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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第53号(平成23年 8月号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━
東日本大震災で被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。
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■目次
【1】NISEトピックス
【2】研究紹介
【3】連載コーナー
【4】特別支援教育関連情報
【5】研修員だより
【6】アンケートのお願い
【7】編集後記
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【1】NISEトピックス
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★トピックス★ 
●企画部の組織と業務活動
                      企画部・総合企画調整担当

 企画部は、企画部長の下、総合企画調整担当、評価・国際調査担当(兼務)、調査
担当(兼務)の各上席総括研究員を配置し、9名の研究職員を合わせて13名が所
属しています。
 企画部の役割は、研究に関する総合的な企画・立案及び調整、障害のある子ど
もの教育に関する政策課題、関係法制及び行財政策に関する調査分析などの業務
を行うこと、また、研究所の業務に関する評価の企画及び立案、研究所が実施す
る調査の全体計画の立案及び調整、特別支援教育に関する基本データ調査の企
画・実施・分析等、諸外国の障害のある子どもの教育に関する調査・分析などの
業務を行うことです。
 これらの業務については、いずれも研究所運営に当たっての重要な要素として
組み込まれており、毎年度着実に実施すべきものですが、その中で、特に、平成
23年度においては、中長期を展望し平成20年8月に策定した研究基本計画の改訂
を企画部が中心となって行うこととしています。また、特別支援教育に関する基
本データ調査の企画・実施・分析に関しては、毎年度実施している「全国小・中
学校特別支援学級及び通級指導教室、特別支援学校の設置に関する調査」に加
え、平成23年度は、「発達障害等(LD、ADHD、自閉症)通級指導教室及び情緒障
害通級指導教室の実態調査」(前回は平成19年度)、「全国難聴・言語学級及び
通級指導教室実態調査」(前回は平成18年度)を企画部として行うこととしてい
ます。調査対象となった学校等におかれては、調査の意義をご理解くださり、ご
協力方よろしくお願い申し上げます。

★海外情報の紹介★
●冊子「ICF及びICF-CYの活用 試みから実践へ-特別支援教育を中心に-」の翻
訳版が台湾で発行されました。
               徳永 亜希雄(教育支援部 主任研究員)

 今年6月、本研究所編著として発行した冊子「ICF及びICF-CYの活用 試みから
実践へ-特別支援教育を中心に-」の翻訳版が台湾で発行されました。
 本冊子は、本研究所で取り組んでいる特別支援教育におけるICF(国際生活機
能分類)の活用に関する研究の一環として2007年に発行したものです。本冊子に
ついてICF関連の国際会議で報告したところ、台湾の大学関係者から「ぜひ翻訳
して学生用の教科書等として活用したい」との申し入れがあり、翻訳・発行に
至ったものです。
 本研究所でのICFの活用に関する研究では、研究成果の普及を通して、今後も
可能な範囲で国際貢献を進めていきたいと思います。

 ○翻訳版の情報はこちら→
  http://www.farterng.com.tw/Web/Default.aspx?module=productdetail&pid=P110523001

 ○「ICF及びICF-CYの活用 試みから実践へ-特別支援教育を中心に-」につい
てはこちら→
  http://www.kyoikushinsha.co.jp/book/0078/index.html

 ○専門研究A「特別支援教育におけるICF-CYの活用に関する研究-活用のため
の方法試案の実証と普及を中心に-」についてはこちら→
  http://www.nise.go.jp/cms/8,559,18,105.html

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【2】研究紹介
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●専門研究A 障害のある子どもの今後の教育についての基礎研究-インクルー
シブ教育システムの構築に向けて-(平成21~22年度)
          研究代表者 藤本 裕人(教育支援部 総括研究員)

 我が国では、障害者の自立と社会参加の一層の促進を図るため、障害者基本法
が制定され、ノーマライゼーションの理念を実現するための取組が進められてい
ます。教育制度がよりインクルーシブな方向へ移行していくことは国際的な潮流
であり、インクルーシブ教育システムの構築の検討が課題になってきています。
平成21年に改訂された学習指導要領では、交流及び共同学習のことが広く示され
ました。これは今後の共生社会の形成を視野にいれた教育活動として、インク
ルーシブ教育システムの構築に深く関係する事項と言えます。これらの状況を踏
まえて、本研究所ではインクルーシブ教育システムの構築に接近することができ
るよう、基礎的な研究段階として、現在の障害のある児童生徒への配慮等の状況
を把握するとともに、海外の関連情報の収集に取り組みました。研究の内容は、
小・中学校の中で学習している障害のある児童生徒が、通常の学級で学習する際
の配慮や指導方法等について訪問調査を行い、情報保障・環境の整備・心理面へ
の配慮等の現状を整理しました。また、海外でのインクルーシブ教育システムに
関して、韓国、カナダ、オーストラリア、アメリカ、イギリスの情報を整理し、
資料の作成を行いました。

