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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第154号

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メールマガジン

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      国立特別支援教育総合研究所(NISE)メールマガジン
         第154号(令和2年1月号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━
■目次
【新年のご挨拶】
【お知らせ】
・NISE特別支援教育国際シンポジウムの開催について(受付終了間近)
・「令和元年度横須賀市児童生徒ふれあいフェスタ パネルディスカッショ
ンとワークショップの部」の開催(終了報告)
・特総研OBOGの皆様へ
【NISEトピックス】
・令和元年度国立特別支援教育総合研究所セミナーの開催について
【研修報告】
・令和元年度交流及び共同学習推進指導者研究協議会(終了報告)
・令和元年度第2回高等学校における通級による指導に関わる指導者研究協
議会(終了報告)
【特別支援教育関連情報】
・盲ろう教育実践セミナー開催の報告
【NISEダイアリー】
【研修員だより】
【アンケートのお願い】
【編集後記】

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【1】新年のご挨拶
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 皆様、明けましておめでとうございます。本メールマガジンをいつもご愛
読いただき、誠にありがとうございます。
 平成28年(2016年)度から始まった、本研究所の第四期中期目標・中期計
画期間も、今年は最終年を迎えます。第四期の終了を前にして、当初の計画
がねらい通り進められるよう、努力して参りたいと思います。
 そして、令和3年(2021年)度からの第五期における研究所の姿を模索して
いきたいと考えます。令和3年度は、本研究所が昭和46年に設置されてから、
50年目の節目に当たります。今後の10年、20年先の我が国の姿を想像して、
本研究所も、当面する国の政策課題や教育現場の課題に対応した業務運営を
行い、個々の子どものニーズに即した教育の実現を目指して、今後も、様々
な活動を工夫していきたいと考えます。
 今年も、特別支援教育の一層の充実のため、研究活動や研修事業、情報収
集や発信、インクルーシブ教育システムの構築や発達障害教育に関わる研究
等の推進に力を注いで参ります。
 本メールマガジンについても、一層の充実に努力していく所存です。引き
続き、皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。

               独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
                      理事長 宍戸 和成

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【2】お知らせ
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●NISE特別支援教育国際シンポジウムの開催について(受付終了間近)
 本研究所では、「子どもの学習のつまずきに速やかに対応する取組-フィ
ンランドの教育実践から今後を展望する-」というテーマで国際シンポジウ
ムを開催します。テーマに関する教育実践等についての報告及びディスカッ
ションを行います。

◇NISE国別調査報告「諸外国におけるインクルーシブ教育システムの動向」
◇フィンランドの教育実践
 話題提供1 「フィンランドの教育制度と基本情報」
  渡邊 あや 氏(津田塾大学准教授・本研究所特任研究員)
 話題提供2 「フィンランド実地調査報告」
 講演    「フィンランドの施策と教育実践(仮)」
  ピリヨ コイブラ 氏(フィンランド国家教育委員会・教育カウンセラ
             ー)
◇ディスカッション
 実践の紹介 「学習のつまずきに対応する取組」
  堀川 知子 氏(栃木県鹿沼市立みなみ小学校・教諭)

◇日時:令和2年1月25日(土) 13:00 ~ 17:30
◇会場:一橋大学一橋講堂(学術総合センター内)
    (東京都千代田区一ツ橋2-1-2)
◇定員:400名 (先着順)

 既に参加申込の受付を開始しております。お申込みは、次の2通りの方法
で受付しております。皆様のご参加をお待ちしております。

(1)参加申込のWebページ「申込受付フォーム」からの申込み
(2)参加申込のWebページ掲載のチラシ裏面申込用紙でFAXによる申込み

○NISE特別支援教育国際シンポジウムのWebページはこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/training_seminar/special_symposium/r1

●「令和元年度横須賀市児童生徒ふれあいフェスタ パネルディスカッショ
ンとワークショップの部」の開催(終了報告)
◇期日:令和元年11月29日(金)
◇場所:横須賀市文化会館・中ホール
◇内容:広く発達障害に関する理解啓発を図るために2つの内容を行いまし
    た。
(1)パネルディスカッション:保護者、医療、福祉の関係者にご登壇いた
   だき、発達障害のある人々が地域で生き生きと働く姿を通して、家庭
   ・教育・福祉の連携によるライフステージに応じた切れ目ない支援に
   ついて考えました。
(2)ワークショップ:心理的疑似体験、教材・教具展示や映画・図書の紹
   介、ミニ講義、研究紹介のコーナーを開設しました。横須賀市の学校
   における取組の紹介や就労支援に関する展示も行いました。
 横須賀市内の学校関係者、保護者や家族、福祉関係者、一般市民の方など、
多くの皆様にご参加いただきました。どうもありがとうございました。

