障害のある子ども一人一人の教育的ニーズに対応した教育の実現に貢献します。

重複障害のある児童生徒の教育課程の構築に関する実際的研究

平成16年度中間報告

  1. 趣旨

     重複障害のある児童生徒の教育的ニーズは、単一障害のある人の教育的ニーズの単なる集合ではない。重複障害者一人一人の障害の状況などの個人因子、 重複障害者を取り巻く家庭や地域・学校の人的及び物的な環境因子による特定の個人と環境との相互作用により、その重複障害の状況に固有の活動の制約や参加の制限があり、 その結果として多様な生活上学習上の障害状況を生み出す。

     現行の学習指導要領においては、重複障害者の特例に基づいて各学校が個別の指導計画の作成を行い柔軟な指導ができるようになっているが、実際の教育現場では、 限られた指導時間の中で何を優先課題とするか、いかなる短期及び長期的指導目標を設定するか、いかなる教材を使って指導するか、指導の系統性や段階性がみえない困難さに直面している。

     本研究所では、従来個々の重複障害者の事例研究を主としたアプローチがなされてきたが、個々の事例研究からさらに事例を鳥瞰する研究手法の開発を模索し、 指導領域の設定並びに領域間の相互関係を整理し、重複障害教育における教育課程の基本概念並びに指導内容・方法を体系化することが急務の課題であると考える。

     本研究は、盲・聾・養護学校に在籍する重複障害のある児童生徒について、研究協力機関と連携し、授業研究を通して現場の教師と共同して重複障害のある児童生徒の教育課程の構築のための ガイドラインを作成することを目的とする。

     具体的な研究内容は、次のとおりである。

    1. 重複障害のある児童生徒の教育課程の在り方の検討
      1. 「重複障害」、「重度・重複障害」等の用語の整理
      2. 学習指導要領における「重複障害者の特例」の検討
      3. 教育課程の考え方(教科カリキュラムと経験カリキュラム)
      4. 教育課程の具体的な構成
    2. 重複障害のある児童生徒の教育課程の構築に向けた授業研究
      1. 重複障害のある児童生徒の教科・道徳・特別活動
      2. 重複障害のある児童生徒の自立活動
        1. 感覚障害を主とする重複障害のある児童生徒の自立活動
        2. 肢体不自由を主とする重複障害のある児童生徒の自立活動
        3. 盲聾の児童生徒の自立活動
      3. 重複障害のある児童生徒の総合的な学習の時間
    3. 重複障害のある児童生徒の教育課程の構築のためのガイドラインの作成 
  2. 研究代表者及び実施計画
    研究代表者
    石川政孝(教育支援研究部主任研究官)
    研究分担者
    後上鐵夫(企画部総合研究官)
    大崎博史(企画部研究員)
    中澤恵江(教育支援研究部総括主任研究官)
    當島茂登(教育支援研究部総括主任研究官)
    菅井裕行(教育相談センター主任研究官)

    今年度の実施計画は、次のとおりである。

    平成16年5月~12月

    • 研究協力機関での授業研究及び授業研究重複障害のある児童生徒の教育課程の在り方について資料収集
    • グループミーティングにおいて、今までの一般研究やプロジェクト研究などの研究成果をまとめ、ガイドラインの必要性や示し方等について検討し、共通イメージを持つ。

    11月29日 研究協議会の開催

    • 平成17年1月~2月 授業研究で得られた知見の整理及びまとめの作業
  3. 研究の実施方法

     研究者がカリキュラムを開発し、それを学校現場で実践してもらうという、研究優位のプログラム開発よりも、現場に研究者が入って重複障害のある児童生徒を担当する教師と授業研究を行い、 そこで得られた知見をもとにして教育課程及び指導の具体的内容を共同開発する。

     本研究を推進するため所外の研究協力機関・研究協力者を依頼し、資料・事例の収集、研究協議会等を通して研究を遂行する。

    1. 研究協力機関

       授業研究の実施、事例提供、研究協議会への参加を依頼した。

       依頼期間:平成15年4月1日(又は承諾を得た日)から平成16年3月31日まで

    2. 研究協力者

       研究計画の検討、研究上必要な資料の収集・提供、研究協議及び研究資料の検討への参加などを依頼した。

       依頼期間:平成15年4月1日(又は承諾を得た日)から平成16年3月31日まで

       オブザーバーとして、古川勝也氏(文部科学省特別支援教育課特殊教育調査官)、島治伸氏(文部科学省特別支援教育課特殊教育調査官)に協力を依頼した。

  4. 経費

     本研究所では、研究協力に要する経費を次のとおり負担する。

    1. 研究協力機関
      研究協力機関謝金
    2. 研究協力者
      研究協議会出席謝金、研究協議会出席旅費等
  5. 研究経過
    1. 研究所研究分担者のグループミーティングを実施しました。

      話題提供

    2. 研究協議会の実施

       平成16年11月29日(月)文部科学省ビル会議室にて第1回研究協議会を開催しました。(議事録はこちら)

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