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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン第179号

メールマガジン

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      国立特別支援教育総合研究所(特総研)メールマガジン
         第179号(令和4年2月号)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ NISE(ナイセ)━━━
■目次
【お知らせ】
・研究所公開終了のお知らせ
【NISEトピックス】
・令和3年度特別支援教育推進セミナー実施報告
【高齢・障害・求職者雇用支援機構からのお知らせ】
【NISEダイアリー】
【アンケートのお願い】

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【1】お知らせ
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●研究所公開の終了のお知らせ

 令和3年12月3日(金)から令和4年1月31日(月)に開催しておりまし
た、国立特別支援教育総合研究所創立50周年記念オンライン研究所公開
「子どもとともに~みんなの笑顔につながる特別支援教育~」は、終了いた
しました。
 期間中は延べ7,000回以上ご視聴いただき、アンケートにご協力いただい
た方からは、特総研を身近に感じることができた、特総研の今後の研究成果
へ期待する等の感想をお寄せいただきました。
 なお、研究所公開のコンテンツとして作成した「とくそうけんキッズルーム」
は、引き続き、ご覧いただくことができます。是非、ご活用ください。

○「とくそうけんキッズルーム」はこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/kids
○研究所公開の実施内容についてはこちら→
 https://www.nise.go.jp/nc/laboratory_release

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【2】NISEトピックス
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●令和3年度特別支援教育推進セミナー実施報告

 地域における特別支援教育の理解啓発を図るため、3ブロックで特別支援
教育推進セミナーを開催しました。各教育委員会、特別支援教育センター、
大学等と連携を図り、新型コロナウイルス感染症予防のため対面型・
オンラインを併用しながら、各ブロックの特別支援教育推進セミナーを盛会
のうちに終えることができました。各ブロックの様子について以下のように
報告します。 

【九州ブロック(宮崎県)】11月26日(金)
 会場:宮崎県教育研修センター

 宮崎県教育委員会主催「令和3年度職能選択研修」と合同開催し、「児童
生徒の特性に応じた授業づくり―教材・支援機器等を用いた指導支援の充実
―」をテーマとして、九州ブロックのオンライン参加者168名、宮崎県教育
研修センターでの会場参加者60名の計228名の方に参加して頂きました。
 当日は、午前中に特総研の棟方哲弥上席総括研究員 による「特総研の取組
紹介」、青木高光主任研究員による「特別支援教育におけるICT活用の現状と
今後の展開」をテーマとした講演、宮崎県教育研修センター指導主事の遠藤
茂雄氏による「宮崎県のICTの整備状況と特別支援教育における活用」を
テーマとした講演を行いました。
 午後は、熊本市立五福小学校教諭の古田翔太郎氏による「ICTを活用して
協働的に学び合い、学習目標を達成する~特別支援学級における異学年同教材
学習を通して~」をテーマとした実践報告、宮崎県立児湯るぴなす支援学校
教諭の齊藤敬幸氏による「特別支援学校におけるタブレット端末の活用」を
テーマとした実践報告を行いました。
 その後、オンライン参加者を対象に、特総研から「特別支援教育を基礎から
学びませんか~特別支援教育の経験の少ない方へ~」というテーマで特総研の
研究成果等を学校現場で活用して頂くための特別セッションを行いました。
宮崎県教育研修センターの参加者を対象には、特総研の研究職員によるICT
機器・教材の展示を行いました。また、古田翔太郎氏と齊藤敬幸氏には実践
報告の中で紹介して頂いた教材を展示して頂きました。
 オンライン参加者、会場参加者から「本日学んだ内容を学校内で共有したい」
「子供の学びの充実に向けて学んだことを明日から活かしていきたい」等の
感想が寄せられました。

