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国立特別支援教育総合研究所(特総研)メールマガジン
第235号(令和8年10月号)
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令和8年9月に発生した台風や大雨等の災害により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
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■目次
【1】お知らせ
●研究成果報告書サマリー集(令和7年度終了課題)の刊行について
●令和8年度研究所公開の参加申込み受付開始
【2】NISEトピックス
●令和8年度小・中・高等学校管理職研修会実施報告
●特別支援学校寄宿舎指導実践協議会実施報告
●高等学校における通級による指導に関わる指導者研究協議会実施報告
【3】研究紹介
●特別支援教育に係る教育課程の基準等に関する研究
【4】NISEエッセイ
●~特別研究員だより~
【5】高齢・障害・求職者雇用支援機構からのお知らせ
●「働く広場」10月号のご案内
【6】理事長室から
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【1】お知らせ
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●研究成果報告書サマリー集(令和7年度終了課題)の刊行について
特総研では、研究課題の成果の普及を目的として、「研究成果報告書サマリー集」
を刊行しています。
サマリー集は、研究課題毎に研究の背景・目的や方法、結果と考察等を6ページで
紹介しているほか、これらの概要等を1ページにまとめた概略図を掲載しています。
この度、令和7年度のサマリー集が刊行となりましたのでお知らせします。
今回のサマリー集では、令和7年度に終了した重点課題研究4課題、障害種別特定研究
1課題について掲載をしています。
下記URLよりダウンロードできますので、是非ご覧ください。
○研究成果報告書サマリー集(令和7年度終了課題)はこちら→
https://nise.repo.nii.ac.jp/records/2001384
●令和8年度研究所公開の参加申込み受付開始
11月21日(土)に開催する「研究所公開」の参加申込み受付を開始しました。
今年度は、幼児教育や脳科学の視点から特別支援教育について考える講話をはじめ、
パラフットボール体験、ICT機器の活用体験など、様々な企画を予定しています。
ぜひこの機会に、特別支援教育を「見て」「学んで」「体験」してみませんか。
事前にWebフォームからお申し込みいただくと、当日の受付がスムーズです。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。
○令和8年度研究所公開は、こちら→
https://www.nise.go.jp/seminar_main/laboratory_release/
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【2】NISEトピックス
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●令和8年度小・中・高等学校管理職研修会実施報告
令和8年8月6日(木)から7日(金)にかけて開催された
令和8年度全国特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会第63回全国研究協議会
愛媛大会の分科会において、小・中・高等学校管理職研修会を実施しました。
本研修は、ウェルビーイングの向上に資する特別支援教育への理解を深め、
多様性を包摂した学校経営を各地域で推進するリーダーシップの向上を目的として行いました。
実践報告では、宮崎県宮崎市立ひなた中学校 校長 横山貢一氏より
「生徒も先生も主役となるウェルビーイングの向上~公立中学校における肯定的行動支援の実践~」をテーマに話題提供が行われました。
グループ協議では、特総研の研究成果であるインクルCOMPASSを活用し、
自校の校内支援体制について、改めて現状を確認するとともに、
各地の校長先生方がグループで意見交換を行いました。
すべての児童生徒一人ひとりの多様性が尊重されるインクルーシブ教育システムの充実に
向けた取組について、活発な協議が行われました。
指導助言では、情報・支援部 上席総括研究員 丹野哲也より
