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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン第173号

メールマガジン

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      国立特別支援教育総合研究所(特総研)メールマガジン
         第173号(令和3年8月号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━
■目次
【お知らせ】
・令和3年度難聴児の切れ目ない支援体制構築と更なる支援の推進に向けた
 地区別研究協議会の実施について
・第1回「すけっと(Sukett)」オンラインセミナー開催のご案内
【活動紹介】
・令和3年度の発達障害教育推進センターの活動について
【研究紹介】
・本年度より実施する研究課題の紹介
・地域と学校での主体的取組を支援する「インクルCOMPASS」の提案
・横断的研究「特別支援教育における教育課程に関する総合的研究
 -新学習指導要領に基づく教育課程の編成・実施に向けた現状と課題-
【研修報告】
・第一期特別支援教育専門研修(発達障害・情緒障害・言語障害教育コース)
(終了報告)
【ホームページの充実に向けたアンケートへのご協力のお願い】
【高齢・障害・求職者雇用支援機構からのお知らせ】
【NISEダイアリー】
【アンケートのお願い】

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【1】お知らせ
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●令和3年度難聴児の切れ目ない支援体制構築と更なる支援の推進に向けた
 地区別研究協議会の実施について
 難聴児の切れ目ない支援について、昨年度は1,335名の方に参加をいただ
き、全国研修会として開催しました。本年度は、支援に関わる担当者等の専
門性向上や、保健・医療・福祉・教育関係者等の連携を促進することを目的
とした、地区別研究協議会として開催します。
 プログラムのうち、オンデマンドでの講義や行政説明、自治体からの難聴
児早期支援に関する報告は、開催地区に限らず全国の関係者の方が視聴でき
ます。
 また、1講義のみのご視聴も可能ですので、是非ご参加ください。

○オンデマンド講義 配信期間
     令和3年7月20日(火)~令和4年1月11日(火)

○オンライン講義等 日程
 第1回 令和3年 10 月 21 日(木)
     行政説明・石川県の支援体制の構築に関する取組紹介・
     地区別交流会
 第2回 令和3年 11 月 24 日(水)
     行政説明・岐阜県の支援体制の構築に関する取組紹介・
     地区別交流会
 第3回 令和3年 12 月 17 日(金)
     行政説明・北九州市の支援体制の構築に関する取組紹介・
     地区別交流会

○参加申込方法
 こちらのご案内ページよりお申し込みいただけます。
 https://www.nise.go.jp/nc/training_seminar/national_training/enter

*お申し込み完了後に特設ページのURLを通知します。
 令和2年度に実施した全国研修会の講義等を視聴いただけます。

○申込締切
 地区別交流会等へ参加希望の方 9月30日(木)
 オンデマンド講義のみ視聴の方 12月23日(木)

○参加費:無料

●第1回「すけっと(Sukett)」オンラインセミナー開催のご案内
 知的障害特別支援学級を担当する先生の授業力向上をサポートするため、
「すけっと(Sukett)」オンラインセミナーを開催します。
 本セミナーでは、「知的障害特別支援学級担任のための授業づくりサポー
トキット(小学校編) すけっと(Sukett)」を基に、知的障害のある児童
の指導や、授業づくりのポイントを解説し、授業事例を紹介します。
 是非ご参加ください。

 日時:令和3年8月17日(火)13:30~16:00
   (入室開始 12:30~)
 対象:知的障害特別支援学級の担任
   (主に経験年数が3年以下程度の教員)
 申込締切:8月12日(木)

○お申し込みや詳しい内容はこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/study/others/disability_list/intellectual/sk-basket/seminar


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【2】活動紹介
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●令和3年度の発達障害教育推進センターの活動について
               発達障害教育推進センター長 笹森 洋樹
 
