国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第67号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン 第67号(平成24年10月号) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━ ■目次 【1】お知らせ 【2】NISEトピックス 【3】研究紹介 【4】連載コーナー 【5】研修員だより 【6】アンケートのお願い 【7】編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【1】お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★NEWS★ ●研究所公開のご案内 来たる11月10日(土)に、筑波大学附属久里浜特別支援学校公開・国立特 別支援教育総合研究所公開を開催します。研究所公開では、本研究所の施設 を公開し、最新の活動内容や研究成果等を紹介します。皆様お誘い合わせの 上、お気軽にお越しください。 ◇日時:平成24年11月10日(土) 9:00~12:00 ◇費用:無料 ◇主な催しもの(予定) 1. 研究所の概要(沿革、組織、活動内容等)の紹介 2. 最新の研究成果の紹介 3. さまざまな障害の疑似体験 4. 障害のある子どものための教育支援機器の展示 5. 障害のある子どもに対する生活環境面での工夫や配慮に関する展示 ◇お申込み 事前申込みは必要ありません。当日受付でお名前等をご記入ください。 なお、筑波大学附属久里浜特別支援学校公開に参加される方は、別途事前 申込みが必要となりますので、同学校に直接お問い合わせください。 ○研究所公開の詳しい内容はこちら→ https://www.nise.go.jp/cms/events/detail.6.5319.html ○筑波大学附属久里浜特別支援学校公開の詳しい内容はこちら→ http://www.kurihama.tsukuba.ac.jp/ ●平成24年度第二期特別支援教育専門研修が開講しました 去る9月5日(水)に、平成24年度第二期特別支援教育専門研修が開講しま した。 特別支援教育専門研修は、障害のある幼児児童生徒の教育を担当する教職 員に対し、専門的知識及び技術を深めさせるなど必要な研修を行い、その指 導力の一層の向上を図り、今後の各都道府県等における指導者としての資質 を高めることを目的に、約2ヶ月の間研究所に宿泊し研修を行うものです。 今期(9月5日~11月8日)は視覚障害・聴覚障害教育コースで、全国から 36名の教職員が研修に励んでいます。研修の主な内容は、特別支援教育全般 と各専修プログラムの障害種別に関わる講義を中心に、演習、研究協議、実 地研修などから構成されています。 この研修では、知識、技術の習得のみならず全国から集まった教職員同士 のネットワークづくりも魅力となっています。 ○特別支援教育専門研修の内容等はこちら→ https://www.nise.go.jp/cms/9,0,21,116.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】NISEトピックス ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★トピックス★ ●教育情報部の活動について 柘植 雅義(教育情報部長/上席総括研究員) 教育情報部は、平成23年4月の組織改編により新たに発足した部です。今 日の特別支援教育に係る教育情報の収集・整理・発信の重要性に鑑み、それ らを総合的に行うというミッションを担います。これまでは、そのような情 報の収集・整理・発信は部署ごとに行ってきましたが、教育情報部の発足に より、こうした業務を総合的、集中的、そしてまた、より迅速に行うことが できるようになりました。 教育情報部は、特別支援教育総合情報担当と発達障害教育情報担当(発達 障害教育情報センター)に分かれ、さらに、前者は、特別支援教育情報担当 と教育支援機器担当に、後者は、発達障害教育情報担当と発達障害情報ネッ トワーク担当に分かれます。以下にそれらを紹介します。 [特別支援教育総合情報担当] ◆特別支援教育情報担当 本研究所Webサイトの運営を含め、本研究所が行う情報収集・整理・発信 及び特別支援教育に係る広報事業等に関する基本方針や事業計画の検討、広 報事業等の進捗状況の把握と改善に関する業務を行います。昨年度、Webサ イトを全面的にリニューアルし、併せて、コンテンツの更なる充実に向けた 作業を始めたところです。 ◆教育支援機器担当 障害のある子どもの教育における情報手段活用についての情報把握・提供 を行います。本研究所の玄関ホール横に、支援機器等の展示室「iライブラ リー」を設置していますが、このほどリニューアルオープンしました。同ラ イブラリーでは、障害種別の特性に応じた展示を行うなど、展示内容の更な る充実に取り組んでいます。 [発達障害教育情報担当(発達障害教育情報センター)] ◆発達障害教育情報担当: 発達障害のある子どもの指導・支援に関わる情報や教員向けの基礎的な講 義コンテンツ(動画)の配信、発達障害のある子どもの指導に役立つ教材教 具・支援機器情報、発達障害に関わる研究や文献の紹介など、発達障害教育 に関する情報の収集・整理を行っています。また、これらの情報を、発達障 害教育情報センターWebサイトを通して発信しています。 ◆発達障害情報ネットワーク担当: 発達障害教育情報センターWebサイトを通して、発達障害に関わる施策法 令や教育相談、イベント・研修会などの情報の管理・運用・発信を行ってい ます。特に、昨年度は「イベント・研修会情報」をリニューアルし、より多 くの、各地域で開催される発達障害に関わる研修会などの情報を掲載してい ます。