第5回NISE特別支援教育国際シンポジウム(終了報告)
第5回(令和元年度)NISE特別支援教育国際シンポジウム(終了報告)
特別支援教育国際シンポジウム
第5回NISE特別支援教育国際シンポジウム(終了報告)
テーマ
子どもの学習のつまずきに速やかに対応する取組 ─ フィンランドの教育実践から今後を展望する ─
令和2年1月25日(土)に、東京都千代田区の一橋講堂にて、「第5回NISE特別支援教育国際シンポジウム」を開催致しました。幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等の教員や、教育・福祉・行政機関の関係者等、351名の方にご参加いただきました。今回は、子どもの学習のつまずきに焦点をあて、 フィンランド政府でナショナル・カリキュラムの取りまとめをされたピリヨ コイブラ氏をお迎えして、フィンランドの施策と教育実践をテーマにご講演いただくこととなりました。
シンポジウムでは、フィンランドの教育制度と基本情報について、津田塾大学准教授渡邊あや氏から話題提供をいただきました。続いて、本研究所研究員から、令和元年度に実施しましたフィンランド実地調査結果を報告いたしました。
講演では、ピリヨ コイブラ氏から、2014年に改訂され、2016年より実施されているナショナル・カリキュラムを踏まえて、現在のフィンランドでは、学習につまずいている子どもや障害のある子どもへの指導支援をどのように行っているのか、その実際について実践事例も含めて紹介いただきました。
ディスカッションでは、まず、わが国の小学校での事例(教育実践紹介)を栃木県鹿沼市立みなみ小学校堀川知子教諭から一人ひとりのニ ーズに合わせた朝学習の実践について紹介いただいた後、小・中学校等において、支援を必要とする様々な子ども達に対する教育の実践の充実に向けた工夫や課題等について議論を深めました。
ピリヨ コイブラ氏による講演 | 渡邊 あや氏による話題提供 | 堀川 知子氏による教育実践紹介 |
ディスカッション | フロアからの質問に答えるコイブラ氏 | 発表会場の様子 |
また、シンポジウムに先立ち、本研究所の研究員より、諸外国におけるインクルーシブ教育システムの動向について、フィンランド、 韓国、アメリカ、イギリス、オーストラリア、スウェーデンの調査内容等を掲載した小冊子を中心に報告を行いました。
参加者からは、「とても視野が広がった。同時に、我々の日々の実践とつながることが多く、力づけられた」、「フィンランドの授業の実際の風景がとても衝撃的でした」、「手厚い支援があり、生徒中心に考えているのがすごいと思いました」、「(フィンランドは)専門の資格を持った教員がいて、必要なところを支援できているところが制度としてすばらしいと思いました」、「支援員がしっかり教育され、手厚く配置されているフィンランドをうらやましく思いました」、「おどろくことがいっぱいでした。どのように実践しているのか、自分で行ってみたいと思った」、「日本でも、学校レベルでできることがあることがよくわかりました。参考にしたいです」、「具体的な支援方法をたくさん知れたので勤務校でもとりいれたいと思います」、「『フィンランドはとても柔軟』という話があったが、私の勤める支援学校の『ユニット学習』(小集団での学習)にその柔軟さが生かせるかなと感じた」等、数多くの感想が寄せられました。
本シンポジウムを通して、障害の有無にかかわらず、学習のつまずきに気づいた時点で、柔軟な支援を行うことは、わが国もできることであって、すべての児童生徒に学ぶ自由と権利を保障し、子ども一人ひとりの可能性を引き出し、学ぶ喜びを感じられるように指導し、 工夫していくことが今後のインクルーシブ教育システムの推進や充実につながると改めて学ぶ機会となりました。
令和2年度につきましては、2020年11月28日(土)国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催を予定しております。詳細が 決まり次第、お知らせ致します。