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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第148号

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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第148号(令和元年7月号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━
新潟県を震源地とする地震の被害に遭われた皆様に、心からお見舞い申し上
げます。
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■目次
【お知らせ】
・第5回NISE特別支援教育国際シンポジウムの開催について(予告)
・第4回公開研究成果報告会「自閉症のある子どもの自立活動の指導の充実
に向けて」の開催(案内)
【NISEトピックス】
・NISE各部・センターの活動紹介(3)情報・支援部の活動について 
【研究紹介】
・本年度より実施する研究課題の紹介
【特総研ジャーナルの紹介】
・諸外国における障害のある子どもの教育及びNISEトピックスについて
【NISEダイアリー】
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】

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【1】お知らせ
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●第5回NISE特別支援教育国際シンポジウムの開催について(予告)
 本研究所では、今後のインクルーシブ教育システム推進を展望するため、
「子どもの学習のつまずきに速やかに対応する取組~フィンランドの教育実
践から今後を展望する~」というテーマで国際シンポジウムを開催します。
 詳細は追ってこのメールマガジンを通じてお知らせいたします。

◇日時:令和2年1月25日(土)13:00 ~ 17:30
◇会場:一橋大学一橋講堂(学術総合センター内)
      (東京都千代田区一ツ橋2-1-2)
◇定員:400名
◇申込開始:令和元年11月

○これまでのNISE特別支援教育国際シンポジウムはこちら→
 http://www.nise.go.jp/nc/training_seminar/special_symposium/
 

●第4回公開研究成果報告会「自閉症のある子どもの自立活動の指導の充実
に向けて」の開催(案内)
 自閉症研究班では、平成26~30年度に実施した研究成果を広く学校現場に
還元、普及することを目的として、公開研究成果報告会を毎年開催していま
す。第4回目となる本報告会では、研究にご協力いただいた先生方による実
践報告を通して、自閉症のある子どもの自立活動の指導について理解を深め
ます。また、今年度は、「トピック」として高等学校の通級による指導につ
いても取り上げます。皆様のご参加をお待ちしております。

◇日時:令和元年8月8日(木)10時~15時15分(9時30分受付開始)
◇会場:国立特別支援教育総合研究所 研修棟
◇定員: 100名程度(先着順、参加費無料。ただし、「ワークショップ
(参加者同士の情報交換)」の定員は25名程度です)
◇参加対象:小・中学校特別支援学級担当者、小・中学校、高等学校通級指
導教室担当者、特別支援学校(知的障害)教員等
 本報告会に関する具体的な内容や参加申込方法の詳細は、本研究所Webサイ
トをご覧ください。

○第4回公開研究成果報告会の開催要項及び参加申込方法はこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/news/page_20190517054715

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【2】NISEトピックス
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●NISE各部・センターの活動紹介(3)情報・支援部の活動について
              横倉 久(情報・支援部長/上席総括研究員)

 情報・支援部は、「情報戦略」と「学校教育支援・連携」の二つの役割を
担っていいます。本稿では、情報・支援部の業務と新しい取組について紹介
をします。
 「情報戦略」の業務においては、特別支援教育に関する情報の収集・蓄積
・提供や理解啓発、「特別支援教育教材ポータルサイト」を中心に、特別支
援教育に関する教材及び教材支援機器に関する情報・資料の収集・提供や評
価・活用及び関係者の支援などの業務を行っています。昨年度の主要な活動
は、研究所のホームページの改定でした。トップページはシンプルな構成と
し、利用者サイドの視点から、「研究者の方」「教育関係者の方」「障害者
・ご家族・一般利用者の方」と、それぞれ別の入口を設けて利便性を図りま
した。また、アンケートで意見があったバナーの表示方法の改定やスマート
フォンへの対応等の改善を行うとともに、特別支援教育に関する情報を新し
い内容に改めました。
 「学校教育支援・連携」の業務においては、特別支援教育の理解啓発、教
育委員会、校長会、関係団体等との連携協力及び連絡調整、都道府県教育セ
ンター・特別支援教育センター等との連携協力、日本人学校支援等の業務を
行っています。全国特別支援学校長会との共催事業として、特別支援学校寄
宿舎指導員実践研究協議会及び体育・スポーツ実践指導者協議会を実施し、
寄宿舎指導員の資質向上や障害者スポーツの理解啓発に取り組んでいるとこ
ろです。また国際分野では、ナショナルセンターとして、日本人学校の支援
と、海外に赴任される時に帯同される障害のある子どもの教育相談も実施し
ています。さらに充実した支援体制構築に向け、検討を重ねております。
 情報・支援部は、新しい取組として、昨年度、内閣府主催の障害者週間
「連続セミナー」へ参加しました。連続セミナーは、一般の方を対象とした
イベントであり、研究所としては貴重な試みとなりました。特別支援教育の
理解啓発について、専門家に対する研修や研究成果の普及だけではなく、一
般の教員や一般の方々まで、対象を広げた活動となりました。広報の仕方、
内容の選択等、様々な課題も含めて今後の計画に反映させていきたいと考え
ています。
 研究所における研究成果や収集した情報に基づくコンテンツ等を幅広く発
信することが情報・支援部の役割です。「研究所を知る」ことは、「特別支
援教育を知る」「役立つ情報を研究所から得る」ことを意味します。教育委
員会や校長会等での情報提供や研究所セミナー等を通じて、研究所の研究成
果物を知っていただき、多くの教員が研究所のホームページにアクセスして
利用することが、特別な教育的ニーズのある子どもたちの支援につながるよ
う、情報・支援部はチャレンジを続けて参ります。

