自閉症のある子どもへの配慮
災害時における障害のある子どもへの配慮
1 自閉症のある子どもについて
自閉症の基本的な障害特性としては、(ア)社会性の障害(対人関係を適切に築くことが難しい)、(イ)コミュニケーションの障害(言葉を使って自分の意思を伝えたり、相手の感情を推し量ったりすることが難しい)、(ウ)反復的で常同的な行動(特定のものに対する強いこだわりや、興味関心が非常に狭い)の3つが挙げられています。
自閉症のある子どもの状態は多様で、知的な発達に遅れのない子どももいれば、知的な発達に遅れのある子どももいます。高機能自閉症とは、知的な発達の遅れがない自閉症のことです。また、知的な面や言葉の発達に遅れがないアスペルガー障害(アスペルガー症候群)も、自閉症と同様に広汎性発達障害の一つに分類されています。
2 自閉症のある子どもへの配慮
(1)コミュニケーションに関する配慮
自閉症のある子どもに対するコミュニケーションに関する配慮としては、以下のことが考えられます。
- 要点を絞って具体的に伝えること。
- 急な変化に対応することが困難なので、事前に予定などを分かりやすく伝えること。
- 言葉だけでなく、実物や写真、絵カードの活用による視覚的な情報を活用すること
(詳細については、コミュニケーション支援ボード(明治安田こころの健康財団(全国特別支援学校知的障害教育校長会))
http://www.my-kokoro.jp/kokoro/communication_board/ を参照)。 - 文字の読み書きが可能な場合は、文字で示すことも有効。
- 内容によっては、実演するなど具体的に動作を見せることも有効です。
- 全体的な流れや手順を伝えること。
- 可能な範囲で、個別または小グループにして伝えることや、用件を伝える前に名前を呼ぶなどして、本人の注意を向けるようにすること。
これらのことは、災害による避難時及び避難後の生活において特に重要となります。
(2)心理面・身体面への配慮
被災後は精神的に不安定な状態が続き、同じことを何度も繰り返して言ったり、逆に不安な状態を表出することができずにため込んでしまい、ふとしたきっかけでパニックになったりすることがあります。
「~したらいけません」などの否定的な言葉を使用するのではなく、「~だから~します」などの様に、理由を説明し、必要な行動については肯定的に表現やすることが、特に自閉症のある子どもの場合は重要です。
パニック状態になった場合は、以下のような対応が必要です。
- 緊急の場合は、「大丈夫だよ」と声をかけ、安全な場所に移動させる。
- 安全な場所では、無理に抑えつけず、落ちつくまで見守る。
- 興味を切り替えられるようなもの(例えば飲み物、食べ物、ゲームなど)や場所を勧めてみる。
- 自閉症の特性が分かる専門スタッフ(例えば特別支援学校・学級、自閉症者施設、発達障害者支援センターなどの職員)に対応を依頼する。
(詳細については、防災ハンドブック(社団法人 日本自閉症協会) http://www.autism.or.jp/bousai/ を参照)。
(※「自閉症の子どもへの配慮」は、「知的障害のある子どもへの配慮」と一部重なります。)