国立特別支援教育総合研究所メールマガジン第175号
メールマガジン
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国立特別支援教育総合研究所(特総研)メールマガジン
第175号(令和3年10月号)
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■目次
【創立50周年を迎えて】
【お知らせ】
・発達障害ナビポータルが公開されました
・文部科学省「情報ひろば」にて企画展示を実施
【NISEトピックス】
・特別支援教育におけるICT活用に関わる指導者研究協議会の終了報告
・特別支援教育推進セミナー開催
【連載コーナー】
・「特別研究員」だより[第1回]
【研究紹介】
・「小・中学校における肢体不自由のある児童生徒への指導及び支援のため
の地域資源を活用した授業改善に関する研究」
【高齢・障害・求職者雇用支援機構からのお知らせ】
【NISEダイアリー】
【アンケートのお願い】
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【創立50周年を迎えて】
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本日、10月1日をもって、特総研は創立50周年を迎えました。
昭和46年の創立以来、多くの教育関係者の皆様のご支援とご協力を賜り、
歩みを続けてこられたことに心より感謝を申し上げます。
創立以来、全国の教育関係者に向けて研究成果の発信や、専門的な教員研
修の取組などを進めて参りました。50年という区切りの日を迎え、今後とも
特別支援教育に関わる我が国唯一のナショナルセンターとして、一層の期待
に応えるとともに、特別支援教育の発展に貢献できるように全力を挙げて取
り組みたいと気持ちを新たにしております。
本日は、記念式典・記念講演・記念植樹を行う予定でしたが、台風16号の
接近を踏まえて記念式典のみをオンライン形式で行うこととなりました。
式典と後日行う記念講演、植樹の様子については後日、HPで公開する予定で
すので、ぜひご覧いただければと思います。記念講演は、株式会社沖ワーク
ウェル代表取締役社長 堀口明子様をお迎えし、障害者雇用の取組や障害者
支援の在り方などについてお話しいただきます。
これからも特総研の職員一同、精進して参りますので、今後ともご指導、
ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
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【1】お知らせ
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●発達障害ナビポータルが公開されました
発達障害ナビポータルは、文部科学省、特総研(発達障害教育推進センタ
ー) 、厚生労働省、国立障害者リハビリテーションセンター(発達障害情報
・支援センター)が共同運営するウェブサイトです。
令和3年9月30日(木)から公開しています。
当サイトは、平成28年8月施行の改正発達障害者支援法の基本理念と『家
庭と教育と福祉の連携「トライアングル」プロジェクト報告~障害のある子
と家族をもっと元気に~』(平成30年3月)を受けて作成されました。
発達障害のあるご本人やご家族に向けた情報発信を中心に、その方々の暮
らしを支える教育、医療、保健、福祉、労働の分野に携わる方々が互いの思
いや取組を十分に理解し、これまで以上に連携を強化するための情報も併せ
て掲載しています。
○発達障害ナビポータルはこちら→
https://hattatsu.go.jp/
●文部科学省「情報ひろば」にて企画展示を実施
文部科学省「情報ひろば」企画展示室において、10月1日(金)から11月
5日(金)まで企画展示を実施しております。
創立から現在までの事業の沿革や現在の取組を、ポスターパネルや映像を
通して紹介しております。
また、教育現場で活用されているガイドブックや支援教材・支援機器、
特総研の最新の研究成果をもとにまとめた図書等の展示を行っております。
期間:令和3年10月1日(金)~11月5日(金)
時間:午前 10時~午後6時(入館は閉館30分前まで)
場所:文部科学省「情報ひろば」企画展示室
(東京都千代田区霞が関3-2-2 旧文部省庁舎3階)
入場料:無料
*文部科学省「情報ひろば」のご案内をご確認の上、お越しください。
○文部科学省情報ひろば企画展示室についてはこちら→
https://www.mext.go.jp/joho-hiroba/sp/index.htm
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【2】NISEトピックス