【北海道・東北ブロック(山形県)】12月21日(火)
 会場:山形県教育センター

 「発達障害の理解と特性に応じた指導・支援について―ICT・支援機器の
活用を通して―」をテーマとして、山形県教育委員会主催の「発達障がい
理解促進・指導改善セミナー」と合同開催しました。
 当日はオンライン参加者278名、山形県教育センターの会場参加者41名の
計319名に参加して頂きました。
 午前は、特総研の紹介「特総研ってこんなところ」、山形県教育庁特別
支援教育課から山形県の取組紹介「発達障がいに関する教員専門性向上の
ための取組~発達障がい専門性指標の活用を通して~」の後、特総研の
笹森洋樹上席総括研究員による「発達障害のある児童生徒の理解と支援」の
講義を行いました。
 午後は、「ICT・支援機器の活用による指導・支援の実際」について、
北海道湧別町立上湧別小学校長の佐上義朗氏と宮城県塩竃市立第二中学校の
春原圭佑氏から実践報告をしていただき、特総研の棟方哲弥上席総括研究員
から「ICT・支援機器の活用による指導・支援の充実に向けて」の講義を行い
ました。また、特総研の研究職員による支援機器等の紹介を3つの展示室で
行った「知っていがった!やってみっべ! 学校で使えるICT支援機器・教材
教具等の紹介」では、会場参加者は実際に展示している機器等を触り、
オンライン参加者は各展示室の説明等をライブ配信で視聴しました。
 参加者からは、「今回学んだことをこれからの教育現場で実践し、よりよい
ものにしていければと思います」や「時間をかけて会場まで行くよりも、今後
もオンラインの研修会を増やしてほしい」等の感想が寄せられました。

【中国ブロック(広島県)】12月27日(月)
 会場:広島大学

 前日からの寒波の影響により、交通機関の乱れ等が心配されましたが、
無事に広島大学で開催することができました。「インクルーシブ教育システム
の推進―切れ目ない支援の構築の視点から―」をテーマにオンライン参加者
221名、広島大学の会場参加者19名の計240名の方に参加して頂きました。
 当日は、井上賞子氏より「成人当事者からのメッセージ~今、子ども達の
そばにいるみなさんへ~」をテーマに井上智氏のこれまでの経験から感じた
ことを丁寧にお話していただきました。
 午後からは「つながりを創る・活かす学びのための支援について~通級に
よる指導の視点から考える~」をテーマに広島市立袋町小学校小早川知代子氏、
広島市立段原中学校惠栁京子氏、広島市教育委員会特別支援教育課堀川淳子氏
より小・中・高等学校の通級による指導について「つながり」をテーマに実践
を報告していただきました。最後のプログラムでは、「特別支援教育を基礎
から学びませんか~これから特別支援教育を学びたい方へ~」をテーマに
研究所のコンテンツの活用について、配信しました。
 また、同時に会場参加者と中国ブロックの教育委員会の方を対象として
「特別支援教育における統合型校務支援システム活用整備に向けた現状と
課題」をテーマに特総研の棟方哲弥上席総括研究員より調査結果を報告し、
山口県教育庁特別支援教育推進室主査刀祢龍樹氏より山口県の取組状況を
報告して頂きました。
 セミナーに参加した方からは、「セミナーの内容を全県の先生方に広めて
いきたいと感じた」「子供の学びをどう支えていくか、頑張っていきたい」
等の感想をいただきました。
 今後、各ブロックの皆様が参加しやすいような特別支援教育推進セミナー
になるように企画していきたいと思います。

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【3】高齢・障害・求職者雇用支援機構からのお知らせ
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●高齢・障害・求職者雇用支援機構より「働く広場」2月号のご案内

 「働く広場」は、障害者雇用に取り組む企業事例を中心に、身近な障害者
雇用問題を取り上げた月刊誌です。成人期を迎えた障害者の働き方や、障害
者雇用を進める先進的な取組のヒントとして、ご覧ください。

