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本文 III 主要国における特別な教育的ニーズを有する子どもの指導について
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IV.資  料
調査票の項目と結果
1.ノルトライン=ヴェストファーレン州
ノルトライン=ヴェストファーレン州の特殊教育行政についての調査項目
調査期日: 2000年5月15日
回答者氏名と役職: Ms. Sigrid Molders
  (州文部省特殊教育担当官)
  Ms. Mauermann
  (州文部省特殊教育担当官)

○調査票の項目に基づく状況報告
 
1.特別な教育的ニーズのある子どものインクルージョンに関する州レベルの法律及び規則としてどのようなものがありますか。
 1981年からノルトライン=ヴェストファーレン州では統合教育を学校実験で実施してきた。
 1995年4月24日の「学校における特別な教育的促進教育の一層の発展に関する法律」により、基礎学校における統合教育が実験段階から制度となった。これにより基礎学校において特殊学校における教育課程(目標)と同様の教育を行うことが可能となった。
 中等教育段階における統合教育は、引き続き学校実験として行われている。
 なお、ドイツ連邦共和国としては、常設州文部大臣会議(ボン)の「ドイツ連邦共和国における学校の特殊教育的助成について」を1994年5月6目に決議し、基礎学校段階での統合教育の原則を勧告している。

2.就学前(小学校に入るまで)の特別な教育的二ーズのある子どもについて、州レベルではどのような対応が行われていますか。
・施策について
 幼稚園における統合教育と各障害種別特殊学校の特殊教育幼稚部門において教育が行われている。

3.通常学校における特別な教育的ニーズのある子どもについて、州レベルではどのような対応か行われていますか。
・施策について
 法に基づいて、基礎学校で統合教育を行う制度がある。通常学校に障害児が在籍する場合には、特殊教育教員が、障害児一人につき一週当たり3.5時間指導を行うことで積算され配置される。通常学校で特殊教育の教育課程を実施することができる。
 中等教育(第1段階)では学校実験により統合教育を行っている。ハウプトシューレ11校、総合制学校19校で学校実験を行っている。

・予算的措置について
 対象となる児童生徒の人数について、州政府は枠を設けている。
 通常教育教員と同じく、特殊教育教員の給与も州が負担している。

4.特殊学校における特別な教育的ニーズのある子どもについて、州レベルではどのような対応が行われていますか。
・施策について
 児童生徒の障害種別に応じて10種類の特殊学校があり、障害種別毎の学校に就学して教育を受ける。特殊学校の種類は、盲学校、聾学校、知的障害学校、肢体不自由学校、病弱学校、学習障害学校、難聴学校、弱視学校、言語障害学校、教育援助、行動障害学校である。

・予算的措置について
 特殊教育教員給与及び施設設備費は州が負担している。児童生徒の通学にかかる費用については児童生徒在住の市町村が負担する。

5.州レベルの統計についてお聞きします。
(1)特別な教育的ニーズのある子どもたちに対しての分類カテゴリー
 ノルトライン=ヴェストファーレン州の特殊教育は特殊学校と通常学校で行われている。分類カテゴリーは次の10種類である。このカテゴリーは特殊学校の障害種別に対応している。学習困難LB、知的障害GB、肢体不自由KB、EZ、聾GH、難聴SG、言語障害SB、盲BL、視覚障害SH、病弱KR

(2)通常学校(基礎学校)に在籍する障害児数(表4)

表4.通常学校(基礎学校)に在籍する障害児数
  NRW州全体 ケルン郡 デュセルドルフ郡
1997/98 4298名 1613名 1289名
1998/99 4526名 1495名 1368名
1999/2000 5440名 1664名 1590名

(3)特殊学校で特殊教育を受けている子どもの総数と特殊学校数。(表5)

表5.特殊学校で特殊教育を受けている子どもの総数と特殊学校数
(1999/2000年度)
  LB GB KB EZ GH SG SB BL SH KR 合計
特殊学校 328 111 33 91 9 7 68 3 9 41 700
生徒数 46639 13218 6103 7799 1522 1567 9198 550 1427 2639 90662
障害種別: LB;学習困難、GB;知的障害、KB;肢体不自由、EZ;教育援助(行動障害)、GH:聾、SG;難聴、SB;言語障害、BL;盲、SH;視覚障害、KR;病弱

