障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第47号

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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第47号(平成23年 2月号)
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■目次
【1】お知らせ
【2】NISEトピックス
【3】研究紹介
【4】特別支援教育関連情報
【5】研修員だより
【6】アンケートのお願い
【7】編集後記
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【1】お知らせ
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★NEWS★
●研究所の最新状況
◆研修現況報告
◇第三期特別支援教育専門研修開講

 知的障害・肢体不自由・病弱教育コース(平成23年 1月11日~ 3月16日)
が開講し、全国から97名の教職員が、研修員として日々研鑽に励まれていま
す。
 この「特別支援教育専門研修」(年三期制)は、障害のある幼児児童生徒
の教育を担当する教職員に対し、専門的知識及び技術を深めていただくなど
必要な研修を行い、その指導力の一層の向上を図り、今後の各都道府県等に
おける指導者としての資質を高めることを目的としています。

 ○特別支援教育専門研修の内容等はこちら→
  http://www.nise.go.jp/blog/senmonkenshu.html

●平成22年度 国立特別支援教育総合研究所セミナーIIのご案内
本年度は下記のとおり実施いたします。多数のご参加をお待ちしております。

◆平成22年度国立特別支援教育総合研究所セミナーIIのテーマ
 特別支援教育の展開と質的向上を目指して
 -国立特別支援教育総合研究所の研究活動の成果から-
 
 期日 平成23年 2月28日(月)
 会場 国立オリンピック記念青少年総合センター
※引き続き申込を受け付けております。詳細は以下のWebサイトをご覧くだ
さい。

 ○国立特別支援教育総合研究所セミナーIIの詳細はこちら→
  http://www.nise.go.jp/blog/2010/10/post_389.html

●第11回日韓特別支援教育セミナー参加のご案内

 平成23年 3月10日(木)、本研究所において第11回日韓特別支援教育セミ
ナーを開催します。本セミナーは、本研究所と韓国国立特殊教育院が1995年
11月に研究協力協定を締結したことに基づき、日韓相互で定期的に開催をし
ております。
 今回は、韓国から3名の研究者を迎えて以下のとおり開催します。皆様の
参加をお待ちしております。

 ◆第11回開催テーマ
  障害のある子どもの教育におけるICTの活用
 ◆日程 平成23年 3月10日(木)
 ◆会場 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
     (神奈川県横須賀市野比5-1-1) 研修棟 大研修室

 ○セミナーの詳細や参加の方法はこちら→
  http://www.nise.go.jp/blog/2011/02/post_424.html
 ○これまでのセミナーの概要はこちら→
  http://www.nise.go.jp/blog/kokusai2.html#nikkan

●研究職員人事異動について
 この度、研究所に着任及びご退職される研究職員の皆様をご紹介します。

  1月 1日付けで、熊田華恵氏(兵庫県淡路県民局淡路文化会館生活創造活
動専門員)を教育支援部・主任研究員としてお迎えすることになりました。
  1月31日付けで、中澤惠江氏(企画部・上席総括研究員)がご退職されま
した。
 
●NISE市販書籍情報
◆特別支援教育充実のための キャリア教育ガイドブック

 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 編著
 B5判/278頁 諸ツールを収録したCD-ROM付
 発行 ジアース教育新社
 発売日2011年 1月 定価 2,310円(本体2,200円+税)

・特別支援教育におけるキャリア教育の最前線がわかる
知的障害のある児童生徒のキャリア教育を支援するため新たなツールの提案
◎キャリアプランニング・マトリックス ◎単元における観点位置付けシー
ト ◎授業における観点位置付け・授業改善シート ◎単元においてねらう
キャリアの観点シート ◎本人の願いを支えるシート

[問い合わせ先]
 ○ジアース教育新社 TEL 03-5282-7183(販売部)こちら→
  http://www.kyoikushinsha.co.jp/book/0147/index.html

 ○上記で紹介している書籍は以下の研究成果に基づくものです。こちら→
  http://www.nise.go.jp/blog/2009/05/post_224.html
 
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【2】NISEトピックス
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★トピックス★ 
●平成22年度国立特別支援教育総合研究所セミナーIの報告

   柘植 雅義
   (企画部・上席総括研究員 セミナーI 実施ワーキンググループ長)

 本研究所では、平成22年度国立特別支援教育総合研究所セミナーIを 1月
27日(木)~28日(金)の2日間にわたり、国立オリンピック記念青少年総
合センターにおいて開催いたしました。本年度は、「特別支援教育のさらな
る進展へのチャレンジ―学習指導要領改訂にあわせて―」というテーマを掲
げました。
 本セミナーIでは、学習指導要領改訂に合わせたテーマを平成20年度より
3年間の計画で実施してきました。本年度はその最終年度にあたります。現
在では、既にすべての学校種の学習指導要領及び幼稚園の教育要領が改訂さ
れ、今年度初めにはそれに合わせた学習評価についての在り方も具体的に示
されました。これらに伴って、各教科等において、新たな目標や内容等を踏
まえた指導内容や指導方法の一層の充実が求められます。
 幸いなことに、全国の学校や自治体では、既に先進的な取り組みや模索が
始まっています。そこで、今回のセミナーでは、特別支援教育のさらなる進
展にむけて、以下のようなプログラムを企画しました。

