障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第16号

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      国立特別支援教育総合研究所メールマガジン
        第16号(平成20年 7月号)2008.7.1
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【目次】
■お知らせ
■NISEトピックス
 トピックス
 研究紹介
■特別支援教育関連情報
■研修員だより
■編集後記
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■お知らせ
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★NEWS★
●発達障害教育情報センター(Webサイト開設)について
 本研究所では、本年4月に、発達障害のある子どもたちの教育の推進・充
実に向けて、発達障害教育情報センターを設置しました。
 本センターでは、発達障害にかかわる教員及び保護者をはじめとする関係
者への支援を図り、さらに広く国民の理解を得るために、Webサイト等によ
る情報提供や理解啓発、調査研究活動を行うことを目的としています。
 現在、8月末に発達障害教育情報センターWebサイトを開設する準備が進
められています。
 そこで、多くの方々に発達障害教育情報センターの活動にご理解、ご協力
を得たいと考え、パンフレットを作成しました。研究所Webサイトからも、
PDFでダウンロードできますので、ぜひご利用ください。

「平成20年度発達障害教育情報センターパンフレット」
 刊行年月 平成20年 6月
 http://www.nise.go.jp/blog/2008/06/post_840.html

★報告とお礼★
●研究所公開・学校授業公開の報告とお礼
 第14・15号でご案内しました、平成20年度研究所公開及び筑波大学附属久
里浜特別支援学校の授業公開が、去る 6月28日(土)に行われました。天候に
も恵まれ、275名の学校関係者や地域の方々などにご来場いただきました。
 当日は、研究所の概要や最新の研究成果、さまざまな障害のある子どもの
教育についてパネル等による展示、体験、実演、そして久里浜特別支援学校
の授業公開を行いました。
 また、今年8月末Webサイトを開設予定の発達障害教育情報センターにつ
いても、PRパンフレットを配布し、広報をさせていただきました。
 お忙しい中、お越しいただきました皆様にはこの場をお借りしてお礼申し
上げます。

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■NISEトピックス
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★トピックス★ 
●平成19年度に実施した研究において、下記教材・教具を試作し、公開しま
した。

◇視覚障害者のための絵画鑑賞教材
「触る絵」
 1.3次元造型作品「神奈川沖浪裏」(葛飾北斎)
 2.3次元造型作品「牛乳を注ぐ女」(フェルメール)
 3.石膏作品「姿見七人化粧」(喜多川歌麿)

 視覚障害者のための絵画鑑賞教材「触る絵」の1.と2.は、終了した研究課
題で作成した石膏作品をもとに、3次元造型システムを活用して、ケミカル
ウッド等で立体的に造型したものです。3.は、石膏で立体的に造型したもの
です。
 →本研究所の「iライブラリー」に展示しました。

◇「あなたへのニュース」
 1.Web版
 2.印刷版

 「あなたへのニュース」1.のWeb版には、知的障害者の知的障害の程度に
合わせた3レベルのニュースと人物紹介、レクレーション、レシピからなる
PDFニュースとそれぞれのニュースのナレーション音声データが入っていま
す。
 また、その一部が2.の印刷版になっています。
 いずれも、厚生労働省自立支援調査研究プロジェクトによる成果です。
 
 ○Web版、印刷版はこちら→http://n2y.et.nise.go.jp/news2you

●平成20年度共同研究(新規)の課題が決まりました。

◇共同研究(新規)
1.障害のある子どもを支える地域の支援体制の構築と評価に関する実際的研
究(20~21年度):<共同研究機関>横須賀市・神奈川県立保健福祉大学

以上の研究課題は下記からご覧になれます。
 ○こちら→https://www.nise.go.jp/blog/2008/06/post_846.html

●アジア・太平洋特別支援教育国際セミナーについて

            中澤 惠江(企画部国際担当・上席総括研究員)

【趣旨】
 本研究所では、我が国唯一の特別支援教育のナショナルセンターとして、
アジア諸国における特別支援教育の発展・充実に向けた国際貢献を推進する
というミッションの下、昭和56年来アジア・太平洋地域からユネスコ国内委
員会により推薦された先導的立場にある実践者、研究者等を招き、アジア・
太平洋特別支援教育国際セミナー(以下、国際セミナーという。)を毎年開
催しています。
 平成18年度からは新たに5年間にわたる国際セミナーの基本テーマを「共
生社会を目指し、子ども一人一人のニーズに応じた教育の発展を考える」と
設定し、その下に各年度のテーマを掲げて実施してきました。
 また、本国際セミナーは、「諸外国の研究機関との連携・協力、交流の推
進による特別支援教育の国際的な情報発信センター機能の充実」という研究
所のビジョンの実現にも以下のとおり重要な役割を果たしています。

 ○これまでの国際セミナーの概要はこちら→
  http://www.nise.go.jp/blog/kokusai2.html#asia

【情報収集と発信】
 ・国際セミナー参加国から教育関連基礎情報を収集し、共有を計っていま
 す。
 ・国際セミナー参加国等からの研究論文、各国のトピックスを「Journal
 of Special Education in the Asia Pacific(アジア・太平洋特別支援教
 育ジャーナル)」に掲載し、諸外国の研究機関に配布しています。

