せいただきました。 「通級って何?」 前田 俊一(埼玉県鶴ヶ島市立栄小学校) 私は発達障害や情緒障害を対象とする通級指導教室を担当しています。主 にコミュニケーションや社会性の面で課題を抱えた子どもたちのQOL(Qual ity of Life 生活の質)が少しでも向上するようにと願いながら、日々教育 活動に取り組んでいます。通級指導教室担当となって今年度で3年目を迎え ます。当初「通級って中途半端だなあ。」と思っていましたが、最近は「通 級の中途半端さこそが有効だ。」と考えるようになってきました。それは、 配慮を要する子どもたちに対する機動力を活かした支援や、担任の先生と保 護者の方との橋渡しなどが通級担当の立場からは行いやすいからです。特別 支援教室構想(仮称)を念頭に置き、通級指導教室担当としてできることを 精一杯実行していくつもりです。 題名の「通級って何?」は専門研修の班別研究協議でのテーマでした。時 代の最先端を行く数々の講義・演習と共に、班担当の先生からの丁寧なご指 導と班の仲間との熱心な討議を通して得た知識や考え方は今の私の教育実践 の土台となっています。 ○鶴ヶ島市立栄小学校のWebサイトはこちら→ http://academic4.plala.or.jp/sakae-s/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【7】アンケートのお願い ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の ほどよろしくお願いいたします。 ○アンケートはこちら→ https://www.nise.go.jp/enquete/fm/haisin/maga54 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【8】編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今年の夏は不安定な天候の日が多く、旅先で局地的な雷雨に合われた方も いらしたのではないでしょうか。また、寒暖の差が激しかったことも影響し たのか、熱中症にかかる方も多かったようです。終わってしまうとあっとい う間の夏休み。上手にリフレッシュと充電ができたでしょうか。 被災地の学校でも、仮校舎などを活用し、子どもたちの笑顔と共に新学期 がスタートしたという嬉しいニュースも報道されています。研究所も9月6日 から第二期の専門研修が始まります。子どもたちの教育をより充実させてい くために、共に自己研鑽していきましょう。 (第54号編集主幹 笹森洋樹) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■次号のメールマガジンは・・・ ●トピック 教育研修・事業部の活動紹介 ●研究紹介 ◆共同研究 無色透明な紫外線硬化樹脂インクを用いた触知図・点字に関 する製作システムの開発とそれらの触読性評価に関する研究(平成21~22年 度) ◆共同研究 全盲児童の図形表象の評価に関する実際的研究(平成21~2 2年度) 以上の記事を予定しております。是非ご覧ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「メールマガジン」へのご意見・ご感想はこちら 国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第54号(平成23年 9月号) 発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内 国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部 E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp ([アットマーク]を@にして送信してください。) 研究所メールマガジンの利用(登録、解除、バックナンバーを含む)につい てはこちら→ https://www.nise.go.jp/cms/6,3646,13.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

登録日: 2011年10月4日 /
更新日: 2012年3月7日