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【3】研究紹介
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●本年度より実施する研究課題の紹介
                     研究企画部研究企画評価担当

 本研究所で実施する研究において、より教育現場のニーズに対応すること
を目的として2019年1月に実施した「2019年度に研究所が実施する研究課題
等に係る意見」調査では、多くの方々よりご回答いただきましたことを心か
ら御礼申し上げます。頂戴した貴重なご意見やご要望を踏まえて、新規課題
における今後の取組について紹介します。

1)基幹研究「知的障害特別支援学級担当者サポートキットの開発-授業づ
くりを中心に-」 
(令和元年度~令和2年度)
                                                              研究代表者:涌井 恵
 
 本研究に対して、多くの機関から貴重なご意見、ご要望を頂戴し、心より
感謝申し上げます。さて、本研究では、特に特別支援教育経験の少ない知的
障害特別支援学級担任の専門性向上を支援することを目的に、授業づくりを
中心とする専門性向上に資する資料やツールをまとめた「サポートキット」
の開発を目指しています。
 皆様からは、本研究成果への期待と併せ、活用しやすい内容・構成・示し
方などについて貴重なご意見をいただきました。本研究では、国語と算数・
数学の授業づくりを中心に、指導計画の作成や教育課程の編成についても分
かりやすく示すとともに、学習場面の写真や教材例など活用しやすい示し方
を工夫したいと考えています。また、知的障害特別支援学級担任以外の皆様
も活用できることを念頭に、研究を進めていきたいと考えております。
 なお、今回の研究対象ではありませんが、自閉症・情緒障害特別支援学級
に関するご意見もいただきました。本研究所全体の今後の研究計画の参考と
させていただきます。

2)基幹研究「小・中学校における肢体不自由のある児童生徒への指導及び
支援のための地域資源を活用した授業改善に関する研究」
(令和元年度~令和2年度)
                                                              研究代表者:吉川知夫

 本研究に対して、多くの機関からご意見、ご要望をいただきました。あり
がとうございました。さて、本研究では、小・中学校等に在籍する肢体不自
由のある児童生徒に対して、特別支援学校のセンター的機能をはじめとした
地域資源を活用した授業改善の在り方を検討します。これまでの肢体不自由
班の研究から、小・中学校で肢体不自由のある児童生徒を担当する教員は、
通常の学級では教科学習時の姿勢保持や教材教具の工夫、体育の授業への参
加の仕方や学習評価、特別支援学級では自立活動の指導や個別の指導計画の
作成・活用等に課題を抱えていることが示されています。
 今回の調査で多く見られた意見や要望として、運動・動作や視覚認知等の
肢体不自由児の特性を踏まえた指導、自立活動の指導と教科学習との関連、
教材・教具の工夫、個別の指導計画の活用、医療・福祉機関との連携、交流
及び共同学習の効果的な進め方に関すること等が挙げられました。
 これらのご意見やご要望を踏まえて、特別支援学校のセンター的機能のほ
か、地域の医療・福祉機関や大学、高専等も含め、特別支援学級等の教育活
動を支援する「地域資源」を活用した授業改善の在り方について研究を進め
ます。通常の学級及び特別支援学級における取組から、肢体不自由児の特性
に応じた指導の在り方を具体的な実践事例を含めてモデルとして提示し、肢
体不自由のある児童生徒の指導を行う学校現場に有益な研究となるようにし
たいと考えています。