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●特別支援教育におけるICT活用に関わる指導者研究協議会の終了報告
8月23日(月)に「令和3年度特別支援教育におけるICT活用に関わる指
導者研究協議会」をオンラインにて開催しました。本研究協議会は、インク
ルーシブ教育システムの充実を目指し、障害のある幼児児童生徒に適切な指
導・支援を行う上で必要なICT活用について、指導的立場にある教職員によ
る研究協議等を通じ、各地域の特別支援教育におけるICT活用の推進を図る
ことを目的としています。
今年度は、全国から特別支援学校、小・中学校、高等学校教員や指導主事
等96名が参加しました。
昨年度はコロナウイルス感染予防対策のため、急遽オンラインでの開催に
変更となりました。まだ遠隔での協議会開催の経験が、主催者である本研究
所も参加者も十分ではなかったため、どのような開催方法が最善かを手探り
で模索していた時期でした。
今年度は昨年度の経験と反省を踏まえて、より充実したオンライン協議会
となるよう、様々な試みを取り入れました。まず、当日までに参加者が自由
に閲覧できるオンデマンド資料を、特総研Webサイト内特設ページで提供し
ました。本研究協議会の目的・趣旨説明、特総研におけるICT関連の研究に
ついての説明、文部科学省による行政説明など、ICT活用に関する知見につ
いての情報を、あらかじめ各自確認していただく期間を設けました。
午後のプログラムの最初は、ICT活用の推進に向けた先進的な取組として、
埼玉県教育局県立学校部ICT教育推進課ICT教育指導担当指導主事 佐藤幸博
氏から「埼玉県の取組紹介~県立特別支援学校の取組~」、富山大学人間発
達科学部附属特別支援学校教諭 山崎智仁氏から「気持ちを伝えて楽しく過
ごそう」と題して、教育委員会や学校における取組についてオンラインで発
表していただきました。
このように基本的な情報を事前にオンデマンドで共有し、各地域の現場の
状況を当日オンラインでお伝えしたことで、後半の班別協議の時間を十分に
確保することができました。班別協議では、参加者の学校・地域における取
組について事前レポートをご提出いただき、それに基づき充実した協議を行
いました。
参加者からは「事前にオンデマンドの資料を見ることで、協議会に安心し
て参加することができた」。「他の都道府県での取組や、学校独自の取組な
ど、様々な情報交換ができ、有意義な時間だった。」という感想をいただき
ました。
本協議会を通して得た情報や新たな視点を、今後の各自治体等での取組に
活かしていただけることを期待しています。
実施グループ長:青木 高光
●特別支援教育推進セミナー開催
令和3年度より地域における特別支援教育の理解・啓発のため、「特別支
援教育推進セミナー」を開催します。教育委員会、特別支援教育センター、
大学等(以下、「各関係団体等」とする)と連携を図りながら、これまで特
総研が開催してきたインクルーシブ教育推進セミナーや研究協議会、教材展
示等を統合し、全国を7ブロック(北海道・東北、関東・甲信越、東海・北
陸、近畿、中国、四国、九州)に分けて、年3回ブロック毎に開催する予定
です。
各ブロック内の課題や必要とされている情報を把握し、各関係団体等と連
携して、特別支援教育等に関する有益な情報を広く提供し、ブロック内の課
題解決や交流促進を図ります。
現在、開催県の山形県教育委員会、宮崎県教育研修センター及び広島大学
の関係の皆様とセミナーの内容等を検討しているところです。特別支援教育
推進セミナーの開催をきっかけに、特別支援教育の進展を図るとともに、ブ
ロック内のつながりが生まれていくことを期待しています。
各ブロックでの内容は、特総研Webサイトから一次案内をご覧ください
また、10月下旬には、二次案内で詳しい内容及び申し込み方法等をお知ら
せする予定です。
今後、新型コロナウイルス感染症予防の観点より、対面型・オンラインを
併用し、各ブロックの皆様が参加しやすいように計画していきます。
令和3年度特別支援教育推進セミナーは、次のとおりを開催します。
○11月27日(金)九州ブロック(宮崎県)
「児童生徒の特性に応じた授業づくり―教材・支援機器等を用いた指導支
援の充実―」
○12月21日(火)北海道・東北ブロック(山形県)
「発達障がいの理解と特性に応じた指導・支援について―ICT・支援機器の
活用を通して―」
○12月27日(月)中国ブロック(広島県)
「インクルーシブ教育システムの推進―切れ目ない支援の構築の視点から―」
○特別支援教育推進セミナーの詳しい内容はこちら→
https://www.nise.go.jp/nc/snep-seminar
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【3】連載コーナー
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●「特別研究員」だより[第1回]