 発達障害教育推進センターでは、発達障害に関する最新の情報や国の動向
について、Webサイトや展示室の公開等を通じて、幼稚園等、小学校、中
学校、高等学校等の教員や保護者をはじめとして幅広く国民に提供し、理解
啓発を一層推進するとともに、教育現場で必要な基本的な知識と指導・支援
に関する情報を提供しています。
 また、発達障害教育に関する研究成果の普及や教育実践セミナーの開催、
教育委員会や福祉機関等と連携した地域における理解啓発や人材育成の取組
を通じて、発達障害に関する理解を深め、より実践的な指導力の向上と支援
の充実を図っています。
 令和元年度からは、平成30年3月に文部科学省と厚生労働省によりまとめ
られた「家庭と教育と福祉の連携『トライアングル』プロジェクト報告」を
踏まえて、文部科学省、厚生労働省、国立障害者リハビリテーションセンタ
ー発達障害情報・支援センターと連携した取組を進めています。
 令和元年度は、発達障害者支援に係る教員や福祉関係者が連携・協働して
支援を行うために身につけるべき専門性を整理するとともに、各地域におい
て指導的立場となる者に対する研修コアカリキュラムを作成しました。
 令和2年度には、自治体の協力のもと、教育と福祉が連携・協働するため
の研修コアカリキュラムを活用した教員研修の在り方について、「人材育成
プロジェクト」に取り組みました。令和3年度も引き続き「人材育成プロジ
ェクト」に取り組み、地域において教育と福祉が連携・協働して発達障害者
支援に当たるために、自治体と協力して、教育と福祉の支援者が連携・協働
するための課題と人材育成に関する合同研修の在り方等についてまとめ、
発達障害教育実践セミナーで報告するなど全国の自治体への普及を図ること
としています。
 また、文部科学省、厚生労働省、国立障害者リハビリテーションセンター
発達障害情報・支援センターと連携し、ライフステージにおいて切れ目ない
支援が行われるよう、発達障害に関する教育、福祉、保健、医療、労働等の
分野の最新の情報発信を行う国のポータルサイト「発達障害ナビポータル」
を開設します。今年度中に公開予定ですので是非ご活用ください。

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【3】研究紹介
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●本年度より実施する研究課題の紹介
                             研究企画部
 本年度、特総研では障害種の枠を超えて、国の特別支援教育政策の推進、
または教育現場等の喫緊の課題解決に寄与することを目的とした重点課題研
究が5課題、各障害種における喫緊の課題の解決に寄与することを目的とし
た障害種別特定研究が1課題を実施しています。
 ここでは、これらの研究課題の紹介をさせていただきます。

1)学習指導要領に基づく教育課程の編成・実施・評価・改善に関する研究
 (令和3~4年度)
                       研究代表者:吉川 知夫
 本研究は、特別支援教育において、学習指導要領に基づいて編成・実施さ
れる教育課程の下で、育成を目指す資質・能力の指導の状況や、学びに必要
な一人一人への支援状況などを把握することを目的としたものです。
 本年度は、教育課程に関する全国調査を行うとともに、特別支援学校及び
特別支援学級において、学習指導要領に基づいた教育課程の編成・実施及び
評価・改善をどのように進めるか、その具体的な取組を明らかにするための
事例研究を行い、次年度には国の政策立案や地域における取組の推進に役立
つ資料の作成を目指しています。

2)ICT等を活用した障害のある児童生徒の指導・支援に関する研究
 (令和3~4年度)
                       研究代表者:棟方 哲弥
 本研究では、GIGAスクール構想によるICT環境の充実を踏まえ、児童生徒
一人一人の能力や適正に応じて個別最適化された学びと支援方法の実現を目
指し、ICT・AT等を活用して行われている支援方法に関して、新しい課題と
なっているプログラミング教育や遠隔プレゼンスロボットの活用を含めて、
ICT活用の現状の把握・分析を行います。
 具体的には、学校及び家庭それぞれにおける学習教材の適切な配備、それ
らを用いた授業と個別学習の進め方、保護者との学習評価の共有方法、オン
ラインまたはオンデマンドで行われる支援における留意点等について資料収
集を行った上で、特に自立活動の視点から知見の整理をし、小・中学校及び
特別支援学校に対して提供することを目的としています。

3)障害のある子どもの就学先決定の手続きに関する研究(令和3~4年度)