インクルCOMPASSの円滑な活用方法について説明が行われました。
さらに、研修事業部 総括研究員 武富博文より、教育的ニーズのある子どもの特性への理解を深め、教職員に計画的な研修等の学びの機会を提供するために、
特総研教育課程チームの研究成果に基づくコンテンツ等について情報提供が行われました。
管理職研修終了後のアンケートでは、「今後の校内支援体制の充実に活用したい」等の
回答が多く寄せられました。
今後は、各地で本研修の内容を生かした取組がどのように進められたかを検証し、次年度以降の管理職研修に反映していきます。
最後に、本研修の実施にあたり、全国特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会の皆様、愛媛大会実行委員の皆様、プレ大会を開催させていただいた焼津市立小中学校長会の皆様に多大なるご協力をいただきましたことに、心より御礼申し上げます。
●特別支援学校寄宿舎指導実践協議会実施報告
令和8年8月19日(水)に令和8年度特別支援学校寄宿舎指導実践協議会を開催しました。
本協議会では、文部科学省による行政説明のオンデマンド配信をはじめ、実践発表及び
講演は対面とオンラインで配信しました。
対面では各都道府県教育委員会等から推薦された48名、オンラインでは約720名を超える寄宿舎指導員の皆様に参加いただきました。
文部科学省による行政説明では、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 課長補佐
齊藤紫乃氏から、特別支援教育の現状や特別支援教育に関する動向、
次期学習指導要領改訂に係る審議の動向、さらに寄宿舎指導員に求められること等についてお話いただきました。オンデマンド配信は9月4日まで実施し、広く共有できるようにしました。
また、当日午前は実践発表及び講演を対面とオンラインで開催しました。
実践発表では、筑波大学附属聴覚特別支援学校 教諭(寮務主任)
青柳泰生氏から、「寄宿舎における生活指導の工夫とチームでの取組」をテーマに、
寄宿舎における現状と課題、舎生の変容と多様化するニーズ、
組織的な支援体制などについて、具体的な実践事例を基にお話しいただきました。
講演では、元広島県立広島中央特別支援学校長 重岡伸治氏から、
「寄宿舎における生活指導の充実」をテーマに、寄宿舎指導員として心に留めておきたいこと、
寄宿舎教育の魅力や強み、今後に向けた寄宿舎教育において大切にしたいことについて、これまでの豊富な御経験を基にお話しいただきました。
さらに、午後は対面参加者による部会別協議が行われました。
視覚障害教育(2班)、聴覚障害教育(1班)、知的障害教育(3班)、
肢体不自由教育・病弱教育(1班)の計7班に分かれ、
「舎生の多様化するニーズに対応するため、寄宿舎全体または寄宿舎指導員として実施している具体的な取組や課題」をテーマに協議が行われました。
各班では、特総研の研究員が進行役を務め、障害種別の特性に応じた寄宿舎指導における取組や課題等について、活発な協議や情報交換が行われました。
各協議の最後には、千葉県立東金特別支援学校 校長 渡辺光治氏、
長野県上田支援学校 校長 鶴田恵市氏、東京都立葛飾盲学校 校長 竹内大吾氏、
東京都立光明学園 統括 島添聡氏から助言をいただき、本協議会を盛会のうちに終えることができました。
全国からご参加いただいた寄宿舎指導員の皆様におかれましては、本協議会で学んだ成果を活かして、今後の寄宿舎指導の充実につなげていただくことを期待しております。
結びとなりますが、本協議会は、全国特別支援学校長会の御協力の下、同校長会との連携研修として実施しております。助言者の御推薦など、様々な面から御支援を賜わりましたことに厚くお礼申し上げます。
今後とも、全国各地の寄宿舎指導の課題解決や充実に寄与できるよう、本協議会に取り組んで参る所存です。
●高等学校における通級による指導に関わる指導者研究協議会実施報告
高等学校における通級による指導(以下、高校通級)は平成30年度に制度化され、
本協議会はその前年である平成29年度から特総研で開催されています。
令和7年度までは指導主事と通級担当教員を対象に開催してきましたが、
令和8年度からは指導主事のみを対象とし、2日間オンラインで開催しました。
当日は、全国から58名の指導主事にご参加いただきました。
協議会に参加いただくにあたり、特設サイトを開設し、文部科学省による行政説明や
事前レポートの分析による現状と協議の視点等に関する動画を事前に視聴できるようにしました。
