国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第122号
メールマガジン
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国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
第122号(平成29年5月号)
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■目次
【お知らせ】
・発達障害教育実践セミナーの開催について
・研究職員の公募について
・世界自閉症啓発デー2017シンポジウムについて(終了報告)
・「ブラインドサッカー体験会 in NISE」の開催について(終了報告)
【NISEトピックス】
・業務部の活動紹介(1) 研究企画部の活動について
【海外情報の紹介】
・米国におけるインクルーシブ教育システムの情報収集に関する報告
【特総研ジャーナルの紹介】
・研究報告及び国際会議・外国調査等報告について
【NISEダイアリー】
【特別支援教育関連情報】
・平成28年度特別支援教育に関する調査の結果について
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】
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【1】お知らせ
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●発達障害教育実践セミナーの開催について
本研究所では、7月28日(金)に「発達障害教育実践セミナー」を開催し
ます。本セミナーは、発達障害のある幼児児童生徒に対する指導・支援に関
して、最新情報の提供や取組の紹介、実践事例の報告、研究協議等を通じて、
広く発達障害教育の理解推進と実践的な指導力の向上を図ることを目的とし
ています。本年度は、「通級による指導に期待されること」を全体テーマとし、
通級による指導に関連した内容で、基調講演、シンポジウム、分科会等を行
います。
具体的な内容や参加申込等の詳細は本研究所Webページにてご確認ください。
◇期日:平成29年7月28日(金)
◇会場:一橋大学一橋講堂
(東京都千代田区一ツ橋2-1-2)
◇定員:200名
○申込Webページはこちら(申込は5月中旬に開始予定)→
http://icedd.nise.go.jp/?page_id=1292
●研究職員の公募について
研究職員を下記のように募集しています。
◆採用予定職種 研究員(研究職2級)
◆任 期 任期なし。ただし、経歴等を勘案し、
任期付(任期は3年以内とする)となることもある。
◆募集人員 若干名
◆担当職務 主として、下記の職務に従事する。
(1)主として知的障害分野における特別支援教育に関する研究
(2)本研究所が実施する研修等における講義・実習等及び本研究所が
実施する諸事業の担当
(3)所属部署における業務
◆応募資格
(1)修士以上の学位、若しくはそれと同等以上の研究業績を有する者
(2)知的障害分野における特別支援教育に関する研究業績のある者
(3)知的障害のある子どもの教育経験(教育行政を含む)があることが
望ましい
◆採用予定日 平成29年8月1日
◆応募期限 平成29年6月9日(金)必着
○公募の詳細はこちら→
●世界自閉症啓発デー2017シンポジウムについて(終了報告)
桜が満開となった4月8日(土)、「たいせつなことを あなたに きち
んとつたえたい ~発達障害のこと~」をテーマに全社協・灘尾ホールにて
開催されました。シンポジウム(1)「地域作りのリーダーの思い」では、兵
庫県尼崎市長、静岡県藤枝市長、沖縄県中小企業家同友会から、児童期の発
達支援に関する施策や障害のある方への就労支援の取組が紹介されました。
シンポジウム(2)「効果的な伝え方の工夫(マスメディア)」では、報道関
係者と一般社団法人代表より、障害のある方の特性を多くの人に適切に理解
してもらうためのマスメディアの在り方について意見交換が行われました。
シンポジウム(3)「身近な人の理解」では、発達障害のある御本人の心情
や家族としての思いを綴った作文の紹介、一緒に生活する中でお互い思って
いることについての話しがありました。また、会場には自閉症のある方の作
品や応援メッセージも展示されました。本研究所では、今後も様々なイベン
トや啓発事業を通して、自閉症をはじめとする発達障害のある方への支援が
より一層充実するよう、情報普及に努めてまいります。
●「ブラインドサッカー体験会 in NISE」の開催について(終了報告)
4月22日(土)に本研究所体育館において、「ブラインドサッカー体験会
in NISE」を開催しました。当日は、地域のサッカーチームに所属する子ど
も達を中心に、定員を超える95名の方にご参加いただきました。
体験会では、冒頭に日本ブラインドサッカー協会の講師よりルールや言葉
での伝え方に関する説明があり、講師の指導の下、参加者がアイマスクを着
用し、パスやシュートなど基本的な動作についての練習を行った後、最後に
チーム対抗戦が行われました。
帰り際に、また体験したいという子ども達の声が多かったことがとても印
象的でした。
なお、本研究所体育館やフットサルコート等の体育施設は、外部の方々に
もご利用頂けますので、機会がありましたら是非ご活用ください。
○「ブラインドサッカー体験会 in NISE」の様子についての紹介はこちら→
○体育施設の貸し出しについてはこちら→
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【2】NISEトピックス