                      研究代表者:久保山 茂樹
 インクルーシブ教育システムの構築に向けて、就学先決定の手続きの充実
は重要です。就学先決定の手続きについては、平成25年に学校教育法施行令
の一部改正により変更になりましたが、それ以降、全国的な調査研究は行わ
れていません。そこで、本研究では、まず、全国の市区町村教育委員会に質
問紙調査を実施し、就学先決定の手続き等に関する現状と課題を明らかにし
ます。
 次に、特色ある取組をしている教育委員会に訪問調査を行い、就学先決定
の手続きに関する好事例を収集し整理します。
 これらの調査結果を全体的に考察し、子どもや保護者が安心して就学を迎
えられるよう、国及び地方の教育行政に対し情報提供を行います。

4)高等学校における障害のある生徒の社会への円滑な移行に向けた進路指
 導と連携の進め方等に関する研究(令和3~5年度)
                       研究代表者:伊藤 由美
 本研究は、高等学校における障害のある生徒の進路指導に焦点を当て、発
達障害を含む障害のある生徒の学校から社会への円滑な移行を支える進路指
導と、その過程の中で必要となる連携の進め方を明らかにすることを目的と
しています。
 研究の方法としては、卒業後の進路先(企業、大学)や、高等学校、連携
先となる関係機関を対象とした質問紙調査及びインタビュー調査を実施し、
各調査で得られた知見を、学校現場で活用できる資料として取りまとめ、普
及を図ります。

5)通常の学級における多様な教育的ニーズのある児童生徒の教科指導上の
 配慮に関する研究(令和3~4年度)
                       研究代表者:井上 秀和
 本研究では、小学校、中学校及び高等学校等の通常の学級における教科指
導において、多様な教育的ニーズに応じた個別最適な学びの実現を目指した
教育の保障という観点から、学習者の視点に基づく学習の困難さを踏まえた
授業づくりや個に応じた対応、デジタル教科書やデジタル教材を含む教材教
具の活用の仕方など教科指導上の配慮について検討することを目的としてい
ます。
 指導上の配慮事項を検討する際は、困難さへの対応だけでなく、障害の特
性を生かす視点も大切にしながら、学習上の困難さやつまずきに関する多様
な教育的ニーズに焦点を当て、研究に取り組むこととしています。
 また、教科指導上の配慮については、各教科における学習の特徴なども視
野に入れ、学習者の視点に基づく学習の困難さやつまずきに対する配慮や対
応の適切さの評価という視点からも、個別最適な学びの実現を目指した配慮
事項を検討していきます。

6)知的障害教育における授業づくりと学習評価に関する研究(令和3~4
 年度)
                        研究代表者:横尾 俊
 知的障害教育では、学習指導要領に示された目標や内容と、単元目標や授
業目標との関連の妥当性を高めることが課題とされています。
 本研究では、知的障害のある児童生徒に対する教科別の指導及び各教科等
を合わせた指導における、学習の目標・内容・方法と、適切な評価規準の設
定を含めた学習状況の評価の方法について事例収集及び実践研究を行い、学
習指導要領に示された目標・内容との関連性の妥当性を高める学習評価の方
法と留意点を中心に検討し、知的障害のある児童生徒に対する教科別の指導
及び各教科等を合わせた指導における学習評価の方法について、研究協力機関
と協力して行った事例の中で、工夫点や課題点について示すことを目的とし
ています。

○ご紹介した研究課題及びその他の研究についてはこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/study

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ここからは、令和元年度に終了した研究課題について、研究概要並びに成果
報告をさせていただきます。
●地域と学校での主体的取組を支援する「インクルCOMPASS」の提案