協議会1日目は、特総研による高校通級の現状と今後の展開についての情報提供を行い、また岩手県教育委員会事務局と滋賀県教育委員会事務局より取組紹介をしていただきました。
岩手県教育委員会事務局からは「高校通級指導の人材育成」をテーマに、
岩手県の特別支援教育に関わる施策をもとに進める教職員の専門性向上や高校通級実施校による指導の進め方、またシートを活用した引継ぎや情報共有等の取組についてご紹介いただきました。
滋賀県教育委員会事務局からは、「機関連携による支援体制の構築」をテーマに、
滋賀県の特別支援教育推進事業をもとに進めるユニバーサルデザインの視点に立った授業づくりに関する研究や専門家チームと連携した高校通級指導推進委員会の開催、
また専門家とのティームティーチング等の取組についてご紹介いただきました。
その後、事前に提出いただいたレポートをもとに編成した班に分かれて協議を行いました。
協議では、本協議会のテーマである高校通級指導に関わる人材育成と関連機関連携による指導体制の構築に触れながら、各自治体の高校通級の成果や課題について様々な情報交換が行われました。
2日目は1日目に続き班別協議を行い、各班で協議した内容を資料としてまとめて発表し、全体に共有していただきました。
最後に文部科学省特別支援教育課 特別支援教育調査官(発達障害教育担当)から2日間の講評をいただき終了となりました。
本協議会は、皆様方のおかげで円滑に終了できましたことを深く感謝申し上げます。
本協議会へのご参加が、各地域における高校通級の更なる充実・発展に寄与することを心より期待しております。
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【3】研究紹介
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●特別支援教育に係る教育課程の基準等に関する研究
―特別支援教育の質を高める教育課程編成等の在り方と実践の工夫―
特総研では、令和5年度から3年間にわたり、重点課題研究「特別支援教育に係る教育課程の基準等に関する研究」に取り組みました。
本研究は、審議が進む次期学習指導要領の改訂に向けた基礎資料の提供とともに、
インクルーシブ教育システムの構築に向け、障害のある子供一人一人の教育的ニーズに
応じた質の高い特別支援教育の在り方について、研究協力機関等と共に探究したものです。
特別支援学校におけるカリキュラム・マネジメントの推進、
重複障害者等の教育課程の弾力的な取扱い、小・中・高等学校における特別の教育課程
編成など、5つの主要テーマについて多角的な調査や実践研究を行いました。
成果として、特別支援教育を推進するための全体計画である「特別支援教育全体計画」
の作成・活用が教育課程の改善・充実に資する可能性の指摘や個別の指導計画の評価を
教育課程の改善へつなげる仕組み、重複障害者等の教育課程の弾力的な取扱いに関する要点ガイド等の提案があります。
研究成果報告書を含めた関連資料は、特総研Webサイトにて公開しております。
学校現場における日々の授業改善や、組織的な教育課程の編成・実施・評価・改善に向けて、幅広くご活用いただけますと幸いです。
〇研究に関するWebサイトはこちら→
https://www.nise.go.jp/research/research-9959/
〇研究成果報告書はこちら→
https://nise.repo.nii.ac.jp/records/2001342
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【4】NISEエッセイ
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●~特別研究員だより~
「笑顔あふれる日々を目指して」
〈執筆〉
静岡県立湖西市立鷲津小学校 坂口真之介
特総研での生活が始まり、早いもので半年が過ぎました。
研究室に聞こえてくる波の音に癒やされ、穏やかに過ごす一方で、子供たちの声が聞こえないことに寂しさを感じることもあります。
現在、私は横断的研究「通常の学級を基盤とする重層的な指導・支援の在り方に関する研究」に参画しています。
好事例として取り上げる学校の取組を分析するため、所属自治体とは異なる地域の小学校と中学校を視察しました。
地域ごとに特色がある中でも、先生方が子供たちを中心に据えて取り組んでいることは共通していました。
たくさんの先生方とお話しする貴重な機会を得ていることを、改めて実感しています。
地域課題研究では、「複数の特別支援教育コーディネーターによる校内支援体制の充実」に関する研究に取り組んでいます。