今号より、特総研が取り組む重点課題研究又は障害種別特定研究の各チー
ムの一員として研究に参画し、各地域の課題の解決に向けた研究に取り組ん
でいる、特別研究員の先生方の活動を紹介します。
「学習指導要領に基づく教育課程の編成・実施・評価・改善に関する研究」
特別研究員 米山 妙子(静岡県伊東市立東小学校)
久里浜に来て、早いもので半年が過ぎました。「教育」という同じ領域で
はありながらも、これまでとは全く違った働き方に戸惑うばかりの毎日です。
しかし、研究所の方々がいつも声をかけ、心を砕いてくださるおかげ
で、この新しい環境の中、安心して過ごすことができています。何より、同
じように長期派遣されている特別研究員の皆様と語らいながら、多くのこと
を研鑽できることに、ただただ、感謝の思いでいっぱいです。
さて、私が所属する「学習指導要領に基づく教育課程の編成・実施・評
価・改善に関する研究」のチームでは、2つの研究を行っています。
1つは、特別支援学校や特別支援学級の教育課程の編成及び実施状況につ
いての調査研究です。
例えば、自立活動の指導、各教科等を合わせた指導、交流及び共同学習な
どの状況をアンケート調査しています。
もう1つは、教育課程の編成・実施から評価・改善の進め方の具体的な取
組を明らかにするための事例研究です。特別支援学校や特別支援学級を研究
協力機関として、教育課程のPDCAに関る先進的な実践を集めています。
本研究を参考に、自身の所属校でも、学習指導要領に基づく特別支援学級
の教育課程について、学校全体で捉え直しています。
また、市内の特別支援学級が連携し、学びの連続性を踏まえた個別の教育
支援計画と個別の指導計画についても協議を進めています。
このような取組を通して現場の人たちと関わる中で、課題と向き合い、現
場に合わせた解決方法や実践を試行錯誤する大切さを、改めて実感すること
ができました。多忙の中、親身に指導してくださる研究所の方々、また、快
く協力してくださる現場の先生方には、本当に感謝しかありません。
派遣期間も残り半年を切りました。チームの研究は、国の特別支援教育政
策の推進、又、教育現場の喫緊の課題解決に寄与するための研究です。微力
ではありますが、チームの研究のお役に立てるよう尽力して参ります。
そして、研究の先には子どもたちがいるということを忘れず、一日一日を
大切に過ごしていこうと思います。
「通常の学級において特別な教育的ニーズのある子どもへの支援に関して教
員が安心感をもてる校内支援体制の在り方に関する研究」
特別研究員 本田 篤(横浜市立瀬谷さくら小学校)
研究室から見える久里浜の穏やかな波に日々、心を癒やされています。緊
急事態宣言によりテレワークが増え、そうした機会が減ってしまっているこ
とは残念です。しかし、テレワークという勤務形態もまた新鮮で、充実した
日々を過ごしています。
研究所では、主に2つの研究活動に取り組んでいます。
1つ目は、重点課題研究チーム(「通常の学級における多様な教育的ニー
ズのある児童生徒の教科指導上の配慮に関する研究」)での活動です。チー
ムの会議では、学校現場で感じていた悩みや疑問の答えにつながりそうな話
題が毎回出てきます。チームの先生方のお話を聞いたり、先進的な実践を知
ったりするにつれて、「学校で早く実践したいな」という思いが日に日に強
くなっています。
2つ目は、自己の研究活動です。私は現在、「通常の学級において特別な
教育的ニーズのある子どもへの支援に関して教員が安心感をもてる校内支援
体制の在り方に関する研究」というテーマに取り組んでいます。学習上又は
生活上、多様な困難さがある子どもたちが在籍する学級で「どうやって支援
をしたらいいのかわからない」と不安になっている教員が、安心して「支援
をしてみよう」と思える校内支援体制の構築を目指しています。具体的には、
研究協力校の学年研究会の中で、「ショート支援会議」を行っています。
また、その会議で支援策を考えるための「観察・支援シート(試案)」の
作成も進めています。
現在は、より充実した会議の進め方、より使いやすいシートの在り方につ
いて、教員一人一人の声をもとに修正を重ねているところです。
研究にあたっては、研究所職員の方々、横浜市教育委員会、研究協力校の
同僚など、多くの方に支えられていることを実感し、感謝の気持ちでいっぱ
いです。現在取り組んでいる研究が地域の学校における特別支援教育の推進
につながることを目指し、引き続き研究を進めて参ります。
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【4】研究紹介
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ここでは、令和2年度に終了した研究課題について、研究概要並びに成果
報告をさせていただきます。