3)基幹研究「社会とのつながりを意識した発達障害等への専門性のある支
援に関する研究-発達障害等の特性及び発達段階を踏まえての通級による指
導の在り方に焦点を当てて」
(令和元年度~令和2年度)
                       研究代表者:海津亜希子

 この度は貴重なご意見を多数お寄せくださりありがとうございました。研
究班のメンバー間で一つ一つしっかりと拝読させていただきました。本来で
あれば、いただきました一つ一つのご意見に対し、お返事すべきですが、こ
ちらに回答をまとめましたのでご一読いただけましたら幸いです。
◆研究内容についての説明
 本研究では、二次的な障害の予防の観点から、発達障害のある児童生徒の
適応上のさまざまな困難の実態とそのリスク要因を、他分野の関連機関から
の情報収集・協働を通して、環境面も含めて整理していきます。それととも
に、彼ら自身の「資質・能力」を支えるためにどのような支援が必要となる
か、また、学校等において実践をどう進めることがよいのかを、特に発達障
害のある子どもにとっての有効な指導の場の一つである「通級による指導」、
さらには、その通級による指導において特別な教育課程を編成する場合に
「参考にする」とされる「自立活動」にも焦点を当てながら検討を行う予定
です。
◆具体的な質問に対する回答
 具体的なご質問の中でも特にお尋ねの多かった内容について述べさせてい
ただきます。
(1)本研究のテーマにも掲げた「社会とのつながり」
 今回、なぜ、「社会とのつながり」をテーマに掲げたかというと、例えば、
教育(学校)においては適応できていたとしても、社会に出た後、不適応を
起こすケースが少なからずあることが予備的な研究で明らかになりました。
そこで、子どもの自立や自己実現を考えていく上では、教育の中での適応の
みならず、社会とのつながりを意識した対応を考えることが重要であると考
えました。その意味で、「社会とのつながり」という用語を用いています
(具体的な連携方法を模索する研究ではありません。ただし、研究の中で、
必然的に、医療・福祉・労働等、社会資源とのつながりの重要性については
着目していくことになると考えます。)。
(2)「家庭との連携の必要性」
 保護者への支援や介入については、二次的な障害のある児童生徒の支援に
おいては不可欠であり、非常に重要だと認識しております。しかしながら、
直接的に、保護者支援や介入方法について焦点を当てるのではなく、問題の
背景要因や、対応の軸としての重要な要素として整理できればと考えていま
す。
(3)「自立活動の内容を参考にした指導内容の検討」
 こちらは、本研究の中核と考えております。通級による指導等、発達障害
のある子どもへの教育がさらに充実するよう、発達段階や発達障害の特性を
考慮した指導内容を検討していく予定です。特に、キャリア教育等の観点は
自己理解とも繋がるものであり、参考にする予定です。
(4)「リーフレット」
 研究成果はリーフレットにまとめる予定です。リーフレットの作成におい
ては、一般の方々にも研究内容が分かりやすく伝えられるよう表現を工夫し、
研究知見の理解・啓発に最大限つながるよう発信していく予定です。Webサ
イトにも掲載し、広く提供することを考えています。
 いただいたご意見を参考にしながら研究に取り組み、教育現場に少しでも
有益な知見を還元できるよう努めてまいります。