                     研究副代表者:柳澤 亜希子
 基幹研究(横断的研究)「我が国におけるインクルーシブ教育システム構
築に関する総合的研究」(平成28年度~令和2年度)では、各地域で展開さ
れているインクルーシブ教育システム構築の成果や課題を可視化して、次の
取組を見出すための手がかりを得ることを目指した「インクルCOMPASS」の
作成を目的として、5年間にわたって研究に取り組みました。
 最終年度である令和2年度は、「地域と学校での主体的取組を支援する
「インクルCOMPASS」の提案」と題して、研究協力機関の教育委員会の協力
を得て教育委員会用「インクルCOMPASS」(以下、教育委員会用)を作成し
ました。
 教育委員会用は、インクルーシブ教育システム構築に向けた特別支援教育
の推進のために、教育委員会が果たすべき役割や機能を把握し、域内のイン
クルーシブ教育システム構築・推進に関わる体制整備・充実のための状況把
握や基本計画策定のための検討資料として使用することを目的としています。
教育委員会用には、「都道府県用」と「指定都市・市町村用」の2つのバー
ジョンがあり、いずれも「状況把握」「関係課(部局)、関係諸機関との連
携」「教育相談体制」「交流及び共同学習」「移行支援」「研修」の6観点
で構成しています。園・学校が、インクルーシブ教育システム構築のための
主体的取組を見出すためには、教育委員会による効率的な連携体制の整備と
情報発信、そして、学校種や職種に応じた研修の企画・実施が欠かせません。
 域内のインクルーシブ教育システム構築の進捗状況、強みや課題等を把握
し、次なる展開の方向性を考えるツールとして「インクルCOMPASS」が活用
されることを期待しています。
 併せて、本研究では、平成30年度~令和元年度に研究協力機関であった園
・学校でのインクルーシブ教育システム構築の推進に向けた主体的取組を紹
介した事例集を作成し、公表しました。本書が、主体的かつ創造的な取組を
推進していくための一助になることを願っています。

○「インクルCOMPASS」ガイドや園・学校用「インクルCOMPASS」「ナビゲー
 ションシート」等のダウンロードはこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/study/others/disability_list/inclusive

○「インクルーシブ教育システムを進める10の実践-「インクルCOMPASS」
 で強みや課題をみつけよう-」(ジアース教育新社発行)はこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/news/2021/0319_1

●横断的研究「特別支援教育における教育課程に関する総合的研究
-新学習指導要領に基づく教育課程の編成・実施に向けた現状と課題-

                        研究代表者:横倉 久
 平成29・30・31年に学習指導要領の改訂が行われました。学習指導要領の
改訂に当たっては、子供の障害の状態や発達の段階に応じた組織的、継続的
な支援を可能にするために、育成を目指す資質・能力等の基本的な考え方を、
通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校で共有できるよ
うに、記述が工夫されています。特別支援学校や特別支援学級の在籍児童生
徒や、通級による指導の対象となる児童生徒の数は増加傾向で、小・中学校
等で支援を必要とする児童生徒も把握されています。多様な学びの場におけ
る指導の充実のためには、「改訂された学習指導要領」(以下、「学習指導
要領」とします。)のもとで教育課程の編成・実施、評価、見直しがどのよ
うに行われるかを把握する必要があります。
 教育課程研究チームでは「特別支援教育における教育課程に関する総合的
研究」という研究課題の下、平成30年度~令和2年度の3年間、「新学習指
導要領に基づく教育課程の編成・実施に向けた現状と課題」とのサブテーマ
を設定し、学習指導要領の着実な実施に寄与すべく、学習指導要領に基づい
て編成・実施される教育課程のもとで、育成を目指す資質・能力の指導の状
況や、学びに必要な一人一人への支援の状況等の経年把握を目的とした調査
研究を行いました。研究では、育成を目指す資質・能力の指導の状況や、学
びに必要な一人一人への支援状況などの把握を目的に、学習指導要領の内容
に照らした質問紙調査及び事例研究を行いました。
 特別支援学校に対する調査では、準ずる教育課程、知的障害の教育課程、
自立活動を主とする教育課程における特色ある教育課程の編成状況や、知的
障害の各教科等の指導計画や学習評価などに関する課題等を整理しました。
 小・中・高等学校に対する調査では、特別支援学級や通級による指導にお
ける特別の教育課程の編成状況、通常の学級における各教科等の学びの過程
において考えられる困難さに対する指導の工夫などを把握しました。
 また、研究協力校との協働による教育課程の改善に向けた事例研究や海外
調査の実施等、学習指導要領に基づく教育課程の編成・実施に関する研究に
取り組みました。
 研究を通じた、学びの連続性及び育成を目指す資質・能力の指導の状況や
学びに必要な一人一人への支援状況等の把握は、学習指導要領の実施状況の
把握に留まらず、将来の学習指導要領改訂に必要な情報の整理、提供にも寄
与する研究となりました。
 研究の成果は、令和3年度~令和4年度に特総研が実施する国の特別支
援教育政策の推進に寄与する研究(教育課程に関する研究)の基本資料とな
ります。