○発達障害教育推進センターの情報についてはこちら→
 http://icedd_new.nise.go.jp/

●特総研OBOGの皆様へ
 本研究所は、昭和46年10月1日に国立特殊教育総合研究所として創立して
から令和3年で50周年を迎えます。これを記念し、本研究所で勤務をされて
いた諸先輩方と本研究所とのネットワークを構築し、研究所の情報、記念事
業のご案内をしていきたいと考えており、このネットワークの構築に当たっ
て、特総研OBOGデータベースの作成を進めています。
 当方でご連絡先が判明している方には、12月中に郵送にてご連絡をしてお
りますが、転居等によりご連絡先が変更されている方で、特総研OBOGデー
タベース登録にご同意頂けましたら、特総研OBOGデータベース事務局(電
話:046-839-6901、E-mail:v-nise_ob@nise.go.jp)にご連絡をお願いし
ます。あらためて郵送にてご連絡いたします。
 どうぞよろしくお願いします。

○特総研OBOGデータベース作成のための情報のご提供についてはこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/news/page_20191211014618

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【3】NISEトピックス
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●令和元年度国立特別支援教育総合研究所セミナーのご案内について
 本研究所では毎年、研究活動等の成果普及、特別支援教育に関する理解啓
発及び、教育関係者や関係機関との情報共有を図るために、本セミナーを開
催しています。
 今年度は「インクルーシブ教育システムの推進」をテーマに、令和2年2
月21日(金)、22日(土)の二日間、国立オリンピック記念青少年総合センター
を会場に実施します。
 1日目午前は「特別支援教育に関する最新動向」と題して、文部科学省初
等中等教育局特別支援教育課課長の俵幸嗣氏にご講演いただきます。引き続
き「学習評価の基本的な考え方」の題で、文部科学省初等中等教育局視学官
の青木隆一氏にご講演いただきます。午後はパネルディスカッション「各学
校における特別な配慮を必要とする子供たちの学習評価の現状と課題~カリ
キュラム・マネジメントの視点から~」を行います。午前中の講演の内容も
踏まえ、新学習指導要領が目指すカリキュラム・マネジメントや授業改善の
視点から、多様な学びの場で学ぶ障害のある児童生徒などへの学習評価の現
状や課題等について議論します。
 2日目午前は、研究所の研究概要の紹介、基幹研究の成果報告、障害種別
研究班のポスター発表、インクルDBやICT支援機器等の展示などを行います。
午後は「地域実践研究成果報告」を行います。「小・中学校における特別支
援教育に関する校内研修」と「高等学校の学校づくりにおける特別支援学校
との連携」をテーマとして、本研究所と協働して課題に取り組んだ地域から、
研究成果と今後の展望について発表していただきます。
 参加申込はすでに始まっております。下記の研究所Webサイトよりお申し
込みください。皆さまのご参加をお待ちしています。

○日時:令和2年2月21日(金)、22日(土)
○会場:国立オリンピック記念青少年総合センター
    (東京都渋谷区代々木神園町3-1)
○定員:500名(先着順)
○申込期間:令和元年12月3日(火)~令和2年1月17日(金)

○国立特別支援教育総合研究所セミナーの詳細はこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/training_seminar/special_seminar/r1
○参加申し込み先はこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=14769&lang=ja

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【4】研修報告
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●令和元年度交流及び共同学習推進指導者研究協議会(終了報告)