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●業務部の活動紹介(1) 研究企画部の活動について
棟方 哲弥(研究企画部長/上席総括研究員)
本研究所は5年毎に文部科学大臣の定める目標のもとに、さまざまな活動
を行っています。研究活動については、その基本方針及び研究体系を定める
研究基本計画に基づいて2つの横断的研究を行う研究チームと9つの障害種
別の研究班、そして、4つの地域実践研究チームが、国の政策への寄与を目
的とする研究や現場の喫緊の課題に対応するさまざまなテーマの研究を推進
しています。
研究企画部は、その名称の通り、それらの調査及び研究に関する企画立案、
調整を行っています。研究基本計画の策定や改定もその中に入ります。さら
に、それらに加えて研究課題の評価も担当しており、その業務は、これらの
研究活動が研究所のミッション(使命)を実現するように研究チームなどを
しっかりと支える仕事と言えるかもしれません。
研究評価のプロセスや業務は、あまり外部に知られていません。評価は、
研究所が、そのミッションを達成するために不可欠なものです。インクルー
シブ教育システム構築のための国の政策に寄与する研究及び現場のニーズに
応える実際的研究を推進するため、その研究の終了年度のみならず、その実
施期間中においても、その進捗や成果を達成する見込みを含めた中間評価が
欠かせません。研究所が実施する研究については、内部の評価委員会による
内部評価と外部の有識者による外部評価の2段階による中間評価及び最終評
価を行っています。例えば、2年間を研究期間とする標準的な研究では、結
果として、内部評価を4回、外部評価を2回受けることになります。また、
研究が終了した後、研究成果の普及のためにリーフレットやガイドブック等
を刊行する場合もあります。それらの内容についても、質の高い情報が公開
されることを担保するための取組があり、これも研究企画部の業務の1つで
す。
また、新たに開始する研究については、テーマや内容に関して文部科学省
との調整や都道府県教育委員会等への研究課題のニーズ調査、研究活動に関
するWebサイトの更新、研究職員への研究コンプライアンス研修なども研究
企画部の役割です。
研究企画部には2つのラインがあります。本年度は計5名のメンバーが研
究所のミッションとしての研究活動を行う研究チームを「助け」「励まし」
「支援する」をモットーに活動しています。
○研究紹介などのページはこちら→
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【3】海外情報の紹介
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●米国におけるインクルーシブ教育システムの情報収集に関する報告
松井 優子(情報・支援部 主任研究員)
「我が国におけるインクルーシブ教育システムの構築に関する総合的研究」
をテーマとして、インクルーシブ教育システム研究班では、インクルーシブ
教育システムの構築の成果や課題を可視化する評価指標を作成し、その検証
を行うこと、また、我が国におけるインクルーシブ教育システムの構築に関
する課題や展望を示すことに取り組んでいます。その一環として、4月上旬
にアメリカイリノイ州の学校を訪問し、インクルーシブ教育の現状について
情報収集してきました。
アメリカでは、法律により障害のある児童生徒が、学校の中でできるだけ
制約のない環境で教育を受けられるようにするとともに、障害のない児童生
徒と同じ通常の学級、通常カリキュラムの授業や試験を受けることが求めら
れています。その中でインクルーシブ教育がどのように行われているのか、
とても興味がありました。
イリノイ州の2つの教育区の一般の学校をいくつか訪問しました。訪問し
た学校では、障害のある児童生徒のそれぞれの能力にあった授業を受けるこ
とが大切にされており、個別性を大切にしていることがうかがえました。逆
に言うと、私がイメージしていた同じ教室の中に障害のある児童生徒とない
児童生徒が一緒に学ぶスタイルのインクルーシブ教育とは少し違っていまし
た。一言でいうと小学校や中学校等の中に特別支援学校が一部はいっている
ようなイメージでした。しかし、2つの教育区には、いずれも特別支援学校
がなく、障害のある児童生徒が地域の学校において学ぶ場が保証されていま
した。
個別性をどのように担保するのかという点については、ある幼稚園の障害
のある子どものプログラムの様子が印象に残っています。先生が、複数の子
どもを前に、今日は何曜日、昨日は何曜日・・・というように、子どもたち
に質問していきます。子どもたちは、それぞれのレベルにあった教材を使い
ながら学んでいました。ある子どもは7つの選択肢から選び、ある子どもは
2つの選択肢の中から選び、また別の子どもは1つの選択肢の中から答えて
いました。同じ内容の授業を行っている中でも、それぞれの子どもの能力に
合わせた教材が準備され、子どもの能力にあった学びの環境を提供している
様子がうかがえました。
また、訪問したある地域では、地域の就労支援機関が中心となり、高校、
病院、企業等と密接に連携しながら、高校在学中から生徒たちの就職活動を
支えている様子を見聞きすることができました。日本の特別支援学校と同じ
ように、学校が中心となって生徒たちの実習に力を入れているのはもちろん
ですが、それに加えて地域の就労支援機関を核として様々な機関(複数の高
校を含む)が定期的に集まりミーティングや情報共有を行い、地域のリソー
スを活用しながら、生徒たちの就職準備や就職活動を支えていました。
アメリカは基本的な教育方針は国で決まっているものの、州によってかな
り違うと言われています。私が見たイリノイ州のインクルーシブ教育は、誰
もが同じ教育を受けるという基本的な理念を大切にしつつも、それ以上に児