ケルン郡とケルン市の特殊教育行政に関する調査項目
調査期日:   2000年5月16日
回答者: ケルン郡 Ms. Maria Zingsem
    (特殊教育担当官)
    Ms. Ursula Nowak
    (特殊教育担当官)
  ケルン市 Ms.Heller
    (特殊教育担当官)

*ノルトライン=ヴェストファーレン州はケルン郡他5つの郡から成っている。ケルン郡の中心都市はケルン市で州内で最も人口が多い都市である。州都はデュセルドルフ。

1.特別な教育的ニーズのある子どものインクルージョンに関する地方レベルの法律及び規則としてどのようなものがありますか。
 州法である1995年4月24日の「学校における特別な教育的促進教育の一層の発展に関する」法律に基づき、州内の全ての郡及び市町村において統合教育が行われている。

2.就学前(小学校に入るまで)の特別な教育的ニーズのある子どもについて、管轄地域ではどのような対応か行われていますか。
・特殊教育を受けるための手続きについて
 0から3才までの特別な教育的ニーズのある子どもと保護者は自宅における援助サーブィスまたはセンターにおける援助サーヴィスを受けることができる。初期段階の子どもに対するセンターでの援助サービスにおいて重要なことは、センターに多数の専門家がいることである。センターは病院として位置づけられていて、かなり広い地域に対してサーヴィスを行っている。また、主に自宅における援助サーヴィスあるいは主にセンターにおける援助サーヴィスは、公的な団体、組織や協会によって行われている。
 また、0歳から6歳までの視覚及び聴覚障害の子どもと親は、特殊学校の教師からの教育を受けることができる。特殊教育教員は家庭あるいは特殊学校において子どもと親を指導し、その子どもが在籍している幼稚園の職員に必要な援助を行う。なお、援助サーヴィスを受ける場合には、センター、団体、組織あるいは協会に対して、サーヴィスを依頼する。視覚障害と聴覚障害児における特殊教育教員によるサーヴィスを得るためには、行政に対して申込みをする事が必要である。
 3歳から6歳までの特別なニーズのある子どもは、通常の幼稚園、統合幼稚園、特殊幼稚園の3種類の幼稚園に在籍することができる。どこの幼稚園に入園するかは、保護者が選択することができる。
・子どもが教育を受ける場が決定されるプロセスについて
 保護者の申し出に対して、ケルン市が特殊教育教員と通常学校教員に通常学校での教育が必要かどうかの資料作成を依頼する。ケルン市は作成された資料に基づき基礎学校に在籍させるかどうかを決める。保護者がケルン市の決定に不服な場合は裁判を起こすことができる。

3.通常学校における特別な教育的ニーズのある子どもについて、管轄地域ではどのような対応が行われていますか。
・施策について
 通常学校に在籍する障害児は、通常一週間に3.5時間特殊教育教員によって指導を受ける。特殊教育教員は通常教育教員と共に指導する。障害がある子どもを含む全ての子どもが、学校とクラスで共に学習したり学校生活を過ごしたりする状況となるように、学習に困難がある子どもに対する特別な指導と、通常教育教師や保護者そして子どもに対する相談活動を行っている。

・予算的措置について
 特殊教育教員の配置の予算は法令により決められている。特殊教育教員以外の職員予算は市町村により負担されている。基礎学校における特殊教育教員の給与は特殊学校及び中等学校の特殊教育教員より少し高い。施設設備は基本的には法令により決められている。法令の基準を超える場合は、市町村が負担するので、市長村により予算額は異なる。

4.特殊学校における特別な教育的ニーズのある子どもについて、管轄地域ではどのような対応が行われていますか。
・施策について
 特殊学校に在籍する障害児は特殊教育教員と専門職により教育される。子どもたちは、その障害種別に対応した教育課程により教育される。

・予算的措置について
 特殊教育教員の予算は法令により決められている。特殊教育教員以外の専門職の予算は学校を運営している組織次第である。施設設備は基本的には法令により決められている。法令の基準を超える場合は、その学校を運営している組織次第である。

5.管轄地域の統計についてお聞きします。
統計の数値は1999年10月現在

(1)義務教育対象児童生徒の総数は何名ですか。
  (ケルン郡 525204名)(ケルン市 101826名)