 11月14日(木)、15日(金)の2日間にわたり、「交流及び共同学習推進
指導者研究協議会」を本研究所にて開催しました。本協議会は、インクルー
シブ教育システムの充実を目指し、各都道府県等において障害のある幼児児
童生徒と障害のない幼児児童生徒との交流及び共同学習を推進する立場にあ
る教職員による研究協議等を通じ、各地域における交流及び共同学習と障害
の理解推進に資することを目的として、毎年開催しているものです。本年度
は、全国から特別支援学校、小・中学校等の教員や指導主事等69名が受講し
ました。
 1日目は、文部科学省による行政説明に続いて、「交流及び共同学習の意
義を今一度考える~共生社会の形成に向けて~」というテーマでシンポジウ
ムを行いました。シンポジウムでは、静岡県立藤枝特別支援学校の小川陽子
教諭が「交流籍を活用した居住地における交流及び共同学習について」、沖
縄県南城市立馬天小学校の玉榮恒雄校長が「共生社会を実現する人材を育て
る学校づくり~交流及び共同学習の充実を通して~」の話題提供を行いまし
た。続いて、本研究所から、齊藤由美子総括研究員が、学校づくりの側面か
ら、久保山茂樹上席総括研究員が、教師の役割の側面からの話題提供を行い
ました。その後、話題提供者が一堂に会し、テーマに沿った協議を行いまし
た。2日目は、3分科会7班に分かれ、1日目の行政説明やシンポジウムの
内容を踏まえながら、各受講者のレポートに基づく研究協議を行いました。
第1分科会では「交流及び共同学習を推進する上での学習活動の工夫」、第
2分科会では「居住地における幼児児童生徒の交流及び共同学習の推進」、
第3分科会では「交流及び共同学習を推進する上での行政的取組」をテーマ
に活発な意見交換が行われました。最後に、各班で話し合われた内容を全体
で共有した後、文部科学省初等中等教育局の青木隆一視学官、中村大介特別
支援教育調査官から講評をいただきました。
 受講者からは、「何のために交流及び共同学習を行っているのかという視
点から、自分の実践を振り返る機会になった」、「地域で生きていく子ども
たちの将来を見据え、子どもの心に種をまく活動をどのように仕組むかを考
えていきたい」という感想が寄せられました。共生社会の形成に向け、今後
の各地域や学校における交流及び共同学習の取組のさらなる充実を期待して
います。
                     実施グループ長 小澤 至賢

●令和元年度第2回高等学校における通級による指導に関わる指導者研究協
議会(終了報告)

 11月21日(木)、22日(金)の2日間にわたり、「高等学校における通級
による指導に関わる指導者研究協議会」を本研究所にて開催しました。本協
議会は、高等学校における通級による指導において、全国各地で指導的立場
にある指導主事、通級指導担当者を対象に、年間2回の連続型として実施し
ています。今回は、5月開催の第1回に続いて実施されたものです。
 今回は、高齢・障害・求職者雇用支援機構から市川浩樹障害者職業総合セ
ンター企画部企画調整室長、日本学生支援機構から小越真一朗学生生活部障
害学生支援課長をお招きし、「切れ目ない支援」をテーマに情報提供をいた
だきました。高等学校における通級による指導では、現在行っている個別の
指導・支援の成果や課題をどのようにして高等学校卒業後に切れ目なく繋い
でいくかという課題に対し、各地域の先生方の取組が続いています。こうし
た課題解決のヒントとして、市川室長からは、発達障害者の雇用実態を踏ま
え、「自分自身の特徴に関する適切な理解」があってこそ、「職業準備の課
題の明確化」と「利用できるサービスの把握と選択」に繋がるとの説明があ
りました。小越課長からは、大学等における障害のある学生の修学支援の状
況を踏まえ、進学後の支援が円滑に開始されるために、移行支援プログラム
を提供する大学があるとの説明がありました。
 これに続く研究協議では、情報提供を受けて、地域で活用可能な連携シー
トの作成や卒業生を招いた体験発表会といったアイデアが出されるなど、
「切れ目ない支援」に向けた取組について協議する班が多くあったことから、
受講者の卒業後の支援の連続性への高い関心がうかがえました。受講後のア
ンケートにも、お二方からの情報提供の評価は高く、「普段聞けないことが
聞けた」、「進路に関する情報が得られた」などの感想が見られました。
 連続型として実施した本協議会ですが、受講者の皆様には、第1回から第
2回までの実践を踏まえ、受講するに当たって事前から多くのご準備をいた
だきました。また、受講者が所属する各教育委員会や勤務校の皆様にも、た
くさんのご配慮をいただきました。皆様のお陰で本協議会が無事終了できた
ことに対し、この場をお借りし改めて感謝申し上げますとともに、受講者の
皆様が本協議会を契機とし、各地域での中心的な役割を担いながら実践して
いくことで、障害のある生徒の卒業後の切れ目ない支援の充実に繋がること
を期待しています。
                     実施グループ長 若林 上総