童生徒たち一人ひとりに合わせた教育を大切にしているように感じました。
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【4】特総研ジャーナルの紹介
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●研究報告及び国際会議・外国調査等報告について
本研究所では、本研究所の研究所をはじめとする様々な活動内容を紹介す
る「特総研ジャーナル」を毎年作成し、Webサイトに掲載しています。
その特総研ジャーナルの内容を今号から数回に分けて紹介します。
まず、研究報告及び国際会議・外国調査等報告に関しては、下記のよう
な内容を掲載しています。
-研究報告-
・小児がんのある高校生等の教育に関する調査報告
・精神疾患及び心身症のある児童生徒の教育に関連した疫学的検討・小児
がん拠点病院における小児がんの児童生徒の教育に関する調査報告
・平成28年度病弱班における研究成果普及活動の報告
・特別支援学校(知的障害)における自閉症のある幼児児童生徒の在籍状
況と自閉症教育の取組
・特別支援学校における医療的ケアに関する実態調査報告
-国際会議・海外調査等報告-
・香港日本人学校における教育相談と大埔校における特別支援教育の取組
・Council for Exceptional Children 2016年次総会参加及びセントルイ
ス市内学校訪問についての報告
・American Association on Intellectual and Developmental
Disabilities 2016年次総会参加の報告
○研究報告及び国際会議・外国調査等報告に関する記事はこちら→
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【5】NISEダイアリー
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「気配りと合理的配慮」
宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)
先月下旬、田舎に用事があり、急遽帰省することになった。東京駅から乗
った東北新幹線は、大宮で停車し、次の停車駅は福島とのこと。時刻表を見
たら、大宮からノンストップ、しかも58分で福島に着く。こんなダイヤもあ
るのだと驚くとともに、田舎が近くなったことを実感する。
新幹線の中では、「大宮の次は福島に停車します。お乗り間違いがないよ
うに。」と、繰り返しアナウンスがなされた。もし、宇都宮で下車する人が
乗っていたら大変なことになる。親切に何度もアナウンスをして、誤って乗
車しないようにと訴えていた。また座席に掛けていると、前の席に座られた
方が、「背もたれを倒していいですか。」とわざわざ確認してくれた。いず
れも、その気配りが嬉しいと思う。またローカル線の中では、大きな声を出
していた子どもにお父さんが「お客さんがいるから小さな声で話そう。」と
上手に注意をしていた。こんな躾がいつか気配りに発展するのだろうと勝手
に想像する。
こうしたことを目にしながら、「気配りの元は何だろう?」と考えていた。
しばらくして、「相手の身になって考えることかな。」に思い至った。
人と人との関係をつくっていく上では、相手の立場で考えることが欠かせ
ない。人間関係を円滑にする上でも、それは当然のことであるが、日常生活
において実践するのは、意外と難しい。どうしても自分中心に考えがちであ
る。だから、相手の身になって考えることができれば、この殺伐とした世の
中でも、一人一人が、もう少し明るい気持ちになれるのではないかとも思う。
電車の中のアナウンスでは、こんなものもある。「背中の荷物は、前にし
てご乗車ください。」だ。最近、リュックサックを背負って通勤される方が
多くなったせいかもしれない。「背中の荷物が、周りの人にどう思われてい
るだろう。」などと、自分なりに推察すること、これも一つの気配りだろう。
気配りは、規則などとして決まっている事柄ではない。しかし、ちょっと
周囲に気を配ることができれば、みんなが過ごしやすくなることでもある。
平成28年4月から、障害者差別解消法が施行され、職場や学校等において、
障害のある人に対する合理的配慮の提供が実施されるようになった。障害の
ある人が、それぞれのもっている可能性を最大限に発揮して、周囲の人と一
緒に社会生活を送っていくためには、本人の申し出等に応じて、合意形成を
図り、合理的配慮を行うことが求められる。ふと、合理的配慮については、
私たちが日ごろから目にしている「気配り」が元になるのではないか。つま
り、相手の身になって考えることが、気配りを支え、合理的配慮の元になる
のではと思う。私たちには、もう一つ、いい言葉がある。「おせっかい」だ。
やり過ぎてはいけないことを示唆している。もし、自分でやろうという気持
ちがあるとすれば、それも尊重しなければいけない。特に、教育の場では大
切にしたい視点だと思う。
合理的配慮の提供については、例えば「気配り」を元にして考えると、身
近なこととして捉えることができ、合意形成もしやすいのでは。ひいては、
共生社会の実現にも繋がるのではと、勝手な想像が膨らむ。
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【6】特別支援教育関連情報
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●平成28年度特別支援教育に関する調査の結果について
文部科学省は、平成28年度における特別支援教育体制整備状況、通級によ
る指導実施状況、特別支援学校等の医療的ケアに関する状況を調査し、結果
について平成29年4月7日に公表しました。詳しくは下記URLをご覧くださ