○研究成果報告書サマリー集(令和2年度終了課題)はこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/report_material/research_results_publications/seminar_materials/r2

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【4】研修報告
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●第一期特別支援教育専門研修(発達障害・情緒障害・言語障害教育コース)
(終了報告)

 5月10日から7月9日までの約2か月間、「第一期特別支援教育専門研修
(発達障害・情緒障害・言語障害教育コース)」を開催し、全国から64名の
先生方が参加しました。本研修は、発達障害・情緒障害・言語障害教育にお
けるスクールリーダーとして専門的知識及び技術を深め、指導力の一層の向
上を図り、今後の各都道府県等における指導者としての資質を高めることを
目的としています。
 今回の研修は全日程オンラインで実施し、参加する先生方にとっても、運
営する私たちにとってもこれまでに経験したことのない2か月間となりまし
た。研修を実施するにあたり実施ワーキンググループにおいて最も配慮した
のは、本研修の最大の特徴とも言える「研究協議」の運営の仕方についてで
す。従来の集合型の研修においても、協議を行いその成果をまとめるという
ことは容易ではありません。それ故にやり遂げた後の充実感は何ものにも代
えがたい貴重な経験となるのです。そこで、今回は可能な限り一人一人の先
生方の思いを共有することに時間をかけたり、Zoomミーティングの機能であ
るブレイクアウトルームを効果的に活用したりするなど、研修期間中も継続
的に工夫をしました。
 設定した10コマ(1コマ=3時間)において、事前レポートの内容を踏ま
え、それぞれの研修員が抱く学校現場における課題の改善や解決を目指すた
めに主体的な協議が行われました。研究協議の最終回には、それぞれの班で
考えたツールの紹介や指導・支援の工夫、連携のための共通理解のポイント
などについて、班ごとの口頭発表(各班20分)を行いました。発表は、どの
班も分かりやすく整理されており、それぞれの協議の内容がしっかりと伝わ
ってくるまとめとなっていました。発表後には、各班で取りまとめた成果を
お互いに共有するなど、今後の学校現場での活用を踏まえた積極的な関わり
が多く見られました。
 発表会翌日には、64名全ての研修員が無事に研修修了の日を迎えることが
できました。研修員からは、それぞれの地域において、高めた資質を生かし
ながら、特別支援教育の中核的な役割を発揮することへの熱意やかけがえの
ない仲間ができたことの充実感が伝わってきました。
 研修を終えた研修員の皆様の今後の更なるご活躍を期待しています。

                実施ワーキンググループ長:廣島 慎一

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【5】ホームページの充実に向けたアンケートへのご協力のお願い
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 特総研は、ホームページを通じて、各研究班/研究チームの各研究課題
に対する研究成果物、研究所が主催する研修/セミナーの開催情報、研究所
が有する各種コンテンツ等を教育関係者はもとより、研究者、一般の方々に
公開しております。
 特総研から発信するこうした情報を特別支援教育に関わる皆様に、今後
益々活用していただくために、また、ホームページの更なる充実を図ってい
くために、メールマガジンの読者の皆様を対象としてホームページに関する
アンケートを行うことにいたしました。
 ご負担のないところでご協力いただければと思います。
 設問は、3分程度でお答えいただけます。

 特総研から充実した情報をお届けするための貴重なご意見を賜りたく、
是非、ご協力をお願いいたします。

アンケート期間:令和3年8月2日(月)~8月31日(火)

○ホームページの充実に向けたアンケートへのご回答はこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=41889&lang=ja