また、厚生労働省国立障害者リハビリテーションセンター内に設置さ れた発達障害情報・支援センターとの合同会議や世界自閉症啓発デーin横須 賀を通して、関係機関との連携に努めています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】研究紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●発達障害のある子どもへの学校教育における支援の在り方に関する実際的 研究 -幼児教育から後期中等教育への支援の連続性- <重点推進研究> (平成22~23年度) 研究代表者 笹森 洋樹(企画部 総括研究員) 発達障害のある人においては、発達障害の基本的な症状は生涯にわたり持 ち続けますが、乳幼児期から成人期まで、各ライフステージにおける状態像 は変容していきます。学校教育においても、長期的な展望を持ち、その年齢 や発達段階に応じた支援を工夫するとともに、支援の連続性を考えていく必 要があります。 本研究では、これまでの研究により開発した支援ツールである学級サポー トプランについて、小・中学校における有効性の検証を行うとともに、幼稚 園から高等学校に至るライフステージに応じた支援の在り方について支援の 連続性という視点から検討を行いました。 教師自身の振り返りから授業改善をすすめる学級サポートプランは、学校 全体の授業研究会等にも活用できる等、子どもの実態に応じたわかりやすい 授業づくりをすすめる上で有効と考えられます。指導者間の共通理解に基づ いた支援の工夫という点では、幼稚園、高等学校においてもその活用が期待 されます。 また、幼稚園から高等学校まで支援が連続していくためには、生涯という 長い期間を想定して子どもの発達段階を踏まえた支援を考えること、個々の 障害特性に応じた支援の目的や意味について学校間を超えて共通理解するこ とが重要であると考えられます。 ○本研究の詳細はこちら→ https://www.nise.go.jp/cms/7,7058,32,142.html ○学級サポートプランの詳細はこちら→ https://www.nise.go.jp/cms/resources/content/403/c-83.pdf ●インクルーシブ教育システムにおける教育の専門性と研修カリキュラムの 開発に関する研究 【中期特定研究(インクルーシブ教育に関する研究)】 <重点推進研究> (平成23~24年度) 研究代表者 澤田 真弓(教育研修・事業部 総括研究員) インクルーシブ教育システムを構築し、推進していくためには、まずは教 員をはじめとして、それに関わる人たちがインクルーシブ教育システムにつ いて理解し、それぞれに必要とされる専門性を確実に高めていくことが大切 です。そして組織、地域として専門性を担保していく仕組みが必要です。 本研究では、インクルーシブ教育システムの構築に向かう国の政策の方向 性に対応し、その要となる人材育成及び専門性を担保するためのシステムに ついて検討し、関係機関に情報提供を行うことを目的としています。 研究1年目では、研修に関わる情報を国内外から収集のうえ、分析し、イ ンクルーシブ教育システムの構築に向けて必要となる研修の要素を検討しま した。そしてそれらを基に、関係者に求められる専門性について整理しまし た。 研究2年目では、1年目を受け「研修カリキュラム立案のための方策」に ついて検討し、「通常の学校」で研修を実施する場合を例として示せるよう 研究を進めています。また組織及び地域としての専門性の担保の仕組みにつ いて、どのような取組の工夫が考えられるのか整理し、情報提供できるよう 検討しています。 ○本研究の詳細はこちら→ https://www.nise.go.jp/cms/8,4164,18,105.html ●インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別な支援を必要とする児童 生徒への配慮や特別な指導に関する研究 【中期特定研究(インクルーシブ 教育に関する研究)】 <重点推進研究> (平成23~24年度) 研究代表者 藤本 裕人(教育支援部 総括研究員) 本研究は、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒に対する現在の学校 教育活動の状況を踏まえ、これからのインクルーシブ教育システムの構築に 向けて必要な配慮や指導法を明らかにすることを目的としています。平成2 0年3月に告示された小学校・中学校の学習指導要領では、障害のある幼児児 童生徒との交流及び共同学習の機会を設けることが配慮事項として明確に示 されました。こうした教育活動は今後の共生社会の形成、とりわけ、障害者 の権利に関する条約の批准に関連して、検討がなされているインクルーシブ 教育システムの構築に深く関係するものとなります。 研究に当たっては、小中学校で学習している障害のある児童生徒の学習場 面や、交流及び共同学習の事例について訪問調査を行い、合理的配慮や基礎 的な環境整備について検討し、それらを報告書の形で提示します。 ○本研究の詳細はこちら→ https://www.nise.go.jp/cms/8,4171,18,105.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】連載コーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●特別支援教育に役立つアシスティブテクノロジー ICT・AT班 棟方 哲弥(企画部 総括研究員) 第7回 特別支援教育に役立つ支援機器の紹介 -その4:日常の生活のさまざまな活動- 特別支援教育に役立つ支援機器の紹介の4回目です。