い。
○平成28年度特別支援教育に関する調査の結果はこちら→
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1383567.htm
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【7】研修員だより
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今号は、平成28年度第二期特別支援教育専門研修を修了された佐藤美奈子
先生からお寄せいただきました。
「新たに・・・再び・・・」
佐藤 美奈子(秋田県立ゆり支援学校道川分教室)
昨年9月からの10週間、平成28年度第二期特別支援教育専門研修病弱教育
プログラムを受講しました。これまで病弱教育に携わっていた期間が長かっ
たとはいえ、そのほとんどが重度・重複障害教育担当であり、ここ数年は、
知的障害を主とした特別支援学校で地域支援を担当していた私にとって、病
弱教育コースを受講することはとても不安でした。しかし、実際に行ってみ
ると、その不安よりも新しい知識を得ることの楽しさ、これまでの経験に裏
打ちがなされることの充実感で、毎日があっという間に過ぎていきました。
秋田県は全国でも数少ない病弱教育を主とした特別支援学校のない県です。
そのため、病弱教育に関する最新情報の収集や指導事例の蓄積が難しいとい
う現状があります。そんな中、この研修に参加することで、改めて本県の病
弱教育について考えるよい機会となりました。第一線の講師の方々からのお
話や全国から集まった研修員との情報交換など、専門研修で得たたくさんの
ことを、再び病弱教育を担当する道川分教室に異動になったことで、発信で
きる場を与えられたことに感謝し、精一杯頑張っていきたいと思っています。
○秋田県立ゆり支援学校道川分教室のWebサイトはこちら→
http://www.yuri-s-michikawa.akita-pref.ed.jp/
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【8】アンケートのお願い
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今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。
○アンケートはこちら→
https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=74767&lang=ja
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【9】編集後記
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今月もメールマガジンをご愛読いただき誠にありがとうございます。今月
号の【お知らせ】のコーナーでも記載しました「ブラインドサッカー体験会
in NISE」に私も参加しましたので、その様子を少し追記したいと思います。
当日は地元のサッカーチームの子供たちにたくさん参加いただき、私もそ
の中に混じりながら、アイマスクをした状態で、相手の言葉を頼りに目的の
場所まで歩いたり走ったり、音のするボールを使ってパスを回したりする体
験をしました。最初の一歩を踏み出すときは勇気がいりますが、「右に一歩
」「前に五歩」とわかりやすい指示が聞こえてくると安心して動くことができ
ました。しかし、私が相手に向かって指示を出す番になると、「もうちょっ
と左」「もう少し・・・」などあいまいな言葉を連発してしまい、的確に指示
をだすというのは至難の業だと実感しました。私のお相手をしてくださった
方は大変不安だったことと思います。
デモンストレーションでのドリブルでは、まるでボールが足にくっついて
いるかのようななめらかなボールさばきを見させていただきました。音や人
の声を頼りにドリブルをしゴールを決める。その瞬間は静かながらも迫力が
あり、見ている側にとっても爽快感がありました。また、プレーの中には、
相互の信頼感が必要であり、その信頼を得るためには、日頃からのコミュニ
ケーションも大切であるということも学ぶことができました。
日本ブラインドサッカー協会の方のお話によると、このようなブラインド
サッカーの体験会は口コミで人気が広まり、学校の授業の一環として呼ばれ
ることが多くなっているのだそうです。年間500回ほど実施し、参加者数は、
この3月で延べ10万人を突破したとのことでした。障害者スポーツの体験だ
けにとどまらず、相手の立場を思いやるコミュニケーションの大切さを学ぶ
すばらしいきっかけになっているのだと思います。
本研究所では、今年度もこのような様々な催し物を企画しています。研究
所のWebサイト等でも随時お知らせをしていますので、これからも皆様のご
参加をお待ちしております。
(第122号編集主幹 深草 瑞世)
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次号も是非ご覧ください。
「メールマガジン」へのご意見・ご感想はこちら
国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第122号(平成29年5月号)
発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
国立特別支援教育総合研究所メールマガジン編集部
E-mail a-koho[アットマーク]nise.go.jp
([アットマーク]を@にして送信してください。)
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