(2)1)のうち特殊学校に在籍する児童生徒は何名ですか。また、何%ですか。
  (ケルン郡 19409名 3.8%)
  (ケルン市  4989名 4.9%)

(3)1)のうち特殊教育の対象となる児童生徒は何名ですか。
  (ケルン郡 21564名)
  (ケルン市  5503名)

(4)1)のうち通常学校に在籍して特殊教育を受けている児童生徒は何名ですか。また何%ですか。
  (ケルン郡 2155名 0.4%)
  (ケルン市  514名 0.5%)

(5)特別なニーズのある子どもたちに対して、どのような分類カテゴリー(分類用語)を使っていますか。
  ケルン郡及びケルン市とも同様の分類カテゴリーを使用している。児童生徒の障害種別に対応して10種類。10種類の特殊学校に対応している。盲学校、聾学校、知的障害学校、肢体不自由学校、病弱学校、学習障害学校、難聴学校、弱視学校、言語障害学校、教育援助(行動障害)学校である。

(6)特別な教育的ニーズのある子どもたちの分類カテゴリー(分類用語)毎による児童生徒数の統計がありましたら、ご提供下さい。
  特殊学校及び通常学校に在籍している特別なニーズのある子どもを合わせてカテゴリ毎に分類した結果は次の通りである。(表6、7)

(7)特別な教育的ニーズのある子どもたちが、その分類カテゴリー(分類用語)毎に、どのような場で教育を受けるかについての統計がありましたら、ご提供下さい。
表6.ケルン郡
  LB GB KB EZ GH SG SB BL SH KR 合計
生徒数 9907 2680 1929 2726 419 301 2567 256 368 411 21564
(%) 45.9 12.4 8.9 12.6 1.9 1.4 11.9 1.2 1.7 1.9 100
障害種別: LB;学習困難、GB;知的障害、KB;肢体不自由、EZ;教育援助(行動障害)、GH:聾、SG;難聴、SB;言語障害、BL;盲、SH;視覚障害、KR;病弱

表7.ケルン市
  LB GB KB EZ GH SG SB BL SH KR 合計
生徒数 2493 496 349 913 0 4 625 254 258 111 5503
(%) 45.3 9.0 6.3 16.6 0 0.1 11.4 4.6 4.7 2.0 100
障害種別: LB;学習困難、GB;知的障害、KB;肢体不自由、EZ;教育援助(行動障害)、GH:聾、SG;難聴、SB;言語障害、BL;盲、SH;視覚障害、KR;病弱

 
基礎学校の調査
調査対象校名: 基礎学校 ペーターペーターソン
  Peter-Peterson schule
調査期日: 2000年5月16日
回答者・職名: Mr. Walter Heilman
  (統合会議代表、特殊教育教員)

1.どのような障害種別及び障害の程度の児童生徒が、何人程度在籍していますか。
1999/2000年度
・生徒数 約420名 クラス数16クラス 1クラスの学級規模25〜26名
・全体の教員数45名(半数以上がパートタイム、生徒25.1人に1人の教員)
・障害のある生徒73名
・特殊教育教員の定数フルタイムで13名
 入学してくる障害がある児童は、近隣の統合幼稚園からの入学者が多い。卒業後は総合制中等学校ホールバイデに進学するか、または特殊学校に進学する。
 在学している児童の内約60%が片親である。親が仕事をしている場合、学校終了以降の午後の時間帯にワーキンググループがあり、児童はそこで過ごすことができる。
 毎年30から40人の保護者から希望があり、10から15人の障害のある子どもが入学している。寝たきりの子どもやエレベータが必要な子どもは入学が困難である。

2.通常学校の場合にはこの項目にお答え下さい。
(1)通常学級における特別な教育的ニーズのある子どもへの対応についてお聞きします。
a.特別な教育的ニーズのある子どもの指導にはどのような職種のスタッフが関わっていますか(例えば、正規の教員、補助教諭、介助員、ボランティア、その他の専門職など)。
(1)特殊教育教員13名
 積算式:73名×3.5一人につき週当たり=255.5
 255.5+255.5×0.3(30%追加分)=332.15
 332.15÷27=12.30
(2)社会教育学者 2名・ソーシャルワーカー12名(パートも含む)
(3)理学療法士1名、作業療法士1名、言語療法士1名
(4)ツィビルディンスト(兵役義務における民間役務者)5名
(5)看護婦1名
(6)幼稚園教諭 2名

