◎平成22年度国立特別支援教育総合研究所セミナーI

概要

 

 本研究所では、平成22年度国立特別支援教育総合研究所セミナーIを 1月27日(木)~28日(金)の2日間にわたり、国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて開催いたしました。本年度は、「特別支援教育のさらなる進展へのチャレンジ―学習指導要領改訂にあわせて―」というテーマを掲げました。
 本セミナーⅠでは、学習指導要領改訂に合わせたテーマを平成20年度より3年間の計画で実施してきました。本年度はその最終年度にあたります。現在では、既にすべての学校種の学習指導要領及び幼稚園の教育要領が改訂され、今年度初めにはそれに合わせた学習評価についての在り方も具体的に示されました。これらに伴って、各教科等において、新たな目標や内容等を踏まえた指導内容や指導方法の一層の充実が求められます。
 幸いなことに、全校の学校や自治体では、既に先進的な取り組みや模索が始まっています。そこで、今回のセミナーでは、特別支援教育のさらなる進展にむけて、以下のようなプログラムを企画しました。
 

 1日目は、「特別支援教育行政の現状と課題」について文部科学省の千原由幸特別支援教育課長から行政説明をいただき、その後、「特別支援教育のさらなるチャレンジ―現状の把握と今後の展望―」と題してシンポジウムを開催いたしました。シンポジウムでは、まず、本研究所の松村勘由上席総括研究員より、関連する調査や報告等から現状と課題について、整理・報告を行いました。その後、話題提供者として、宮城県仙台市立小松島小学校校長の針持哲郎先生、岐阜県多治見市立平和島中学校校長の水崎誠先生、徳島県立阿南支援学校校長の美馬恒子先生をお迎えして、小学校、中学校、特別支援学校それぞれの立場から、個別の指導計画をどう作成し、どう指導に生かしていくか、その活用と評価の在り方等についてお話いただきました。最後に、本研究所の松村勘由上席総括研究員を交えて、今後の展望も含めた活発な議論が行われました。
 

 2日目は、午前中には、早稲田大学教育・総合科学学術院教授の安彦忠彦先生より「学習指導要領と学習評価」と題したご講演を頂きました。さらに、ご講演の後に司会者(柘植)と安彦先生でミニ対談を行い、特に特別支援教育の視点からみた新学習指導要領と学習評価について理解を深めました。午後の2つの分科会では、交流及び共同学習、障害の重複化・多様化とICTの活用をそれぞれキーワードに、特別支援教育のさらなる進展への具体について活発な協議が行われ、参加者の皆様とさまざまな課題を共有できたのではないかと思います。
 また、2日目の昼休みには、21年度に終了した本研究所の研究についてポスター展示や発達障害教育情報センターのwebサイトの案内を行いました。
 本セミナーには、全国各地から定員の700名を超える方々が参加されました。このセミナーを機会にみなさまの学校等での特別支援教育がさらに推進していくことを願っております。

柘植雅義(企画部・上席総括研究 セミナーⅠ実施ワーキンググループ

テーマ

 「特別支援教育のさらなる進展へのチャレンジ―学習指導要領改訂にあわせて―」

開催日

 平成23年1月27日(木)・28日(金)

内容

※平成22年度国立特別支援教育総合研究所セミナーⅠ 要項 [2598KB pdfファイル] 

(1日目)
□行政説明  特別支援教育行政の現状と課題

  • 講師  千原 由幸 氏 (文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 課長)


□シンポジウム  特別支援教育のさらなるチャレンジ―現状の把握と今後の展望―
 

  • 現状報告
    • 松村 勘由 (国立特別支援教育総合研究所 上席総括研究員)
  • シンポジスト
    • 針持 哲郎 氏(仙台市立小松島小学校 校長)
    • 水崎  誠 氏(多治見市立平和中学校 校長)
    • 美馬 恒子 氏(徳島県立阿南支援学校 校長)
  • 司会者
    • 笹森 洋樹 (国立特別支援教育総合研究所)
  • シンポジウム記録 PDF(216KB)

 

(2日目)
 □講演
 学習指導要領と学習評価
□第1分科会  障害のある子どもとない子どもが共に学ぶ
  • 話題提供者
    • 小林 直紀 氏 (埼玉県教育委員会 指導主事)
    • 石本 直巳 氏 (埼玉県立越谷西特別支援学校 教諭)
    • 藤本 裕人   (国立特別支援教育総合研究所 総括研究員)
    • 田中 良広   (国立特別支援教育総合研究所 総括研究員)
  • 司 会 者
    • 澤田 真弓 (国立特別支援教育総合研究所)
    • 田中 良広 (国立特別支援教育総合研究所)
  • 第1分科会記録 PDF(158KB)
□第2分科会  特別支援教育におけるICT活用の在り方―障害の重複化・多様化への対応―
  • 話題提供者
    • 金森 克浩   (国立特別支援教育総合研究所 総括研究員)
    • 梅田 真理   (国立特別支援教育総合研究所 総括研究員)
    • 高橋ゆかり   (高松市立栗林小学校 教諭)
    • 青木 髙光   (長野県稲荷山養護学校 教諭)
    • 杉浦  徹   (長野県稲荷山養護学校 教諭)
  • 指定討論者
    • 丹羽  登 氏 (文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育調査官)
  • 司 会 者
    • 大崎 博史 (国立特別支援教育総合研究所)
  • 第2分科会記録 PDF(226KB)