 成果報告書は後日Webサイトからも閲覧できる予定です。
 なお、本研究所では、「インクルーシブ教育システムに関する研究」を平成23
年度からの中期目標・中期計画期間(5年間)を見通して総合的に推進するテー
マの1つとして指定し、研究に取り組んでいます。

 ○専門研究A「インクルーシブ教育システムにおける教育の専門性と研修カリ
キュラムの開発に関する研究」についてはこちら→
  http://www.nise.go.jp/cms/8,4164,18,105.html

 ○専門研究A「インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別な支援を必要
とする児童生徒への配慮や特別な指導に関する研究」についてはこちら→
  http://www.nise.go.jp/cms/8,4171,18,105.html

●専門研究A 障害のある子どもへの一貫した支援システムに関する研究-早期
から社会参加に至る発達障害支援の確立と検証-(平成22年度、研究代表者 渥
美 義賢)
                  笹森 洋樹(企画部 総括研究員)

 発達障害のある子どもの支援は、一人ひとりの特性を踏まえできるだけ早期か
ら社会参加に至るまで生涯にわたり、一貫性と継続性をもって総合的に行われる
必要があります。当研究所では、平成18~19年度に早期支援を中心とした研究、
平成20~21年度には後期中等教育における支援の在り方について研究を行いまし
た。本研究では、これらの研究成果を基に「発達障害支援グランドデザイン
Ver.2」をまとめました。
 「発達障害支援グランドデザインVer.2」は、国や地方自治体が総合的支援シ
ステムを具体化するための到達点を示したものです。統括・調整、就学前の発見
と支援、就学後の発見と支援、教育環境整備、切れ目のない連携、保護者・家庭
支援、社会基盤の充実の7つの観点から解説しています。
 発達障害に対する早期からの一貫した支援はまだ緒に就いたばかりです。各自
治体ではモデル事業等の先進事例を活用した支援施策の実施が望まれます。関係
部局の連携については首長のリーダーシップも重要です。総合的な支援の充実の
ためには、その基となる社会基盤の充実が欠かせないことから、国民全体への啓
発活動も重要課題です。

 成果報告書は後日Webサイトからも閲覧できる予定です。

 ○関連研究の成果報告書はこちら→
  http://www.nise.go.jp/cms/resources/content/403/c-78_all.pdf
  http://www.nise.go.jp/cms/resources/content/403/c-81.pdf

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【3】連載コーナー
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●知れば得する???脳科学-自閉症-
         渥美 義賢(国立特別支援教育総合研究所客員研究員)

 第4回 自閉症の人たちにとって模倣が苦手なのは・・・
     -ミラー・ニューロンと自閉症-

 この連載(全5回)では、自閉症に関する知って得する情報を脳科学の知見か
らお届けします。
 マカク・ザルの前頭葉F5野に、ある動作を自分がしている時と他者(飼育者
等)が同じ動作をしているのを見ている時の両方で活動する神経細胞のあること
が報告されました。自分がある動作を実行する時と、他者の同じ動作を観察して
いる時の両者であることから、ミラー・ニューロンと名付けられました。この神
経細胞の働きとして、他者の動作・行動の理解、その目的の理解、模倣、模倣を
通しての学習、さらには社会性の学習にも関係していると推測されています。一
方、自閉症のある人たちは「模倣」が苦手で、他者の動作・行動の理解や社会性
の学習に困難があります。このことから、自閉症の人たちの脳ではミラー・
ニューロンの機能が障害されているのではないか、そしてそのことが自閉症の発
症原因の1つではないか、と推測されるようになりました。このような自閉症の
発症にミラー・ニューロンの障害が関連しているという考えが、近年注目されて
いる自閉症に関するミラー・ニューロン仮説と呼ばれるものです。

 ・・・・・・続きはこちら→
 http://www.nise.go.jp/cms/6,4932,13,257.html
 ・・・・・・全5回の連載内容(予定)はこちら→
 http://www.nise.go.jp/cms/6,3764,13,257.html


●発達障害のある子どもと共に学び育つ通常学級での授業・集団づくり
 ~協同学習(学び合い)のユニバーサルデザイン化から~
                 涌井 恵(教育情報部 主任研究員)

 第1回 協同学習でわかる授業と安心して自分を発揮できるクラスづくりを

 発達障害のある子どもが共に学ぶ通常学級における学級経営や授業づくりは、
学校現場の喫緊の課題の一つとなっています。学習における困難だけでなく、友
達との対人関係でトラブルに心を痛めている発達障害のある子ども、また、学級
経営に苦戦している学級担任も少なくありません。
 この連載(全6回)では、このような課題の解決の一つのヒントとして、子ど
もたちの学力、社会性、仲間関係の改善や向上に効果があると指摘されている
「協同学習(cooperative learning)」(学校現場では、「学び合い」と表現さ
れることも多いようです)による授業づくり、集団づくりの解説や実践例を紹介
していきます。
 近年、通常学級におけるユニバーサルデザインが注目されています。これは、
特別な支援が必要な子どもだけでなく、どの子どもにも過ごしやすく学びやすい
学校生活・授業を目指すことことを意味します。「協同学習」には一人一人の学
び方の多様性に柔軟に対応できる学習技法であるという利点があるので、ユ二
バーサルデザインな学習技法ともいえます。海外では、障害のある子どもが同じ
クラスの仲間として、障害のない子どもと同じ教室で学ぶというインクルーシブ
教育場面においても、よく活用されています。日本での実践はまだこれから、と
いう段階ですが、通常学級の中で活用できそうな、学び方の多様性に対応した教
材例等の紹介もしていきたいと考えています。