b.それらのスタッフの役割はどのようなものですか。

c.それらのスタッフは、特別な教育的ニーズのある子どもに具体的にどのような支援を行っていますか。
(1)特殊教育教員は、通常教育教員と協力して通常学級で障害がある児童を指導する。
(2)社会教育学者・ソーシャルワーカー 学校全体の児童を対象とし、障害は自宅から学校までの交通手段(バス、タクシー)の手配等。
(3)理学療法土1名、作業療法土1名や言語療法士1名は、障害がある児童の必要に応じてセラピーを行う。セラピーを行うかどうかあるいは、セラピーの頻度及び内容については、医師の診断に基づき決定される。したがって、セラピーの頻度及び内容は子どもの障害の状態に拠っている
(4)ツィビルディンスト(兵役義務における民間役務者)障害がある児童の介助を行う。
(5)看護婦 詳細不明
(6)幼稚園教諭 詳細不明

d.通常学級における特別な教育的ニーズのある子どもの教育に関する課題としてどのようなことがありますか。
(1)保護者との対応が最も難しい。障害があると認めたくなかったり、障害がなくなると思っている保護者がいる。
(2)現在より小さい規模のクラスと、各クラス毎に2人の教員が必要である。
(3)作業療法士や言語療法士等の治療スタッフがもっと必要である。
(4)攻撃的な(行動問題がある)児童への対応方法。

(2)通常学校のなかの、その他の支援の場についてお聞きします。
a.その他にどのような支援の場がありますか(例えば、リソースルーム、特殊学級など)。
 通常学校においては、通常学級以外の場はない。また障害児も障害がない生徒も通常学級において共に授業を受けることが原則となっている。

b.それらの支援の場では、どのような職種のスタッフが特別な教育的ニーズのある子どもの指導に関わっていますか(例えば、正規の教員、補助教諭、介助員、ボランティア、その他の専門職など)。
 該当なし

c.それらのスタッフの役割はどのようなものですか。
 該当なし

d.それらのスタッフは、特別な教育的ニーズのある子どもに具体的にどのような支援を行っていますか。
 該当なし

e.それらの支援の場における課題として、どのようことがありますか。
 該当なし

 
中等学校についての調査項目
調査対象校名: 総合制中等学校 ケルンホールバイデ(Gesamtschule Köln-Holweide)の学校実験
調査期日: 2000年5月15日
回答者・役職名: Ms. Barbara Brokamp
  (統合教育オーガナイザー、特殊教育教師)
  Mr. Thomas Wieners
  (統合教育会議代表、特殊教育教師)

1.どのような障害種別及び障害の程度の児童生徒が、何人程度在籍していますか。
 1998/1999年度障害生徒合計133人(全在籍者の7%に相当)
 1995/1996生徒数の合計1697人、その内外国人生徒数366人(ほとんどがトルコ人移民)。
 学級編成の原則については、中等学校第1段階(5から10年生)では、一学級当たり24の生徒が在籍し、その内障害のある生徒が2名である。それに対して、通常教育教員1名及び特殊教育教員1名の2名によって授業が展開される。
 ノルトライン=ヴェストファーレン州で学校実験として統合を行っている総合制学校(中等教育)は19校であるが、19校全体に在籍している障害のある生徒の中約20%がホールバイデに在籍。
 1986/87年度以来障害のある子どもを受け入れてきた。また、入学してくる障害がある生徒はペーターペータソン基礎学校出身者が多い。
 1998/1999年度の障害がある生徒の在籍内訳(表8)
*合計の数値(斜めの数字)は正確であるが、その他の内訳については一部誤りもあるとのことであった。

表8.1998/1999年度の障害がある生徒の在籍内訳
  LB GB KB EZ SG SH MB 合計
5 3 1 6 8   2   20
6 7 6 4 4 5     21
7 3   4 6 2     17
8 3 2 3 6     2 16
9 5 1 5 6     2 17
10 4 1 7 7 1     20
11     1         1
12               0
13     1         1
22 9 13 38 3 2 5 113
障害種別: LB;学習困難、GB;知的障害、KB;肢体不自由、EZ;教育援助(行動障害)、GH:聾、SG;難聴、SB;言語障害、BL;盲、SH;視覚障害、KR;病弱