 ○Journal of Special Education in the Asia Pacificはこちら→
  http://www.nise.go.jp/blog/jseap.html
 
【日本の特別支援教育について発信】
 ・我が国の特別支援教育の取組や最新の研究成果、本研究所の情報を掲載
 した「世界の特別支援教育」、「NISE Newsletter」を刊行し、諸外国の
 研究機関に配布しています。

 ○世界の特別支援教育はこちら→
  http://www.nise.go.jp/blog/2008/04/post_754.html
 ○NISE Newsletterはこちら→
  http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_d/newsletter.html

【第28回アジア・太平洋特別支援教育国際セミナー】
 本年度はテーマを以下のとおりとし、各国間の情報交換を行うとともにそ
れらの発展・充実に向けての協議を行います。

 □平成20年度テーマ
  「学校における特別な学級、リソースルーム等が果たす役割
  ~子ども一人一人の教育的ニーズへの対応と共生社会の形成に向けて~」
 □開催日程 平成20年12月 2日(火)~12月 4日(木)
 □会場 横浜シンポジア

 国際セミナーの詳細、参加募集は、本メルマガや研究所Webサイトで適宜
ご案内させていただきます。本年度も多くのご参加をお願いいたします。

☆研究紹介☆
●プロジェクト研究「発達障害のある子どもの早期からの総合的支援システ
ムに関する研究」(平成18~19年度)

 研究代表者 渥美 義賢(発達障害教育情報センター・上席総括研究員)

 発達障害のある子どもについては早期からの支援が重要であり、早期発見・
早期支援を具体化することは発達障害者支援法に規定された国及び地方公共
団体の責務です。これに対応するために、発達障害のある子どもの支援に関
わる教育、保健、福祉、医療、労働等の全ての機関が一体となった総合的シ
ステム構築に関する研究として、早期発見・早期支援を中心に行いました。
 研究は、フィンランド・米国・英国等の諸外国の施策状況の把握、特別支
援学校・幼児ことばの教室・乳幼児健診・幼稚園と保育所における早期支援
についてのアンケート調査、早期支援の先進的な活動を行っている地域の実
地調査等を行いました。
 これらの研究結果については研究協力者を含めて検討し、発達障害のある
子どもの総合的支援システムとして長期的に実現すべきことがらを以下のよ
うな7項目からなる「発達障害グランドデザイン<Ver.1 早期における支援
を中心に>」としてまとめました。
1.統括・調整
2.就学前の発見と支援
3.就学後の発見と支援
4.教育環境整備
5.切れ目のない連携
6.保護者支援
7.社会基盤の充実
 なお報告書には、上記の各々の項目の下位項目と、その実現に向けて参考
となるような取り組みの例をあげてあります。

 ○報告書はこちら→近日中にWebサイト掲載予定

●課題別研究「盲学校等における視覚障害教育の専門性の向上と地域におけ
るセンター的機能を果たすための小・中学校等のニーズに対応した支援の在
り方に関する実際的研究」 (平成18~19年度)

           研究代表者 大内 進(企画部・上席総括研究員)

【本研究の背景と目的】
 視覚に障害がある児童生徒が小・中学校でも学んでいます。
 本研究では、視覚に障害がある児童生徒が在籍する小・中学校での教科指
導の実態について調査し、盲学校等からのセンター的機能における支援のポ
イントを明らかにするとともに、教科の専門性の向上をめざして「算数」「
数学」に焦点をあてて、実践指導や教材教具に関する情報を取りまとめまし
た。

【研究の成果】
 小・中学校での課題とニーズ
 教科の指導に際しては、基本的な配慮がなされていることが認められまし
た。盲学校等のセンター的機能の成果がうかがわれます。一方、そうした配
慮にもかかわらず、時間内での学習課題や作業を処理することやノートテイ
クの指導などに苦慮していることなどが明らかになりました。

 ○報告書はこちら→近日中にWebサイト掲載予定

 算数・数学指導に関する情報の整理
 視覚障害教育における算数・数学に関する文献情報、実践報告データベー
スの整理、教材・教具データベースの新規構築、立体図形学習に関する触覚
教材の作成と活用法などを取りまとめました

 ○報告書はこちら→近日中にWebサイト掲載予定

 算数の指導の基本とポイントのまとめ
 視覚障害教育における算数指導における基本的配慮事項や教材のポイント
について整理しました。今後ガイドブックにまとめていく予定です。

 ○報告書はこちら→近日中にWebサイト掲載予定

【研究のまとめ】
 小・中学校に在籍する視覚に障害がある児童生徒の教科指導に際しては、
基本的な配慮がなされているものの、様々な課題やニーズのあることがわか
りました。学んでいる場の如何に関わらず、視覚に障害がある児童生徒に質
の高い教科指導を保証していくことは大事なことです。こうした観点から、
今期の研究においては算数・数学に焦点をあてて算数・数学に関する情報や
指導のポイントを取りまとめました。盲学校の専門性の向上や小・中学校で
指導する教員への支援に寄与できることを願っています。
 これらの成果は、本研究所で運用している「視覚障害教育情報ネットワー
ク」で公開します。

