研究代表者

大内進

共同研究機関

東京工芸大学

関連研究班

視覚班,ICT・AT班

概要

 視覚活用が可能な弱視児童生徒にとって,漢字や図形などの2次元的なパターンの認知とそれにもとづく正確な表出については大きな課題となっており,これまで様々な指導が工夫されてきています。とくに漢字の書字では,バランス良く文字を表現することの苦手な児童生徒が多く見受けられ,その指導が重視されているという実態があります。そうした書字の課題は,視覚活用の困難からくる線や形の読み取りにくさに起因していると考えられますが,一方で,強度の弱視であってもバランスのとれた読みやすい文字を書ける児童生徒も育っているという現実もあります。このことからは,見えにくさの影響だけでなく,細部の表現や全体のバランスへの意識が希薄なまま書字の経験だけが積み重ねられていることが,正確な文字等の2次元パターンの表出に影響していることも考えられます。本研究では,弱視児童生徒本人のこうした課題への気付きを促進するためのより客観的な評価システムの開発に取り組みます。

平成21年度~22年度の共同研究(共同研究機関:東京工芸大学)において,ICTを活用した全盲児童の図形模写評価システムの開発に取り組み,視覚障害児の図形模写を客観的に評価でき,視覚特別支援学校などで簡便に利用可能なツールを作り上げてきました。本研究では,これまで全盲児の図形模写評価で積み上げてきた評価法を応用して,弱視児の手書きの文字や2次元パターンについてその大きさや形状等を客観的に評価するシステムを開発します。それを活用して実際の指導を試行し,このシステムの読みやすくわかりやすい書字技能の向上を図る測るための支援への活用の有用性について検証します。

本システムの活用により,弱視児童生徒の文字や2次元パターンの表現の評価がより客観的になされ,弱視児童生徒が自ら意識して書字に取り組みやすくなることが期待されます。

研究経過

 弱視児童生徒には,漢字の書字の苦手な傾向が認められる。その要因として文字の成型処理の能力や漢字のプロトタイプの記憶などの問題が考えられる。こうした点を踏まえて,本研究では,弱視児童の書字技能の向上めざして,漢字の規
則性の習得に着目した書字評価のためのツールの開発に取り組んでいる。
 

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