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【6】高齢・障害・求職者雇用支援機構からのお知らせ
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●高齢・障害・求職者雇用支援機構より「働く広場」8月号のご案内
 「働く広場」は、障害者雇用に取り組む企業事例を中心に、身近な障害者
雇用問題を取り上げた月刊誌です。成人期を迎えた障害者の働き方や、障害
者雇用を進める先進的な取組のヒントとして、ご覧ください。

○8月号(7月25日発行)の掲載内容
 ひきこもり者の潜在能力を引き出すための環境構築に取り組む企業代表へ
 のインタビュー、特例子会社への取材記事 ほか
○最新号URL:https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html

*このご案内は教育現場と就労をつなぐために掲載しております。

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【7】NISEダイアリー
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          「第一期専門研修が終わる」
            宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)

 第一期の特別支援教育専門研修が7月9日に無事終了した。6月号のメル
マガで書いたように、今回の専門研修は1つのチャレンジだった。何しろ2
か月間ずっとオンラインで実施するというもの。1日や2日、あるいは、
1,000人近くの参加者を得てのオンラインでの研究協議会やセミナーの経験
はあるものの、2か月という長期間に及ぶものは、研究所として初めてであ
った。
 ハードの面では研修情報課の研修支援室が主に対応し、ソフトの面では研
修事業部の研修企画担当と第一期専門研修の実施グループが主に担当した。
 閉講式の前日(7月8日)には、11の班に分かれて実施してきた研究協議
のまとめとして発表会が催された。集合型の研修であれば、大研修室に研修
員が集まり、和気藹々の雰囲気で行われるものだが、今回はオンラインでの
実施。果たしてどうなるものかと心配したが、それぞれの研修員が日ごろか
ら意思疎通に工夫を凝らしておられたのだろう、オンラインでのユニークな
発表会となった。
 このような専門研修を通して、いろいろなことが頭に浮かんだ。それらに
ついて述べてみよう。

<予想外のことにどのように対応するか?>
 新型コロナウイルスの感染拡大で、予想もしないことが起こる。専門研修
も、当初は研修員に1週間の来所期間を設けた。しかし、取り止めざるを得
なかった。「予定は未定にして決定にあらず」の言葉通り、何事にも突然の
変更が起こり得る。「起こった時にどうするか?」そして、「それなら、こ
んなことはできないか?」とポジティブに考えることが大切だ。班に分かれ
て行う研究協議の発展として、自主研修の時間(16時15分から17時15分)に
もオンラインで班ごとにミーティングを行えるようにした。単純なことかも
しれないが、ハードとソフトの両面での協力がないと実現しないことだ。

<PDCAの大切さ>
 この言葉はよく耳にする。しかし、それだけに、かえって頭の中を素通り
することもあろう。今回の専門研修は、オンラインによる初めての研修であ
ったことから、PDCAの視点でじっくり見直したい。P(計画)の妥当性、
D(実施)におけるつまずきや困難性、C(評価)における担当者と研修員の
「声」を照合した分析など。そして、特に重視すべきことは、A(改善)と
しての今後の工夫(柔らかな発想)である。
 研究所は、今年度から第5期中期目標期間に入り、特総研ならではの「研
修の在り方」が期待されている。それに結び付く、Aや新たなPでありたいと
思う。

<一人一人がもっている役割(責任)を果たすこと>
 「特総研ならではの研修」と同様に「特総研ならではの研究活動」が求め
られている。大学等とは異なった研究活動とは何か。人から言われてやるこ
とではない。コロナ禍の中で、オンラインで2か月間の研修をやり遂げたよ
うに「特別支援教育に関わる『実際的な研究を総合的に行う』こととは、具
体的にどんなことか?」、一人一人の研究職員や事務職員に考えて欲しいと
期待する。これは、一人一人が協力しないとできないことであると思う。
 また、研究所の職員だけに限らず、関係する人たちの力を借りて行うこと
でもあろう。
 専門研修を終えて、これらの気付いたことを今後に生かしたい。

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【8】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。
 
○アンケートはこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=67974&lang=ja

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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第173号(令和3年8月号)
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