○2月号(1月25日発行)の掲載内容
 特別支援学校、福祉事業所や異業種企業とのつながりを活かし、地域での
障害者雇用に取り組む企業への取材記事 ほか

○最新号URL:https://www.jeed.go.jp/disability/data/works/index.html

*このご案内は教育現場と就労をつなぐために掲載しております。

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【4】NISEダイアリー
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         「どんな子どもに育てたいか」
           宍戸 和成(国立特別支援教育総合研究所理事長)

 新年に入り、第三期専門研修が始まった。最初に講話をする時間が設けら
れており、自分の聾学校等での経験をもとに「教えるということ」という題
で話をしてきた。時節柄、オンラインである。その中で伝えたいことの一つ
は、標記に示した事柄である。学校の先生方には、担任した子どもの実態を
把握して、どんな子どもに育てたいかを考えて欲しいと思っている。
 人にお願いするのであるから、自分が問われた時のために、私が育てたい
と思っていた子ども像についても話すことにしている。私は、聾学校に勤務
していたので、「読める子どもにしたい」と思っていたことを伝える。
 聞こえにくい子どもにとっては、聞くことに困難がある。それによって、
結果として話すことにも困難が生じる。聞いたり話したりすることが難しい
ということは、人とのコミュニケーションに齟齬が生じやすいということに
なる。そして、学習面での困難も生起し、社会常識等の獲得も難しい場合が
ある。こうした子どもたちの最も確実な情報獲得の方法は、文字を読むこと
である。だから、読むことができる子どもにしたいと思っていた。
 読むことは、文字や文、文章を読むことが先ずは頭に浮かぶが、それだけ
にとどまらない。腹を読むや顔色を読む、囲碁などでの先を読むもある。心
を読むや空気を読むなどもある。
 聞こえにくい子どもには、文を、声に出して読むことから始まり、書いて
あることの意味内容を理解すること、そして気持ちを察すること、さらに先
を読むことまで、生活の中で身に付けさせたいと思った。
 なぜ、こんなことを書き始めたかというと、子どもに要求するということ
は、まず自分が率先してやってみることが大切だと思うからである。「隗よ
り始めよ」ということわざもある。聾学校の子どもに対しては、やって見せ
ることが一番分かり易い方法だと思ったこともある。
 文章を読むこと(意味や内容を理解すること)の習得は、聞こえにくい子ども
にとって、容易なことではない。でも、子どもの実態に即して、教材を探す
ことは面白かった。身近なところから題材を見付け、それを基に子どもと
格闘することが、私の養護・訓練の授業になった。そして、気持ちを察した
り、場面や背景を考えたり、「もし、こんなことがあったら、周りの人は
どう思うか?」などを考えさせたりすることに繋がった。「読める子ども」
の追求は、「読み」を通して、こんなところへと発展していった。
 そして、今思う。「もし、こんなことになったら、周囲の人はどう思うか?」、
「周囲の人に迷惑を掛けないか?」と考えることは、子どもだけの課題では
なく、大人にとっても大切な課題だと思う。
 コミュニケーションは、人とやり取りするだけのものではない。人と人と
の関わりをつくるものである。日常的なコミュニケーションが乏しくなると
いうことは、人と人との良好な関わりをつくる機会が減少することである。
結果として、他人がどう思うかを考える機会が少なくなることかもしれな
い。独り善がりとか、自分勝手という言葉もあるが、自分の行動がどのよう
に周りの人たちに影響を与えるのかを考えたいものである。読むことの追求
は、子どもを通して、こんなことを私に教えてくれたような気がする。

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【5】アンケートのお願い
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 今号の記事について、以下のアンケートにご回答いただきたく、ご協力の
ほどよろしくお願いいたします。
 
○アンケートはこちら→
https://www.nise.go.jp/limesurvey/index.php?sid=21665&lang=ja
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次号も是非ご覧ください。
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国立特別支援教育総合研究所メールマガジン 第179号(令和4年2月号)
       発行元 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所内
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