2.通常学校の場合にはこの項目にお答え下さい。
(1)通常学級における特別な教育的ニーズのある子どもへの対応についてお聞きします。
a.特別な教育的ニーズのある子どもの指導にはどのような職種のスタッフが関わっていますか(例えば、正規の教員、補助教諭、介助且、ボランティア、その他の専門職など)。
 1998/1999年度
(1)特殊教育教員23名、(通常教育教員206名)
(2)学校相談職員10名(学校心理学者2名、相談員4名、社会教育学者4名)
(3)理学療法士1名、作業療法士1名
(4)失業者雇用対策要因者3名
(5)ツィビルディンスト(兵役義務における民間役務者)2名

b.それらのスタッフは、特別な教育的ニーズのある子どもに具体的にどのような支援を行っていますか。
(1)特殊教育教員は州の職員(教員は全て州の職員)であり、障害児が在籍している学校に配属される。州の配属の基礎学校における基準は一人の児童に週あたり3.5時間の対応となっているが、ホールバイデでは、中等教育段階における学校実験なので、週当たり3.75時間となっている。配属された通常学級では、通常教育教員と協力して障害児の指導に当たる。学校における統合教育についての基本方針を決める統合会議があり、そこでは、授業における役割の調整、支援必要性の確認、各生徒のニーズ、障害生徒のグループヘの関連付けについて等を討議している。
 なお、1986/87年度以来統合教育(共同授業)における指導内容及び方法開発を行ってきた。課題となっているのは、知的障害生徒に対する10学年以降の共同授業に関する問題と職業養成学校との協力である。
(2)学校相談職員は常勤と非常勤の職員がいる。障害児を含めた学校に在籍する生徒全てを対象としている。生徒本人の相談の他、特殊教育教員あるいは通常教育教員が指導について相談、保護者が相談も担当する。学校で問題が起こった時に、すぐに相談できる心理職の存在は教員にとっては、大きい存在であるとのことであった。
 また、学校には、学校心理学者及び社会教育学者との協力の基に教育学-心理学会議が設けられている。この会議は、これまでに授業並びに生徒グループの安定化、教員の役割変更、父母の協力等に対する方法の提案と援助法を開発してきた。
(3)理学療法士と作業療法土は、ケルン市のセラピーセンターに所属している職員で、ホールバイデで勤務している。対象はホールバイデに在籍する生徒のみである。セラピーを行うかどうかあるいは、セラピーの頻度及び内容については、医師の診断に基づき決定される。したがって、セラピーの頻度及び内容は子どもの障害の状態に拠っている。
(4)失業者雇用対策要因者は、進路指導と生徒の職域開拓を行う。
(5)ツィビルディンストは、10カ月間の兵役義務を13カ月間の民間役務の労働で忌避できる制度による立場を指す。障害児が在籍する学級において授業や学校内においての介助を行う。
 例えば次のような援助や介助を行う。車椅子の移動、トイレ介助や帰宅のためのタクシーヘの乗り降りの介助である。

c.通常学級における特別な教育的ニーズのある子どもの教育に関する課題としてどのようなことがありますか。
(1)入学を望む生徒が増えているが、施設設備と教員数が課題となっている。
(2)卒業資格の問題
(3)学校実験段階で、まだ制度化されていない。
(4)学校が大きく教員数が多いため、組織が大きすぎる。教員間のギャップが大きく、教員間の意思疎通の課題がある。
(5)授業を準備する時間がほしい。

(2)通常学校のなかの、その他の支援の場についてお聞きします。
a.その他にどのような支援の場がありますか(例えば、リソースルーム、特殊学級など)。
 通常学校においては、通常学級以外の場はない。また、障害児も障害がない生徒も通常学級において共に授業を受けることが原則となっている。

b.それらの支援の場では、どのような職種のスタッフが特別な教育的ニーズのある子どもの指導に関わっていますか(例えば、正規の教員、補助教諭、介助員、ボランティア、その他の専門職など)。
 該当なし

c.それらのスタッフの役割はどのようなものですか。
 該当なし

d.それらのスタッフは、特別な教育的ニーズのある子どもに具体的にどのような支援を行っていますか。
 該当なし

e.それらの支援の場における課題として、どのようことがありますか。
 該当なし

 
特殊学校の調査
調査対象校名: 総合制中等特殊学校 ライン肢体不自由特殊学校
Rheinische Schule für Körperbehinderte
調査期日: 2000年5月17日
回答者・役職名: Mr. Hans Duell (校長)
  Ms. Susanne Ewert (理学療法士)