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【5】特別支援教育関連情報
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●盲ろう教育実践セミナー開催の報告
                         重複班  星 祐子 
 
 平成29年度に、全国の特別支援学校を対象として、視覚と聴覚の両方に障
害を有する盲ろう幼児児童生徒(視覚障害及び聴覚障害の他、知的障害、肢
体不自由など他の障害を併せ有している幼児児童生徒を含む)の在籍数、障
害の状態、コミュニケーション方法、担当教員のニーズ及び課題等に関する
調査を実施しました。
 約20年ぶりに実施した本調査では、全国の特別支援学校には約300名の盲
ろう幼児児童生徒が在籍していること、それらの幼児児童生徒の約9割は、
視覚障害及び聴覚障害の他に知的障害等、他の障害を併せ有していること、
視覚・聴覚・知的・肢体不自由・病弱各障害種の学校に在籍し、実態も多様
であること等が分かりました。また、同時に、担当する教員のほとんどが盲
ろう幼児児童生徒との関わり方、コミュニケーションの取り方等について、
研修を希望していました。
 これらの状況を踏まえ、本研究所では、昨年度に続き、盲ろう幼児児童生
徒を担当されている教職員等を対象とした盲ろう教育実践セミナーを、6月
・7月には筑波大学東京キャンパス、12月には神戸市障害者福祉センターに
て、それぞれ開催しました。遠方からも多くの方々に参加いただき、3回の
セミナーには、教職員を始めとして施設職員、通訳介助者等、計140名ほど
の方々に参加いただきました。
 セミナーの内容は、盲ろう当事者の話、盲ろうの概要、障害の状態につい
ての把握、盲ろう疑似体験、障害がもたらす困難性、盲ろうの子どもたちの
指導において大切にしたいこと、コミュニケーションについて、実践事例の
紹介等としました。
 参加者からは、「疑似体験を通して、子ども達が、どんな世界に住んでい
るのか、ほんの少しだけ知ることができました。音も光もない世界の不安さ、
何をしているのか、何を伝えられているのか分からないことが、どんなに恐
ろしい世界なのか、というようなことを感じました。だからこそ、自分の身
近にいる人が安心材料となり、活動の意欲に繋がるように、しっかりと考え
ていきたいと思います。」、「信頼関係を作り、体験して実感したことをそ
の場で言葉に置き換えて伝えていく、ということの大切さを改めて感じまし
た。」等、多くの感想が寄せられました。
 セミナーの開催に当たりましては、一般財団法人柳井正財団、ファースト
リテイリング財団の助成をいただきましたことに深謝いたします。
 今後も、日々の関わりや教育活動に活かしていただけるような情報や研修
等の提供とともに、教職員をはじめ関係する方々のネットワークづくりにも
取り組んでいきたいと思います。
 
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【6】NISEダイアリー
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          「褒めて育てることの意味」
           宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)