●「小・中学校における肢体不自由のある児童生徒への指導及び支援のため
の地域資源を活用した授業改善に関する研究」
インクルーシブ教育システムの構築が進む中、肢体不自由のある児童生徒
は多様な場で学んでいます。本研究では、小・中学校に在籍する肢体不自由
のある児童生徒に焦点をあてて、日々の指導や支援の充実に寄与する知見を
提供するための研究に取り組みました。主な目的は、(1)肢体不自由特別
支援学級における指導状況を調査により明らかにし、課題を分析すること、
(2)小・中学校に在籍する肢体不自由のある児童生徒の指導の充実のため、
事例研究によって地域資源の活用の在り方や授業改善の方策を示すこと、の
2点です。
調査結果から、(1)肢体不自由教育経験が浅い教員が多く、肢体不自由
教育に係る研修の機会も十分でないことから、気付きやすい姿勢や運動・動
作の不自由に加えて、視覚認知の困難などの特性等についての実態把握を含
め、日々の指導の改善・充実につながる情報や知見の提供方法を工夫するこ
とや、研修の在り方を含む専門性向上に資する方策を検討すること、(2)
特別支援学校のセンター的機能の活用ニーズは高く、特別支援学校側の人的
制約や時間的制約、依頼のための手続の仕方を工夫すること、例えば地域支
援を専任で行う担当者を配置するなどの体制整備を検討すること、などが重
要であると考えられました。
地域資源を活用した授業改善の取組として、特別支援学校のセンター的機
能をはじめ、教育委員会や大学、医療・療育機関などの地域資源を活用した
授業改善の事例を示しました。各小・中学校等においては、地域の実情を踏
まえた地域資源の活用を検討し、肢体不自由のある児童生徒の学びの充実に
つながるよう授業改善を図ることが求められます。
研究内容の詳細については、下記の研究成果報告書及びリーフレットを
ご覧ください。
○研究成果報告書はこちら→
https://www.nise.go.jp/nc/report_material/research_results_publications/specialized_research/b-363
○リーフレットはこちら→
https://www.nise.go.jp/nc/cabinets/cabinet_files/download/1079/5e05240dd26f61653fb0fa1795b385ce?frame_id=1235
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【5】高齢・障害・求職者雇用支援機構からのお知らせ
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●高齢・障害・求職者雇用支援機構より「働く広場」10月号のご案内
「働く広場」は、障害者雇用に取り組む企業事例を中心に、身近な障害者
雇用問題を取り上げた月刊誌です。成人期を迎えた障害者の働き方や、障害
者雇用を進める先進的な取組のヒントとして、ご覧ください。
○10月号(9月25日発行)の掲載内容
コロナ禍で清掃業務を維持するため検討・試行を重ねてきた企業事例、障
害者支援施設元施設長への取材記事、ほか
○最新号URL:https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html
*このご案内は教育現場と就労をつなぐために掲載しております。
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【6】NISEダイアリー
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「言葉のいわれ」
宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)
今、特総研では、第二期の特別支援教育専門研修が行われている。今期は
知的障害教育コースである。新型コロナ感染症の拡大等の影響で、第一期と
同様にオンラインによる二か月間の研修である。
また、10月1日は特総研の誕生日でもある。昭和46年に産声を上げてから、
今年で50歳になる。このご時世であるから、密にならない数のお客様を招き、
講堂でささやかな節目の式典を開催する予定だったが、台風16号の接近が危
ぶまれたためオンライン形式での開催となった。
専門研修の講義を聞いたり、特総研の50年を振り返ったりすることを通し
て、ふと、頭に思い浮かんだことがある。それについて述べてみたい。
知的障害教育においては、「指導の形態」という言葉が用いられる。専門
研修の講義でも、特別支援学校(知的障害)の教育課程の構造として説明され
ていた。まず、知的障害の各教科と特別の教科道徳、そして自立活動などが
教育課程の要素として並べられた図が出てくる。そして、その下に、指導の
形態として、「教科別の指導」と特別の教科道徳や自立活動、「各教科等を