4)研究班活動による調査「重複障害教育の現状と課題に関する調査」
(令和元年度)
                        研究代表者:小澤至賢

 関係各所からの貴重なご意見、ありがとうございます。重複障害教育研究
班の研究に対して、多くのご要望をいただきましたことを感謝いたします。
いただきましたご意見を拝見し、重複障害教育において、多くの課題がある
ことを改めて理解することができました。
◆ご質問及びご要望とそれへの対応について
・都道府県教育委員会等からは、新学習指導要領に示されているカリキュラ
ム・マネジメント等の実践事例等に関する要望等をいただきました。
・市区町村教育委員会等からは、特別支援学級において、重複障害のある児
童生徒が増加していることから、教育的対応の充実に向けた取組が必要であ
り、本研究所の研究に対する期待が寄せられました。
・特別支援学校等の学校現場からは、児童生徒が障害の重度化・多様化して
いる実態から教育的対応の充実に向けた取組が必要であり、本研究所の研究
に対する期待が寄せられました。
・加えて、医療的ケア、関係機関との連携などについては共通して、ご要望
をいただきました。
 重複障害教育研究班では、基幹研究でこれらのご要望に応える予定でした
が、平成30年度の予備的研究での研究成果を踏まえ、まずは、重複障害教育
の現状と課題を明らかにすることが必要であると考え、重複障害教育の現状
と課題に関する調査を行うこととしました。関係各位からの本研究所への期
待を踏まえ、令和2年度以降に、令和元年度に実施した調査を基に、教育現
場等へ還元する研究に取り組む予定です。
 今年度に実施予定の調査へのご協力をはじめ、各機関の皆様には、種々お
世話になりますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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【4】特総研ジャーナルの紹介
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●諸外国における障害のある子どもの教育及びNISEトピックスについて
 本研究所では、本研究所の研究をはじめとする様々な活動内容を紹介する
「国立特別支援教育総合研究所ジャーナル(通称:特総研ジャーナル)」を
毎年作成し、Webサイトに掲載しています。前号に引き続き、この3月に発
行した特総研ジャーナルの内容を紹介します。
 今月は諸外国における障害のある子どもの教育及びNISEトピックスに関し
てご紹介します。
-諸外国における障害のある子どもの教育-
 「障害のある子どもについての理解啓発」に焦点を当て、韓国、アメリカ、
イギリス、オーストラリア、フィンランド、スウェーデンにおける施策や実
際の取組について報告しています。
-NISEトピックス-
 本研究所が平成30年度に情報普及・理解啓発活動として実施した各種イベ
ントや研究協議会等の様子を紹介しています。

○国立特別支援教育総合研究所ジャーナル第8号はこちら→ 
 http://www.nise.go.jp/nc/report_material/research_results_publicatio
ns/seminar_materials

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【5】NISEダイアリー
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              「吊り広告」
           宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)

 電車やバスに乗ると、吊り広告が目に入る。大分、前になるが、同じ交通
機関を利用して通学する子どもたちを担任してから、自然と吊り広告が気に
なるようになった。「受け持っている子どもたちが興味をもつ、何か面白い
材料はないか?」というのが発端だったと思う。
 先日、久里浜から電車に乗った。すると、こんな広告を見付けた。「暑い
毎日を過ごすか 熱い毎日を過ごすか」と、青空をバックに白い文字が横書
きで二段に大きく書いてあった。「何だろう?」と、興味が湧いた。そして、
下の方を見ると、今度は白地に赤字などで「夏期講習受付中!(講習期間)
7.16→8.31」と書いてあった。それで、上記の言葉の意味が類推できた。気
温が高くなる夏を毎日、「暑い、暑い!」と過ごすだけでなく、何か目的
(情熱)をもって、勉強に励むという、そんな「熱い夏を過ごしてはどう
か?」と呼び掛ける、夏期講習へのお誘いの広告であった。そして、その広
告を出した学習塾の名前と電話番号が、一番下に記載されていた。
 久し振りに、小学部で子どもたちと関わっていた日々を思い出した。当時
はトピックスと称して、通学途上で気付いたことを、朝の会で、みんなの前
で発表する時間を設けていた。子どもたちは、友達に伝えたいことを探しな
がら登校して来た。みんなが知らないこと、自分だけが気付いたことを得意
気に話す子どもたちの顔が目に浮かぶ。
 そんなことから、私も、子どもたちに伝えたいことを、毎日の通勤途上、
きょろきょろしながら探すことが日課になった。
 先日見付けた「暑い毎日」と「熱い毎日」は、発音は同じである。ところ
が意味が違う。こうした同音異義語は、身近にたくさんある。そして、日本
語の特徴の一つでもある。聞こえる人は、知らず知らずのうちに耳にして、
「あれ、『あつい』と言っているのに、意味が違うんだ。」と気が付くこと
がある。しかし、聞こえにくい場合には、なかなか気が付きにくい。だから、
子どもの興味・関心に応じて、様々な言葉や使い方を意図的に知らせる必要
がある。
 また、同音異義語は、落語の“落ち”にも使われたりする。小咄として、
耳にしたことがあると思うが、「隣に塀ができたんだって。」、「へえ~。」
などがその例である。それを「『塀』と『へい』(相槌を打つこと)を掛け
ているんだよ。」などと説明し始めると、折角の小咄もつまらなくなる。で
も、聞こえにくい子どもの場合は、時には、丁寧に説明することも必要だ。
 言葉は、楽しみながら身に付けさせたいものだと思っていたが、なかなか
思い通りにはいかなかった。そんな反省の日々を思い出す。
 先日見付けた、「暑い毎日」と「熱い毎日」については、ある学生さん達
を相手に話す機会に、その枕として遣ってみた。「誰が、どんなことを伝え
たくて、こんな広告を作ったと思いますか?」が、私の問いであり、「同音
異義語という日本語の特徴がありますよ。」というメッセージでもある。
 このようにして、身近にある教材を探す癖が身に付いたのは、昔、読んだ
大村はま先生の著書、「新編教えるということ」(ちくま学芸文庫)に影響
を受けたからかも知れない。