 ・・・・・・続きはこちら→
 http://www.nise.go.jp/cms/6,3605,13,257.html
 ・・・・・・全6回の連載内容(予定)はこちらのリンクへ♪
 http://www.nise.go.jp/cms/6,3601,13,257.html

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【4】特別支援教育関連情報
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●平成23年度(第36回)特別支援教育教材・教具展示会作品募集について
                     (財団法人障害児教育財団)

 特別支援教育教材・教具展示会は、国立特別支援教育総合研究所の協力によ
り、障害児教育財団が文部科学省他の後援のもと、毎年開催している事業で今回
で36回目です。
 この事業は、特別支援教育に携わる教職員が自作し、指導等に活用している教
材・教具(コンピュータによる学習ソフトウェアを含む)を募集をして展示を行
い、さらにその中で優秀な作品について表彰を行うものです。
 現在、作品の募集を開始しておりますので、多数の応募をお待ちしています。
 なお、前年度は129作品の応募があり、文部科学大臣賞は小西順さん(大阪府
立堺支援学校)が受賞されました。

 ◇賞 文部科学大臣賞
    国立特別支援教育総合研究所理事長賞
    障害児教育財団理事長賞(金賞、銀賞、銅賞、佳作)
 ◇応募締め切り 平成23年10月7日(金)必着
 ◇応募先    財団法人障害児教育財団 事務局
         〒239-8585 神奈川県横須賀市野比5丁目1番1号
         電話046-839-6888

 ○今年度の募集要項・応募用紙及びこれまでの実施状況はこちら→
  http://www.nise.go.jp/cms/7,381,31,132.html

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【5】研修員だより
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 今号は、平成14年度第二期短期研修知的障害教育コース修了の橋本賀津郎先生
からお寄せいただきました。

「いつまでも魅力があるから継続できる」
                   橋本 賀津郎(徳島県立聾学校)

 食事や排泄など身辺自立が困難な人たちが、月に一度集まっていろんな体験や
活動に挑戦しています。そのためには、ボランティアが必要です。週末や長期の
休みに家で閉じこもらずに外で何か活動できるようにしたいという思いで「障害
の重い子どもたちのサークル『フレンズ』」のボランティア活動と企画運営を続
けています。演舞場での阿波踊りやコンサート、スキーツアーなど学校で企画す
ることが難しいかなと思う内容も実施できるのは、とても魅力ですね。地域との
連携や余暇支援は、短期研修で学んだことが活かせていると思います。いつまで
も魅力のある活動を続けていきたいです。
 そんな中,短期研修メンバーから「同期会をしよう」と連絡がありました。全
国の先生方と語り合ったあの時間に帰ることができる…この魅力はいつまでたっ
ても変わらない。野比の海、宿泊棟から講義棟までの短すぎる距離、久里浜の飲
屋街…。知的障害教育コースを無事に終了したことと、あの時出会ったメンバー
に魅力があるから10年近くたった今でも同期会が続いています。いつまでも魅力
があるから継続できるのだと思っています。

 ○徳島県立聾学校のWebサイトはこちら→
  http://tokurou.tokushima-ec.ed.jp/

※「短期研修」は、平成19年度以降、「特別支援教育専門研修」と名称及び内容
を変えて実施しています。

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【6】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

○アンケートはこちら→
 http://www.nise.go.jp/enquete/fm/haisin/maga53

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【7】編集後記
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 決して明るいとはいえない世相の中、なでしこジャパンのワールドカップ初優
勝は、元気や希望を与えてくれるニュースとなりました。追い詰められても最後
まであきらめずゴールを目指し、きちんと結果を残した選手たち。また、10年近
く研修後の同窓会を続けている元研修員の橋本先生のお便りからも、がんばろう
というパワーをいただきました。約10年続くチーム作りに研究所の研修が一役買
えたことは、大変うれしいことです。同窓会では昼は学校訪問、夜は情報交換会
と熱心に研鑽されています。
 皆様に役立ち、愛読されるメルマガとなるよう、私たちもがんばりたいと思い
ます。
(追伸:7/29正午過ぎ、参議院本会議で改正障害者基本法が可決、成立しました。)
                    (第53号編集主幹 涌井 恵)

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■次号のメールマガジンは・・・
●トピック 教育情報部の活動紹介
●研究紹介 専門研究B 小・中学校等に在籍している視覚障害のある児童生徒
等に対する指導・支援に関する研究(平成22年度)

以上の記事を予定しております。是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第53号(平成23年 8月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp
      ([アットマーク]を@にして送信してください。)

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