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聴覚障害のある子どもへの配慮

災害時における障害のある子どもへの配慮

1 聴覚障害のある子どもについて

 聴覚障害とは、聴覚機能の永続的低下を総称したことばです。聴覚障害の発生した時期やきこえの程度、あるいは医療や教育における対応により、状態像も様々ですが、言語発達やコミュニケーション、社会性や情緒などの知的・精神的な発達の面に種々の課題が生じる可能性があります。

2 聴覚障害のある子どもへの配慮

(1)情報を伝えるために

 聴覚障害は、音や音声が聞きにくい障害であるため、ことば(音声言語)のコミュニケーションが円滑に進みにくいことがあります。災害時には、避難指示や災害の状況を的確に伝えることが重要です。そのため、繰り返し話す、ややゆっくりと話すといったことだけでなく、筆談を用いる、身振りや指差し、手話等の視覚的方法を用いる、SNSで情報を流すなど多様な方法を用いることが大切です。
 特に、対面でのコミュニケーションの際には、子どもからみて逆光にならないように光線に留意したり、顔や口元を子どもに見やすくしたりすることが大切です。また、停電時には、暗闇で手話も筆談の文字も見えない状態になるので、携帯電話のメール画面等を使用することも有効です。

(2)補聴器・人工内耳について

 きこえにくさを補う機器として、補聴器や人工内耳がありますが、どちらもきこえにくさを完全に補うものではありません。これらの機器は専門家による調整が必要です。また、調整された補聴器や人工内耳を装用しても、騒音下では聞き取りが悪くなりますので、できるだけ静かな環境を確保することが必要です。避難所など大勢の人たちが集まる場所では、子どもに情報が伝わっているかどうかを確かめ、十分に聞き取れていない場合には、個別に説明するなどすることも必要です。
 また、補聴器や人工内耳は電子機器のため、強い衝撃、水や湿気などが、故障の原因になります。さらに、電池の容量が少なくなるにつれ、きこえ(反応)が悪くなってしまいますので、常に予備の電池を携帯しておくことも、災害時への対応となります。

(3)情報保障について

 聴覚障害のある人に対する情報保障として、手話通訳や筆記通訳、補聴援助システムなど聴覚機器の活用などがありますが、何より大切なのは伝える内容が簡潔明瞭であること、つまり『わかりやすい』ということです。子どもの年齢やことばの理解力を考慮して、提示する情報(絵や写真、文、実物など)の量や質を考慮することが必要です。
 また、提示する情報については一方通行となるともあり、必要に応じて子どもに理解されているか、確認することが大切です。

(2024/01/29更新)

研究企画部