 1日目は、「特別支援教育行政の現状と課題」について文部科学省の千原
由幸特別支援教育課長から行政説明をいただき、その後、「特別支援教育の
さらなるチャレンジ―現状の把握と今後の展望―」と題してシンポジウムを
開催いたしました。シンポジウムでは、まず、本研究所の松村勘由上席総括
研究員より、関連する調査や報告等から現状と課題について、整理・報告を
行いました。その後、話題提供者として、宮城県仙台市立小松島小学校校長
の針持哲郎先生、岐阜県多治見市立平和島中学校校長の水崎誠先生、徳島県
立阿南支援学校校長の美馬恒子先生をお迎えして、小学校、中学校、特別支
援学校それぞれの立場から、個別の指導計画をどう作成し、どう指導に生か
していくか、その活用と評価の在り方等についてお話いただきました。最後
に、本研究所の松村勘由上席総括研究員を交えて、今後の展望も含めた活発
な議論が行われました。

 2日目は、午前中には、早稲田大学教育・総合科学学術院教授の安彦忠彦
先生より「学習指導要領と学習評価」と題したご講演を頂きました。さらに、
ご講演の後に司会者(柘植)と安彦先生でミニ対談を行い、特に特別支援教
育の視点からみた新学習指導要領と学習評価について理解を深めました。
 午後の2つの分科会では、交流及び共同学習、障害の重複化・多様化と
ICTの活用をそれぞれキーワードに、特別支援教育のさらなる進展への具体
について活発な協議が行われ、参加者の皆様とさまざまな課題を共有できた
のではないかと思います。
 また、2日目の昼休みには、21年度に終了した本研究所の研究についてポ
スター展示や発達障害教育情報センターのWebサイトの案内を行いました。

 本セミナーには、全国各地から定員の700名を超える方々が参加されまし
た。
 このセミナーを機会にみなさまの学校等での特別支援教育がさらに推進し
ていくことを願っております。
 2日間にわたるセミナーの記録については、後日、本研究所Webサイトに
掲載しますので、是非ご覧下さい。

●海外情報の紹介
2010年度ニュージーランド自閉症会議に参加して

                   柳澤 亜希子(企画部・研究員)

 平成22年 9月10日~12日に、ニュージーランドのウェリントンでAutism
New Zealand 2010 Conference(2010年度ニュージーランド自閉症会議)が
開催されました。ニュージーランドでは、2008年にNZ Autism Spectrum 
Disorder Guideline (ニュージーランド自閉症スペクトラムガイドライン)
が公刊されました。本ガイドラインは、ニュージーランドや諸外国の自閉症
に関わる実践や研究で明らかにされたエビデンスに基づきまとめられたもの
であり、自閉症のある当事者や家族も参画して作成されました。
 本会議の基調講演やパネルディスカッション、分科会(1.青年・成人期の
自閉症者が抱える問題、2.自閉症者として生きること、3.自閉症のある人々
の家族への支援、4.自閉症に関わる施策、5.自閉症のある子どもの教育)の
構成からも、当事者や家族に関わる話題が重視されていることを実感しまし
た。
 筆者は、科学研究費補助金(若手研究B)「自閉症児・者の家族のライフ
ステージに応じた日本版個別家族支援計画の開発」の一環として、主に本会
議の「家族への支援」に関わるパネルディスカッションや分科会に参加しま
した。本会議への参加を通して、自閉症のある本人の生活の質(QOL)や支
援の充実には、彼らの家族(親だけではなく、きょうだいや祖父母も含め)
への支援と家族のQOLの充実が不可欠であることを再確認しました。また、
自閉症のある人々への支援体制が必ずしも十分ではない状況において、家族
が自閉症について常に正しい知識をもち、家族自身のエンパワーメントを促
すこと、そのためには、教員や支援者等とのパートナーシップが大切である
ことが言及されていました。さらに、身近な人々に自閉症について理解して
もらうよう、家族自身が自閉症についてオープンになることが重要であると
の指摘がなされていました。
 本会議で得られた自閉症のある人々と暮らす家族への支援の考え方を参考
にしつつ、今後の研究活動を進めていきたいと思います。

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【3】研究紹介
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●専門研究B 知的障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校
に在籍する児童生徒の増加の実態と教育的対応に関する研究(平成21年度)

          研究代表者 井上 昌士(教育支援部・総括研究員)

