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複数の障害を併せ有する子どもへの配慮

災害時における障害のある子どもへの配慮

1 複数の障害を併せ有する子どもについて

 複数の障害を併せ有する子どもの状態や教育的ニーズは多様です。視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱等それぞれの障害や状態に対する配慮が基本になります。それに加えて、併せ有する障害の組み合わせによっては、子どもが直面する課題が増大する場合や、新たに特有の課題が生じたりすることがあります。
 複数の障害を併せ有する場合、生活や学習場面全般に渡って介助を必要とする子どもが少なくありません。また、個々の複雑なニーズに対応するために、家族をはじめ、医療関連や福祉関連機関とのより緊密な連携が必要となります。災害時においては、個々の子どもの複雑なニーズに対応した配慮や支援が、普段と異なる場所で、普段と異なる支援者によって行われることがあるため、注意が必要です。

2 複数の障害を併せ有する子どもへの配慮

 複数の障害を併せ有する場合の個々のニーズやそれに対応する配慮事項は様々ですが、ここでは、それぞれの子どものニーズや対応する支援を考える視点を掲げます。言葉によるコミュニケーションが難しく、生活面での全般的な介助が必要な子どもについては、日ごろ行っている支援の情報を普段と違う介助者にも的確に伝えられるように、あらかじめ「サポートブック」などに整理しておくことが、災害時に役立ちます。

(1)健康面・生活面での配慮

 体温調節が難しい、呼吸状態への注意が必要、体調が変化しやすく疲れやすい、てんかんの発作があるなど、健康面での様々な配慮が必要な子ども、また、服薬や医療的ケア(たんの吸引、経管栄養など)を必要とする子どもがいます。食事(食形態、介助の仕方など)、排泄、入浴などについては、配慮事項が個々に異なります。緊急時においても、適切な支援ができるように、日ごろ行っている健康面・生活面での配慮について、保護者、医師、看護師と確認し、必要物品を非常時用に備えておくことも役立ちます。

(2)情報保障面での配慮

 視覚障害を伴う場合は視覚を通しての情報が、また、聴覚障害を伴う場合は聴覚を通しての情報が不十分となり、さらに、肢体不自由や知的障害を伴うと情報を収集・整理することがより困難になります。子どもは慣れた環境で、よく知っている人となじみの活動を行う時は、様々な手がかりによって身の回りで起こっていることの情報を得やすく安心することができます。しかしながら、災害時には普段と異なる環境で、様々な人がかかわる場合があるため、子どもが混乱し不安になります。「なに」、「どこ」、「だれ」という情報を、その子どもにわかる方法で伝え、安心できる状況を整えることが大切です。

(3)コミュニケーション面での配慮

 コミュニケーションの手段は、子ども一人一人異なります。特に、言葉によるコミュニケーションが難しい子どもについては、子どもに伝えるときの手段(ゆっくり唇の動きを見せて話す、実物を見せる、身振り、手話、絵カードなど)、子どもが伝えたいときの手段(表情・視線・身振りなどの意味、実物、絵カードなど)を確認し、整理しておくことが必要です。

(4)姿勢と移動について

 複数の障害を併せ有する子どもの中には、姿勢を整えたり移動したりすることに介助や見守りが必要な子どもが少なくありません。姿勢と移動については、「肢体不自由のある子どもへの配慮」の項を参照して下さい。

 (2024/01/29更新)