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本文 I 研究の概要
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I 研究の概要
1.研究の目的
 特殊教育に関する国際動向をみると、世界各国では障害のある子どもを含む特別な教育的ニーズを有する子どもも可能な限り通常の小・中学校で教育を受けるという、いわゆるインテグレーションあるいはインクルージョンと呼ばれる取り組みが行われており、通常教育の場における特別な教育的ニーズを有する子どもたちの教育の充実が重要な課題になっていると思われる。
 そのため、これらの取り組みを行っている諸外国の特殊教育に関する動向、とりわけ小・中学校等の通常教育の場における障害のある子どもの教育の改善・充実に関する最近の動向について調査研究を行うことは、今後のわが国の特殊教育の在り方を検討していく上で、重要な示唆を与えるものと考えられる。
 このような認識から、本研究では、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、アメリカの5カ国について、最近の特殊教育に関する改革の動向、とくに小・中学校等の通常教育の場における特別な教育的ニーズを有する子どもへの指導及び支援の取り組みについて検討を行うことを目的とした。
2.研究の方法
 本研究では、国際機関及び主要諸外国における特別な教育的ニーズを有する子どもの教育の改善・充実に関する文献資料について検討を行うとともに、実際に主要諸外国の特殊教育関係機関を訪問し、資料の収集を行った。

1)文献資料調査
 OECD及びユネスコなどの国際機関から刊行されている特別な教育的ニーズを有する子どもの教育の改善・充実に関する文献資料を収集し、検討を行った。また、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、アメリカの5カ国について、インターネットのWebサイトや文献資料を通じて、教育制度や教育改革の動向に関する資料を収集し、検討を行った。

2)実地調査
 イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、アメリカの5カ国について、各国の特殊教育機関を実際に訪問し、以下の点を中心に調査を行った。
(1)特殊教育に関する制度及び通常教育システムとの関係
(2)特殊教育をめぐる改革の動向
(3)小・中学校等における特別な教育的ニーズを有する子どもへの取り組みの実際
(4)特殊教育諸学校が人的・物的リソlスセンターとして特別な教育的ニーズを有する子どもの教育において果たす役割
(5)特殊教育諸学校等と小・中学校等の役割分担
3.研究の経過
1)平成11年度の調査研究
 平成11年度は、次の調査研究を行った。
(1)文献資料調査
 主要諸外国の特殊教育制度及び教育改革の最近の動向に関する資料をインターネットのWebサイト及び文献資料を通じて収集し、主要国の特殊教育に関する取り組みの現状を整理し、分析した。また、OECD、ユネスコなどの国際機関から刊行されている特殊教育関係資料を収集し、分析を行った。
(2)調査票の作成
 各国について共通した項目で実地調査を行うために、調査票を作成した。調査票は、国レベル、地方レベル、学校レベルの特殊教育に関する取り組みを詞査するために3部構成となっており、特別な教育的ニーズのある子どものインクルージョンに関する法律及び規則、就学前の子どもへの対応、通常学校における特別な教育的ニーズのある子どもへの支援体制、特殊学校の役割、各種統計資料等に関する調査項目から構成されているものであった(資料1及び2)。
(3)実地調査
平成11年度は、イギリスについて実地調査を行った。
 上記の調査票に基づき、国レベルの特殊教育に関する施策については、教育雇用省の特殊教育担当部局を訪問して、資料を収集した。また、地方教育局レベルの特殊教育に関する施策については、ロンドン及びエジンバラの地方教育局を訪問し、資料を収集した。学校における実際の特殊教育の取り組みについては、ロンドンの小学校及びエジンバラの特殊学校を訪問し、教育実践について資料を収集した。これらの調査によって得られた資料に基づき、イギリスにおける特殊教育に関する取り組みの動向について分析を行った。

2)平成12年度の調査研究
 平成12年度は、次の調査研究を行った。
(1)実地調査
平成11年度に作成した調査票に基づいて、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、アメリカについて、国レベル、地方レベル、学校レベルの特殊教育に関する取り組みについて実地調査を行った。国レベルの施策については、各国の教育省(あるいはそれに相当する機関)の特殊教育担当部局を訪問して資料を収集した。また、地方レベルの施策については、地区の教育委員会を訪問し資料を収集した。学校における取り組みに関しては、小学校あるいは特殊学校を訪問し、資料を収集した。
 これらの調査で得られた各国の資料について、a)法律的な側面の特色、b)特別な教育的ニーズのある子どもとしてどのような子どもを教育の対象としているか、c)通常学校における障害のある子どもへの取り組みの特色、d)特殊教育諸学校の果たしている役割、e)障害のある子どもへの教育以外の領域も含めた地域におけるサポートの状況、f)財政的な側面の特色、という観点から整理し、比較検討を行った。
(2)文献資料の検討
 上記の実地調査を通じて、各国で収集した最新の文献資料について検討を行い、各国の特殊教育に関する取り組みの最近の動向に関する分析を行った。
(3)中間報告書の作成
 上記の実地調査及び文献資料の検討を踏まえて、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、アメリカの5カ国の特殊教育の現状について中間報告書を作成した。

3)平成13年度の調査研究
 平成13年度は、次の調査研究を行った。
(1)実地調査
 イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、アメリカの5カ国について、以下の点に焦点を絞り、実地調査を行った。
(1)小・中学校における特別な教育的ニーズを有する子どもの指導の実際
(2)特殊教育諸学校が人的・物的リソースセンターとして 特別な教育的ニーズを有する子どもの教育において果たす役割
(3)特殊教育諸学校と小・中学校の連携及び役割分担
(2)文献調査
 上記の実地調査を通じて、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、アメリカの5カ国の特殊教育に関する文献資料を収集し、各国の特殊教育の動向について整理及び分析を行った。
(3)研究報告書の作成
 平成11年度から平成13年度に行われた調査研究の内容について、研究報告書を作成した。

4.研究報告書の構成
 本研究報告書は、大きく5つの部分から成っている。
 第一の部分では、この研究の目的、方法、経緯、及び、報告書の構成についての記述が行われている。
第二の部分では、この研究の背景となっているわが国の特殊教育を取り巻く状況と国際機関の取り組みの動向についての概説が行われている。
 第三の部分では、主要国における特別な教育的ニーズを有する子どもの指導についての実地調査及び文献調査の結果が報告されている。ここでは、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、アメリカについての調査結果が報告されている。
 第四の部分では、この研究を踏まえた今後の課題及び展望について述べている。
 最後の「資料」の部分では、この研究で主要国の各機関を訪問した際に使用した質問紙の日本語版と英語版を収録している。
(渡邉 章・金子 健)
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