 ○視覚障害教育情報ネットワークはこちら→http://www.tenji.ne.jp

◆ちょっと一息 季節のたより  -夏祭りシーズン到来!-

 7月に入ると、夕暮れ、どこかしこから祭囃子を練習する笛、太鼓の音が
聞こえてきます。全国各地で、夏の訪れを告げる祭りシーズンの到来です。
ここ三浦半島は、神奈川県内でも都会化した地域に比べ、伝統的な風習を大
事に残しており、ふだん人影の少ない小さな神社で、盛大な祭りが行われま
す。祭りもバリエーションが豊富で、お囃子車、木遣り、御輿、山車や底抜
け屋台の曳き回し、神楽や獅子舞の奉納などがあり、また、漁師町が多いこ
とから、五穀豊穣に加え、大漁祈願の御輿の海上渡御が行われるなど、かな
り見どころがあります。
 祭りは、日常生活を営むためのエネルギーを回復するハレ(非日常)の行事
とも言われます。この季節、週末に聞こえてくる本番の篠笛と太鼓の小気味
よいリズムに、心がウキウキとはやります。お囃子とはよく言ったものです。
仕事帰りの通りがかりに祭りに出会うと、ついつい引き込まれてしまいます。
自慢の法被に身を包んだ若者が、ちょっと得意げに祭りに参加する様や、そ
れらを見物する老若男女の華やいだ笑顔、そんなほほえましい光景を見るだ
けでも、ほっと、優しいエネルギーをいただきます。
 夏本番でお疲れの時節、皆さんも、お近くの夏祭りに出かけてみませんか?

                (総務部企画調整課 森野 昌子 記)

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■特別支援教育関連情報
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●小・中学校学習指導要領の改訂に伴う移行措置について

 文部科学省では、 6月13日、小・中学校学習指導要領の改訂に伴う平成21
年度からの移行措置についての省令及び告示を公示しました。また、あわせ
て、移行措置に関する文部科学事務次官通知「小学校及び中学校の学習指導
要領等に関する移行措置並びに移行期間中における学習指導について(通知)」
(20文科初第386号)が都道府県・政令指定都市教育委員会等機関に対して
出されました。

○関係資料はこちら→
 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/ikou/index.htm

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■研修員だより
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 今号は、平成17年度第二期短期研修肢体不自由・病弱教育コース修了の
宇座麻紀先生からお寄せいただきました。

「メリー久里浜、バンザイ!!」

              宇座 麻紀(沖縄県立泡瀬養護学校 教諭)

 季節は9月、家族を残し、単身での研修生活に不安もありましたが、職場
の先輩方からの薦めもあり、三線(さんしん)片手に久里浜に来ました。70
日間という非常に贅沢な密度の濃い研修生活を送らせていただきました。全
国から集まった38名の仲間との出会いは、一生の宝と思っています。今でも、
年に1回同期会で会ったり、メーリングリストで、互いに情報や意見を交換
するなど、貴重なネットワークができたと思います。実地研修先の「訪問の
家『朋(とも)』」に「短研バンド」を組んで伺ったことも忘れられない思
い出です。
 研修では、沖縄ではなかなか聴けないような、貴重な最新の講義が目白押
しで、本当に勉強になりました。また、「スイッチ同好会」で作製したスイ
ッチ類を、研修後職場に持ち帰り、校内においてAAC(拡大・代替コミュニ
ケーション)の啓発にも取り組み、少しは研修の成果を広めることができた
かなと思います。今後も、子ども達との関わりを大切にし、保護者や様々な
関係機関との連携を密にして、教育活動に邁進していきたいと思います。

 ○Webサイトはこちら→http://www.awase-sh.open.ed.jp/

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■編集後記
 学校も夏休み前のまとめの時期に入りました。4月から子どもたちはどの
ように成長したでしょうか?日々の生活の中で、子どもの見せる姿に一喜一
憂することもあろうかと思います。
 このメルマガを編集するときに、いつもこれをご覧になっている読者の顔
を思い浮かべます。少し疲れた体でご覧になっている方、意気揚々としてご
覧になっている方、今日初めて登録してご覧になっている方(はじめまして!)。
様々な方々がご覧になっているかと思います。
 このメルマガは、少しでも子どもたちやその保護者、そして先生方等に元
気になってもらう情報を発信したい!という思いで取り組んでおります。今
月号に投稿していただいた宇座先生はじめ、所員の方々に感謝するとともに、
これからも読者の皆様と一緒に「いちゃりば ちょーでー」*の思いでがん
ばっていけるよう、応援よろしくお願いいたします。
 では、次号8月号をお楽しみに!
       *「出会った私たちは、みんな兄弟なんだ!(沖縄方言)」
                   (第16号編集主幹 大城 政之)

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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第16号(平成20年 7月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail a-koho@nise.go.jp
           (@を半角にして送信してください。)
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