『本研究の背景と課題』
 近年、知的障害特別支援学校に在籍する児童生徒数の増加や学校の狭隘化、
教室不足等の問題が各学校や自治体の課題となっています。本研究では、全
国特別支援学校知的障害教育校長会(以下、全知長)との連携のもとに、知
的障害特別支援学校に在籍する児童生徒の増加の実態を整理し、増加に伴う
課題を明らかにしてその教育的対応について検討しました。
『本研究の結果』
 平成21年度の全知長加盟550校の平均在籍者数は149.7人、 300人以上の学
校は37校ありました。回答の得た434校のうち、在籍者の療育手帳程度別の
状況は、軽度判定が小学部約 1,000人(在籍率5%)、中学部約1、400人(9%)に
対して高等部は約9,900人(28%)と非常に多く、小、中学部と高等部では在籍
者の構成が大きく異なっているといえます。66%の学校で認可学級に対して
普通教室数が不足しており、300人以上の大規模校では90%以上、大規模校以
外でも約60 %近くの学校で不足していることが明らかになりました。特別支
援学校の教職員数は他の学校種と比べて多く、在籍者数の増加に伴い教職員
数も増大します。大規模校では150人近い教職員が勤務している例もありま
した。こうした大人数の職員に対する専門性の担保や、学校の教育方針、経
営方針等の徹底には困難が予想されます。
『本研究の課題』
 今後は学校マネジメントに関する工夫の必要性とともに、これまで以上に
特別支援学校と通常学校の連携を強化し、小・中学校及び高等学校における
特別支援教育の充実強化を推進していくことが重要であると考えます。

○研究成果報告書はこちら(PDF:21,081KB)→
  http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_b/b-254.pdf

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【4】特別支援教育関連情報
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●世界自閉症啓発デーのお知らせ

 毎年 4月 2日は国連総会で決議された「世界自閉症啓発デー」です。今年
も 4月 2日(土)に灘尾ホール(新霞ヶ関ビル:東京都千代田区)でシンポジ
ウムが開催されます。参加申し込み等の詳細は以下のWebサイトをご覧くだ
さい。

 ○世界自閉症啓発デー2011・シンポジウムの詳細はこちら→
http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/index.php?action=pages_view_main&page_id=166


※このシンポジウムを開催する「世界自閉症啓発デー日本実行委員会」には、
本研究所も共催団体として参画しており、複数名の研究所職員が各般の委員
として開催にあたって協力を行っております。

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【5】研修員だより
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 今号は、平成15年度第二期短期研修修了の本庄美千代先生からお寄せいた
だきました。

「一期一会」

              本庄 美千代(鹿児島県立加治木養護学校)
 
 「もっと課題意識をもって。今まで自分は何をしていたのだろう…。」研
修に参加する前に感じるべきことを、私は研修が始まってからひしひしと感
じていました。7年前、短期研修に参加した時です。
 教育についても、行事の企画についても目標を設定し、それを深く思う気
持ちがなければ課題解決にはつながらないでしょう。そういう意味において、
久里浜での研修は、自分の特別支援教育に関する課題や教員としてのスタン
スを改めて深く考える機会となりました。
 すばらしい講師陣の講義を受け、研究所の先生方から熱意ある御指導をい
ただき、研修員のみんなとの意見交換や情報交換(研修以外の諸々も含めて…
これがまた最高。)など夢のような2か月でした。
 月日は経ちますが、機会あるごとに同期の皆さんと連絡を取り合い、情報
をもらえる環境にあることを幸せに思っています。現在は、病弱・肢体不自
由の特別支援学校に勤務しています。増加している医療的ケアを要する児童
生徒に対応しながら、従来からの病弱の特別支援学校としての専門性を確保
していくことなど、課題も多いです。
 ここに原稿を寄せる機会をいただいたのも何かの縁。多くの方とのつなが
りができることに感謝いたします。皆様もお元気でお過ごしください。

○鹿児島県立加治木養護学校のWebサイトはこちら→
 http://www.edu.pref.kagoshima.jp/ss/Kajiki-H/

※「短期研修」は、平成19年度以降、「特別支援教育専門研修」と名称及び
内容を変えて実施しています。

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【6】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

 ○アンケートはこちら→
  http://www.nise.go.jp/enquete/fm/haisin/maga47

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【7】編集後記
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 朝晩の冷え込みがとりわけ厳しい季節ですが、晴れた朝、房総半島を正面
に野比海岸沿いを研究所へと歩き、空から降る陽の光と、その光を海が反射
したものとを浴びていると、思いがけないほどの暖かさを感じることがあり
ます。朝の海の照り返しは、日が高くなってからのそれよりも強く眩しく、
受ける右頬に“暑さ”を感じるときなど、真反対の季節から手が伸びてきて
触れられたような、不思議な気持ちになります。
 このメールマガジンについては現在、より皆様の興味・関心に沿った新た
な内容の記事掲載開始をめざして、準備を進めているところです。引き続き
のご愛読を、どうぞよろしくお願いいたします。
                   (第47号編集主幹 小松 幸恵)

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■次号のメールマガジンは・・・

●トピック
 国立特別支援教育総合研究所セミナーIIの報告
●世界自閉症啓発デー2011 in横須賀のご案内
●研究紹介
 「専門研究A」障害の重度化と多様化に対応するアシスティブ・テクノロ
ジーの活用と評価に関する研究(平成21~22年度)

以上の記事を予定しております。是非ご覧ください。
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「メールマガジン」へのご意見・ご感想はこちら

国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第47号(平成23年 2月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp
([アットマーク]を@にして送信してください。)

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