この連載のはじめの 頃に述べたように、アシスティブ・テクノロジーの役割は、障害のある人の 「生活機能(米国の定義)」を向上させること、「日常生活(日本の福祉用 具の定義)」を支援すること、「活動制限と参加制約(ISOの定義)」を克 服することにあります。したがって、第1回から第3回までに紹介した「コ ンピュータへのアクセス」、「コミュニケーション」、「読むこと、書くこ と」以外にも、多くの重要な領域があります。例えば、「日常生活動作」、 「レジャー」、「移動」、「環境の制御」、「姿勢保持」、「待つこと」な ど多岐にわたります。 今回も東京大学の『エイティースクウェアード』、国立特別支援教育総合 研究所の『支援機器等映像マニュアル』、『iライブラリー』、保健福祉広 報協会の『福祉機器製品検索』、テクノエイド協会の『福祉用具情報システ ム』などから支援機器を紹介します。 ・・・・・・続きはこちら→ https://www.nise.go.jp/cms/6,7338,13,257.html ・・・・・・全10回の連載内容はこちらのリンクへ→ https://www.nise.go.jp/cms/6,6204,13,257.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【5】研修員だより ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今号は、平成22年度第一期特別支援教育専門研修修了の冨田晋作先生から お寄せいただきました。 「自己決定・自己責任の意味」 冨田 晋作(京都府立盲学校) 鶯の声を聞きながら想像の世界を広げ、塩の香りを感じながらランニング をする。夜の砂浜で大切な人の存在を確認し、ムカデに怯えながら力いっぱ い勉強する。喜怒哀楽の感情を素直に表現しながら、生きていることを実感 しあった仲間たちとの充実した生活から2年以上の月日が過ぎました。 眼が見えないのであれば何かで代償するという考え方に基づいた教育を受 けてきた私、「時代の流れ」や「実態のギャップ」に妥協と迷いを感じなが ら、どこか発展的になりきらないまま教員生活を送っていた私。そのような 私には、研究所の研修に参加することによって確かめなければならないこと がたくさんありました。時には個人的な思いを優先した私を最後まで理解し ようとし、ある一定の確信を与えてくれた全ての人や環境に心より感謝して います。 「昨日初めて保育所に白杖を持ってお迎えに行ったの」と静かに告げる3 0代女性におめでとうを言う。「見えないんだから触りなさい」と弱視生徒 に説教しながら、一方では図や絵の入った資料を使った授業をしてみたい等、 矛盾だらけの胸の内を明かす。 これからもずっと、研究所の先生方からいただいた知識や講義力、仲間か らもらった大切な思い出を元に、何気ない心の触れ合いを繰り返しつつ、人 との関わりの中から自己決定・自己責任という言葉の意味を知り行動できる 人を育てていきたいと考えています。 ○京都府立盲学校のWebサイトはこちら→ http://www1.kyoto-be.ne.jp/mou-s/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【6】アンケートのお願い ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の ほどよろしくお願いいたします。 ○アンケートはこちら→ https://www.nise.go.jp/enquete/fm/haisin/maga67 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【7】編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今年は残暑厳しく、こちらでは今ようやく夏が終わり、秋らしくなったと いうところです。夏が暑いのはあたりまえだとも思いますが、それもずっと 暑いままであると、季節についての感覚が、例えば前年とは違ってしまって いるような気がします。ただ逆に、夏が暑かった分、秋がより涼しく、過ご しやすく感じられるかもしれません。 このメールマガジンでの研究紹介の項では、通常2つの研究課題について 掲載してきましたが、今号では3つの研究課題について紹介しております。 こうした、当研究所の研究についての内容を含め、他の掲載項目、掲載内容 についても、ご意見、感想等ありましたら、忌憚のない意見をお寄せくださ るよう、お願いいたします。 今後も、このメールマガジンをご愛読のほど、どうぞ、よろしくお願いい たします。 (第67号編集主幹 金子 健) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 次号も是非ご覧ください。 「メールマガジン」へのご意見・ご感想はこちら 国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第67号(平成24年10月号) 発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内 国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部 E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp ([アットマーク]を@にして送信してください。) 研究所メールマガジンの利用(登録、解除、バックナンバーを含む)につい てはこちら→ https://www.nise.go.jp/cms/6,3646,13.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

登録日: 2012年11月1日 /
更新日: 2012年11月5日