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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第156号

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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第156号(令和2年3月号)
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■目次
【お知らせ】
・世界自閉症啓発デー2020イベントについて
・第5回NISE特別支援教育国際シンポジウムの開催(終了報告)
【NISEダイアリー】
【特別支援教育関連情報】
・令和2年度特別支援教育関連予算案について
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】
 
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【1】お知らせ
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●世界自閉症啓発デー2020イベントについて

 毎年4月2日は、国連総会が定めた世界自閉症啓発デー(World Autism
Awareness Day)です。本研究所を含む関係団体で組織された世界自閉症啓
発デー・日本実行委員会では、自閉症に関する理解を広めることを目的とし
て「世界自閉症啓発デー2020・シンポジウム」を開催する予定です。今年の
テーマは、昨年に引き続き「輝く人・照らす人」です。「地域が輝く・地域
を照らす」、「学んで輝く・学んで照らす」、「毎日が輝く・毎日を照らす」
の各テーマに沿って、自閉症のある人々の充実した生活を支えるための取組
をご紹介します。

日時:令和2年4月4日(土)10:00~16:30
会場:全社協・灘尾ホール(新霞が関ビル内:東京都千代田区霞が関3-3
   -2)

 また、4月2日(木)には、東京タワーにて啓発イベントが予定されてい
ます。
 これらのイベントの詳細や参加申込方法については、世界自閉症啓発デー
・日本実行委員会のWebサイトをご確認ください。

 ○世界自閉症啓発デー・日本実行委員会のWebサイトはこちら→
 http://www.worldautismawarenessday.jp

 
●第5回NISE特別支援教育国際シンポジウムの開催(終了報告)
 本研究所では1月25日(土)、東京都千代田区の一橋講堂にて「第5回
NISE特別支援教育国際シンポジウム」を開催しました。
 当日は、全国から351名の方にご参加いただきました。
 本年度は、「子どもの学習のつまずきに速やかに対応する取組-フィンラ
ンドの教育実践から今後を展望する-」というテーマで開催しました。
 本研究所における国際事業と諸外国におけるインクルーシブ教育システム
に関する動向について本研究所から報告を行いました。
 その後、津田塾大学准教授渡邊あや氏からフィンランドの教育制度と基本
情報を、本研究所から令和元年度に実施しましたフィンランド実地調査結果
をそれぞれ話題提供しました。
 講演では、フィンランド国家教育委員会教育カウンセラーのピリヨ コイ
ブラ氏から、フィンランドでは、学習につまずいている子どもや障害のある
子どもへの指導支援をどのように行っているのか、その実際について実践事
例も含めて紹介いただきました。
 ディスカッションでは、まず、我が国の小学校での事例(教育実践紹介)
を栃木県鹿沼市立みなみ小学校教諭堀川知子氏から一人一人のニーズに合わ
せた朝学習の実践について紹介いただいた後、小・中学校等において、支援
を必要とする様々な子ども達に対する教育の実践の充実に向けた工夫や課題
等について議論を深めました。
 参加者からは、「とても視野が広がった。同時に、我々の日々の実践と繋
がることが多く、力づけられた」、「日本でも、学校レベルでできることが
あることがよく分かりました。参考にしたいです」、「具体的な支援方法を
たくさん知れたので勤務校でも取り入れたいと思います」等、数多くの感想
が寄せられました。皆様からいただいた貴重なご意見等は、次年度からの企
画に生かしていきたいと思います。
 
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【2】NISEダイアリー
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            「実地研修への参加」
           宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)
 
 今、研究所では、第三期特別支援教育専門研修が行われている。1月8日
から3月13日までの2か月間、全国から86名の先生方が、研究所のある野比
の地に集まり、宿泊研修を受けている。講義や演習ばかりでなく、研究協議
をしたり、所外へ実地研修に出掛けたりする。今期は、発達障害・情緒障害
・言語障害教育コースが開設されている。
 2月の中頃に、実地研修の予定が組まれていた。発達障害・情緒障害教育
コースでは、五つの研修先が設けられ、そのうちの一つ、発達障害等のある
方の就労等に関する支援を行っている事業所の見学に、私も参加させていた
だくことにした。
 この事業所の活動については、以前、自閉症啓発デーの催しの中で紹介さ
れたことがあり、興味をもっていた。特に、街中の人通りの多いところに施
設を設け、そこで様々な事業を展開していることに関心があった。
 私はもともと小学部の教員であった。だから、障害者の就労支援について
は経験もないし、そのような福祉サイドの施策についての知識も疎かった。
 ところが、最近は、教育と福祉の連携協力が特別支援教育の分野において
喫緊の課題になっている。特に、福祉関連の事業所において、放課後等デイ
サービスが実施され、それが話題に上るようになった。そんな背景もあり、
実際にその現場を見てみたいという興味もあった。
 訪問した事業所では、各種の就労支援事業を展開していた。就労移行支援、
就労定着支援、就労継続B型、自立訓練(生活訓練)であり、さらに、障害児
への支援として、放課後等デイサービスを実施していた。
 駅近くのアーケードの中にある事業所の施設には、高等部を卒業したと思
われる方々が集まり、10時からの朝礼で、当日出勤している人や一日の予定
などを確認し、ホワイトボードに記載された予定に従って活動していた。
 指導を担当する方々は、障害のある人の「『その人なりの自立』」を導き
出すこと」をモットーに、特に、コミュニケーションスキルの向上に努めて
いた。「個に応じること」、「一人一人のよさを見出すこと」、そして「気
長に付き合うこと」、これらは学校教育にも繋がり、共に大切にしていきた
いことだと、改めて心に留めた。放課後等デイサービスについては、通って
来る子どもたちが、まだ登校中ということで、施設・設備だけの見学になっ
た。ただ、壁に掲示した子どもたちの作品、棚に整理された教材・教具類、
指導員の方たちの雰囲気、机に置かれたパソコンなど、子どもはいないが、
子どもが来所した時の様子を想像することができた。
 学校と外部の事業所との連携は、言葉で言うほど簡単ではない。でも、大
事なことは、やはり関係者同士のコミュニケーションである。そして、それ
ぞれが抱えている課題について、率直に相談し合えることではないか。「百
聞は一見に如かず」、「先ずは相手のことを知ろう」、そんな言葉が頭に浮
かんだ。事業所の代表者からは、街中に事業所を設ける際の苦労話もお聞き
した。何事も、「千里の道も一歩から」だと思う。
 