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【6】研修員だより
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 今号は、平成30年度第三期特別支援教育専門研修を修了された大野稔先生
からお寄せいただきました。

          「語り尽くせぬ久里浜の日々」
                  大野 稔(島根県立松江ろう学校)
 
 開講式前夜、横須賀中央駅前の酒場で、同郷の研修員と明日から始まる研
修への不安から逃避するためか、三浦半島の幸で至福の時間を過ごしました。
 翌早朝、自転車で国道16号を南下し、浦賀を経て海岸沿いに、漁船から外
国籍の船舶、艦艇まで大小様々な船が行き交う東京湾の壮大な情景に圧倒さ
れながら研究所に到着したのは9:00過ぎ、「ここが特総研か!」と気持ち
を新たに、これから2か月お世話になる野比の町を、良さげな店を・・・求
めて受付時間まで散策することにしました。野比の町の第一印象は「坂」で
した。
 宍戸理事長の「教えるということ」をテーマとした講話で研修に向かう勇
気をいただき、様々な分野でご活躍の先生方の日々の講義は、すべて新鮮か
つ実践意欲を掻き立てられる内容で、当初の不安はすぐに期待に変わりまし
た。また、全国から集まった素晴らしい同志との協議や情報交換は、様々な
考えに触れる貴重な時間となり、自分の視野を大きく広げることができまし
た。「指導に根拠をもつこと」、研修で得た現在大切にしていることの一つ
です。
 指導の根拠を考えることで、より子どもを見るようになりました。子ども
をよく見て、ねらいを明確にした丁寧な授業づくりを日々心がけています。
 休日もまた充実していました。自転車で巡った鎌倉・箱根・伊豆大島・・・、
三崎のマグロ、夜足しげく通った名店の数々、まさに閉講式前夜みんなで大
熱唱した「語り尽くせぬ久里浜の日々~♪」を過ごさせていただきました。
 この研修で得た経験と仲間との絆は一生涯の宝物。感謝です!!

○島根県立松江ろう学校のWebサイトはこちら→
 http://www.shimanet.ed.jp/matsurou/

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【7】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

○アンケートはこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=95916&lang=ja

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【8】編集後記
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 7月になり、学校では七夕飾りや水泳の授業が行われていることかと思い
ます。私が聾学校に勤めていた頃、水泳の授業前には「補聴器は外しました
か?」、そして、授業後は「綿棒で、優しく耳の中の水分をとるよ。」とい
う話をしていたのを覚えています。学校現場では授業中の指導のみならず、
学校生活全般を通して、子ども達への配慮が必要です。
 配慮に似た言葉で、「気配り」という言葉があります。私が教員であった
とき、先輩から「気配りができる人間になるように。」とよく言われてきま
した。ですが、まだまだ気配りができていないことがよくあります。
 今月号の研修員だよりに寄稿いただいた大野先生は、仲間の先生方に気配
りをされながら、まとめ役として活躍してくださいました。研究所では、年
に3回、2か月間の専門研修が行われます。その中で、専門的な知識だけで
はなく、共同生活の中で、気配りの意識を強くもたれる先生方が多くいます。
ひいては、それが現場に戻られてから、子ども達との関わりの中で、配慮と
して現れるものだと思います。研究員の私たちも、専門研修に来られる先生
方の気配りから、学ぶことがたくさんあります。
 今月号も最後までお読みいただき、ありがとうございました。これから梅
雨が明け、夏を迎えますが、皆様、ご自愛ください。

                    (第148号編集主幹 山本 晃)

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次号も是非ご覧ください。
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> NISEweb(研究所webサイト)
  http://www.nise.go.jp/nc/

> 発達障害の情報を知りたいとき
 【発達障害教育推進センターweb】
  http://icedd_new.nise.go.jp/

>学習や生活面に困難さがある子どもへの支援の事例を知りたいとき
 【インクルDB】
  http://inclusive.nise.go.jp/

> インターネットで講義を聴講したいとき
  http://www.nise.go.jp/nc/training_seminar/online

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> 教育支援機器、教材について知りたいとき
  http://forum.nise.go.jp/ilibrary/

> 障害のある子供のためのインターネットギャラリー
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