1.どのような障害種別及び障害の程度の児童生徒が、何人程度在籍していますか。
 学校の定員が、140名で12クラスである。ライン肢体不自由特殊学校(基礎学校段階)あるいは基礎学校終了後の5学年から入学しから8学年までは、年齢によるクラス編成を行い、ドイツ語と数学では、習熱度別にグループ編成し指導している。その後9学年から次の3つのコースに分かれる。職業教育作業所に進むための準備コース(3クラス)、教科学習が可能でありハウプトシューレまたは学習困難学校修了資格に向けた学習コース(2クラス)、重複障害コース(1クラス)である。各クラスの児童数は、最大13名で、142名の生徒が在籍していて来年度は147名になる予定である。なお、重複障害クラスは、生徒数13名で教員4名である。
 全ての生徒が肢体不自由であり、そのほとんどが脳性まひである。その内の51人は、自ら動くことと話すことが困難である。二人の生徒が経管により1人が特別食により栄養摂取をしている。他には、二分脊椎と交通事故による障害の生徒が在籍している。生徒の年齢は11歳から20歳まである。
 卒業後の進路は、1998/1999年度は一般就労2名で、その他は職業教育作業所と作業所である。これは例年同様の実績である。

2.特殊学校の場合にはこの項目にお答え下さい。
a.特別な教育的ニーズのある子どもの指導にはどのような職種のスタッフが関わっていますか(例えば、正規の教員、補助教諭、介助員、ボランティア、その他の専門職など)。
(1)特殊教育教員定員39名 42名在籍で、9名がパートタイムで勤務。
(2)アシスタント教員13名(各クラスに1名配置)
(3)看護婦 6名
(4)理学療法土 6名
(5)作業療法士 2名
(6)教員試補(有給)9名
(7)ツィビルディンスト(兵役義務における民間役務者)5名
(8)FSJ(自由選択社会年間の人、女性) 2名

b.それらのスタッフは、特別な教育的ニーズのある子どもに具体的にどのような支援を行っていますか。
 各クラスは、複数の特殊教育教員及び1名のアシスタント教員がチームを組み、教員試補やツィビルデンストもチームに加わり指導している。特殊教育教員の内1名がチームリーダーとなる。また、必要に応じてすべてのメンバーが看護婦が行うケアを担当することがある。アシスタント教員は教科指導は行えない、食事着替え等の介護を行っている。理学療法士、作業療法士及び看護婦はチームを組みセラピーを行っている。

c.特殊学校における課題としてどのようことがありますか。
(1)本校はケルン市内、商店、他の学校からかなり離れた距離に位置していて、場所として全く孤立している。公共交通機関も使えない。
(2)職員にとっては、障害が重い生徒の場合は、教育よりはケアの仕事が主になる場合が多い。また、そのような生徒は本校卒業後の進路先を見つけることが困難な状況となっている。

d.児童対教員(正規の教員)の比率はどの程度ですか。
 6人の生徒に1人の特殊教育教員の割合である。生徒の障害が重い場合には、4人の生徒に1人の特殊教育教員の割合となっている。各クラスに在籍する生徒数は10から13人である。

e.通常学校との交流はどのように行っていますか。
 他の肢体不自由特殊学校と一緒にスポーツ大会をしている。しかし、それぞれの学校同士は、とても離れている。
 また、本校は、他の学校と交流する機会を望んでいるが、本校はケルン市内からかなり離れた場所にあるので、他の学校と交流するためには、多大な時間と人手を要する。

f.通常学校に対して特殊学校はどのような役割を果たしていますか。
 本校は通常学校との連携はない。通常学校で指導できない障害をもった生徒が本校に特殊学校に入学することとなる。通常学校は、生徒の教育的なニーズには応えられていないと考えている。
 本校の生徒は学習のために時間が必要であり、多くの生徒が日常の生活をおくるために基本的な事項を学ぶ必要がある。通常学校の教員は、そのような生徒のための教育を受けていない。

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