合わせた指導」(例えば、日常生活の指導)などを並べた図が示される。
この図を初めて見たのは、平成元年の学習指導要領改訂の折である。私の
隣の席に座っていた大南英明先生が知的障害教育の手引を取り出して、教育
課程の説明をしてくれた。その頃は、教育課程の二重構造などという言葉も
耳にした。当時は、指導の形態という言葉の意味を理解するのが精一杯で、
その言葉のいわれまでを考える余裕などなかった。
それから30数年経って、今更ながらとも思うが、「指導の形態のいわれは
何か」を考えている。
特殊教育は特別支援教育に移行し、特別支援学校と小学校等の垣根は低く
なった。子どもの行き来も見受けられるようになっている。こうした時期で
あるからこそ、特別支援学校における教育課程の編成について、小学校等の
先生方にも知って欲しいと思う。特に、小学校には特別支援学級がある。数
が多いのは、知的障害や自閉症・情緒障害の特別支援学級である。それ故に
特別支援学校のノウハウを実際に活用してもらう必要がある。
こうした時に、特別支援学校特有の専門用語をどのようにかみ砕いて説明
できるか、言葉の意味だけでなく、そのいわれについても伝えることができ
たら、その言葉に親しみを抱いてもらえるとともに、子どもの指導に意欲を
もって取り組んでいただけるのではないかと想像する。
例えば、「自立活動」。これは、もともと「養護・訓練」であった。養護
・訓練のいわれについては、特別支援学校の前身である盲・聾・養護学校の
学習指導要領解説に述べられているので省略する。それでは、自立活動はど
うか。こちらは、平成10年の学習指導要領の改訂時に遡る。当時の教育課程
審議会で、委員から「今どき、『養護』や『訓練』という言葉は、時代に合
わないのでは?」という問題提起があり、「なるほど」ということになった。
代わる言葉を考え、「自立活動」になった。この言葉の意味については、
当時の学習指導要領解説自立活動編に詳しく述べられている。
「指導の形態」のいわれには、「教育課程」と区別し、「指導計画作成の
際の一工夫」であるというような思いがあったのではないかと推測するが、
如何か。専門用語の概念整理も、特総研の仕事の一つであるような気がする。
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【7】アンケートのお願い
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今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。
○アンケートはこちら→
https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=95134&lang=ja
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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第175号(令和3年10月号)
発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp
([アットマーク]を@にして送信してください。)
○研究所メールマガジンの利用(登録、解除、バックナンバーを含む)につ
いてはこちら→
https://www.nise.go.jp/nc/about_nise/mail_mag
-*-*-*-*-*-*- リンク集 -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
> NISEweb(研究所webサイト)
https://www.nise.go.jp/nc/
>特総研LINE公式アカウント
https://page.line.me/126vsvuc
> 発達障害の情報を知りたいとき
【発達障害教育推進センターwebサイト】
http://cpedd.nise.go.jp/
>「合理的配慮」や「基礎的環境整備」の実践事例が知りたいとき
【インクルDB】
http://inclusive.nise.go.jp/
> インターネットで講義を聴講したいとき
https://www.nise.go.jp/nc/training_seminar/online
> 免許法認定通信教育について
http://forum.nise.go.jp/tsushin/
> 教育支援機器、教材について知りたいとき
http://forum.nise.go.jp/ilibrary/
> 障害のある子供のためのインターネットギャラリー
https://www.nise.go.jp/kenshuka/jokan/gallery/ichiran.html
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