4.イタリアにおける特別な教育的ニーズを有する子どもの指導に関する調査 |
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I .はじめに |
イタリアにおいては、1971年から「統合教育」が導入され、1992年の「障害者の援助、社会的統合および諸権利に関する基本法」(いわゆるインクルージョンの理念に基づく法律)の下、障害児・者の社会的完全統合を目指した施策が実施されつつある。現在この流れに沿って、教育の分野においても、大学を含む全学校段階に統合教育が義務づけられている。
本研究実施に当たり、前もって統一された質問事項をそれぞれの主要国に投げかけ、統一性を持たせることによって、比較検討を容易にすることが試みられた。しかしながら、イタリアは上記のような状況から質問事項に当てはまらない部分が多く、結果的には多くの質問事項に対し白紙の回答を得ることとなった。
そこで、障害がある子どもに対する教育の在り方を我が国とは、全く異にしている当国において、どのような工夫や課題が存在しているのかをつぶさに専門的な分野から観察することを今回の実地調査の主たる目標とした。
しかしながら、本研究所とイタリア教育関係機関との直接的、人的な交流はここ4〜5年全く途絶えていたために、事前調査では当時の資料を中心に、関係資料等の収集・検討や実際にイタリアで教育現場に携わっている日本人留学生へのインタビュー等を行い、現在統合教育が教育現場や教育行政レベルにおいて先進的に行われている地方やその中における具体的な訪問先(学校)を検討、決定した。調査期間、訪問先および概要等は以下に示す。
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II.調査概要 |
1.目 的 |
国際的なインクルージョンの流れの中で、主要諸外国における最近の特殊教育を巡る教育改革の動向、特に小・中学校等通常の教育の場における障害のある子どもへの指導及び援助の実際とその改善・充実に関して、教育制度を含めた教育行政、教育現場での実際的な対応等を中心に実地調査研究を行う。
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2.訪問期間 |
第1次調査 平成12年5月24日(水)〜6月5日(月)
第2次調査 平成13年4月14日(土)〜4月21日(土)
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3.調査者 |
第1次調査 笹本 健・大内 進・石川 政孝
第2次調査 大内 進・武田 鉄郎
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4.調査先 |
1)平成12年度 第1次調査(5月24日〜6月5日)
ローマ
公教育省
保健省
ロマニヨーリ盲児施設
イタリア盲人協会
ボローニャ
F.カヴァッツア盲人協会
ボローニャ市地域保健機構(USL)
ボローニャ県教育委員会
マルコーニ(G.MARCONI)小学校
コレッキヨ
ジョゼッペ・ヴェルデイ(G.Verdi)小学校
オッツアーノ・タロー(Ozzano-Taro)幼稚園・小学校
コレッキヨ市障害者作業所
ガラヴェルナ(Galaverna)中学校
2)平成13年度 第2次調査(4月14日〜21日)
ボローニャ
マッジョーレ(Maggiore)病院内学校
リッツォーリ(Rizzoli)病院内学校
ボローニャ市地域保健機構(USL)
言語及び認知障害のためのセンター
ボローニャ県教育委員会
フォルトゥッツイ(Fortuzzi)小学校
ロランディーニ(Lorandini)中学校
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