NISE 本文へ 独立行政法人 国立特殊教育総合研究所
English お問い合わせ一覧
このウェブサイトについて 交通案内
TOP(What's NEW)
研究所の概要
各種お知らせ
Q&A
研究者・研究内容
研修・セミナー
教育相談の案内
国際交流
刊行物一覧
図書室利用案内・データベース
教育コンテンツ
研究所の運営について
関連リンク
情報公開
刊行物一覧
本文 重度・重複障害児の「書字・描画」能力を評価・促進する方法の開発に関する研究

独立行政法人国立特殊教育総合研究所

前ページ次ページ



は じ め に


  平成元年度から平成6年度にかけて、国立特殊教育総合研究所において特別研究「心身障害児の運動障害にみられる課題とその指導に関する研究」が開始され、その研究分担者(研究総括班)として、笹本、滝坂は関わってきた。その結果、特殊教育の分野において、特に重度・重複障害児と呼ばれている子どもの身体運動に関する教育的課題を明らかにするためには、これまでの神経生理学やキネシオロジー(運動学)からの観点(いわゆる心身二元論的発想)ではなく、人間関係論、認識論、あるいは現象学的な観点からの捉らえ方にその基盤をおかねばならない、という発想の転換が必要であるとの示唆を得た。そして、この研究の実践過程において、研究分担者の一人がいわゆる重度・重複障害児に対して、手を軽く添え子ども自身の主体的な動きを拾うことにより、書字が可能(後には文章も)となるという現象を発見しそれを表出援助法と命名し、上記特別研究の実践例としてその成果に組み入れたのである。また、一方ではこのような現象に焦点をあてたシンポジウムを、日本特殊教育学会において平成5年と平成6年に行い、さらに平成8年度〜平成12年度には国立特殊教育総合研究所持別研究「障害のある子どもの書字・描画における表出援助法に関する研究」として多角的な研究を行ってきた。
  このように、過去10数年にわたる表出援助法(STA)の研究をとおして、筆者は主としてその対象児を肢体不自由を伴う重度・重複障害児としてきたが、彼らの能力がいわゆる表面的な診断結果とは異なり、かなりな確率で書字・描画能力と共に理解力を持つこと、そしてそれらの能力を周囲が認識することにより彼らの行動が劇的に変化していくことを数多く体験してきた。
  仕事柄、さまざまな肢体不自由養護学校へ訪問する機会が多いが、いわゆる重複学級に在籍する障害の重い子どもたちとつきあう中で、周囲の判断とは異なり文字や絵の表現が可能な子どもが峻別できるようになってきた。しかし、周囲の人々は筆者がそれを子どもと行おうと判断したり、筆者と子どもが行っているその状況(実際に書いたり、描いたりしてしまう状況)に驚いてしまうのである。すなわち、文字が書ける絵が描けるという子どもの判断基準が筆者と周囲とは大きく異なっているのである。
  本研究は、このような判断基準を筆者自身子どもの何処に求めているかについて筆者の経験則を自己分析すると共に、その結果を他者に伝えやすくするためにはどのようにしたらよいかという方法論の模索の一端である。





研 究 組 織



研究代表者  笹本  健 国立特殊教育総合研究所肢体不自由教育研究部 部   長

研究分担者  滝坂 信一 国立特殊教育総合研究所肢体不自由教育研究部 室   長

研究分担者  富島 茂登 国立特殊教育総合研究所肢体不自由教育研究部 主任研究官

研究分担者  松本  廣 国立特殊教育総合研究所教育工学研究部    室   長
                                  (平成11年度)
               現:群馬県総合教育センター       主任指導主事

研 究 経 費



平成11年度     1600千円

平成12年度      500千円

平成13年度      700千円

       計  2800千円


前ページ次ページ


科研費による報告書トップページ
研究所刊行物のトップページに戻る


Copyright(C)2003 独立行政法人 国立特殊教育総合研究所