多様な子供たちが学ぶ学校では、教職員の間で子供たちの情報や支援の方針を共有することが大切です。
学校全体で子供たちを支える体制づくりについて、現場の先生方にご協力いただきながら、研究を進めています。
子供たちも先生方も笑顔で過ごせる日々を目指し、残り半年も、一つ一つの出会いや気づきを大切にしながら、学びと研究に取り組んでまいります。
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【5】高齢・障害・求職者雇用支援機構からのお知らせ
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●「働く広場」10月号のご案内
「働く広場」は、障害者雇用に取り組む企業事例を中心に、身近な障害者雇用の情報を取り上げた月刊誌です。
成人期を迎えた障害者の働き方や、障害者雇用を進める先進的な取組のヒントとして、ご覧ください。
○10月号(9月25日発行)の掲載内容
食肉加工工場における、障害のある従業員の能力や長所を活かして戦力化を図るため、業務の切り分けや寄り添ったサポートなどに取り組んでいる事例 ほか
○最新号についてはこちら→
https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html
*このご案内は教育現場と就労をつなぐために掲載しております。
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【6】理事長室から
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「伝える」と「伝わる」
〈執筆〉
理事長 青木隆一
私が教員になりたての頃の話だ。
授業を終えて職員室に戻り、私は愚痴った。
「A君は、何度説明しても理解できない。困ったものだ」
近くで聞いていたベテランの先生が言った。
「生徒が理解できないことを、生徒のせいにしてはだめだ。青木先生の説明の仕方を変えないと。
教師は『教えたつもり』になっているけど、伝わっていないことが多いよ。」
今でも、この言葉はよく覚えている。
文部科学省で特別支援教育調査官を務めていた頃のことだ。
ちょうど平成29・30・31年改訂学習指導要領の周知の時期で、全国各地を訪れ、
学習指導要領改訂の趣旨や内容をお伝えしていた。
自分自身が改訂に携わったこともあり、「自分は十分に理解している」という思いがあった。
用意した説明原稿をもとに、90分ほど、自分としては淀みなく話す。
「しっかり伝えた」と、どこかで自己満足していたのだと思う。
ある時、元同僚から言われた。
「青木さんの説明は、スライドに書いてあることを言っているだけ。しかも、早すぎて、難しすぎる。先生方には、多分、伝わっていないと思うよ」
若い頃にベテランの先生から言われたことと、まったく同じだった。
「伝えた」と「伝わった」は違う。
「本当に、この子に伝わる伝え方だったのだろうか」
そう考えてみると、指導の見え方が少し変わってくる。
もちろん、子供の学びが深まらない理由は、教師の説明の仕方だけにあるわけではない。障害の状態や特性、認知の特性、これまでの経験、体調や心理的な状態など、
さまざまな要因が関係する。だからこそ、教師には、子供の「できない」を見つけるだけではなく、「どうすれば分かるのか」「どうすればできるのか」を探り続ける姿勢が求められるのだと思う。
言葉で伝わらなければ、絵や写真、実物を使ってみる。デジタル学習基盤の活用もできる。
一度にたくさん伝わらなければ、一つずつ伝えてみる。
「分かりましたか」と尋ねるだけでなく、実際にやってみてもらい、どこまで理解できているかを確かめてみる。
そして、うまくいかなければ、「この子ができない」と結論づける前に、「こちらの伝え方を変えてみよう」と考えてみる。
これは特別支援教育だけの話ではなく、教育そのものの基本に関わることだと思う。
自分の言葉を変え、教材を変え、環境を変える。時には、子供を見る自分自身のまなざしを変える。
その積み重ねが、子供たちの学びを支え、教師自身の専門性を高めていくのではないだろうか。
「伝える」から「伝わる」へ。
私自身も、これからも問い続けたいと思う。
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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第235号(令和8年10月号)
〈発行元〉
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