 授業研究会に参加したり、教育雑誌を眺めていたりして、気が付くことが
ある。それが、「褒めて育てなければいけないよ」という言葉だ。授業の中
で、やみくもに子どもを褒めている先生に出くわすこともある。褒めて育て
ることがトレンドであり、大切なことだと解説している文章に出くわすこと
も多い。
 自分が学校現場にいた頃を思い出しつつ、なぜ、今、こんなに褒めて育て
ることが話題に上るのだろうと考える。そういえば、私の頃は、子どもを叱
ってばかりいたかもしれないと反省する。でも、そんなに子どもに嫌われて
もいなかったようにも思う。それは、褒めることも行っていたからだと思う。
褒めることは、相手を認めることだと考えていた。叱ることは、相手にこう
なって欲しいと期待して、今、できにくいことを指摘することだと考えてい
た。褒める時は、心から褒め、叱る時は、自分も心の痛みを感じつつ、厳し
い言葉を発していた。いつもいつも、それがうまくいくとは限らない。時に
は、言葉遣いを反省し、子どもに謝ることもあった。その子どもたちも、す
っかり大きくなり、我が子の子育てに悩んでいると思う。きっと、褒めて育
てることを心して、毎日、子どもと格闘していることだろう。
 「褒めて育てること」、それは私も同感である。でも、なぜ、気になって
いるのだろう。それは、方法だけが伝達され、「なぜ、褒めることが必要な
のか?」という点が、きちんと伝わっていないせいではないかと考えた。
 褒めることと叱ることには、メリハリが必要である。そして、褒めてばか
りいたら、褒められることの意味が分からなくなる。叱られることと相まっ
て、褒められることの意味が子どもには伝わるのではないか。また、なぜ、
褒められたのかを実感できることも子どもには必要であると思う。
 この「なぜ」というのは、子どもと関わる先生にとっても必要なことであ
る。「今、褒めて育てることが話題になっているのは、なぜだろう?」とい
う問い掛けである。褒めるという手段のみに気が回り、なぜ、必要なのかと
いう洞察が少ないように感じる。方法論が話題になり、A法やBメソッドに
関心が集まる。それを用いれば、効果が出るかもしれないが、先ず必要なこ
とは、「なぜ?」と考えることである。「なぜ、今、褒めて育てることが求
められているのか?」と考えることで初めて、今の子どもたちを取り巻く状
況や子どもたちの実態が見えてくるのではないか。「なぜ、自己肯定感が乏
しいのだろう。」、「なぜ、やる気が起きないのだろう。」などを考える機
会になる。
 私たちの周りには、様々な情報が飛び交っている。それを知ることも大切
である。そして、いち早く、それを用いてみることも必要である。でも、も
う少し、ゆっくりでもいいではないか。なぜかと考えることは、子どもの姿
をじっくり眺めることに繋がると思う。
 「なぜ、褒めるのか?」、「この褒め方で本当に子どもの心に響いている
のか?」そんなことを考えてみたい。スローも、時には意味があるのでは?

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【6】研修員だより
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 今号は、平成29年度第一期特別支援教育専門研修を修了された村松映里先
生からお寄せいただきました。

         「学び続ける背中を追いかけて」
               村松 映里(静岡県立中央特別支援学校)

 私が専門研修に参加したのは、特別支援学校(聴覚障害)に赴任して2年
目の時でした。教員としても5年目、自分のような若輩者が足を踏み入れて
良いのかと緊張の中で久里浜に向かったことを覚えています。
 研究協議のグループでまとめた「心が動くとことばが育つ」という研究は、
特別支援学校(肢体不自由)に勤める今も心掛けています。子どもの心が動
いた場面を逃さず言葉を添えて共感することが、より豊かな表出に繋がるこ
とを実感しています。特別支援教育を学ぶ中で、障害種を越えて学ぶことを
自分のテーマとしてきました。複数の校種を経験する中で、それぞれの知識
や経験が別々のものとしてあるのではなく、学んできたこと全てが目の前の
子どもの指導に繋がっていると感じています。これからの指導の支えとなる
大きな財産を、専門研修では得ることができました。
 先日、同期の研修員と集まる機会がありました。地域のリーダーとして活
躍されている先生方が、様々な研修に参加され、学び続ける姿には大きな刺
激を受けました。広大な特別支援教育のフィールドですが、共に研修を受け
た仲間の背中を追いかけてこれからも学び続けたいと思います。

○静岡県立中央特別支援学校のWebサイトはこちら→
 http://www.edu.pref.shizuoka.jp/chuo-sh/home.nsf/IndexFormView?
OpenView

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【7】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。

○アンケートはこちら→
 https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=17665&lang=ja

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【8】編集後記
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 毎年1月になると、「今年は、こういうことを特に努力しよう!」と考え
ます。今年は「察する」ということを大切にしたいと考えました。それは、
先日、教え子に会ったことがきっかけでした。その教え子は、以前勤めてい
た聾学校の小学部低学年の時に担任をした子どもでした。その子とのこんな
エピソードを覚えています。ある日の休み時間、教室の内線に電話がかかっ
てきて、なぜか相手の話し声が聞こえず、返事に惑っていた私の状況を見て
いて、「先生、無言電話?」と言ってきました。よく普段から状況を察する
子どもでした。そんなことを思い出し、研究所の一員として、特別支援教育
の学校現場の状況をよく見て「なぜ、この子どもはこういう発言をしたのか
?」、「なぜ先生はこういう指導をしているのか?」等、見えないところを
察するなどして、自分の仕事や研究所の事業に生かしていきたいと思いまし
た。
 本年も、研究所では様々な事業を行います。学校現場を察しながら、特別
支援教育の課題解決に向け、努力して参りたいと思います。
                    (第154号編集主幹 山本 晃)

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次号も是非ご覧ください。
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