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【3】特別支援教育関連情報
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●令和2年度特別支援教育関連予算案について
 令和2年度政府予算案の閣議決定に伴い、文部科学省において、本年1月、
予算案の発表資料が同省のWebサイトに掲載されました。詳しくは下記をご
覧ください。
 
○文部科学省が公表した内容はこちら→
 https://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/h31/1412639_00001.htm
(特別支援教育関係は初等中等教育局の各資料をご覧ください)
 
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【4】研修員だより
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 今号は、令和元年度第二期特別支援教育専門研修を修了された坂本由紀先
生からお寄せいただきました。
 
         「子どもの心に寄り添える教師に」
                 坂本 由紀(徳島県立板野支援学校)
 
 教師の仕事に就いてから14年が経とうとしています。経験も増え、中堅の
役割を担う立場となっていますが、子ども達との関り方について悩むことも
少なくありません。現在勤務している学校では、心の病気を抱える子どもと
関わることが多く、いろいろと試行錯誤しながらの日々が続いていました。
 そんな中、研究所での研修を受ける機会をいただき、病弱教育専修プログ
ラムに参加しました。素晴らしい講師の方々の講義を受けたり、研修員の先
生たちと研究協議を行ったりしていく中で、大切なことを再確認することが
できました。それは、当たり前のことかもしれませんが、子どもの心に寄り
添い共感するということです。問題自体は解決されないことでも、誰かに共
感してもらうことで「心が和らぐこと」、「これでいいのかなと思えること」
そんなことから関係も築けていけるものです。私はそのことを忘れていなか
ったか、逆に自分の思いに寄り添わせようとはしていなかったか、この研修
は、日々目の前のことに精一杯になっていた自分が一旦立ち止まり、振り返
り、どのような教師で在りたいのかをもう一度考える機会となりました。た
くさんの人と出会い多くを得た研修でした。参加できたことに本当に感謝し
ます。
 
○徳島県立板野支援学校のWebサイトはこちら→
 http://itano-ss.tokushima-ec.ed.jp/
 
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【5】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。
 
○アンケートはこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=94227&lang=ja
 
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【6】編集後記
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 「子ども達一人一人の良さを伸ばし、それぞれが色や形、大きさの違う大
輪の花を咲かせる手伝いをしたい。」この言葉は、私が教員採用試験で面接
官にどのような教員になりたいのかを問われた際に、述べた言葉です。
 その当時を振り返り、改めて文章にして読み返してみると、どのような手
伝いをしたいのかについての考えはまだ漠然としていたことが良く分かりま
す。そして、その答えを見つけようと必死に教員生活をスタートさせたよう
に思います。しかし、日々の業務に追われ、いつしかこの言葉を忘れかけて
いました。そんな時、新しい環境の中で経験を積むことのできる機会をいた
だきました。地元を離れ、新しい場所に住み、新たな同僚の意見を聞くこと
で、今までの環境からは得ることのできなかった刺激を受け、自分自身の新
たな成長や変化を感じています。
 「新たな世界との出会い」。これが、子ども達だったら、どれほどの影響
を受けるのだろう。きっと、私たち大人では考えられないような成長や変化
をもたらしてくれるに違いありません。それぞれの子ども達の状況によって
は、直接的な経験をすることが困難な場合もあるかもしれません。しかし、
その状況に近づける工夫はできます。この工夫を子ども達のためにやり続け
ることのできる教員でありたいと思います。そして、5年後、10年後にこの
思いを再度ゆっくりと考える時間を持った時にも、多くの仲間と一緒に教育
について真剣に考えている自分でありたいと思います。
 来年度も本メールマガジンで様々な情報発信をし、特別支援教育の更なる
充実のために取り組んでまいります。引き続きご愛読の程よろしくお願い致
します。
                   (第156号編集主幹 廣島 慎一)
 
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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第156号(令和2年3月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
           国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
           E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp
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